《櫻井ジャーナル》

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2025.07.20
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 西側諸国は「形勢を逆転さえる高性能兵器」をウクライナへ送り込んできたが、全てロシア軍の兵器に破壊されている。その一例がアメリカのM1A1エイブラムス戦車だ。

 ​ 2023年末から供与され、24年2月から戦闘に使われ始めた31両のうち、27両が破壊されたりロシア軍に奪い取られていると伝えられている ​。ウクライナ軍はエイブラムス戦車のうち87%を失ったわけだ。ドイツのレオパルト2A6戦車やイギリスのチャレンジャー2も同じように破壊されている。

 現代の戦闘では航空兵力の支援がない戦車はひとたまりもない。ウクライナ軍、つまりNATO側の防空システムも脆弱で、しかも航空系力はロシア軍が圧倒しているわけで、こうした結果になるのは必然だった。「無敵のアメリカ軍」とか「旧式のロシア兵器」といった御伽話の中で生きてた西側の人びとの中には、今でも現実を受け入れられない人がいるようだ。

 ウクライナの場合、兵士を訓練する時間的な余裕がなかったとも言われている。アメリカからM1エイブラムズ戦車を購入したイラクやサウジアラビアなどの場合、訓練期間は5年から7年だというが、ウクライナでそれだけの時間をかけて訓練したとは思えない。NATO側はソ連時代のT-72と現在ロシア軍が使っているT-72は別物だということを理解していなかった可能性もある。現在のT-72には爆発反応装甲がついているだけでなく、暗視装置、熱線暗視装置、射撃統制システムなどが装備されている。勿論、T-90は格段に性能が向上している。

 M1A1エイブラムズやレオパルト2は砲弾の装填を乗員が行うが、現在のT-72やT-90には自動装填装置があるため、乗員の人数はエイブラムズやレオパルトが4人であるのに対し、T-72やT-90は3名。訓練しなければならない兵士の数が違うとも言える。別の国の戦車を統制することも難しい。

 死傷者を比較してもウクライナ軍の劣勢は明確。戦死者の遺体交換を見ると、今年5月はウクライナ兵909名に対し、ロシア兵は34名、約27対1だが、これは戦死者数の比率が反映されていると考えられている。

 戦場において発射した砲弾の数は死傷者数に反比例すると言われている。発射した砲弾の数は6対1から10対1でロシア軍が上回るので、ロシア軍の死傷者数はウクライナ軍の6対1から10対1だと推測できるが、ロシア軍は自軍の兵士の死傷者をできるだけ少なくする作戦を立てていることから、さらに少ないと言われている。

 ウクライナの兵士不足は街頭での様子でも推測できる。歩いている男性を徴兵担当者が拉致する様子を撮影した少なからぬ映像が世界に発信されている。最近では家から引き摺り出している映像もある。拉致された人は十分な訓練を受けないまま前線に送られ、数週間で殺されているともいう。

 こうした兵士不足は2023年の段階ですでに深刻だった。​ この年の8月31日までイギリスの国防大臣を務めていたベン・ウォレスは同年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した論稿の中でウクライナ兵の平均年齢はすでに40歳を超えていると指摘している ​。

 今後、戦況が劇的に変化するというようなことはないだろう。ウクライナ軍、つまりNATO軍の敗北は決定的なのである。そこで西側は停戦に持ち込み、「勝利」を演出しつつ戦力を増強、ロシアを攻撃するチャンスを待とうとしているが、「ミンスク合意」で懲りているロシア政府は応じない。大統領の任期が切れているウォロディミル・ゼレンスキーをロシア政府は正当な交渉相手とも見ていない。ウクライナや西側ではゼレンスキーを排除しようという動くが出ている。

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【​ Sakurai’s Substack ​】






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最終更新日  2025.07.20 00:50:55


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