海のむこうから
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皆さん、こんにちは。先日の日記に書いたとおり、7月の末に、新しい国で家族そろって生活を始めました。今のところ、滑り出しはしごく順調。多少こぢんまりとはしているものの、海の見える広いテラス付きのマンションに住み、現地のお手伝いさんに家事や娘の世話を手伝ってもらうという贅沢な生活をしています。治安はかなり良いほうなので、娘を連れてふらりと散歩に出たり、近くで買い物をしたりできるのも嬉しいことです。まだ沢山の人たちと知り合ったわけでもなく、それほど出歩いているわけでもありませんが、今日までの暮らしの中で一番印象的なのは、現地の人たちの「助け合う」感覚です。例えば、娘の世話を手伝ってくれている女性と彼女のご主人。彼らは、夫とは数ヶ月前から知り合っているのですが、私と娘が到着する前は、ほとんど毎晩のように夫を家に招いて夕食をご馳走してくれていたそうです。決して裕福ではないけれど、きれいに整えられた家で、質素ながらとてもおいしい手料理をご馳走になるのは、とても心温まることだった、と夫は言います。家事を手伝ってくれている男性は、現地の市場で買い物もしてくれるのですが、私が渡したお金が少々足りなかったりすると、自分のポケットマネーを足してくれます。そして、後で私が足りなかった分を渡そうとしても、受け取らないのです。いわゆる「使用人」にあたる人たちがこんな形で助けてくれるのは、私にとっては本当に「有り難い」こと。こちらがお返しできることはあまりなく、お世話になりっぱなしなのですが、せめて、ちょっとした食べものや飲み物をおごったり、たまに食事をご馳走したりしています。「使用人」という感覚は私も好きではないので、助けてくれる友人・知人たち、という感覚で接することができるのは、とても嬉しく、気持ちが良いことです。娘の世話を手伝ってくれる女性とは、なぜか気が合って、色々な話もするようになりました。彼女の母親は、アメリカに渡り、そこで仕事して得た収入を仕送りしています。この国ではよくあることで、政府同士の「敵対関係」をよそに、アメリカに流出する人たちが後を絶たないのも皮肉な事実。しかし、アメリカの暮らしに憧れる彼女の言葉を聞くと、複雑な気持ちにさせられます。経済的に豊かで、この国のような規制を受けずに自由に物を買ったり国の外に出たりできるのは、もちろん素晴らしいこと。でも、一方で、周りの人たちが困っていても知らんぷりだったり、助け合いよりも競争が先に立ったりすることもあるのよ。人と人とのつながりが薄くなって、孤独に苦しんでいる人たちも沢山いる。そう伝えたら、彼女は少し考え込んで、言いました。そうね。この国では、いつも周りに誰か助けてくれる人がいて、お腹が空いて死ぬことはないものね。私自身、都会に生まれ育ち、周りの人たちのことに無関心になったり、知らない人を警戒したりする傾向もあります。この国に住んでいたら、そういう心の砦が少しずつ崩されて、できる形で自然に身の回りの人たちと助け合うようになれるかもしれないな。娘も、そういうところを学んでくれたらいいな。そんなふうに思っています。
2008.08.26
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