東京琉球館で2月13日午後6時から「ルビコンを渡ったアメリカの支配者」というテーマで話します。予約制とのことですので興味のある方は事前に下記まで連絡してください。
東京琉球館
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アメリカではジョー・バイデンが大統領に就任しました。ヒラリー・クリントンと同じように彼はネオコンと関係が深く、戦争ビジネス、金融資本、そしてシリコンバレーの巨大ハイテク企業を後ろ盾にしている人物で、インターネットを支配するハイテク企業はドナルド・トランプの情報発信を封じ込めただけでなく、各国政府を検閲の対象にしはじめています。
私的権力が世界規模で言論を統制する時代に入ったわけですが、言論統制だけでなく、私的権力が国を介さずに直接統治する体制を築こうとしているように見えます。ファシズム体制の樹立を目指すクーデターを始めたとも言えるでしょう。
新政権の陣容はすでに判明しているだけでも好戦的と言わざるをえません。戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクが人事や政策の決定に深く関与しています。
国防長官にはミサイルで有名なレイセオンで重役を務めていた元米中央軍司令官のロイド・オースチン、情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務めています。ヘインズが親しいというジーナ・ハスペルはトランプ政権でCIA長官を務め、「血まみれジーナ」と呼ばれていました。CIAの工作資金を流す主要なパイプのひとつ、USAID(米国国際開発庁)の長官には「人道」を口実にした侵略戦争で破壊と殺戮を繰り返したサマンサ・パワーが指名されています。
こうした好戦的な政権を編成しているアメリカの支配者は1991年12月にソ連が消滅した後、その凶暴な正体を現しました。1992年2月には国防総省のDPGという形で世界制覇プランを作成、国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが作成の中心だったことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれています。
ウォルフォウィッツを含むネオコンは1980年代からイラクに親イスラエル体制を築いてシリアとイランを分断、それそれを殲滅するという侵略計画を立てていました。1991年にウォルフォウィッツもその計画を口にしていたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官も話しています。
そうした侵略を始めるためには何らかのショックが必要ですが、彼らにとって好都合な事件が1993年2月に引き起こされました。ニューヨークの世界貿易センターにあるノースタワーの地下駐車場が爆破されたのです。そこに止めてあったトラックには爆薬(硝酸尿素)が積まれていて、それが爆発しました。この事件を受け、1994年から2000年にかけて世界貿易センターのエレベーター・システムを改良する大工事が行われることになります。(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017)
そして1995年2月、上院議員だったバイデンは反テロリズム法を提出していますが、彼によりますと、その法案がベースになって2001年10月に成立した愛国者法が作られました。いずれも憲法が認める基本的な人権を否定する内容になっています。
1995年2月にはアメリカの国防次官補だったジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表しました。それまで国連中心主義を唱えていた日本政府をアメリカ単独主義へ引き込み、日本がアメリカの戦争マシーンへ組み込まれ始めることになります。
日本では1994年6月に松本サリン事件、95年3月には地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃され、1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆しています。アメリカでは1995年4月にオクラホマ州のオクラホマ・シティで連邦ビルが爆破されました。
1995年は日本にとってもアメリカにとっても節目になる年で、それ以降、戦争への流れが明確になります。そして2001年9月11日にはニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、ジョージ・W・ブッシュ政権は詳しい調査をしないままアル・カイダの犯行だと断定、アル・カイダと敵対関係にあったイラクを先制攻撃したわけです。
9月11日の攻撃を利用してアメリカの支配者は国内の収容所化、国外での侵略戦争を本格化させましたが、ロシアや中国との戦争ではありませんでした。当時、アメリカの支配者はロシアの属国化に成功、中国は従属していると確信していました。その確信を打ち砕いたのがウラジミル・プーチンらによるロシアの再独立です。
ネオコンは2014年にウクライナでクーデターを実行、香港では反中国政府の佔領行動(雨傘運動)を仕掛けましたが、その後、ロシアと中国は接近して戦略的な同盟関係を結びます。ロシアと中国を分断し、個別撃破するというプランを立てていた人びとにとっては悪夢のような展開だったでしょう。
ロシアと中国との結びつきを壊すことは容易でありません。アメリカを支配している人びとは生き残りをかけ、このふたつの国を潰そうとしています。そのための戦争が始まったように感じられます。
2013年頃、ロシア政府はロシアや中国との国境近くにアメリカの生物兵器関連施設が建設されていると指摘、アメリカ政府が細菌戦争を仕掛けようとしているという疑惑を表明していました。
2020年初頭から世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で収容所化が進み、軍事的な緊張も高まっています。この騒動を利用して資本主義をリセット、かつて正常とされた状態には戻らないしています。強大な私的権力が支配するファシズム体制を築き、そこから戻ることはないということでしょう。彼らはルビコンを渡りました。