大きさや肉食動物・草食動物という違いを越えて自由な職業につける夢の場所ズートピアはUtopiaのアレンジ。ディズニーで作ったのなら、さしずめイメージはアメリカン・ドリームが死語でなかったころのNYか。ところがいざ勤めて見るとジュディには刑事の仕事は任せられず、ずる賢いというイメージが強いキツネのニックはボーイスカウトさえ拒否された。「ズートピアにやってきた誰もがここではなりたいものになれると思ってる。だが自分自身でしかない。ずるいキツネと間抜けなウサギ。Everyone comes to Zootopia, thinking they could be anything they want. But you can't. You can only be what you are. Sly fox. Dumb bunny.」ニックがジュディに言うように『アナ雪』のエルサはありのままの自分を解放することで救われたが、ここでは「ありのまま」が偏見を産む。性別や人種差別が残る人間社会を模している事は明らかだが、ここから映画はもう一度「騙されやすい見た目」を逆手に取ったストーリーになる。羊はたいがい「迷える羊」として何もできない善良な民の象徴に使われるが、その点を考えると本当に恐ろしいのは人気や報道に迷わされてあれこれと踊らされてしまう民衆か。
ジュディが記者会見を受けることになった時のニックのアドバイス「質問されたら質問で答えること」 が最後の二人の愛の告白にまんま生かされている。 「You know you love me. 」 「Do I know that? Yes, yes I do!」 この台詞に萌える人も。