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きれいにパックに入って、どれも行儀よく並んでいる。
傷もなく、食べ頃です、という顔をしている。
いちじくを見ると、子どもの頃を思い出す。
近所に祖母の家があって、私は毎日のように遊びに行っていた。
庭には、いちじくの木があった。
祖母は、実がパンパンにふくらんで、皮がはち切れて、ぐあっと口を開けた怪物みたいになった頃に、もぎ取る。
そんな状態の果実には、うじゃうじゃと蟻がたかっている。
庭先の水道で、蟻をじゃぶじゃぶと洗い落として、何事もなかったかのように、そのまま食べる。
今思えばワイルドだった。
木で熟したいちじくは、とんでもなく甘かった。
ただ甘い、というより、もう甘さが濃かった。
ひと口かじると、果肉がとろ〜っとして、口の中いっぱいに甘さが広がる。
砂糖を足したような甘さではなくて、いちじくそのものが、もう甘さになっているような。
今のスーパーのいちじくを食べても、あの味にはなかなか出会わない。
朝方の庭の少し湿った空気。
蛇口から出る水の冷たさ。
台所から流れてくる匂い。
家の中には誰かがいて、庭では蟻がせっせと働いていた。
あの頃は、それが普通だった。
今はパックに入ったいちじくを、つぶさないように持って帰る。
ずいぶんお行儀がよくなったものだ。
この季節になると、祖母のいちじくを思い出す。
あれは本当に、びっくりするくらい甘かった。
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