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七詩さんComments
類としての人間の物質代謝から説き起こして生産力の発展を歴史の唯一の推進力とするマルクスの理論の極度に生物学的な性格については、今さら指摘するまでもない。・・・
コントとマルクスによれば、19世紀の政治的混乱は、人間があくまで社会的存在であることを科学の法則として認識し、この法則によって社会を再組織すれば完全に克服される。・・・
こうして生物学的政治理論は、人間を生物に還元することによって、文明人のディレンマそのものを抹殺する。生物としての人間には集団形成の本能があるとし、ゆえに政治的秩序の問題はア・プリオリに解決されていると主張するコントとマルクスの理論は、本質的に全体主義的な教説である。
人間的本質が対象的に展開された富をとおしてはじめて、主体的人間的な感性の富、音楽的な耳や形態の美に対する目や、ようするに人間的享受を可能とするもろもろの感覚、すなわち人間的な本質的諸力として確証されるもろもろの感覚が、はじめて発達し、はじめて産出されるのである。
社会的活動と社会的享受はけっして、もっぱらただ、ある直接的に共同的な活動と直接に共同的な享受という形態でのみ存在しているわけではない。・・・
けれども、私が科学的等々の活動をしているときでも、この活動は私がめったに他の人々との直接的共同においては遂行しえないものだが、それでも私は人間として活動しているがゆえに社会的である。
私の活動の材料が私にとって社会的生産物として与えられている ―― 思想家の活動が行われる言語でさえそうであるように ―― ばかりでなく、私自身の現存在が社会的活動なのである。
それでも、経済の面から見るならば、この時代はギリシアにおける鉄器時代の始まりを告げた。オリエントから伝来した鉄器の技術は徐々に普及し、ギリシア人の日常生活を変えていった。
青銅に比べて安価で頑丈かつ大量生産に適するこの新しい金属が生み出した最初の経済的効果は、農具の改良と普及であり、農業生産性の向上であった。
この農業の発展はおそらく土地の開墾だけでなく、麦のような滋養に富む穀類の生産をも促した。強化された農業の地盤はやがて前八世紀以降のポリスの形成を可能にすることになる。
(同書 P.12)
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