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話は変わりますが、エンタープライズの佐世保寄港問題、倉石発言を頂点とする防衛論議等を通じて、公明党は左傾化しているというような観測が、一般になされていますが、それについて、もう一度確認をしておきたい。
最近、政府・自民党が急速に右傾化を強め、再軍備そして戦争への道を進んでいることは、周知の通りであります。この露骨な右傾化をくいとめるためには、野党が力をあわせて戦っていく以外にない。
公明党はこの決意に立って、野党の結束のかなめとして戦ってきたのであって、公明党の基本路線としての中道主義の本質は、いささかも変わったわけではないのであります。
中道主義を端的にいうならば、それは人間主義ということであります。もともと人間は一個の調和の取れた円満なる生命の当体です。すなわち、人間生命それ自体が中道であるといえるのであります。
例えば、私共は暑いときには上着を脱ぐ。寒くなれば着る。だが、人間の体自体は変わらない。人間生命それ自体が中道であるからであります。
ある学者は資本主義だの、共産主義だのというのは、上着を着るか着ないかというようなものだといっておりました。寒い冬空のもとでは、上着が必要な場合もある。これを共産主義にたとえている。だが、暑い夏や暖かい部屋の中では、かえって暑苦しくて、脱ぐほうが快適である。これを資本主義にたとえている。
しかるに、なにがなんでも資本主義でなければならないとか、逆に共産主義でなければならない等といっているのは、そうした気候、環境の条件を無視して、根本的には人間性を無視して、暑い夏に上着を着せたり、寒い冬に裸で過ごさせたりするのと同じという意味だと思います。
資本主義といい、共産主義といっても、究極は民衆の幸福をいかにして実現するか、どうすれば社会の繁栄をもたらすことができるかということが目的である。社会制度は、しょせん、その目的を達成するための手段にほかならない。
我々が中道主義を提唱し、既成勢力に挑戦して、漸次、革命を進めておりますが、これは決して資本主義や共産主義と同次元のものではない。それらの対立を止揚するものであり、政治、経済、社会、文明の根底に、人間性の尊重、生命尊厳の確固たる基盤を築いていくためのものであります。
既成の勢力は、この根底を忘れ、資本主義や共産主義、あるいは科学文明という、本来は手段に過ぎないものを、究極の目的であるかのごとく錯覚してしまっているのであります。
この錯覚によって、人類は知らぬ間に人間生命の軽視、民衆不在の政治、人類滅亡の科学という、悲しむべき事態に陥ってしまったのであります。日蓮大聖人の御書には、中道の意義を、「
有無に非ずして而も有無に徧して
」
(一生成仏抄
p.384
)
と説かれております。この「有無」あるかないかという言葉を「左右」という言葉に置き換えて読めば「左右に非ずして而も左右に徧して」ということになります。
この一方に非ずして、しかもどちらかに徧していくという中道の意味は、本質においては、どちらにも片寄っていないのであります。具体的には、時に応じ、機に応じて、自在に使いこなしていくことになるのであります。
結局、資本主義のために人間があるのでもなければ、共産主義のために人間が使われるものでもない。逆に資本主義も共産主義も、人間のため、民衆の幸福のために使われていくということが、最も正しい行き方であると思うのであります。
このほか、科学、芸術、経済、法律等も、全て人間生命から出発して、同じく人間生命に帰着していかねばなりません。それが中道主義であり、この中道主義こそ最も根源に立ち戻った、人類不変の願望ではないでしょうか。
したがって、中道主義の政治を、リンカーンの言葉をいいかえて一言にしていうならば、「人間の、人間による、人間のための政治」であり、更に、今日の日本の政治に約していうならば「国民不在の政治を国民の手に取り戻す政治」であり、真実の民主主義と平和を守り抜く政治なのであります。
なかんずく、国民生活に即していうならば、理想的な福祉国家の建設を目指す政治なのであります。
現在、世界において、デンマークや、スウェーデンが最も社会福祉制度が完備した国とされておりますが、その底に流れる思想は、キリスト教的博愛主義であります。
私共は、更に根底的な仏法の生命の尊厳の哲学をバックボーンとして、物質的にも、精神的にも、最高に充実した、全世界の規範となる大衆福祉の新社会を、まず日本の国に建設しようではありませんか。
( 1968-05-03 東京・日大講堂)
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