《櫻井ジャーナル》

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2013.10.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 国家安全保障基本法案や特定秘密保護法案の成立を狙い、TPPにのめり込み、国家戦略特区をつくり、国家安全保障会議を創設し、原発を再稼働させようとしているのが安倍晋三内閣。軍事的には集団的自衛権の行使、つまりアメリカの侵略に荷担する道を進もうとしている。

 こうした法案や政策の背後にはアメリカの支配層、特に好戦的な勢力に存在している。そうした勢力が日本で活発に動き始めたのは1990年代の半ばで、ひとつの切っ掛けは樋口レポートにあった。

 樋口レポートを読み、日本が自立の道を歩き出そうとしていると国防大学のマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは判断、友人のカート・キャンベル国防次官補を介してジョセフ・ナイ国防次官補とエズラ・ボーゲルに彼らの考えを売り込む。これが1994年頃のこと。1995年にナイは報告書を公表し、その報告書に基づいてい97年には新ガイドラインという形でまとめられ、99年の周辺事態法につながる。

 周辺事態とは、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を意味、その周辺事態を認定するのはアメリカ政府。全世界の出来事が対象になる。

 ナイやリチャード・L・アーミテージ元国防副長官を中心とするグループは2000年にアーミテージ報告を作成、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している。この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる。」としている。

 このレポートの作成メンバーには、アーミテージ、ナイ、キャンベル、グリーン、そしてネオコンの中心的存在であるポール・D・ウォルフォウイッツが含まれている。 ウォルフォウィッツは1991年の段階でシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた 人物。このグループに従属している日本の支配層が2003年のイラク侵略に賛成したのは必然だ。

 イラクを先制攻撃する前、アメリカやイギリスの政府は大量破壊兵器の危険性を宣伝していたが、この話が「眉唾」だと多くの人は考えていた。少なくとも大量破壊兵器が存在する確かな証拠はなく、言いがかりにすぎない。アメリカ軍の内部でも開戦に反対する意見は多かった。当然、日本の政府もそうした事情を理解していたはずだ。

 大量破壊兵器が存在しないことをサダム・フセイン政権が証明しなかったことに戦争の原因があるかのように安倍首相は言うが、この発想も興味深い。気に入らない奴は難癖をつけて潰す。いやなら自らが潔白だと言うことを証明しろ、しかも証明されたかどうかは自分たちが判断するというわけだ。迷惑防止条例、あるいはチンピラの喝上げと基本的に同じ。



 リビアと違ってNATOの空爆がロシアや中国に阻止され、雇っていたイスラム武装勢力(カタール系のムスリム同胞団やサウジアラビア系のアル・カイダ)の残虐さが明るみに出て「アラブの春」という呪文も効力をなくした。政府軍が化学兵器を使用したという話も崩れ去り、サウジアラビアが黒幕だとする情報が流れている。ロシアが国連に提出した報告書は公表されていないが、各国政府に与えた影響は小さくないようだ。

 アメリカが軍事的な圧倒しているという神話も崩れ始めている。例えば、9月3日には地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射されたが、 このミサイルをロシアの早期警戒システムがすぐに探知 、2発とも海中に落ちたとされている。

 直後に イスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表 したが、事前に周辺国(少なくともロシア)へ通告はなく、シリアに向かって発射されたと思われても仕方のない状況だった。

 実際にシリアへの攻撃を始めたのだとする説もある。 スペインにあるNATOの基地から発射されたミサイルをロシア軍が撃墜した とレバノンのメディアは報道しているのだ。 ジャミングでミサイルのGPSが狂って落下した とも言われている。いずれにしろ、アメリカ軍の攻撃が機能しなかったということになる。

 その当時、地中海にはアメリカ軍、ロシア軍、中国軍の艦船が集結し、軍事衝突に発展しても不思議ではない状況にあった。ミサイルが発射された直後にロシア側からアメリカ側へ強い抗議があったという。ロシア側の軍事的な能力と反応を「西側」は見誤っていた可能性が高い。

 ミサイル発射の後、その状況が大きく変化する。ロシア政府の提供した情報でシリア攻撃の「大義」がないことは明らかになっていたが、ミサイルが人為的に落とされたのならば、軍事衝突になってもアメリカ軍が勝てる保証はないことを意味する。

 アメリカと最も緊密な関係にある国はイギリス。そのイギリスの下院はシリア攻撃に関する政府提出の動議を否決、デイビッド・キャメロン首相は武力行使を断念すると表明せざるをえなくなった。アメリカのバラク・オバマ大統領も開戦の責任を議会へ押しつける形で戦争を避ける方向へ動き始める。サウジアラビアはロシアやアメリカを脅したが、効果はなかったようだ。






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最終更新日  2013.10.27 23:24:37


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