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題名:「生き残った元日本兵 戦争証言110」著者:阪野吉平発行:新風舎文庫頁数:475読みやすさ:3/5おすすめ度:4/5 葉書大の赤い紙1枚で生死の境目を歩かされた、出征兵士たちの戦争体験談が短くまとめられています。語っている人は山形県米沢地方の人が中心でした。 見開きでその人の現在の写真と、話の中で印象的なフレーズを大きく書き出してあり、次の見開き2ページ分に語られた話が方言混じりの話し言葉でまとめてあります。それが110人分というわけです。 当然みなさん80歳を超えるような高齢者ばかりなんですが、戦争の記憶というのはかくも鮮やかに残っているんですね。仲間の死や死体そのものが毎日のように通り過ぎて行く、異常な体験談を淡々と語っている口調が我々には怖い感じさえしてきます。 ただ、これを語っている人たちはそれなりに生命力や運が味方して生き残って帰ってきた人ばかりですから、その陰に膨大な数の戦死者がいるということを感じました。 文庫本のあとがきで触れられていましたが、この話の取材後、何人かが亡くなられたとのこと。この人たちの家族はことある毎に聞かされていることでしょうから、うっとうしくもあるのでしょうが、戦後60年の今、このような話を語り継ぐ最後のチャンスとなっていますので、こういった本を残すことは大変重要な試みだと思います。
2005年06月27日
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題名:「天国の本屋」著者:松久淳+田中渉発行:新潮文庫頁数:169読みやすさ:4/5おすすめ度:3/5 何ヶ月か前に読んだ「天国の本屋(うつしいろのゆめ)」より前に書かれた”シリーズ第1弾”です。共通しているのは”朗読”ということでしょうか。この”朗読”がきっかけとなって、あらゆる現象がつながって行きます。 コンビニでふと起こった”めまい”というか”意識が飛ぶ”というか、実際にはそんな短時間での出来事ですが、その短時間の間に主人公の人生を決定づけるような不思議な体験をしてしまいます。 その中でいろんな人と出会い、本当の優しさのようなものに触れ、恋をして、成長する自分を認識していきます。 一つ一つがバラバラの出来事のようですが、前述の”朗読”という行動によって丁寧に綴られて、最後はひとつの輪のようにつながっていく展開がきれいです。 また、天国というだけに、死後の世界を想定していますから、死生観を問うような一面もあり、深いテーマを感じました。
2005年06月21日
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題名:「エッ!もうアメリカに40年!」著者:ヒロコ・ファルケンシュタイン発行:白揚社頁数:245読みやすさ:4/5おすすめ度:4/5 楽天広場のブロガーでもあるヒロコ・ファルケンシュタインさんの自伝・エピソード記録です。 形式も、いつも読ませてもらってますブログの感覚と同じで、一つ一つの話がコンパクトにまとめられていて読みやすくなっています。 22歳で渡米しそれ以来40年のアメリカでの生活の中で感じたこと、出会った人たち、不思議な事柄などなど、ヒロコさんならではのプラス志向で書きつづられています。とにかくヒロコさんの押し出しの強さには素晴らしいものがあります。 海外旅行さえ珍しい時代に、外国に行って住み着いてしまうんですから、それはそれは想像できないほどの辛いこともたくさんあったと思いますが、それを感じさせないたくましさが、潔くて気持ちがいいです。 楽天ブログでは、寄せられる膨大なコメントにすべてお返事されていますし、私も何度か交流させていただいてますがそのたびに心温まるお返事もいただいて感激しています。 落ち込んでる人はみんなこの本を読んでください。 元気を分けてもらえますよ!
