P-Blog アイデア&インプレッション

2003.11.26
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テーマ: 孤独(20)
銀座の小さな画廊へ、 ケイラ厚則 紹介してくれた方 の話しへと発展し、その流れで「横浜」という街の話になった。
私は、生まれも育ちも甲子園なのだが、両親は神戸に勤めていた関係で、神戸という街に、小さな頃から、慣れ親しんでいた。そういう目から見てみると、今の横浜は、神戸のやってきた、悪い部分を中心に真似ているように感じてならない。しかも神戸市以上に、大規模に実施している。それは、横浜のもともと持っていた、なんとも言えないパワーというか、浜っ子のプライドを失ってきているように見え、そても危惧しているという話をした。
横浜市内にアトリエのある、ケイラ厚則氏も、世界一か日本一か知らないが、巨大な大観覧車を、埋立地に建てるという発想に対し、違和感を感じていたみたいだった。

実は、この話しを、桜木町駅のすぐ近くの野毛という繁華街の中にある「 波の上 」という、小さな沖縄料理屋のママに話したことがある。
このママは、血こそ沖縄の流れがあるが、生粋の浜っ子。たまたま、この店の常連である友人に連れてきてもらったとはいえ、始めて行ったその店で、この話をした。しかもプライドの高い浜っ子のママ。良く言ったものである。
しかし、ママは、話を聞いてくれた。同時に、すごく共感してくれた。そして、自分は、浜っ子のキャパシティの広さに感動し、この「波の上」と、浜っ子と、横浜という街が一気に好きになった。


まず、共通点だが、「神戸」にしろ「横浜」にしろ、本来の街の中心部から外れているという意味の地名である。元々は、兵庫津であの、神奈川という港だったわけだが、開国を迫られた、幕府は、その街の外れに、居留地を設け、そこに外国人を追いやった。理屈としては、長崎の出島と同じ発想だ。だから、神奈川の横の浜辺の「横浜」と、兵庫津のとなりに、町外れという意味の「神戸」と呼ばれる港と外人居留地ができた。
現在の桜木町駅は、鉄道が日本で始めて開通したときの横浜駅という話も聞いたことがある。これは、京浜東北線の横浜駅の北隣に「東神奈川駅」があるが、その西側に神奈川という場所があり、それに対して、南に少し離れた所に「旧横浜駅」今の「桜木町駅」があるという位置関係からもわかる。
一方、神戸の方も、神戸高速線の「新開地駅」や「湊川駅」の近くに、治承四年(一一八○)六月に平清盛が遷都した福原京があったと言われ、その付近と、元町南側、メリケン波止場との間に距離があるという位置関係からも、外国人を街の外れに追いやるように、街づくりが行われた事がわかるだろう。
そのうち、「神戸」と「横浜」の港が栄えるにつれて、そちらの名前の方が、知名度が高くなった。これは、県名と県庁所在地の名前の関係にも影響しているらしい。
また、鉄道という意味では、私鉄の関係も似ている。とにかく、もっとも海岸沿いを、ファンキーな街に停車しつつも、かなりのスピードでぶっ飛ばす「京急」「阪神」の両私鉄も、「阪神」と「山陽」が「直通特急」を走らせてから、さらに類似性を感じつつあるが。やはり、有名な経営者である、小林一三の「阪急」と五島慶太の「東急」のこの2社であろう。
この2社は、都市間輸送のほか、宅地開発、文化事業など、今の日本型鉄道ビジネスの基本を作った。その文化戦略は、東京では渋谷、大阪では梅田を、一大文化拠点にした。そして、沿線に、田園調布、芦屋など高級住宅地を作ると同時に、横浜、神戸の文化的なイメージの向上にも寄与した。
そのほか、もう、いろんな、日本発が、横浜、神戸にあり。中華街もある。神戸はファッションの先端とか言われたこともあれば、ハマトラというファッションを横浜は生んでいる。そんな感じで、共に、いいライバルかわからないが、切磋琢磨をつい、20-30年まで行ってきた。
転機が訪れたのは、おそらく、ポートアイランド構想のあたりだろうか。神戸は、横浜に比べ、背後にある山が険しく、街の開発に限界を感じた。そこで、山を切り崩し、その土を使って人工島や埋立地を作る事を考えた。そして、その埋立地に、港湾施設のほかに、国際的なイベントのできるスペース、娯楽施設、ホテルとかを誘致し、人口のリゾート地を造った。不幸なことに、計画を実行している時に
、積荷のコンテナ化が進んだり、生産拠点の地方化や海外移転が進んだ。しかし、それでも、がんばって、不必要になった倉庫を使い、そこも、観光施設にした。これが、神戸スタイルであり、新しい、港町の象徴になった。
一方、この10年ほど、横浜に出来た。ベイエリアの施設は、じつに、神戸に似ている。いや、神戸モデルを少し、今風にして、巨大化させたという感じだ。
確かに、イルミネーションがキレイだったりするが、私からすれば、なにか落ち着かない、人工的だけど、人間味というか、生きている心地のしない、何かを感じて仕方がない。

