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January 29, 2016
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カテゴリ: 抜き書き
九条と自衛隊の「矛盾」について、日本人が採用した「思考停止」はその狡知の一つでしょう。九条も自衛隊も自衛隊もどちらもアメリカが戦後日本に「押しつけた」ものです。九条は日本を軍事的に無害化するために、自衛隊は日本を軍事的に有効利用するために。どちらもアメリカの国益にかなうものでした。ですから、九条と自衛隊はアメリカの国策上はまったく無矛盾です。「軍事的無害かつ有用な国であれ」という命令が、つまり、日本はアメリカの軍事的属国であれということがこの二つの制度政治的意味です。

この誰の眼にも意味の明らかなメッセージを日本人は矛盾したメッセージにむりやり読み替えた。九条と自衛隊が両立することはありえないと、改憲派も護憲派もお互いの喉笛に食らいついたような勢いで激論を交わしました。この二つの制度がまったく無矛盾的であるということを言った政治家は私の知る限り一人もいません。アメリカの合理的かつ首尾一貫している対日政策を「矛盾している」と言い張るという技巧された無知によって、日本人は戦後六十五年にわたって、「アメリカの軍事的属国である」というトラウマ的事実を意識に前景化することを免れてきました。

私はこれをひとつの政治的狡知であると思います。ただ、これは偶然的、単発的に出てきたものではなく、「日出づる処の天子」以来の辺境人の演じる「作為的な知らないふり」の一変奏なのだと思います。私たちには「そういうこと」ができる。ほとんど無意識にできる。

【日本辺境論】内田樹著/新潮新書





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Last updated  January 29, 2016 07:16:36 AM
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