《櫻井ジャーナル》

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2015.05.11
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカの侵略戦争を支援するための法律を自民党と公明党は整備するようだが、将来的にはアメリカ軍に替わって侵略戦争を行うことを少なくともアメリカの支配層は想定しているはずだ。

 勿論、こうした法案は官僚がすでに作成、アメリカ政府へも報告済みだろう。4月27日に外務大臣の岸田文雄と防衛大臣の中谷元はニューヨークでアメリカのジョン・ケリー国務長官やアシュトン・カーター国防長官と会談、新しい「日米防衛協力指針(ガイドライン)」を発表、29日には安倍晋三首相がアメリカ議会の上下両院合同会議で演説し、その中で「安全保障法制」と「TPP(環太平洋連携協定)」を強調したが、その延長線上に今回の法案はある。

 現在のアメリカを動かしているのは1992年に作成された「 ウォルフォウィッツ・ドクトリン 」。これは、国防総省のシンクタンクONA(ネット評価室)で室長を務めてきたアンドリュー・マーシャルの戦略をベースにして、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドといったネオコンが作成したDPG(国防計画指針)を指している。

 マーシャルは冷戦時代にソ連脅威論を宣伝、核戦争計画の中心にいた。ソ連消滅後は中国脅威論を叫び始め、ジョージ・W・ブッシュ大統領もマーシャルの宣伝マンを務めていた。

 DPGはアメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、潜在的なライバル、つまり西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアを潰すという方針を示している。当然、日本も含まれるのだが、日本の支配層は「私益」を「国益」の上に置き、日本の自然とそこに住む人びとをアメリカの支配層へ売り飛ばそうとしている。

 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、このドクトリンが作成される前の年に ウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた ようだが、DPGをベースにしてネオコン系シンクタンクのPNACは2000年に「米国防の再構築」という報告書を公表、その中では東アジアを重要視している。キエフでクーデターを指揮していたビクトリア・ヌランド国務次官補の結婚相手、ロバート・ケーガンも含まれている。

 日本もウォルフォウィッツ・ドクトリンに合わせて動き始める。1994年に細川護煕政権の諮問機関「防衛問題懇談会」が作成した「日本の安全保障と防衛力のあり方」に国防大学のスタッフだったマイケル・グリーンとパトリック・クローニンが反発、1995年にジョセフ・ナイ国防次官補は「東アジア戦略報告」を発表する。そこから今回の安保法案までつながるわけだ。当然、この法案のベースはウォルフォウィッツ・ドクトリンで、アメリカ支配層の世界制覇が目的。TPPも同じ流れの中にある。



 ウォルフォウィッツ・ドクトリンを実行する上で好都合な出来事が起こったのは2001年9月11日のこと。ニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのである。

 ジョージ・W・ブッシュ政権は詳しく調査することなくアル・カイダが実行したと断定、アル・カイダ系武装集団を弾圧していたイラクを2003年に先制攻撃する。その口実に使われた「大量破壊兵器」の話が嘘だということは、開戦の前から指摘されていた。そうした情報をかき消すように「進軍ラッパ」を吹き続けていたのが政治家、「専門家」、記者、編集者といった類いの人びとだった。その結果、イラクは破壊され、多くの非戦闘員が殺された。支離滅裂な話だが、ともかくサダム・フセイン体制を倒すことに成功、ウォルフォウィッツのプランは前進した。

 侵略されたイラクでは建造物が破壊され、多くの人びとが殺されている。西側は見えないところで殺された人は殺されていないことにしているようだが、医学雑誌ランセットに発表されたジョンズ・ホプキンズ大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると開戦から2006年7月までに約65万人が死亡、イギリスのORB(オピニオン・リサーチ・ビジネス)は、2007年夏までに約100万人が殺されたという推計している。この数字が最も現実に近そうだ。

 2010年には「アラブの春」が始まり、翌年の初めにアメリカ/NATOはペルシャ湾岸の産油国やイスラエルとリビアやシリアの体制転覆プロジェクトを始めた。リビアではNATOの空爆、アル・カイダ系のLIFGが地上軍というコンビで体制転覆に成功するのだが、シリアではまだ戦闘が続いている。そして昨年2月、アメリカ政府はネオ・ナチを使い、ウクライナでクーデターを成功させた。ウクライナはブレジンスキーがロシアを服従させるポイントだとしていた国だ。

 この間、アメリカ政府は嘘をつき通しで、その嘘を西側のメディアは宣伝してきた。ドイツなどではネオコン/シオニストの狂気に気づいて軌道修正を図り、メディアも嘘の付き方が穏やかになった。ドイツの有力紙、フランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の元編集者、ウド・ウルフコテが自著の中で、 ドイツを含む多くの国のジャーナリストがCIAに買収され、例えば人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開していると告発 した影響も小さくはないだろう。

 かつて、日本の新聞は戦争を煽って東アジア侵略を後押し、中国で日本軍は1500万から2000万人を殺したと言われ、ドイツとの死闘で殺されたソ連人はそれより多く、2400万人に達すると推計されている。ドイツの死者数は550万人から690万人。それに対し、日本は250万人から300万人だという。中国やソ連に比べれば、犠牲者数がひと桁違う。日本のマスコミが歴史から学んだことは、負けても犠牲はこの程度で済むということなのかもしれないが、次の戦争は遥かに悲惨なことになるだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.05.12 08:58:50


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: