かさっぺの日々
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今日もいつもの朝であってほしかった。起きて、一階におりれば犬がもう目が覚めてて。でも、今日は違った。おとうに起こされ、様子がおかしいからすぐ気づいた。一階に降りるともうすでに犬は息をしていなくて、そばでおかあが泣いとった。急だったけど、チロ(犬)はリンパ腫の白血病と診断されて1ヶ月だったから覚悟はしていたけど、実際覚悟なんか全然できていなく、ピクリとも動かないのをみてしまうと駄目だった。12年、人間の年でいうまだ60歳前半である。病気じゃなかったらあと数年は確実に生きているはずだった。急性の病気である。 おれがイギリスから帰ってきた7月、チロはちょっと夏ばてしてるのか位の様子で、いつも息をきらしていた。家族全員、毎年チロは夏ばてしているからって、思ってた。 8月に入り、軽井沢に住み込みのバイトをしているさなか、親から電話でチロがガンだということを知らされ、正直バイトなんかしてらんない気持ちで仕事にも手がつかなかった。でも病院に連れていき、なんとか回復の兆しをみせていたのも事実で、歩けなかったのが少しは歩けるようになっていたりとうれしいニュースもあった。 9月になり、ヒッチハイクの旅から帰ってきた4日。その犬のやつれようを目にし、この短期間でこんなにやつれるものかと思うくらいチロは弱ってた。一歩も歩けず、トイレもおとうが抱えて支えてやらなければできないし、水も自分では飲めない。息をしているのがやっとなのだ。時々力を振り絞って泣き声を出し、意思を伝えようとしていた。 そして昨晩。たしか明け方の3時過ぎくらいだったか、おれが寝ようとしたときくらいにチロはしきりに鳴いていた。親も、たまに泣き声を出すからといっていたのもあり、チロって声をかけてそのまま寝た。それがおれが聞いた最後のチロの声だった。 後から姉貴に聞いたんだが、犬は最後によく鳴くんだって。 今日は朝から近所の人、じーちゃん、ばーちゃん、親戚とたくさんの人がチロを見に来てくれた。お花を添えてくれたり、お供え物をもってきてくれたり。そしてみんな泣いて、それぞれのチロとの思い出を口にしてお別れをいいにきてくれた。 チロは確かに少し短い一生だったけど、幸せだったに違いない。こんなみんなにかわいがられ生きてきて、幸せだったろう。そして、なによりチロはみんなを幸せにしてくれた。12年間、おれの人生の半分以上を一緒に過ごしてきて、家に帰ると必ず迎えにきてくれ、よろこんで胸に飛び込んできた。それにどれだけ救われたことだろう。それは他のみんなもそうだと思う。 チロとの思い出は数え切れないし、というよりもそばにいるのがあたりまえだったから正直思い出とも思えない。それが今の正直な気持ちである。だけど、これだけはちゃんといっておこう。 12年間お疲れ様、ほんとにありがとう。 かさっぺ
2004年09月05日
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