時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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October 24, 2008
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 最近、ちょっとしたマイブームになっているのが、樋口有介による「柚木草平シリーズ」である。当ブログの貴賓館 「本の宇宙(そら)」

 このシリーズは、元警官で、刑事専門のフリールポライターの柚木草平が、アルバイトの探偵稼業でいろいろな事件を解決していくというものだ。この柚木、とにかく女好きで、女性に対すると、歯の浮くようなセリフが次々と自然に出てくるようなタイプだ。ところが、この台詞が、独特のテンポで、なかなか面白い。そのくせ、どこか女性に対して辟易しているようなところがあるのだ。

 今回紹介する 「刺青(タトゥー)白書」 (樋口有介:東京創元社)は、やはり「柚木草平シリーズ」の一つであるが、外伝といった感じのもので、柚木は、少し後ろに下がって、主人公を、ちょっと変わった女子大生の三浦鈴女(スズメ)、愛称スズメちゃんが演じている。天然のぼんやり屋さんで、小学校のころ、自分をいじめていたという同級生が謝りに来るまで、自分がいじめられていることにきがつかなかったというエピソードがあるくらいだ。化粧っ気もなく、服装も実用本位で、度の強いメガネをかけているが、実は美人のようで、(本人は意識していないようだが)中学の同級生の左近万作から、コンタクトにしないことを、「ちゃんと美人なのにもったいないな」などと言われている。感性の方も、ちょっと変わっていて、何しろ卒論のテーマが、「江戸時代における春本の社会学的効用」だそうだ。しかし、ぼんやりしているようで、なかなか鋭いところもあり、この作品では、立派に主人公として活躍している。

○「刺青白書」(樋口有介:東京創元社)




 スズメがたまたま街であった、中学時代の同級生・伊藤牧歩は、見違える位に華やかに変貌していた。アナウンサーとしてテレビ局への就職が決まったという。そして、牧歩といっしょにいた、中学時代の野球部のエース・左近万作は、不良のような風体になっていた。とこらが、得意の絶頂だった牧歩が、隅田川で水死体で見つかる。その数日前には、やはり中学のころの同級生で人気アイドルの神崎あやが隅田川沿いのマンションで無残に殺されるという事件が起きていた。二人には、右肩に、薔薇の刺青を消した跡があった。そして、更なる事件が起きる。

 中学を卒業して6年、スズメの同級生は、みんな変わってしまった。牧歩やあやのような華やかな変貌だけでなく、ヤンママになったり、風俗嬢になってしまったものもいる。変わらないのはスズメだけだ。その変わらないスズメが、野球をあきらめていた万作の心を動かし、再び野球への情熱をとりもどさせる。一方、変わったものは、たとえ一時は華やかに見えても、結局は悲惨な運命をたどっていく。この作品は、移ろいゆくもののはかなさ、変わらないことのすばらしさを訴えているような気がする。

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柚木草平シリーズのレビューは当ブログ貴賓館「本の宇宙(そら)」にも掲載しています。

○「誰もわたしを愛さない」の記事は こちら

○「不良少女」の記事は こちら


風と雲の郷 別館「文理両道」は こちら

風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」は こちら







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Last updated  October 25, 2008 03:04:52 PM コメント(12) | コメントを書く
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