歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2021.09.12
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カテゴリ: 創作の楽しみ

♪ 八十路越えて創作続けおる人の顔にシミんなく狷介もなし


 知人が主催しているというグループ展を、愛知県美術館に観に行って来た。


二つ折りのDM

 今年で12回目になるこの会は、何の縛りもなく出入り自由というインデペンデントなグループ。作品レベルを云々するわけでもなくファイバー素材で作品制作している人ならだれでも参加できるらしい。その割には人数が10人そこそこで少ない。
 それは多分、G室は最も広い526m 2 もあり固定壁面79mもあるので、かなり大きな作品でないと見栄えがしないので恐れ多いのかも知れない。実際、かなり空間を持て余している感じがする。
 とにかく大きな作品を展示してみたいと思っている人にとっては願ってもないチャンスではある。

拡大します

 これはつづれ織りの大作で、緻密な構成と大胆さを併せ持ったなかなかの力作。京都に手織りつづれという技法で精緻な額絵や帯を折っている吉田一之という友人の作家がいて、その織の大変さを知っているので、いい仕事をしていると思う。 


拡大部分

一応タイトルは付いているもののあまり意味はないだろう。


 こちらも織の範疇に入るものだがインスタレーションとして空間を構成する、織るという行為と素材の糸とのコラボレーション。織りを入れることでボリュームを出すことができ、ファイバーと植物の有機的な動きを自在に操っての空間表現をしている。

「架空植物-3号」

空間を持てあましている感じは否めない。

拡大します

 作者は中村えい子さん。ハイパーヤーン、棉糸、麻糸、こうぞの皮を裂いたもの。技法は主に織り(さおり織)で、織りから「編み」「フェルト化」に繫がっていく作品を作っている人。素材は様々で、糸 羊毛 ワイヤー 枝など・・。


 こちらは布にペインティングしていた作家が一歩踏み出して、丸い穴を空けるという試み。切り取った布を別の布にはめ込んだり、全部切り取らずに曲げたり垂らしたりとサーフェースとマチエールのせめぎ合いのような新しい切り口を模索し始めている。




 美濃和紙で花びらのような形を作り、それを繋いで構成していく作品を作っている村上紀子さんの作品。無限に繋がった個々を空間に設営、平面を一定のパターンで形成し、規則正しく繰り返すことをテーマにインスタレーションを発表して来たらしい。

 今回はこの空間に負けないようにと考えたのか、布を折りたたんで染めたものと組み合わせて展示してある。これがどうもミスマッチの感じがしてしょうがない。花びらのような柔らかいフォルムと醸し出すイメージと、直線で区切られた染め布がお互いを殺し合ってしまっていてなんだか落ち着かない。



 こちらは、以前は和紙をほぐして固め土の様な表情をもったパネル作品を作っていたが、一転して絞り染め技法を使ったオブジェ風のモチーフによるインスタレーション。こういうものはどうしても既視感が付いて回ってしまうのは自分が絞り染めをやっているせいだろう。

 ファイバーアートが一世を風靡した時代が去って50年、昔を知る人も少なくなっている。若い人たちに刺激になって、令和時代の真に新しい表現者が現われてほしいものです。その思いを込めて、リーダとして頑張っている下村訓子さん。


 そして、こちらは中部染色作家協会で長年代表を務めてきた型染め作家の大野比呂志先生の手描きによる作品。沖縄空襲の手記を読んで、その爆撃の激しさが “暴風雨の様だった” というところにヒントを得て描いたものという。
 生々しく表現せずあえてシンプルに表現しているのは、詩的な表現をすることでゆっくりじんわりと心に沁み込んでいくようにしたかったんじゃないかと思う。でもタイトルが単に「雨」となっていたので、意図するところは伝わらない気がする。「鉄の雨」でもよかったんじゃないか。

 御年82歳という風にはとても見えない若々しさで、決して奢らず、謙虚で優しい人柄が昔とちっとも変わらない。コロナワクチンは、思うところあって下村さん共々打っていないらしい。
 多分、人類の中で選ばれた長命を運命として生まれた人なんじゃないかと思う。コロナなんかじゃ死んだりはしない。「100歳まで生きられるんじゃないですか」と、期待と羨望の言葉を残して帰って来た。



 私も参加し無いかと誘われたけれど、もうこの4.9mの天井の広い会場に展示できるだけのものをつくるパワーは無い。





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最終更新日  2021.09.13 06:29:06
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
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