時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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November 17, 2010
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 虚軸(キャスト)と呼ばれる、人を超えた力を持ったものたちの戦いを描いた、藤原祐の「レジンキャストミルク」の番外編 「れじみる。」 (メディアワークス)。




 これは、面白い。全編笑いの連続。本編の方も、コミカルな会話は多いが、凄惨な戦いの場面も多いので、ずっと笑ってはいられない。そんな場面で笑っているところを人に見られでもしたら、危ない人だと思われてしまう。でもこちらは番外編ということで、まさにコメディ一色。笑える、笑える。 

 虚軸(キャスト)の特徴として、人として何かが欠けてるということがある。そのため、このシリーズは、変な人たちがが多く登場しているが、戦いといういわば非定常なの場面がなく、日常でのエピソードが描かれているため、その変さが良く目立ち、まさに城島晶君と愉快な仲間達といった感じである。

 まずは、主人公の相棒である城島硝子。見かけは美少女だが、本体は異次元にある機械であると言う設定のため、感情が無いということになっている。本人も口癖のようにそう言っているが、マスターである晶の反応に舌打ちしたり、ボケぶりやツッコミの的確さを見ていると、とても感情が無いとは思えないし、マスターである晶が大好きだというようなところも垣間見れる。晶と二人の会話は何とも面白い。

 面白いのは、硝子の同級生の舞鶴蜜という少女。虚軸になった時に、自分の感情を敵意でしか表されなくなったため、二言目には、「殺すわよ」と、言動は超過激だ。しかし、心根は優しく、蜜が虚軸になったために自分のことを忘れてしまったただ一人の友人(ちょっと訳あり)の事が心配で心配でしかたがない。この蜜と硝子のお弁当対決がすさまじい。蜜が料理をしている姿を覗き見た義母(蜜の性格から、あまりうまくいっていないようだ)が、そのすさまじさから、てっきり黒魔術のまじないをしていると思ったほどだ。あまりの状況に、混乱した義母は、きっと女の子らしく恋のまじないだと自分に言い聞かせて、「がんばってね」と心の中で応援したという場面は爆笑だ。もちろんお弁当対決の結果は皆さんの想像通り。こちらもかなり笑える。

 変人ぞろいの晶の仲間でも極めつけの変人は、保険の先生の佐伯ネア。何しろ、すぐに、血だの内臓だのと物騒な電波的で超ネガティブな言動が出てくる。しかし、実は血が大の苦手であり、案外と生徒思いでもあるようだ。

 でも、ちょっとしんみりするエピソードもある。柿原里緒の夏祭りでの体験だ。里緒は、虚軸になった際に、虚軸以外の普通の人間は区別がつかなくなっている。その里緒が迷子の男の子になつかれた。別れの際、自分はその子が見分けられないからもう会えないと思う里緒に、男の子は、自分が顔を覚えたからまた会えると言う。人間関係は一方通行ではないということだ。

 本編の方も面白いが、ちょっと重いところもあるので、気分転換にこの番外編を読んでみるのもいいだろう。表紙イラストで硝子の周りに登場人物たちが二頭身キャラで描かれているが、まさにこのキャラが、頭の中で走り回ると言う感じだ。



レジンキャストミルク
レジンキャストミルク2


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Last updated  November 17, 2010 07:09:53 AMコメント(0) | コメントを書く


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