2005年06月19日
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題名:「牛乳アンタッチャブル」著者:戸梶圭太発行:双葉文庫頁数:587読みやすさ:3/5おすすめ度:3/5 600ページに近い分厚い文庫本でした。 話は記憶にまだ新しい、雪印乳業の食中毒事件を巡るドタバタ劇がモデルで、腐りきった体質に浸りきっている役員や社員のクビを切っていく社内特別チームの活躍劇です。 その社名も”雲印(くもじるし)乳業”と、紛らわしいまでにリアルです。 自己保身しか考えていない無責任社員vsクビ切りチーム(正義の味方)という、はっきりした図式で劇画タッチのバトルが展開されます。 なんとなく昔テレビでやっていた”ザ・ハングマン”のような痛快さがあって、娯楽作品として楽しく読めました。 読み初めは、旧態依然とした企業社会を風刺した社会派小説か、と思いましたが、途中からは完全に劇画・漫画タッチになって、最後は<アニメ化されたとしたらこんなシーンになるんだろうな・・・>という具体的な想像までできてしまうほどでした。 牛乳は類い希なる完全食品です。 みんなたくさん飲んで元気になりましょう!
2005年06月15日
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題名:「死体は語る」著者:上野正彦発行:文春文庫頁数:243読みやすさ:4/5おすすめ度:4/5 30年監察医として何例もの検死を経験し、まさに死体と”会話”してきたエピソードとともに、人への思いやりや優しさを感じる重い一冊となりました。 「生きている人間は言葉でウソをつくが、死体は決してウソをつかない」という言葉に含まれる、死者への思いやいたわりの心、何より死者の人権を尊重する精神がひしひしと伝わってきます。 世の中で起こっている事件や異常死の裏側、真実を訴えかける死体たちの声を聞き、明日をも知れぬ我々の「死後」に安心を与えている監察医の存在を改めて知ることができました。 医師として国家試験にパスし、その後何を専攻するか、内科医?外科医?と数ある中で、法医学を選択する人はごく少数だそうです。しかし、こういう人たちがいるからこそ少しでも真実が明らかになり、福祉や予防医学・衛生行政へとフィードバックされるのではないでしょうか。 名取裕子さんなんかが出ている法医学モノのドラマもいいですが、この本は本物の監察医さんが生の言葉で語っているので説得力があります。
2005年06月10日
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題名:「パイナップルの彼方」著者:山本文緒発行:角川文庫頁数:287読みやすさ:3/5おすすめ度:3/5 主人公のOLの回りで起こるいろいろな出来事、恋愛、仕事、小さなことが重なって、とんでもない事態にまで発展します。 女性の間で繰り広げられる、それぞれの価値観がぶつかり合い、友情あり、闘いあり、挫折あり、そして鬼気迫る女同士のやりとり、と男にはややついて行けないところもありましたが、主人公の淡々とした性格のコントラストが印象に残りました。 「女性の生き方」がテーマで、何をもって幸せと感じるのか、考えさせられる内容でした。
2005年06月06日
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題名:「ダイスをころがせ!」著者:真保裕一発行:新潮文庫頁数:(上)441 (下)390読みやすさ:3/5おすすめ度:4/5 リストラに遭い夫婦間のズレも感じながら職探しをする主人公。 そんなとき高校時代のライバルでもあった友人がなんと国会議員に出馬するという。 10年以上もの時を経て心を一つにしていく同級生たち。そして当時から引きずっている切ない恋と、現在の家族への思いが混ざり合って、不思議なコントラストを醸しだし、飽きのこない物語の展開でした。 上下巻で800ページを超える長編でしたが、次々に起こる出来事にリズムがあって、ページ数ほどには長さを感じませんでした。 また、立候補をする友人は既成政党にとらわれず、国民を政治に連れ戻すための理想を掲げ、無謀ともいえる真っ向勝負の選挙に挑みます。のどから手が出るほど欲しい目の前の一票のためにイライラするスタッフ(同級生ら)をよそに、常に理想を追求する友の姿を見ながら、いつしか吸い寄せられるようにチームがまとまっていく様子にすがすがしさを感じます。 ところで、この物語の中では「選挙」というものが具体的にどう大変なのか、特に政党に属さず手作りで選挙をするということの難しさが事細かに描かれています。手続きや準備、お金がいる部分、などがよくわかりました。 さらに、政治に関しても”政治姿勢”のような部分ではやや小難しいやりとりも出て来ますが、イデオロギー的な話が避けてあるので、その分受けいれやすく、ストレスを感じずに読めたのではないかと思います。 この本がたくさんの人に読まれたら、投票率がグッと上がるでしょう。 それか、ドラマ化してもらって、選挙前に放映したら抜群の効果が期待できると思います。
2005年06月03日
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