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花の降る午後価格:770円(税込、送料別)あらすじ最愛の夫を癌で失くし、神戸の老舗レストランを女手一つで切りもりする典子。仕事は厳しく人の良いシェフ、実直で有能な支配人、懸命に働くウェイターたち―。店を継いでの四年間をふり返ると、彼女はとても充ち足りる。そんなある日、生前の夫に買ってもらい、今は店に掛けた油絵を貸してくれという青年が現れた。彼の名は高見雅道。その〈白い家〉という絵の作者だった―。一方、店を狙う魔の手が伸びてきていた。典子に訪れた恋、そして闘いが始まる。異国情緒溢れる神戸を舞台に描く真摯に生きる人々の幸福物語。大ベストセラー待望の文庫化。 女性の実業家、今では珍しくないでしょう。結婚してすぐ、典子は夫を病気で亡くします。夫は、病院で延命治療するより、妻とふたり、海辺のホテルで最後の日を過ごしたいと希望します。夫と残り少ない日を過ごしているとき、典子は心魅かれる絵と出会い、購入します。夫の死後、夫の一族のレストランと引き継いでオーナーとなります。迷った末でしたが、姑にも薦められ、従業員にも慕われていたので、4年後の今経営は順調でした。ある日、あの絵の書き手という青年がレストランを訪れます。売れない日々だったが、今度個展を開くので、これまでに書いた絵を使わないと数が足りないので、貸して欲しいということでした。レストランの壁に空いた空間をどうしようか、と、店を開店させていると、青年から、絵を額から出した所手紙が入っていたという電話が入ります。それは亡くなった夫からの手紙で、典子はいますぐにその手紙を読まなければ、読みたい、と東京に一目散に飛んでいきます。手紙を読んだ夜には一晩中、夫に会いたくて眠れず、泣いて夜明かしをします。手紙に何が書かれていたのか。翌朝、典子がホテルのロビーに下りると、青年が待っています。駅に送るタクシーの中、青年は手紙が誰からだったのか、と典子に聞きます。一枚の手紙が出て来たことで、夫が亡くなってから止まっていた、典子の中の何かが動き出します。典子の中の何かと同時に、従業員の造反、レストラン乗っ取りの魔の手、、と周辺も慌しくなります。なんとなくのレストラン経営でしたが、仕事、恋愛、自分の子供を持ちたいという希望、、と、典子の人生は一気に彩り豊かな、悩み一杯な充実したものになっていきます。最初、典子のレストランのシェフが、読みの深そうな魅力ある人に思えました。この人と典子がもしかして??なんて、思いつつ展開を楽しみにしてました。高ピーなお嬢様でも浮気な強欲女ではない、上品な未亡人を襲う謀略、忠実な部下と素敵な恋人、理解ある姑、再婚を願う両親。宮本さんは ”再生”を描く作家だとあるサイトで書かれていました。『ドナウの旅人』『オレンジの壷』『ここに地終り海始まる』『花の降る午後』がそのようです。『優駿』もそう?『流転の海』シリーズなどは、再生だけではなくあらゆるものが詰まっている。『花の散る午後』は、ドロドロもなく、ほどほどな大人の御伽噺みたい。二転三転する濃い~ドラマではないけど、また読み返したい。日本のハーレクインみたい。
2010年10月16日
いじめられた子が、数年後いじめた者達へ復讐するおはなし。いじめた側が、自分たちが狙われていることに、憤慨したり結束したり、パトロール隊と称して行動する。かつて、自分たちのやったことが、どんなにひどい事だったか、まったく感じていない。あえて、そんな風に描いてるんでしょうか。自分たちはもう大人になったのであり、中学時代のことなんて、今更こだわるのは子供ッぽいだけであり、今は将来の事を考えなければいけない。 相手は、あの情けなかったトロ吉なんだから、とっとと迎え撃ち、やりかえしてやればいい。 カッカと熱くなる者、冷静になろうとなだめる者、怖がる者。トロ吉という子の無念さを思うと、とても最低な人たちの話としか思えませんでしたね。読んでて思ったのは、主人公の光也という子が、一番トロ吉は憎かっただろう、ということでした。そして、当時の担任が、なんといっても一番最低です。こういう人のクラスに、自分の子を預けたくない。
