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2014.01.11
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カテゴリ: 小説
ターミナル.jpg



 あの事件以来マスコミも警察も、逮捕した銀行強盗のことよりも、どうして誰も知らぬ間に犯人たちが逮捕される状態に陥ったのか、と言うことばかりを詮索しているようだ。当然警察は犯人たちを尋問したのだが、彼等も「何が何だか分からないうちに動けなくなった」を繰り返すばかりだった。
 それで当然だが警察では、当日四葉銀行に出勤していた行員および同時間に銀行内にいた顧客の全てを捜査対象にすることにした。従って私の会社にも刑事が訪問し、当日四葉銀行にいた私と岡田部長に面会を求めた。刑事たちは丁寧な口ぶりとは裏腹に、その時の状況と私たちの行動を、何度もしつこく聞き取ってから引き揚げた。刑事たちが帰ると、岡田部長は私に向かって「我々は被害者なのに、実に迷惑な話だ!」と大声で怒鳴って、思わず椅子を蹴飛ばしていた。

 それから一週間ほど経過したある日、私は突然岡田部長から転勤命令書を手渡されたのである。本社勤務がかなり長かった私に、転勤命令があること自体は決しておかしな話ではない。だが今日までそれらしい話は全くなく、例の銀行強盗事件があったあと急に決まったと言うのも妙な話ではないか。
 だが社命には背けない。転勤先は鳥取にある小さな子会社だと言う。
 岡田部長が言うには、「鳥取はあなたの実家がある場所だし、先方の子会社で是非あなたに、取締役として腕を振るって貰いたいとの要望があってね。あなたがいなくなると、当面本社の経理はガタガタになるが、今回は会長の意向もあるのでなんとか頑張って欲しい」と型通りの社交辞令をまくしたてると、私に転勤命令書を押し付け、逃げるように立ち去って行った。

(次回に続く)

作:河村 道玄

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最終更新日  2014.01.11 11:52:12
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