PR
Keyword Search
Freepage List
リスクに警鐘鳴らす専門家も
科学文明論研究者 橳島 次郎
mRNAを使った創薬研究
昨年のノーベル生理学・医学賞は、メッセンジャーRNA(mRNA)の研究を行った 2 人の科学者に授与された。
mRNAは、DNAの遺伝子情報を写し取って細胞内機関に運び、生命現象を担うタンパク質を合成させる役割を担う生体分子である。この働きを利用して、さま生な疾患に対するワクチンを作ろうという研究が2000年代初めから行われてきた。特定の病原体のたんぱく質を作る遺伝子情報を持つmRNAを人工的に作り体内ではたらせれば、その病原体に対する免疫を獲得でき、感染・重症化しにくくなる。
ただ人口のmRNAは阻害対外物として強い免疫反応を引き起こし、炎症などの有害な副作用を起こす。ノーベル賞を受賞した研究は、人工のmRNAのある部分を別のものに置き換えれば炎症反応を抑えられることを発見したというものが。この発見が、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの迅速な実用化につながったと高く評価されたのである。
mRNAは、感染症に対するワクチンだけでなく、治療効果を持つたんぱく質を患者の体内で作らせる医薬品としても使えると考えられ、開発研究が行われている。例えば、がん細胞特有のたんぱく質の情報を入れたものを投与し、がんを攻撃する免疫反応を促して治療につなげる臨床試験が海外で行われている。膿疱性繊維症などに対する遺伝子治療薬として使う試験も出てきている。日本では膝などの変形関節症に対し、軟骨の再生を促す治療に用いる研究を進めているグループがある。
このようにmRNAの作成は有望な創薬技術としての期待を集めているが、人工のmRNAが体の中でどのような作用を及ぼすか、まだわからない点もある。思わぬ副作用が起きるかもしれない。
昨年3が有、日本人の医学者が一般向けの月刊誌に、国内で新型での新型コロナウイルスワクチン接種後の健康被害のデータを分析し、mRNAワクチンのリスクについて警鐘を鳴らす論稿を発表した。健康被害が認定されたケースは昨年末までに5735件、うち死亡は420件あった。僧接種件数から見れば非常にまれではあるが、血栓系と心臓の障害が多いことなどが懸念されるという。それが投与された人工のmRNAによるものか、もしそうであればどのような作用機序によるか、きちんと検証しておくべきだ。今後のmRNA創薬の安全性をチェックする際に役立つ、重要な知見となるだろう。
【 先端技術 は何をもたらすか‐ 19 ‐】聖教新聞 2024.4.30
代表的な不整脈「心房細動」 October 25, 2025
大腸がん㊦ 外科手術 October 15, 2025
大腸がん㊤内視鏡治療__日本人が最も多… October 9, 2025
Calendar
Comments