2010年10月15日
自分の父親が、氷河期時代のナントカ原始人と信じ込んでる少年のはなし。荻原さんって、『明日の記憶』の原作者なんですね~。映画化された作品もたくさん。この本は、ひとりの少年が見たことの無い父の姿を心に描きながら、孤独に成長していくおはなし。孤独な少年時代、と一口に言えばそうだけれど、でも彼は一人でも充実。野山を駆け巡りたくましく楽しく過ごしている。もちろん、すごく孤独なことを噛み締めざるをえない時もある。彼の身体能力が、素晴らしく、周囲の冷たい目も、だんだんと彼を認めるようになるのだけど、。彼の大らかさ、優しさなど、こんな子供時代に潰されないで、えらい!と思いました。よく曲がらないで大きくなれたな、と。頭も良い。昼間、ひとりで母の仕事部屋で、手当たり次第に本を読み漁り、そうした本を読むうちに、いつしか自分の父は、氷河期に生きた原始人なのだと信じ込む。原始人みたいに、野山をかけめぐり、槍を削り、魚を獲り、、。孤独な時間は、原始人の父に負けないように、恥ずかしくないように、自分を鍛えることで、埋められるのです。自分には特別な能力があるんだ、自分は特別な子供なんだ、と。そんなこんなでしたが、中学では部活で、はじめて脚光を浴びる機会に恵まれます。とにかく足が速いし、野山で鍛えられた身体はたいしたもんです。自分の特技を生かし、自分自身を見出していく時期です。先生が、彼を認めてくれるのが、また、うれしいです。親以外で、気にかけてくれる大人です。努力すれば報われる、、といいのだけど、簡単には行かないですね。高校進路を決めるとき、スポーツ推薦が得られそうだったのに、残念なことになり、ホントに残念だった。もう少し、母親が彼に注意を払えばいいのと思うけど。ひとりで子供を育てるのはやっぱり大変なことです。時代もシングルマザーという言葉もない時代なので、周囲の協力も家族の援助もない。けれども、温室育ちの子ではない。進学した高校でグレもせず、たった一人の部活動に励みます。やがて実の父に会いに行くことになるのですが。。自分の子がこんな寂しい過ごし方をしているとしたら、親としては耐えられない。多くの友達に恵まれ、親や親族に囲まれ守られ、大事に育てられた、温かくて輝かしい子供時代を過ごさせたい。でも、こういうのもありかも、と思える。こんな寂しい時間のなかでも、かれはとっても多くを学び、得ていた。ほんとにいじらしい子でした。
2010年10月15日
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花の回廊価格:2,100円(税込、送料別)またまた熊吾一家は大阪に帰ってきました!かなりの厳しい生活です~。伸仁は、熊吾の妹一家に預かってもらいます。そこは、朝鮮人が多く暮す尼崎にある迷路のようなアパートで、伸仁は学校では担任に嫌われ、逞しく人間修行の日々を送ることになります。熊吾と房江は、もとの中華レストランとマージャン荘を営んでいたビルで、電機も水道も通ってない、夜はろうそくのみの暮らしを始めます。熊吾の事業が固まるまで、房江が飲み屋の皿洗いをしてしのぎます。そこの女将は、優しくありません。さらに昔の芸者だった知り合いが店に通うようになり、「松坂熊吾の奥様がね~、こんな店で皿洗いをしてるなんて」とおもしろがる。。それでも、シリーズを通して、この巻が一番好きで何度も読み返したくなるのはこの巻です。それは、どん底から又這い登っていく力強さと、これまで熊吾が親身になってあげた人々からの助けが返ってくる時期でいろいろな光明が見え始めてきたからです。以前、本屋でこの巻を見た頃は、『流転の海』シリーズっって、一体何冊あるんだろう。素敵な題名だけど、何冊目なんだろうっと思いました。そもそも宮本輝さんの本は、もう何年も読んでません。というか、、初めてかな?山崎豊子さんの『華麗なる一族』は父と息子の根深い確執が描かれ、この『流転の海』の愛情溢れる親子関係とは真逆でした。佐々木譲さんの『警官の血』は祖父から息子へ、息子から孫へ、という血の系譜。家族モノの重厚さでは、ジェフリー・アーチャーの本に近いようです。『チェルシーテラスへの道』など。でも、そんなに策謀に満ちてはいませんケド。