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緩和ケアのクリニックで開かれた「お別れの会」に出席した。ここでは「今の医学では、これ以上何もできない」と言われ、自宅に帰ってきた患者たちの、日々の生活を支える医療を続けている。
この日は、 92 歳で亡くなった女性患者で、 T さんを追悼する集いだった。「重い認知症」としてクリニックに転院してきた Tさん は、ここでボランティア・スタッフの一員になった。
医師や看護師と共に、他の患者のところに赴き、家事をてきぱきと行う。終わるとベッドに歩み寄っては患者の手を握り、話を聞く。
医師が追悼の言葉を締めくくった。「僕は薬で痛みを取るだけ。痛みは無くなるが、末期の患者さんの不安はぬぐえない。でも T さんが、大きくうなずきながら『そうか、そうか』と言うだけで、患者さんたちはほほ笑むんです。 T さんは『希望』を与えることができた。僕の『認知症』への偏見を取ってくれた」。
病気、要介護、障がいなど、人生の困難の渦中にある人は、人に支えられる存在でも、ましてや、人より劣った存在でもない。その人生経験、挑戦する姿そのもので、人に希望を与えられる存在だ。看護、介護の現場こそ「人間の尊厳」を、頭ではなく、心に刻み付ける、かけがえのない空間なのである。
【名字の言】聖教新聞 2016.9.25
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