Flatのガンプラ製作日記

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2021.10.28
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カテゴリ: 本の感想
書籍の感想です。
今回は「躯体上の翼」です。


躯体上の翼 [単行本版]【電子書籍】[ 結城充考 ]

タイトルから何となく想像できるかもしれませんが、SFです。
私は主にファンタジー、お仕事物を読むのですが、SFも結構好きです。
言葉とかが難しいものが多いのが難点ですが。

今回の「躯体上の翼」も時代設定の難易度が少々高め。
最初、どういう時代でどういう状態になっている世界観なのかさっぱり


どうやら高度に科学が発展した未来であること。世界のほとんどが炭素繊維に
覆われた世界。過去の文化、娯楽、風習などと言ったものをことごとく排斥し、
ただ「存在するために存在している」かのような世界。
そんな鬱屈とした世界に遺伝子操作をされた生物、員(エン)はいた。
エンは対狗衛士と呼ばれ、狗と呼ばれる変異種の生物に対抗するために
存在している。
エン自身も炭素繊維で覆われ、ケガをしても驚くほどの速さで回復し、
また、生物の血を飲むことで対処の遺伝子情報をコピーし、その存在に
なることができる。例えば蝙蝠を食いちぎることで、腕の下に幕ができ、
空を飛べるようになる、とか。
100年前、エンは狗と戦い、倒せはしなかったものの、狗を撃退した。


そんな退屈極まりない中、エンはcyという存在と出会う。
彼はエンの知らない知識を有していた。
それは過去の文化なども含まれた知識であり、エンは情報がただの数字の
羅列でないことに胸を躍らせた。
しかし、政府はエンとcyとの通信を微細な異常としてキャッチしていた。

なったのです。

「緑化」と言われて「?」に思ったのですが、政府は増え過ぎた炭素繊維を
緑化するという名目で炭素繊維を破壊し、緑化する「緑化露」というものを
撒く緑化船団というものを動かしていました。
しかし、実情は政府として存在することがふさわしくないものを消滅させるための
行動なのでした。
ほとんどのものが炭素繊維でできているこの世界では「緑化露」をまかれたら最後
被害を免れることはできません。
エンはcyに逃げるよう伝えます。
しかし、cyは縛りつけられていて逃げることはできないという。

悩んだ末にエンは出した結論は「自分一人で緑化船団を全て堕としてcyを救う」
というものでした。

かくして、エンの一人だけの反乱が始まるのでした!

という感じのお話なのですが、対狗衛士の能力は段違いで一般の衛士ではまったく
相手になりません。しかし、政府には道士と呼ばれる戦術担当官がおり、それが
ダウンロードされてきます。
そう、ダウンロードです。
道士は普段は魂だけの存在で、どこかにいて(眠っている?)、必要に応じて
緑化船団の旗艦内の安置されている体に魂をダウンロードするのです。
しかし、100年という歳月は、なぜ体を適切な温度で冷凍しておかなければ
ならないのかなどといった知識も失うには十分な時間でした。
道士がダウンロードされると体はほぼ腐っていて、満足に動くこともできない
状態でした。
強化用外骨格を身につけることでなんとか動くことができるようになり、道士は
対狗衛士を仕留めるための策を練っていくのです。

この辺の「形骸化した組織」みたいな限界を見せているのもなかなか面白い
ところですね。もう世界そのものがどうにもゆがみを抑えきれないところまで
来ているような印象です。

それをエン、cy、道士、さらには道士の体を管理する冷凍士、清掃用のAIロボット、
土着の土地の人々などの想いなどを絡めて描いていきます。

最初は全然話しが掴めなくてもう読むのやめようかと思ったのですが、
全く別の話だと思っていたことがだんだん絡み合い、話が見えてきたところから
凄く面白くなり、SFっぽい難しい言葉も「何となくこんな感じだろう」とさらっと
流して、読み進むことができました。

なかなか面白かったです。





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Last updated  2021.10.28 14:15:53
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