人間ドラマの複雑さ、神秘さでいうと、京極夏彦さんの『巷説百物語』シリーズが真っ先に浮かびました。言葉巧みに人助け世直しをする又市と、「あの人はイカサマ師だから」と房江が評する夫熊吾に通じるようで。ちょっと違うか?あくまでも個人の感想ですから、ごかんべん。いよいよ、次は最終巻なのでしょうね。いつ出るのかな。今は『文芸春秋』に連載中のようですね。こんど立ち読みしちゃおっかな。『流転の海 流転の海・第1部』 『地の星 流転の海・第2部』 『血脈の火 流転の海・第3部』 『天の夜曲 流転の海・第4部』 『花の回廊 流転の海・第5部』
2010年10月12日
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天の夜曲価格:780円(税込、送料別)今度の舞台は、富山です。何故、富山?中華レストランは、せっかく軌道に乗っていたのに、台風の被害後、食中毒を出し、お得意さまだった大手電話会社の組合騒動に利用され、撤退を余儀なくされてしまいます。富山で自動車修理を営む人に誘われ、富山とい新たな土地で、また自動車事業を興そうと一家で移り住むことを決断します。が、着いた早々、慣れない大雪と寒さと、誘ってくれた人物一家に疑問が生じてしまいます。熊吾は、自分にほれ込んで誘ってくれた高瀬という人物を、どうして信用してしまったのかとまで、思ってしまいます。口が重く、視野が狭く、大きな事業には不向きな人物ダという事に気付くのです。房江も、全く見知らぬ土地に馴染めないものを感じ、やっぱり大阪でやり直そうと考え直すことになります。熊吾は、家族を富山に残し単身大阪で、もう何度目か?の仕切り直しに戻ります。熊吾不在の間、家計は困窮、間借りした家の親子が争い、寂しさや不安からか、房江は喘息に苦しむようになります。酒を飲むようになり、熊吾も糖尿病に見舞われます。健康面が心配ですね。熊吾も歳を感じさせるようになってきちゃいました。日本海側の町でも、新潟ではなく、何故富山かというと、新潟は東京カラーが強く、すでに自動車業界の波も来ているらしく、富山ならまだ誰もそうした事業に乗り出していないから、という理由だったようです。残念ながら実現ならずでしたが。熊吾は、とんだ回り道をした、と、一旦は思いますが、雪国の空気は綺麗で、伸仁と立山連峰を眺めながらの語らいやサイクリングをしていると、こういう回り道も悪くないと思いなおすのでした。新潟は、わたしの出身県です。雪国は、熊吾一家には合わなかったようで残念。それにしても、とうとう、あの海老原太一に金の工面のために頭を下げることになり、その場面は息詰まるものがありました。熊吾自身は、床に膝をつきつつも、達観しているので、それが救いでした。一方の、海老原太一は、まだまだ熊吾へのこだわりは消えないようです。熊吾の困窮を、どう受け止めているのでしょう。いい気味だと思ってそれで気がすんだらいいのに、まだまだ暮らしぶりを探っている様子です。器が小さい、とは言及してませんが、そう思います。熊吾一家は、ずいぶん苦労してますが、やっぱり力強い作品でした!『流転の海 流転の海・第1部』 『地の星 流転の海・第2部』 『血脈の火 流転の海・第3部』 『天の夜曲 流転の海・第4部』 『花の回廊 流転の海・第5部』
2010年10月12日
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【中古】文庫 血脈の火-流転の海 第三部-価格:130円(税込、送料別)熊吾一家が、大阪に帰ってきました!広島の原爆で、おそらく亡くなったであろう持ち主のビルを、賃借して中華レストランとマージャン荘を立ち上げます。傍らには川が流れ、積荷を積んで舟が行き交います。船で暮す人々と、ビルの窓から言葉を交わし、忙しく立ち働く毎日。熊吾が岡持ち提げて歩いたり、マージャン荘のオヤジになるなんて、ちょっと、え?っという感じですが。。熊吾のひとつぶ種:伸仁は小学一年生となります。初めてバスで学校に通う日、こっそり後をつけた房江の話を聞いた熊吾は、涙を流して大笑い。「こいつは立派に生きていける。大丈夫だ。」