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March 8, 2013

なくすことにも　慣れてゆく　ゆっくりと　ゆっくりと～小説『MISSING』

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(88213)

カテゴリ：日本のミステリー小説

みなさん、こんにちは。中国語を習って2年目になるのですが、先生がこの度帰国されることになりました。一つは母親の病気、もう一つは息子が学校でいじめられているのだそうです。尖閣諸島の問題で「中国人は帰れ」と言われたとか。子供がはっきり意味を分かって言っているというより、大人が言っていることを聞いていて、それをそのまま口にしたということでしょうが、結構辛かったようです。

春は旅立ちの季節でもあれば別れの季節でもあります。
本作も何かを失ってゆく物語です。

MISSING 双葉文庫 / 本多孝好【文庫】 HMV ローソンホットステーション R

本多孝好
MISSING

物語の主人公達は、みな何かを失う。
そして失った悲しみを投げ出すことも、そこから逃げ出す事もできず、
「失う」ことに、時間をかけて馴染んでゆくしかない。
誰にでも必ず訪れる「傷が癒えてゆくその日」まで。

ジョディ・フォスターの「君といた夏」をほうふつとさせた「瑠璃」
「高い所から夜の町を見下ろす時、あの小さな灯の一つ一つに知らない
人のささかやなかけがえのない暮らしがある。そのあとは2つに別れる。
ささやかな暮らしのために祈る人と、ささやかな暮らしを呪う人と。

「私は祈る人になりたい。」という言葉に、「まだ、人間で
あることに希望が持てる。」と感じた「祈灯」
人の出会いの不思議な縁について考えた「眠りの海」
哀しいけれど、読んだ後にほわっと暖かくなった。
語り口は柔らかく、誰をも受け入れる短編集。