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経理部門としては、かなりのインパクトのあるニュースです。
加藤勝信金融相が、国内の全上場企業に対して、有価証券報告書の株主総会前に開示するように要請するそうです。
その旨が記載された文書を、企業の代表者宛に送付するようです。
日経記事を抜粋しますと、「現状でも、総会の前日または数日前に開示することは、大きな支障はないのでは」としています。
その上で、「まずは今年から総会前日または数日前に提出することを検討するよう要請する」というものです。
あくまでも要請で、義務ではないということです。
しかしながら、企業はまた検討をしなければなりません。
有価証券報告書の総会前開示を行っている企業は、日経によると全体の1%強しかないようです。
この比率は、感覚的にずっと変わっていないと思います。
私の会社でも過去から毎年、この議論は出ます。
過去はずっと検討はしますが、様子見というのがスタンスです。
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これに関しては、個人的に色々と思うところがあります。
まず、前日や数日前に提出しても、投資家にも企業にも、大した効果はないと思います。
有価証券報告書の開示内容は毎年拡充され、150ページを超えています。
IFRS導入企業などは、200ページを超えるボリュームです。
それだけの大量のものを、数日で読み込めるのか、という点で、実効性が乏しいと思います。
どうせ総会前開示をするなら、少なくとも1週間前には開示しないと、あまり意味がないと思います。
開示だけすれば良いというものでもありません。
それに対する株主総会の質問対応なども、セットで業務がついてきます。
次に、企業側のリソースや実務の負荷、監査法人の監査の問題があります。
限られた時間、限られたリソースの中で、開示する情報はどんどん増えています。
この先、サステナビリティ保証などという話もある中で、増やす、早めるだけでなく、減らす、止める、ということをやって欲しいと思います。
決算短信と四半期報告書の一本化は実現しましたが、会社法などは手付かずのままです。
さらに、総会開催時期を遅らす、という議論も出ています。
この議論もまだ全然煮詰まらない中で、有報の総会前開示だけが先走るのは、いかがなものかと思います。
全くモヤモヤするようなことばかりで、実効性や実現性を考えて、しっかりと議論した上で、決めてほしいと思います。
開示書類を一本化するだけで、経理部の労働生産性は、黙っていても上がると思います。