P-Blog アイデア&インプレッション

2003.11.28
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カテゴリ: アート
2003年11月30日、銀座に日本発のアップルコンピュータ直営店が出きる。その2日前に、同じ赤い実でも、その日限りのトマト屋が開店した。といっても、銀座エコショップ 「フォレスト・クラブ」 丹波篠山の水耕栽培のトマト のうち、一般のスーパーなどの店頭で並ばない、規格外のものでおいしいものを中心に、 山の芋 、レタス、黒豆、大根などを、販売していたのである。(関連記事は こちら )
お客さんは、多くは無いが、常に2.3人が店先にいて、途切れないという感じで、私が店に着いた時は、すでに、黒豆が売り切れていたいた。
ここで、トマトを手に入れた後、今日、フォレストクラブで知り合った、ギャラリーの主人に連れられ、 コンテンポラリーアートNIKI へ向かった。ちょうど、19時まで時間が空いていたので、渡りに舟だった。
このギャラリーは、銀座では珍しく、工芸を中心に展示している。その日は「繊維美術2馬展」と題し、日韓2人の繊維を題材にしたアーティストの作品を展示していた。

そして、私の運営している、 アートイベントの情報サイト のために、数枚のポストカードを入手して店を後にした。
コーヒー休憩をした後、まだ、次の予定まで時間があったので、いつも、サイトのためにポストカードを提供してくれる、 ギャラリー舫 を覗いてみた。今日は、カナダ人アーティストのLeslie Ericksonの個展だった。彼女は、今回は油絵だが、前回は、紙をすいて作品を作っていたそうだ。前回の作品の社さんを見てみると、和紙の中に、なんと「釘」をすき込んだ作品があった。和紙は、保存性が高く、長期間品質が変わらないものだが、釘は、時間経過と共に朽ちてくる。時間経過によって、風合いが変わってくるというのが、面白い、という作品なのだ。
先週、同じ、ギャラリーで個展を開いていた、勝間嘉久は、コピー機を活用した作品を作り続けているのだが、前回の個展では、鉄板に写真をコピーするという作品を発表し、そのうちの一点が、先週展示されていた。前回の時点での作品の現物は見ていないが、今回展示されたものは、鉄板の表面がうっすらと赤サビがつき、写真の部分もなんとも不思議なサビの付き方をしていた。
この作品も、釘をすき込んだ和紙と同じく、時間経過によって、風合いが変わってくる作品なのである。風合いが変わるこそ、常にその作品は、旬であり続ける事ができるともいえよう。
そういや、先ほどのギャラリーで見た、韓国のアーティスト宋 繁樹の紙をすいた作品が展示されていた。が、同じ、紙をすいた作品でも、まったく違う表現がなされている。このことも、実に興味深い。
さらに、先週開かれた勝間嘉久氏の個展のメインは、デジタルの目で見た色を、ドイツ製の特別な紙に、アメリカ製のセミマットの染料インクで、インクジェットプリンタで出力したもので、普通のインクジェットプリンタとは全く違った、迫り来るマテリアル感を表現した作品だった。
日本のメーカーの紙やインクを使うと、無難に均一なプリントアウトができるが、作品として、迫ってくる迫力が出にくい。その一方、ドイツのその紙と、アメリカのインクは、癖があり、なんでも無難に印刷するのには不向きだが、今回の勝間嘉久氏の作品に対し、強力な表現力を持ち、インクジェットプリントを、一点モノのアート作品として、付加価値販売できる可能性を示したといえよう。
1998年か99年だったと思うが、デジタルイラストレーターの、 石川浩二氏 が、布にインクジェットプリントする事で、作品のマテリアル感を出すという試みをしていていて、そこで、インクジェットプリンタのアートへの活用の可能性を見たが、今回は、それ以上の衝撃を受けた。

アートの世界では、違うもの、時間が経てば変化するものに対し、価値が置かれるのに対し、ほとんどのマスマーケットでは、「規格外のもの」という事で、価値を持たないものになる。今回、売っていたトマトも、スーパーマーケットでは、価値のないものでしかないのである。
その先ほど手に入れたトマトを、ギャラリーへの差し入れにした。ギャラリーのママも、作家さんも、無農薬野菜が大好きで、とても喜んでいた。確かに、規格外かもしれないが、それは、おいしいトマトには、全く変わりがないのである。
ところで、時間が経って、風合いが変わることで、価値が出る商品がある。たとえば、オールドジーンズであったり、革製品などである。しかし、普通に新品を買えば、風合いが出てくるまでかなりの時間が必要なために、ジーンズなどでは、ストーンウォッシュ加工をする。最近では、生地を傷める上、履いた後に出きるしわにあった色落ちした感じが出ないため、しわをプリントしたものが出回っている。確かに、発想の転換だと思うのだが、時間の経過により旬を迎える事による付加価値を、プリントすることで、そして、ストーンウォッシュすることで、規格化、固定化してしまい。付加価値を不変化させることによって、付加価値を減らしてしまうという、矛盾した現象を起してしまっている。
確かに、安定して、いいものを提供するシステムは、それは、それで、実に、すばらしいものではあるが、同時に本当の付加価値を奪ってしまっているとも言えるのである。言い換えれば、利便性の中で、いろんな人と共同して、均等なサービスを提供する事により、失われているものは、とても多い。
そして、均一なものを提供するために、均一でないものを排除するとともに、変わらないものを作り出す。変わらないものは、これは、これで、価値あるものだ。しかし、変わりゆくものは、常に変化し、その時、その時が旬であり続けることを見つけるというか、知る喜びを与えるという効果は失われてしまう。そして、知る喜びを得られない事というか、発見の見込みがないということが、人の心の豊かさを得るチャンスを奪うこととなり、結果として、その商品の付加価値を減らすという事になってしまう。


そのトマトとの出会いは、同じ赤い実でも、一期一会なのである。明日、同じものが食べられないからこそ、おいしくいただける。

ちなみに・・・・
変形しまくりの山の芋は、デッサン用に売れてました。


余談ですが・・・
ストーンウォッシュで思い出したのだが・・・
10年少し前、ある楽器屋で、ギブソンのレスポールの新品をミスで、何台か雨にさらしてしまい、売り物にならないようになる事件があったのだが。このギターを店員が買い取り、徹底して乾かして、弾いたら、1960年代に作られたレスポールのような音になった。
これって、偶然、人工的に、ビンテージをつくるという、ストーンウォッシュのような、加工をしてしまったって事よね。
良い子は、まねしては、いけません。





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最終更新日  2004.08.15 22:01:35 コメント(1) | コメントを書く


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