音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2026年05月15日
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カテゴリ: ジャズ
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ミーシャ・ツィガーノフの2024年リリース作「Painter Of Dreams」を聴く。
最近特に気に入っていて、繰り返し聴いているアルバムだ。Criss Cross盤は価格が高めでなかなか手を出しにくいので本作は確かバーゲンで入手した記憶がある。

ミーシャ・ツィガーノフは1969年、ロシア・サンクトペテルブルク生まれ。音楽院卒業後、1990年代にアメリカへ移住し、現在も当地を拠点に活動している。
ロシア出身とは思えないほど、アメリカ西海岸のミュージシャンを思わせる明るく開放的な作風が特徴で、しかも非常にメロディック。ジャズの醍醐味をビビッドに伝えてくれる音楽だ。

一方で、楽曲構造はかなり複雑で、おそらくロシアの名門サンクトペテルブルク国立音楽院仕込みの作曲技法が生かされているのだろう。
緻密なスコアと名手たちによるアドリブが融合したサウンドは、個人的にはSFJAZZ Collectiveを思わせる部分が多い。実際、サックスの2人とベース奏者はSFJAZZ Collectiveのメンバーでもあり、そう感じるのも自然だと思う。

プログラムは6曲のオリジナルと2曲のスタンダードで構成されている。
オリジナル曲はいずれも完成度が高く、複雑な構成を持ちながらも非常にメロディックで、聴き手に自然と入り込んでくる。



ホーン陣は突出したソリストを作るというより、3者が均衡の取れた素晴らしい演奏を繰り広げている。 Alex Sipiagin はやや細身ながら、フリューゲルホルンを思わせる柔らかな音色とメロディックなソロが印象的だ。
2人のサックス奏者は言うまでもなく大御所で、安定感抜群。通常はテナーとアルトが並ぶとアルトが埋もれがちだが、本作ではそのような印象は全くない。

ジョナサン・ブレイクのドラムスも貫禄十分で、「Up Journey」でのパワフルなプレイが特に耳を引く。
また、「April」後半で繰り広げられる息詰まるようなサックスバトルも大きな聴きどころだ。

オランダ出身の女性ヴォーカリスト、ヒスケ・オオスターワイクは、フィーチャーされるというよりホーンとのユニゾンで用いられる場面が多い。その独特のヴォイシングは、どこかダーシー・ジェームス・アーギューを思わせる。

ツィガーノフ自身のプレイは全体にリリカルな方向性が強く、アコースティック・ピアノの出番はそれほど多くない。
はっきり前面に出ているのは、「Up Journey」「Painter Of Dreams」「Seeley Street Song」あたりだろうか。

ラテンテイストの「Chain Of Events 」もアクセントになっていて、悪くない。

2曲のスタンダードも凝った編曲が施され、実に楽しい。
「Long Ago And Far Away」では、トランペットとアルトが奏でるテーマがシンコペーション処理され、不思議なバウンス感を生み出している。


最後の「I Loves You Porgy」は遅めのテンポで進み、ホーンのハーモニーが聴き手を夢心地にさせる。
この曲でもツィガーノフのフェンダーローズとミニムーグの使い方は絶妙で、特にミニムーグの饒舌なフレーズが強い印象を残す。

ということで、ツィガーノフを初めて聴いたが、演奏・楽曲ともに充実しており、優れた編曲センスが光る、耳だけでなく知的好奇心も満たしてくれる満足度の高いアルバムだった。

録音も刺激的な音を強調しない自然なサウンドで、楽器の分離も良好で、この充実した演奏にふさわしい仕上がりになっている。
未聴の方には是非お聴きいただきたい傑作だ。





Misha Tsigaonv:Pinter Of Dreams

1. Misha Tsiganov:Elusive Dots 1
2. Misha Tsiganov:April
3. Misha Tsiganov:Up Journey
4. Misha Tsiganov:Painter Of Dreams
5. Jerome Kern:Long Ago And Far Away
6. Misha Tsiganov:Seeley Street Song
7. Misha Tsiganov:Chain Of Events
8. George Girshwin:I Loves You Porgy

Misha Tsiganov(p)
Miguel Zenon(sax)
Alex Sipiagin(tp)
Johnathan Blake(ds)
Matt Brewer(b)

Guest:
Chris Potter(sax)
Hiske Oosterwijk(vo track track 2, 4,6,8)

Recorded January 6, 2024、at Samurai Hotel Recording Studio, Astoria, New York City





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Last updated  2026年05月15日 15時19分10秒 コメントを書く
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