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December 7, 2016
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カテゴリ: コラム

静岡大学農学部教授 稲垣 栄祥

植物を研究していると、植物の生き方に感心させられることがよくあります。

植物は美しい花を咲かせますが、人間のために咲いているわけではありません。植物はきれいな花びらや甘い蜜で、ハチなどの昆虫を呼び寄せます。そして、昆虫に花粉を運ばせて受粉する作戦なのです。

赤くて甘い果実を成らせることも、植物の作戦の一つです。鳥は果実を食べて、種子を一緒に飲み込みます。そして、糞と一緒に外に出ることによって、種子が散布されるのです。こうして、動けない植物は、昆虫の力を使って花粉を運んだり、鳥の力を使って種子を移動させたりします。

自然界は弱肉競争、適者生存の世の中です。常に熾烈な競争や争いが繰り返されています。そんな殺伐とした自然界で、生き物たちは助け合い、共生しています。自然界にはルールも道徳もありません。しかし、長い進化の歴史の中で、必要以上に争い合うよりも、共生した方が得だという答えにたどり着いたのです。

共生関係を築くために、植物がしたことは何だったでしょうか。進化の過程で、最初に花にやってきたのは、もともと花粉を餌にする害虫でした。しかし、植物はその虫に花粉を与え、蜜まで用意して、やがて今日の共生関係を創り上げたのです。鳥もまた、実を食べにくる天敵でした。しかし植物は、その鳥のために、甘い果実を発達させたのです。

厳しい自然界だからこそ、植物は助け合って生きる道を選びました。そして、昆虫や鳥との共生関係を築くために植物がしたことは「まず与えること」だったのです。

【すなどけい】公明新聞 2016.10.7






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Last updated  December 7, 2016 05:13:32 AM コメントを書く
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