野山系の行政書士が書く楽天日記

野山系の行政書士が書く楽天日記

PR

×

プロフィール

野山系の石井行政書士

野山系の石井行政書士

バックナンバー

2026年09月
2026年08月
2026年07月
2026年06月
2026年05月

お気に入りブログ

源氏物語〔38帖 鈴虫… New! USM1さん

昼ラン 岡田@隊長さん

黒岩里奈さんと対談 山田真哉さん

「劇場版 魔法少女… mkd5569さん

奈良県橿原市の行政… 奈良の行政書士たなかさん
日本事務代行・東京… 向島の若旦那さん
福島法務事務所 ひかり1さん
∋(。・"・)_†:*.;".*… ★彼方野 まりあ★。さん
白石行政書士事務所… sila-gyoseiさん
長谷川行政書士事務… 行政書士長谷川明世さん
2004年02月20日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 「黒い御飯」  永井龍男
----私はよくそこへ夜業のある時などにお弁当を届けに行った。蚊をつぶした新聞紙のようになった、校正刷りがたくさんあって、印刷所特有の、鉛や、紙や、インキの湿った臭いが、薄暗くなった狭い部屋の内にただよっていた。
 明かり取りのすりガラスが鈍色に明るく、夕暮れのもつ蒼さに透けて、痩せた父の頭の上に四角くあった。
「とうさん、ほんのちょっとしか箸をつけなかったんだが、お前たべないか」
 ある時(あるいは二、三度ばかり)父はそう言って、昼に弁当屋からとった弁当の残りを差し出したことがあった。父がけちんぼなのを考えると悲しくなることもあった。薄暗くなった部屋の内で父の視線と私の顔があったとき、私はそれをよけて不機嫌に言った。
「たべない」
 私は憂鬱になった。どうしてこんなことをする父であろう。残ったものなんか、さっさとやってしまえばよいのに。私は横町の家に帰ってからも、つまらなかった。


 昔は食べものを決して粗末にしないで家族みんなで食べあったものだ。貧しくて幼い時期から働きに出ている兄たちとちがって、子どもにはそのことがまだよくわからない。
 また作者は子どもの視点で書くことで、普段はけちんぼだという子どもの父親観と対比させることで、病弱な父親の素性や親としての奥行きを際だたせている。憂鬱になったり、家に帰ってからもつまらなかったと書き添えることで父に対する子の失望感をうまく表現している。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年02月20日 11時34分17秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: