2020/08/07
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テーマ: 社交ダンス(8598)
カテゴリ: アートのはなし
海に浮かぶ小さな島の中央に幾本かの糸杉が黒くまっすぐに空を貫いています。

白い棺を乗せた小舟が暗い海を進み、そこには全く音が存在しないかのよう。

一度見たら忘れられないような印象深い絵です。

『アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~』で先週取り上げられたのは、スイス出身の画家アルノルト・ ベックリン(1827年~1901年)の代表作『死の島』でした。


アルノルト・ ベックリン『死の島』1880年5月(一枚目)



ベックリンは同じ構図の絵を5枚描いているそうです。

一枚目は上の絵で、スイスのバーゼル市立美術館にあります。

二枚目はニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵。


アルノルト・ ベックリン『死の島』1880年6月(二枚目)





1枚目を描いている時にアトリエを訪れたマリー・ベルナという未亡人がこの絵を大変気に入ったので、彼女のために一回り小さな絵を制作し、亡くなった夫を弔う彼女の姿を描き加えたそうなんです。

その後、一枚目の絵にも棺と女性の姿が同じように描き加えられたといいます。

この白く浮かぶ船上の弔い人がいるからこそ、この絵は視点が定まる気がします。

それがないと画竜点睛を欠くことになるでしょう。


アルノルト・ ベックリン『死の島』1883年(三枚目)



3枚目はドイツのペルリン美術館にあります。

ヒトラーは彼の絵の信奉者だったようで、この絵を買い取り家に飾っていたとのこと。

1884年に描かれた4枚目は第二次世界大戦中に焼失。

5枚目はライプツィヒ美術館の依頼で描かれ、いまもそこに展示されているそうです。


アルノルト・ ベックリン『死の島』1886年(五枚目)




木の高さや空の明るさ、棺の色など少しずつ変わっているんですね。



ラフマニノフはこのテーマで曲を書いています。





ベックリンはこれ以外にも神話などを題材とした象徴主義的な絵画を多く残しています。

『死の島』に対して『生の島』という絵もあるんですが、神話のような絵で『死の島』ほどのインパクトは感じられませんでした。

彼の生きた時代はフランス印象派の全盛期ですが、私はどちらかというとこっち系の方が好きです。

家に飾るにはちょっと暗いかなと思いますが、20世紀半ばのベルリンでは大流行で、多くの家庭で彼の絵が飾られていたのだそうです。

『バベルの塔』 が頭に浮かぶんですね。なんでかな。


アルノルト・ ベックリン『ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像』1872年



彼の作品群にご興味ある方はこちらからどうぞ。




星星星 家に飾りたくなるアート 星星星





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Last updated  2020/08/08 09:46:00 AM
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