大丈夫どころか、生まれた時から、「この子は育つのか、この子が20歳になるまで俺は死ねない」という、熊吾の生きがい伸仁は、ひ弱だとばかり思っていた親の予想を超え、実にたくましい心根の子供になっていきます。さすが関西っ子?というか、熊吾の子。場末のような土地柄で、ちゃっかり馴染んで成長していきますね。おっとりした気弱な子になるかと思いきや、。熊吾の息子がそんなワケないですよね。でも、この三巻から、どうも熊吾の運気が落ちて行ってる感じです。自動車業界でこの人ありと、言われていた頃の勢いはなく、これまでの豪快さが感じられなくなってる。それと同時にお金にも運にも見放されて?いくみたいです。ひとつには、熊吾が、商売の相方に選ぶ人物がどうもいまひとつの結果となる。第二巻の県議会に打って出ることにした人は不治の病に倒れるし、この第三巻でも退職した刑事の友人は、商売になると刑事の気質が禍いし熊吾はイライラ。次の第四巻でも、同じように、事業を始めようとするけど、人物を誤り頓挫する。また、右腕にと信用し、金を管理させる人に、再三裏切られる。第一巻の井草に続いて第四巻でも、大事な、新しい事業の中古自動車連合会の運用資金を持ち逃げされてしまう。熊吾の人物眼が鈍ってるのか、めぐり合わせが悪いのか。。受難の時代の始まりか。でも、人を信用して、相手の人生を助ける、口も出し、手も出し、金も出し、、という熊吾の生き方は、素敵です。こんなに濃い生き方には、ある意味憧れます。さらに、熊吾一家に影を落とし続けることになるのが、母ヒサが行方不明になることです。熊吾の妹タネの家族と田舎暮らしを望んでいたのが、都会に出たがったタネに無理やり大阪に連れて来られて、しまいにフラリと家を出てしまう。ヒサの行方知れずには、房江はずっと心を痛め、時に放心状態にさせられるのです。ふたたび大阪で仕切りなおそうと奮闘する熊吾でした。『流転の海 流転の海・第1部』 『地の星 流転の海・第2部』 『血脈の火 流転の海・第3部』 『天の夜曲 流転の海・第4部』 『花の回廊 流転の海・第5部』
2010年10月12日
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【中古】文庫 地の星-流転の海 第二部-価格:120円(税込、送料別)熊吾、ふるさとに帰るの巻、ですね。ここでも、すごいです。熊吾大暴れ。闘牛の催しの時の、ひと幕はすごい。後に、ある人が「あの牛殺しの時から、いろいろな事態が動き出した。」なぜ、人の牛を熊吾が殺すことになったかというと、熊吾の妹のタネが生んだ息子の父親が、博打で負けたかして、気の荒い牛につくことになり、絶対死ぬだろう、という場面で、牛の持ち主の顔も立て、妹の男も救い、裏にいる宿敵に一泡吹かせ、鉄砲を貸したじいさまとも久々に交流する。。という実にいろんな絡みがあるのですが、牛の血をあびた熊吾が「人殺しの牛を殺してなにが悪い」という、なかなかな迫力の見せ場でした。やくざでもおかしくない強気な場面ですが、やくざはないです。宿敵がやくざ。熊吾自身はヤクザは大嫌い。この人は、それをハッキリ相手にちゃんと言うんですから、それが、気持ちいい。熊吾の宿敵という嫌な男につきまとわれますが、この巻はこの男の末路でしめくくられる。家族に頼られ、土地の有力者に見込まれ、周囲のひとを助け、。熊吾って懐が深いですね。自分のルーツの土地に移り住み、安心感に包まれ、妻:房江も息子:伸仁ものびのび健康に暮してます。 この時代の上昇志向の強い人物とは、違う、独自の価値観をもっているようです、熊吾という人。彼が大阪で札束に囲まれ、バブリーな暮らしをしていた頃、彼を頼って、彼のようになりたいと願っていた人間たちは、変わらず大阪で事業に励んでいるのですから。すべては、彼が50歳で始めて人の子の親となった、ということから。で、子供ってすごい。50歳のオヤジのすべての原動力です。ゆたかな活路を見出したって感じ。息子が20歳になるまでは死ねないぞっという、切実さは、年とって子供を持ったひとにしか分からない涙ぐましさですが、子供を一人前にする為に、世の父母たちは、みんながんばってるので、とっても共感しちゃいます。