梅林庵

梅林庵

2017年04月11日
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平成29年4月10日(月)
 午前6時起床。曇り。今日は娘に会う日でした。ホテルサービスの朝食をそうそうに済ませました。新宿駅南口で待ち合わせ。小田急沿線に住む彼女から、電車不具合につき遅れる旨の連絡がありました。迂回してやって来ました。多少の遅刻でしたが、こうした回り道手段のあるのが都会でしょう。
 二人は新宿御苑の散歩とスパの岩盤浴・マッサージを楽しみながら女同士の話をするそうでした。一人残されることは折り込み済み。ならばとむかった先はここ。六本木ヒルズの森ビルです。
 普段、こんなところに縁の無い杣夫ですが、今日は違いました。このビルの52階にあるギャラリーが大エルミタージュ美術館展をやっていました。月曜日は多くの美術館が休館です。ここだけは違いました。フランス・ハルスの「手袋を持つ男の肖像」を見逃す手はない。蜘蛛の化け物のようなモニュメントの横を通って建物の中に。チケットを買ってエレベーターに乗りました。其処此処の曲がり角やエレベーターの出入り口に案内の人がいました。でも案内だけではなさそうな。セキュリティーのためでしょうか。
 さて、その展覧会、入ってすぐにエカテリーナ2世の大きな肖像画がありました。エルミタージュのコレクションは彼女なしには語れないのです。それをしていの一番に本人がモデルの1枚を飾ったのでしょう。しかもこの1枚だけは撮影が許されていました。但しフラッシュ厳禁ですが。パチリ。見れば見るほど大きな女です。女帝としての貫禄があります。大した押し出しです。ウィギリウス・エリクセンという画家によるものです。似ていなかったりしたら大層叱られたでしょう。十分の謝礼があったのでしょうが、時の権力を描く際は筆がさぞ痺れたであろうこと、想像に難くないとは素人考えでしょうか。
 めあての「手袋を~」を前にしました。なんと素晴らしい。教科書に載る名画です。見入りました。しかし、それ以上に惹かれたのがレンブラント「運命を悟るハマン」でした。旧約聖書の一場面を描いています。時代は市民絵画の黄金時代。市民国家の形成が進むにつれ、まちの有力者・資産家からの注文が多くなります。一方で古典のクライマックスをテーマにした作品も負けず劣らずです。私はその方に惹かれます。死刑宣告を受けたハマンの諦観、従容として運命に従う彼の表情をモデルなしに描く凄さ。思うに、想像力を膨らませるには文学の素養が必要ではないかと。そのことをしてやはりレンブラントはレンブラントです。余談です。勝手な言い分ですが、私、印象派よりバロックのオールドマスターが好きです。フェルメール、ルーベンス、スペインのベラスケス・・・。堪りません。
 閑話休題、サンクトペテルブルグからやって来た絵画は80余り。ゆっくり見て回ることができました。命の洗濯でした。写真は森ビル52階からの眺めです。青山墓地の桜が満開。手前右下に新国立が見えます。そこは今日休館のはず。次の機会に回します。
 当然、昼ビアを注文。ゴクゴク、プハーッ。堪りません。
 醤油ラーメンにしました。券売機でチケットを求めました。結構コッテリの味でした。しるを残しました。隣に座ったあんちゃんは餃子の大盛セットを注文、鉢に一滴も残さずの食べっぷり。亮さんといい勝負だなと思いました。
 さてと、腹ごしらえもできたことだし。本郷の方へ行ってみようか。席を立ちました。ビール1杯ではふらつきません。大丈夫です。加えて東京の移動は結構歩きます。階段の上り下りもあり、微醺はすぐに醒めました。地下鉄南北線で東大前へ。此処にある「わだつみのこえ記念館」を訪ねるのが目的でした。駅を出て本郷通りを歩きました。その名の通り左手に東大の本郷キャンパスが続きました。大学はまだ始まっていないのか、閑散としていました。有名な赤門がありました。確かにその色をしています。
