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- Sovereign Wealth Fundのカネをアフリカに -
産油国や中国
など、巨大な貿易黒字を抱える国が、 ありあまる外貨準備を運用すべく、いろんな海外資産に投資
をするという Sovereign Wealth Fund
が話題になってますよね。
特に、サブプライム問題でキツネ色に焼けただれたアメリカの銀行たちに、巨額の資金を融通してあげたのは記憶に新しいところです。
でも、 Sovereign Wealth Fundのイメージって、そんなによろしくない
ですよね。なんでメディアとかにたたかれてるのか今ひとつ僕にはわかりませんが、政治色のある投資って、なんとなくみなさん抵抗感あるんですかね?あるいは、アメリカの資産が新興国に買われちゃうことで、アメリカ人のプライドが傷ついているとか(毒)。
いずれにせよ、ズーリック氏は、 Sovereign Wealth Fundのイメージをよくするために、運用資産の1%をアフリカの企業の株式
(ローンじゃないことがポイント) に出資してはどうか
、という提案を、中国とか産油国にしているそうです。
運用の一環で、リターンをちゃんと狙うんだけど、 アフリカの経済発展にも貢献する投資
なんだから、ファンドのイメージも少しはよくなるっしょ、ということでしょう。
しかも、アフリカ企業なんて、アメリカの焦げ焦げな銀行への投資とのcorrelation(相関)も小さいだろうから、 分散投資効果
もあり。
で、今、 IFC(国際金融公社、世銀の民間投資部門)
が中心となって、Sovereign Wealth Fundのアフリカ投資をアドバイスするプロジェクト
がはじまっているらしいです。
貿易黒字国のありあまったお金がうまくアフリカに回るようにするというのは、かなり、熱い提案だと思いました!
- そもそも世銀の役割ってなに? -
ズーリック氏は、
「世銀は、 『単なる金貸し』ではない!
クライアント(発展途上国)の ニーズに耳を傾け
、問題解決のお手伝いをする 『サービス業者』
である」、ということを強調していました。
その上で、以下の3つを今後の重要課題として挙げました。
- なぜ世銀は、いまだに中国やインドなどの「中進国」のプロジェクトをやっているか? -
このポイントって、最近よくでてくる世銀やIFC批判です。
最近の高成長をかんがみると、 もう中国やインドって、自力で貧困削減していけるだろう
から、世銀がやってることは全部ムダ!みたいな。
ズーリック氏は、世銀が引き続き、「中進国」に関わっていかなければならない理由として、以下の3つを挙げました。
- 世銀と環境問題 -
ズーリック氏は、「環境政策などの大きな枠組みは、国連だとか、各国政府が協議すればいい。世銀は、環境問題の分野では、 現場で汗を流す『ブルーカラー』の労働者でありたい
」と言っていました。
この趣旨が完全に汲み取れたかは自信がないですが、いままで培ったノウハウを生かして、現場に立って政府や企業に実行可能な方策を地道にアドバイスしていこう、という気合の表れでしょうか。
* * *
とても盛りだくさんな講演で、ズーリック氏は、 すごい守備範囲の広い人だなあ
、という印象を受けました
講演や、そのあとの質疑応答でも、 金融、民間セクター、政府のキャパシティービルディング、保健、環境問題、グローバリゼーション、スーダン、バルカン半島、などなど
、有象無象のトピックが飛び交い、
そのひとつひとつのトピックに対して、とてもクリアに答えを返していました。
結構、個人的な感情(や恨みや批判)をまじえた質問をする人も多かったですが、それを 全体の聴衆にrelevantな話題にうまくすりかえつつ、返答するテクニック
など、
さすが、「しゃべりの国」アメリカで上り詰めた人は話がうまいんだなあ、と感心しました。
そして、 貧困問題が有象無象の現象がからんだ複雑な問題であることを謙虚に認識
して、
現場の声に耳を傾けつつ
、「honestyとintegrity」をもって取り組んでいこうとしている姿勢など、好感が持てました。
「 人生一回しかないんだから、できるだけチャレンジングな問題に取り組んでから、死んだほうがいい
」という趣旨のコメントもしてました。
しかも、すばらしいのは、 やりたい方向がものすごくハッキリしている
こと!
世銀は、「サービス業者」で、「ブルーカラー労働者」
なんて、とても必要なことだし、いいコンセプトだと思います。
もちろん、これらのビジョンを実行に移すのは、ただごとではありませんが、
ビジョナリ-な司令官を見て、9月から働き始めるのが、楽しみになってきました。
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