時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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July 18, 2013
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 会社が急に倒産して、一家の大黒柱が無職になった。住宅ローンはまだまだ。子供もまだ高校生で進学を控えている。そんな時あなたならどうするか。もちろん、そんな事態に陥らないに越したことはないが、このご時世、一寸先は闇、人生とは不条理なもの。いったい何が起きるか分からないのだ。

 本書は、運悪くそんな事態に陥ってしまった、さる山家の物語である。会社から帰って来た夫に、会社が倒産したことを知らされた著者は「とうさんの会社がとうさん?」(駄洒落言っている場合じゃ・・・)と驚く。お先真っ暗になった、さる山家だが、そこから再生に向けての奮闘が始まる。

 こんなとき、まず何をやったらよいか頭に浮かぶ人は少ないと思う。まずは、年金や、健康保険の切り替え、失業保険の給付手続きだ。生活費をどうしていくのか、ローンがある場合にはそれをどうするのかといったことも重要である。ローンが払えないからと言って、安易に自己破産などをしてしまうと、連帯保証人になっている人の生活まで壊しかねない。また税金にも注意が必要だ。住民税は前年度の収入に対してかかってくるので、今年いくら収入が無くても、「税金払え!」ということになり、これも結構な出費だ。滞納した場合にはかなり高い利子が付いてしまう。

 本書からは、こんな場合に大切なことがいくつか読みとれる。まず、自分だけで悩んだりせず、にっちもさっちもいかなくなる前に、役所、銀行、専門家などに相談してアドバイスを受けるということ。あまり知られてないが、こんな時に役立ちそうな制度が色々と存在する。次に、支出を見直し、無駄な出費を抑えるということ。つぶさに見れば、案外と切れる出費というものはあるものだ。そして、専門性を持つということ。さる山家の夫は、元々は義技術者で、その技術を活かして開業し、妻は整体と占いという特技を活かした、整体マッサージという摩訶不思議なことを始めることができた。芸は身を助けるということだろう。

 これらのことは、知っていれば、倒産による失業だけでなく、停年退職時などにも役立ちそうだ。普通なら、暗くなってしまうような話題にも関わらず、駄洒落タイトルと、脱力系の漫画やイラストは、ユーモア精神に溢れて、非常に好感が持てる。もしもの時が来ても困らないように、一読しておくのも損はないだろう。

 なお、本書は、この本にも登場する広重さまより献本いただきました。ありがとうございます。

※本記事は 「本の宇宙」 掲載分の写しです。






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Last updated  July 18, 2013 07:55:22 PM
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