森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.08.19
XML
昨日の続きです。
相手からの依頼事やお願い事を断りたいのに断れない。
自分の素直な気持ちや意志を抑圧して、正反対の心にもないことを選択する。
これはつらいです。モチベーションが上がらない。ストレスでイライラします。
あげくの果てに、胃潰瘍やうつ病などの身体的な病気に罹ります。

この心理を分析してみましょう。
依頼されたことやお願い事を断ると、相手に嫌な思いをさせてしまう。
相手に無理を強いることになる。相手に負担をかけてしまうのではないか。
そんなことをすると、人間関係がぎくしゃくしてくる。

相手から冷たくあしらわれるようになる。
同調者を集めて攻撃されるようになるかもしれない。
孤立することは何としても避けなければならない。

このように考える人は、子供の頃に、他人からお願いされる、それを断る。
自分からお願いする、相手に断られるという経験が圧倒的に少ないのです。
そんな人が大人になって、自由自在に相手と交渉できるとは考えにくい。
子供の頃の雑多な社会体験不足が大人になって問題になっているのです。
神経質な人はそういう傾向が強いのですが、いまさらそんなことを言っても仕方がない。

では社会体験が不足して大人になった人はどうすればよいのでしょうか。
大人になって四苦八苦している人はどうすればよいのでしょうか。

こういう人は、「・・・を断ってはいけない」「お願いされたことはすべて引き受けなければならない」「断られる可能性があることは他人に依頼してはいけない。そうしないと後で間違いなく大変なことが起きるはずだ」「お願いしたことは有無を言わせず引き受けてもらわないと承知しない」などという「かくあるべし」を持っている。それも強力なものです。


自分が相手に依頼することやお願いすることは、今度は相手が引き受けるかどうかを選択する権限を持っているということです。提案を引き受けるかどうかは、常に相手に委ねられているのです。



良好な人間関係が崩れて、お互いに敵対する方向に向かいます。
そうなると自己防衛に膨大なエネルギーを投入せざるを得なくなるのです。
精神的につらくなり、一人で過ごす方がストレスがないという気持ちになります。
これが人間関係の悪循環の始まりとなります。
ですから人間関係に「かくあるべし」を持ち込むことは極力避けなければなりません。


それはどういうことかと言いますと、 自分の考えや気持ち、欲求や都合を明確に打ち出す ということです。
相手の思惑に振り回される前に、自分の立場をはっきりさせるということです。
それらを優先して考えていくという姿勢を持つということです。
森田理論でいうと「純な心」を大切にするということになります。
人間関係を改善するためには、この態度を持つことがとても重要です。

これを大切に取り扱う人は、相手の要求に対してすべて言いなりになるということはなくなると思います。自分の素直な気持ちと相手の要求の対立の中で、どうすれば折り合いが付けられるのかと考えるようになるはずです。
中間の妥協点や落としどころを探して、交渉するということになると思います。
時には自分の要求を押し通す。別の場面では相手の要求を受け入れる。
つまり、状況に応じて 臨機応変な行動がとれる ようになります。
この態度を維持すると、いきなり相手と闘うことがなくなります。
闘うよりも話し合いによって、人間関係を改善していく方が好ましいと考えるようになります。

相手から依頼やお願いごとがあった時は、負担が少なければ、なるべく引き受けた方がよいでしょう。自分の都合がつかないときは、相手の依頼をよく聞いて、できる限りの範囲で引き受けるしかないと思います。また、時間的にどうしても無理なら丁重にお断りするしかない。
早めに言ってもらえれば、次回はなんとか協力しますということにするしかない。
また能力的に無理な場合は、引き受ける範囲を絞って引き受けるしか方法がない。
あるいは自分にはあまりにも荷が重すぎるといってお断りする。
いずれにしても、自分の考えや意思をはっきりと相手に伝えることが大切です。
その方が、いったん人間関係が悪化することがあるかもしれませんが、長い目で見ると、人間関係はうまくいくと思います。
また自分の気持ちに素直になるので、ストレスがなくなります。

反対に自分が相手に依頼するときも、「ここで断られたらどうしよう」などとあまり深刻にならなくなります。相手が引き受けてくれるかどうかは相手に決定権があるわけですから、どう決着するのか全く読めません。
結果は半々ぐらいだと思って依頼することができるようになります。
もし相手が引き受けてくれればもうけものという気持ちになります。
断られたら「ああ、そうなの。残念ね。じゃまた今度ね」と言って、快く引き下がることもできるようになります。あとくされのない付き合いになります。

「私はいつも我慢して引き受けているのに、私の依頼したことを簡単に断わる人は許せない」といった気持ちになると、後に尾を引きます。ストレスでイライラするようになります。
そのうちあの人とは今後絶対につき合わないという最悪の状況に陥ります。
「自分一人で過ごす方がよほど気が楽だわ」と思っている人は、人生の楽しみの半分を捨てているようなものだと思います。実に残念なことです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.08.19 06:28:30
コメント(0) | コメントを書く
[人間関係、不即不離] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: