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アメリカの池田国際対話センター(マサチューセッツ州ケンブリッジ市)で行われた「教育講座」( 6 月 17 日)。ここでは、登壇者の一人、アメリカ・デューイ協会元会長で南イリノイ大学名誉教授のラリー・ヒックマン博士の講演の要旨を紹介する。
南イリノイ大学
カーボンデール校 名誉教授
ラリー・ヒックマン博士
快楽は幸福ではない
アメリカの教育哲学者デューイ、創価学会の牧口常三郎初代会長、池田博士の 3 人の教育哲学に共通しているのは、人間と多様な事象との「関係性」を非常に重視している点です。
関係性とは、例えば、子どもたちの過去の経験、学習環境、育った文化背景、友人関係などです。
3 人はまた、関係性という視点から、「地理」と「歴史」をカリキュラムの重要な基礎と見なしています。
牧口会長は、個人の関係性を地域そして社会全体へと結びつけることが大事であると訴えています。その意味で「地理」の学問は、子どもたちの日常生活を出発点とし、社会とのつながりの意識を世界へと広げていくものなのです。
もし今、デューイと牧口会長が生きていれば、池田博士が創立した多くの教育機関で成し遂げられている業績を、心から称賛するに違いありません。
池田博士の言う「価値創造の教育」とは、まさに個人と他者、個人と環境、個人と歴史など、さまざまな関係性を豊かにしていく教育にほかなりません。
なお博士は、公共教育においては、宗教教育を行うべきではないと述べています。なぜなら、そうした教育は「信教の自由」を踏みにじるものだからです。
博士はまた、デューイや牧口会長と同じく、現実の社会と関わりながら学ぶことを提唱しています。ボランティア活動などは、単発的でなく継続的に取り組むべきであり、社会貢献の充実感や目に見える結果が大切と呼びかけています。
人間と社会の関係性を豊かにする教育実践の模範例として、池田博士が創立したアメリカ創価大学を挙げたいと思います。
この大学では、学生と教員が一体となって、「人間として生きる意味」をはじめ、「自然環境」「文化背景」「国際問題」など幅広く探求しています。
デューイ、牧口会長、池田博士にとって、教育の評価を決定する要素は、人間と社会の関係性の豊かさにこそあります。
標準化されたテストを過度に重視することは、悪しき教育の手法につながります。テストの推進は、医療診断のように、子どもたちを比較するというより、各人の状況と、それぞれが必要としているものをもつけるためにこそ、行われるべきではないでしょうか。
デューイは、テストそのものを完全に否定したわけではありません。しかし、テストはあくまで教育の道具の一つにすぎないと考えていました。
牧口会長もまた、テストばかりの教育や、単に知識を伝達する教育に批判の声を上げていました。池田博士も、いわゆる知識の「詰め込み型」の教育には鋭く反対しています。
博士は、牧口会長の思想を受け継ぎ、“教育者とは権力者でもなく、単にテストのために教える存在でもない。真の教育者とは、子どものパートナーとして共に成長していく存在”と結論しています。
最後に、教育の目的についてですが、牧口会長、池田博士は共に、「幸福」を「価値創造」と定義しデューイは「成長」と名付けました。
ここで重要なのは、 3 人は、いずれも、決して「幸福」を快楽とは捉えていない点です。
3 人は共に、「学び」それ自体を「手段」であり、「目的」と見ています。
そして、「学び」とは、変化してやまない環境や、人間と社会の関係性に適応していく挑戦であると訴えているのです。
【アメリカ池田国際対話センター「教育講座」での講演 [ 要旨 ] 】聖教新聞 2016.7.16
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