第1部『流転の海』でもそうでしたが、周囲の人との関わり方がすごい熱い、というか人情に篤いです。面倒見がよくて親分肌なんですね、熊吾って人は。気風が良い割には、思慮も深いし、人をみる目が優しいです。大好きです、こういう骨太物語。いろんな人生が絡んでます。でも、また妻を殴っちゃう。結婚するとき、房江は周囲に反対されたというのが、「外ヅラが良いから、家では面倒なタイプかも」っと。その通りです、熊吾。妻への暴力はやめてほしい。DVって治らないっていうし、不幸になってほしくないです。『流転の海 流転の海・第1部』 『地の星 流転の海・第2部』 『血脈の火 流転の海・第3部』 『天の夜曲 流転の海・第4部』 『花の回廊 流転の海・第5部』
2010年10月12日
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【中古】単行本(小説・エッセイ) 流転の海 第1部価格:170円(税込、送料別)戦後の日本に生きたエネルギッシュな人物、松坂熊吾の人生です。熊吾って、、名前もすごいですよね~。この人は、四国の愛媛県南宇和の城辺という土地出身だそうですから、現在、大河ドラマ『坂本龍馬』も同じ四国の高知県土佐出身で動物の字の名前。原作によると、四国の辺は、子供が丈夫に育つように動物の名前をつけたそうだから、松坂熊吾も四国の人だし、やっぱりそういう風習なんだな~っと、読み始めに思いました。以前から、読もうかな、どうしようかな、っと手にとりつつも”熊吾”という名前や、二転三転していそうなストーリー紹介に、食指が動かずでした。しかし~、読んでみたら、期待以上でした!熊吾が、敗戦後2年経った大阪の町に、郷里から戻り、また事業を興すところから幕が上がります。何処かから帰って来た早々、彼を、生まれたばかりの息子と影の薄そうな妻が迎えます。家族を帰りみないで、戦後の日本をのし上がっていく男の話なのかと思いきや、、どんどん息子と妻の存在が強くなっていきます。事業のことで飛びまわりながら、生まれたばかりの息子の手足指や、ほくろアザのひとつひとつを舐めるように点検したり、高価なアメリカのミルク粉を手に入れたりと、息子の成育に、どこまで本気なのか、と思わせつつ、50歳で初めて父親になった感慨が、だんだん深まっていくようです。パワフルで濃い~個性の人ですが憎めません。ただ、カッとなると妻を殴るのがいただけません。やっぱり、そのシーンは好きではありません。それでも、後半、妻の生い立ちや馴れ初めがわかって、この二人には間違いなく強い絆がありそうだと感じます。この妻:房江は、だまって耐えるだけの人ではなさそうです。とっても芯の強そうなのがだんだん解ってきます。厳しい生い立ちに裏打ちされた強さで、熊吾は浮気男ですけど、妻は別格って感じですね。熊吾は、戦前随分羽振りのいい業界で一目おかかれた人物だったのに、今は、戦後の復興に出遅れて、焦ってます。やがて、事業の再興か、家族の健康か、選択を迫られるのですが、、。とにかく、彼が常に、自問自答している内容が面白いです。いい名文がいっぱいでてる。自分の子にも受け売りで言ってあげてもいいかも。というか、子にも読んだらと薦めたい。日本のことや、戦争のこと、日本の軍人についての当時の人の感情、中国や韓国とのことや、親子のことや、、いいことがいっぱい書いてある。創価学会の宣伝文学とのことですが、、まあ、それはそれで抜きにして。最近の情勢などで、中国や韓国にあんまりいい感情を持ってなかったケド、この本を読んだら、少し変わった。自分はいかに生きるべきか、常に問いながら生きている感じ。彼と家族がどこに向かっていくのか、目が離せません。『流転の海』(るてんのうみ)は宮本輝の小説。宮本のライフワークとなる長編連作であり、1982年より現在まで5部が発表されている。1990年に森繁久彌主演で映画化された。『流転の海 流転の海・第1部』 『地の星 流転の海・第2部』 『血脈の火 流転の海・第3部』 『天の夜曲 流転の海・第4部』 『花の回廊 流転の海・第5部』
2010年10月12日
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