 わだつみ記念館は通りから少し奥に入ったところにありました。認定NPO法人わだつみのこえ記念館の運営です。マンションの1室を借り受けてのこぢんまりでした。入館は無料でした。
  展示内容の大部分は家族・友人に宛てた手紙や葉書でした。原稿用紙に綴った手記もありました。達筆。旧字体の漢字に時代を感じました。岩波文庫に印刷の文字を読むのとは違い、迫力がありました。何せ、肉筆です。内容は近況報告がほとんどでした。家族への気遣いが痛ましい。何れにも、死の影が透けて見えました。それらの中に、新妻へ宛てた愛の手紙がありました。「(戦地にあって)何度も君の名を声に出してみたら、寄り添っているような心持ちになった」旨がありました。涙が出そうになりました。南洋の兵舎にあって明日をも知れぬ身、一人おり妻の名を呼ぶ気持ちの切なさはいかばかりか。悔しさ、憤り。想像を絶するとはこのことです。潤む目を背けることが出来ませんでした。
 ここは月水金の3日間、午後1時から午後4時のみの開館です。今日の入館者は私一人でした。理事長と館長がいました。2人を手伝う男性、併せて3人とも年配の方でした。理事長に訪ねた動機を訊かれました。以前、ブログに書いたことのある成迫忠邦氏のことを話しました。成迫氏は佐伯市木立の生まれ、日本大学出身、入隊して石垣島に配属、墜落した米軍飛行兵の捕虜を上官の命令で斬首した人です。復員後、その事実が発覚。大分県庁に就職の決まってさあこれからの時に東京・巣鴨の拘置所に収監されました。裁判で絞首刑判決を受け、28歳の若い命を落としました。身を乗り出して聴いてくれました。遺書とか戦地からの便りなんぞがあれば寄託して欲しい旨のことを言われました。帰って父に相談してみよう。去り際、蔵書の中に成迫氏の遺書を見つけてくれました。コピーをいただきました。これがそれです。
 おっ、もうこんな時刻か。日が傾き始めました。沈んだ心を癒やす必要があります。新宿に戻り、名曲喫茶らんぶるに入りました。
 地下の店舗です。階段を降りたら大広間がありました。私にとっては外れでした。渋谷のライオンとは大違い。人が多く、音楽が会話に消されそうでした。じっくりクラシックを楽しむ環境にはありません。
 壁にバーンスタインの写真を飾ってありましたが、客の関心は向きません。
 とその時、スマホにメール。娘が待ち合わせの店と時刻を指定してきました。まだ1時間半ありました。うーん、虫が疼き始めました。マニアワン。ちょっと一杯引っかけるか。らんぶるをでて歌舞伎町をぶらり。おっ、ホルモン屋があったぞ。24時間営業か。素晴らしい。ちょっとつまんでいくか。
 丸腸を1人前とマッコリを1杯。
 炭火焼きとありますが、どうも日本製の堅炭ではないようです。しかし、そんなことに構ってはいられません。安ければよし。焼き始めていい匂いがしてきました。腹が膨れてしまってはもともこもありません。後の食事が入りません。これだけで我慢しました。
 店を出てなお小一時間ありました。間が持たず、ぶらり歩いて待ち合わせした店の前にやって来ました。おっ、ロシア料理か。パッとひらめきました。何のことはない、先に入ってちびり、いつもの練習をすればいいんだ。
 その店スンガリーの席は娘が予約してくれていました。中はこんな感じです。
 ロシアの人と思しき若く美しい女性が迎えてくれました。いらっしゃいませ。外国人と判る日本語でした。先ずはウォッカです。よく冷えていました。ぐびっ。
 何か当てが欲しいな。その女性に何かつまみをと言うと、ニシンの酢漬けを勧めてくれました。それをやってもらいました。パクリ。美味いっ!スモークサーモンのような感じでした。
 酒が進みました。違うものも試してみました。こちらもいい感じでした。
 妻と娘がやって来ました。彼女たちが頼んだのはこのコースとケバブ。私はピロシキ一つで結構。
 次の写真はその一部、ボルシチです。
 これもロシア料理の定番。
 コースとは別のケバブ。なんだか昨夜に食べた牛串に似ているぞ。

