《櫻井ジャーナル》

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2012.08.10
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 昨年春から中東の体制転覆運動が続いている。NATOや湾岸産油国は当初から反政府軍を支援してるのだが、いまだにシリア政府は倒れていない。その間、反政府軍の残虐行為が明らかにされ、「民主化を求める運動」というスローガンは血まみれだ。

 そうした中、バラク・オバマ米大統領の対テロ上級顧問の ジョン・ブレナンは「飛行禁止空域」の設定を否定していないと発言 した。シリアを空爆することもありえるということだが、そうなると、中国やロシアとの戦闘に発展する可能性が出てくる。つまり第3次世界大戦。

 リビアやシリアの場合はイギリスの積極性が目につくのだが、中東/北アフリカの制圧は1990年代、アメリカのネオコン(親イスラエル派)が打ち出した戦略。 2007年になると、アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権はサウジアラビアと手を組み、シリアやイランに対する秘密工作を始めたと伝えられていた 。こうした流れを無視して現在の状況を判断することはできない。

 アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタールといった国々はすでにシリアの体制を倒すため、軍事介入している。反政府軍を編成、資金や武器を提供、将兵を訓練、トルコ、ヨルダン、レバノンなどに軍事拠点を作り、自国の特殊部隊を潜入指せている国もあるとイスラエルや報道されたほか、ウィキリークスが公表した文書の中にもそうした推測が書かれている。

 また、アレッポでトルコとサウジアラビアの将校が拘束されたとシリアでは伝えられている。反政府軍側は否定しているようだが、実際に拘束されていたとしても、不思議ではない。

 こうした状況は、シリア国民の多くが反政府派より政府を支持していることを示唆している。実際、反政府軍に拘束されたフリーランスのフォトジャーナリストによると、連れて行かれたキャンプにシリア人は見当たらず、 少なくとも6名はロンドンやバーミンガムの地域で使われている発音をしていて、その中には強いロンドン南部訛りのある人物 が含まれていたという。



 リビアにしろシリアにしろ、民主化を求める国民を政府が暴力的に弾圧しているというシナリオが使われている。つまり、反政府軍は「民主化勢力」という位置づけ。日本に限らず、「左翼」を自称している人びとがこのシナリオに乗っているらしい。

 もしアドルフ・ヒトラーが自分たちの政党名を「自由」とか「民主主義」とか「人権」といった名詞で飾り立てたなら、ヒトラーの政党は実態に関係なく、自由で民主的な人権を尊重する集団だということになるのだろうか?

 自分が住んでいる国の権力者がそう言っているなら、自分たちもそう思っているということにする。そうした方が平穏な生活を送れる。中には権力者の主張を自動的に信じるという思考回路ができあがっている人もいるだろう。万一、その権力者が失脚したら、そうした人びとは「騙された」と弁明することだろう。(こうして「原子力安全神話」も作られた)

 ソ連が消滅した後、アメリカは「唯一の超大国」になったと信じた人たちがいた。そして打ち出したのが「潜在的なライバル」の破壊。その青写真として1992年に作成されたのがDPG(国防計画指針)で、その指針に基づいてまとめられたのが2000年に公表されたPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)の報告書、「アメリカ国防の再構築」。この報告書を作成したメンバーが動かしていたのがジョージ・W・ブッシュ政権だ。オバマ政権になってもこの戦略は生きている。

 今年に入ると、本ブログでは何度も書いているように、反政府軍の残虐行為が表面化している。NATOの中でも軍事侵攻と一線を画している ドイツ でもこの事実を複数のメディアが報道、 ローマ教皇庁の通信社 も同じ内容の報告を伝えている。

 ロシア、シリア、イランなどの報道なら「プロパガンダ」で誤魔化すこともできるだろうが、ローマ教皇庁やドイツの有力新聞となると難しい。そこで登場したシナリオは、全て 国外から入り込んだ「イスラム過激派」の責任 というもの。

 ここでもアル・カイダを利用しているのだが、リビアでは アル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団) が地上軍の主力。 ベンガジで裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられている光景

 そもそも、アル・カイダを含むイスラム武装勢力は、1980年代にアメリカの情報機関や軍が作り上げたモンスター。パキスタンやサウジアラビアも支援している。2001年9月11日以降、アメリカはアル・カイダを「テロリスト」の象徴に祭り上げ、「不倶戴天の敵」であるかのように宣伝してきたのだが、昨年来の出来事は、この宣伝が怪しいことを示している。





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最終更新日  2012.08.11 02:21:13


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