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旅行で一番困ることの一つに「チップ」が挙げられるかもしれません。何せ日本ではチップの習慣がないものですから…どれくらい渡したらいいのか、いつ渡したらいいのか、そもそも渡したほうがいいのか…きっと頭を悩まされる方も多いことでしょう。
中東ではチップは基本的に 必要 です。とはいえ、時と場合によります。バックパッカーの方でしたらタクシーの乗り継ぎなどで移動されるかと思いますが、こうしたタクシーは交渉性となり、一定の金額で合意したうえで乗り込むことになります。こうしたタクシーのドライバーにチップをお渡しいただく必要はありません。彼らはすでにチップ込みの値段を提示しているからです。
専属のドライバーがつく専用車の場合はどうでしょうか? この場合はチップをお渡しいただくようにお願いたします。私のお客様には事前に確定のご日程表をお送りしていますが、ここにチップに関するお願い事も記載しています。
抜粋しますと、次のようになります。「中東では、サービス業に従事する人々の給料体系はチップを受け取ることを前提として低く設定されております。欧米などではチップが日常的な習慣となっているため、ガイドやドライバーはどうしても欧米からのお客さまのアテンドを希望いたします。質の高いガイドやドライバーを確保するためにも、ぜひチップをお渡しくださいますようお願いいたします」
旅行会社で働くドライバーの平均のお給料は、月に3万から多くて4万です。子供がいる家庭の場合(通常はほとんどが家庭持ち、子持ちです)、教育費にかかる費用などを考えますと、これでは到底やっていくことができない金額です。ですから、チップは本当に 彼らのお給料の一部 と言えるのです。
日本人の感覚からすると「仕事なんだから非の打ちどころがないほど完璧にやるのが当然」と思われるかもしれませんが、ドライバーからすると「こんな安月給でやってられっか」と思っても当然の賃金。かなり無理をしてもあまりお金にならない仕事なのです。それでも一生懸命仕事をしています。ですから、ドライバーにはぜひチップをお渡しいただければと思います。
「日本人は"ありがと~"を連発するけどチップは払わない」と言われることもあります。「ありがと~」という言葉を1回減らす代わりに、少しお心遣いを渡していただいたほうが喜ばれます(笑)。
ドライバーやガイドはお客様にはチップをくれとは言いません。でもアテンドである私には本音を言います。私が一番困るのがこのチップの問題。自腹で私がチップを渡すこともしばしばなのです。もう気分は石川啄木ですよ。「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり。 ぢっと手を見る」…(笑)
チップは気が向いたときだけ、あるいはかなりのエクストラ・サービスをしてもらった時だけ、という非常に「日本的」な考え方は世界では通用しません。1泊の値段が彼らの1か月分の給料にも相当するような高級ホテルに宿泊しながら、ドライバーには1日800円(10ドル相当)も渡せないというのでは、日本人の常識が疑われます。私としてもドライバーに説明のしようがありません。こうした場合は、お客様のフォローをする代わりに私が彼らにこそっと渡してしまいます。
チップの相場は以下のようになります。ガイドよりもドライバーのチップが見過ごされる場合が多いようです。
ドライバー : 1日当たり約 US$ 20-30 (1日の走行距離にもよります)
ガイド : 1日当たり約 US$ 25-35
もちろんチップは強制ではありません。が、お礼を連発する代わりに少しの心遣いをする、という感覚は世界的に見れば特別なことではありません。慣れればけっこう簡単なチップ。ご参考になればと思い、あえて書かせていただきました。
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