 ロールキャベツもありました。
 私の頼んだピロシキです。
 硬い酒に飽きました。おっ、アルメニアブランデーがあるぞ。奮発してファイブスターを貰いました。芳醇。いい感じでした。妻はグルジアワイン。娘は何だか訳の判らぬフルーツジュース。
 アー飲んだ飲んだ。いい気色になりました。腰の重い女性陣はロシアンティーを楽しみました。勿論勘定は私のヘソクリ。散財しました。
 新宿南口で娘と別れました。帰りの便も成田からです。朝便のことを考えて帰りも京成成田に宿を取っていました。ホテルに着いたのは午後11時を廻った時刻でした。近くのコンビニに寄り、缶ビールを買いました。シャワーを浴びてプシュッ。バタンキュー。
今日の一句
新宿のビルの谷間に丸い月
今日の写真は美術展で求めた絵葉書です。運命を悟るアマンです。160円でした。訪ねた展覧会や美術館で、一番気に入りの1枚を求めます。裏にその日と印象を書くのがよいです。



平成29年4月11日(火)
 午前6時起床。雨。
 楽しい時間はあっという間に過ぎました。雨の帰り道に足が重かったです。妻も同じ気持ちだったはずです。救いは息子が新しい仕事に幾分慣れたこと。娘も元気そうでした。写真は第3ターミナルの飛行機群です。LCCの機体が並んでいました。大分からの往復、一人あたり10ラー余り。安い時代になりました。
 次の写真は成田のフードコートで食べたうどんとおにぎりです。これが朝ご飯でした。テーブルの相席はアメリカ人と思しき家族連れ5人でした。ハイスクールの年頃でしょうか、長女は、劇のシナリオを暗記中。何かに出演するんだろうか。それを応援に家族一同来日というような感じでした。
 後ろが気になって仕方ありません。ここに突っ込もうか。昼ビアもいいけれど、朝の冷やも捨てがたい。でも諦めました。結果、後になってこれが幸いしました。
 帰りの飛行も揺れました。いつものことですが、気持ちのよいものではありません。大分空港に降りての昼もコンビニのおにぎりで済ませました。帰りの車中にパクつきました。写真は津久見付近の山です。雨に煙って暗いですが、ヤマザクラの散って新芽が吹いていました。いい感じです。東京にない色合いです。
 佐伯のまちへ入り、鰻屋へ。鰻重を買って父母への土産にしました。それを届けて娘息子の元気だったことをを報告。明日、大分の病院へ検査に行く父の励ましになりました。その後、シャワーを浴びてイッパイやろうか。とその時でした。スマホガブルッ。会社からでした。疲れているところ申し訳ないが今から出てきて欲しいとのこと。午後6時半、とるものもとりあえず駆けつけました。内容は書くこと能わずですが、忙しくなりそうな案件でした。帰宅は午後9時。缶ビールを1缶やっつけてバタンキュー。疲れが一気に出ました。
今日の一句
新宿も田舎の月も月は月
今日の写真はその二題です。一枚目は新宿。昨夜撮りました。
もう1枚は呼び出されての帰りに写しました。田んぼの水面に映るの図です。どちらも月は月。見るところが違うだけです。





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Last updated  2017年04月14日 05時28分19秒
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山本晴望@ Re:纏めて一週間(11/23) 介護のご苦労察します。 母の入所している…
シミ君 @ Re:纏めて一週間(11/23) おはようございます。 九州場所も今日が…
禁玉減酒 @ Re:纏めて一週間(11/23) こんにちは〜。 1週間分の記事をアップ…
nkucchan @ Re:纏めて一週間(11/23) 父上、手強いですね。 若い猫、父上に世…
一人親方杣夫 @ Re[1]:2週間のご無沙汰でした。(11/15) 山本晴望さんへ おはようございます。 …
一人親方杣夫 @ Re[1]:2週間のご無沙汰でした。(11/15) 亮おじさんさんへ おはようございます。 …
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