また、神戸では、山を削って作られた住宅地が多々ある。これと、横浜市内の山の中に出来た住宅地が何故かダブル。神戸や横浜に産業の中心があった時は良かったが、今は、鉄道網や道路の整備により、共に大阪や東京の通勤圏となっている。もう、多くの住民は、神戸や横浜に働きに行かないのだ。しかし、なぜ、そこまてして住むのかは、職場の近くに住みたいが、一戸建てなりを買おうと思えば手が出せず、それでも、一戸建てが欲しいので、神戸、横浜という文化的なイメージの強い街に住むことで、プライドを維持しようとしたように見受けられる。しかし、これは、あくまでも、東京、大阪へのコンプレックスであり、本来の横浜、神戸の街のプライドではないのだ。
また、土地の本来の意味を伝えない地名の土地に住む事で、その地域の歴史を記憶から消し去り、住民は「小市民」を演じている。しかも、コンプレックスの裏返しの捩れたプライドを持ってである。その捩れは、ステレオタイプ化した街のアイデンティティしか持てない人を増やしている。
(そうそう、今、関西は、ステレオタイプ化した街のアイデンティティしか持てない人だらけになっている。それが、吉本ブームを支えている??これは、後日・・・。そして、首都圏も同じ病。東京本が売れる・・・などなど)
この「小市民」と「コンプレックスの裏返しの捩れたプライド」は、様々な、都市犯罪やら、新興住宅地の不気味な事件と関係しているように思う。
神戸や阪神間は、真っ先にその病が出た。阪急電車でのサラリーマンによる車掌撲殺事件。息子による将棋名人金属バット殺人。酒鬼薔薇聖斗による猟奇事件・・・。まさに、キレル事件の先進地だ。

(同時に、震災の影響もあるが、阪急電鉄の利用者数が減少しているのも、長年続いた、鉄道を基盤としたビジネスモデルが終焉の時を迎えつつある。東横線も危うし??これも、後日、記したい。)
話は、変わって、最近、神戸や横浜の新名所や名物と言われるものに、なにか「ちゃらさ」を感じはしないだろうか。
たとえば「神戸コロッケ」であり、「横浜カレーミュージアム」でもある。博物館も作りまくり。
これは、「コンプレックスの裏返しの捩れたプライド」を保つために、さらに、ステレオタイプ化した、街のアイデンティティを「小市民」が求めるようになった結果である。
しかし、これを作ったからといって、あくまでも、捩れたプライドを増長するだけで、根本的な、アイデンティティの無さは解決しないだろう。
もし、解決するのなら、他の街や、他の人に「神戸らしい」「横浜らしい」と思われる事を意識をしない、「個の力」や「真の自信」を、街が持つ必要がある。これには、他人からの評価を気にしない「孤独力」と密接に関係してくると思う。
今、街づくりをしようと思えば、国からの予算を獲得しやすかったり、助成金や支援制度が受けやすいように、本来の目的を少し曲げたり企画を作り変えたりするとか。もともと、お金目当てで企画を立てたりする事が多い。それは、「個」として、自ら判断して行った事ではない。ある意味、自ら判断したのだが、自分の本当の気持ちとのズレが生じやすい。これが、利用されない公共施設となって、形が見えてくる。いわゆる、税金の無駄使いの一種である。
だからこそ、自治体も「孤独力」が必要なのである。

2004年1月末日。東急東横線の桜木町駅がその歴史の幕を閉じる。そして、その翌日から、意味不明な路線名である「横浜地下鉄みなとみらい線」が開通し、渋谷から、ステレオタイプ化した、街のアイデンティティ化を最もしている、みなとみらい21、山下公園、中華街へ直通で行けるようになる。
桜木町駅は、鉄道が通ってから百何十年も続いた、終着駅であり、かつての横浜の入り口という機能を失うことになる。
その、桜木町から程近い、野毛という繁華街も、人が遠のく可能性が高い。
しかし、私は、横浜に一つのチャンスが到来するのではと思っている。
ちゃらい横浜文化を持っているヤツは「横浜地下鉄みなとみらい線」沿線で遊んでもらって。そいつらが来ない、孤立したと場所でこそ、他に影響されない、独自の文化が生まれる可能性があると思う。
しかも、その胎動の予感を感じさせる動きもある。
その一つが、 野毛飲食"者"協同組合 である。これは、日本発の特定の商業地域における外食産業に対する消費者組合である。ありそうで、無かった、全く新しい概念の組織である。
このような、柔軟な発想が出きる人が、街に、しかも、自主的に集うことで、新しい横浜文化が生まれるだろう。
街の文化は、地方公共団体が作った、文化センターで生まれるという話は、ほとんどない。それは、他者から見える文化を演じるための施設であり、自ら文化を生み出す可能性が低いのだ。
自分たちで、文化を作る。これには、街や市民の「孤独力」が必要なのである。
捩れたステレオタイプな横浜のアイデンティティに邪魔されない「孤独力」を持ってこそ、新しい、ストレートな横浜のアイデンティティが生まれる。
鉄道の路線が切り替わり、マーケティング地理的に孤立する事により、野毛という街に、その文化を生み出すチャンスがやってくるのだ。
そのためにも、野毛に集う人のパワーをうまく繋いでいく、しくみを確立する必要があると思う。野毛飲食"者"協同組合も、そのしくみを作るための試みの一つとして注目してゆきたい。

生まれも育ちも甲子園。両親が神戸に勤めていたからこそ、横浜に、神戸の犯した失敗や悲劇を繰り返して欲しくない。そんな気持ちである。





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最終更新日  2004.08.12 11:30:17 コメント(2) | コメントを書く
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