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2014.09.21
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IMG_2801.JPG


 こんなことをずっと続けていれば、大人になってもまっとうな人間になれるはずがない。もう手遅れかもしれないが、そろそろひろし君を両親のもとへ返さなくてはならないだろう。

 祖母のたねは、ひろし君の父親である紘一郎と相談して、小学校へ入学するのを転機に、ひろし君を世田谷の梅ヶ丘で和菓子屋を営んでいる紘一郎夫婦のもとに返す決心をしていた。そのことをひろし君に告げると、ひろし君は幼稚園の近くにある小学校に入り、このままたねと一緒に暮らしたいとゴネはじめ、しまいには顔中涙だらけにして、たねにしがみついてきた。

 たねは、そんなひろし君を抱きしめてあげたい。だがそれをぐっと堪えて、「ひろちゃんは、もう小学生になるのだから、お父さんとお母さんや妹の知子と一緒に暮らさなくてはダメよ!」と叱りつけた。ひろし君は悲しかった。だがたねの心中は、もっともっと悲しくて辛かったのである。

 たねだってひろし君と別れて一人暮らしするのは淋しいのだ。でも、いつまでも自分がひろし君を独占していてはいけない。ここでひろし君を親もとに返さなければ、ひろし君は両親と同居する機会を逸し、親子関係にもヒビが入るだろう。また自分にはひろし君を厳しく躾ける自信がない。
 ここは心を鬼にしても、ひろし君のために、両親のもとに返すべきだ。・・・たねは苦渋の決断をせざるを得なかったのである。

作:五林寺隆


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最終更新日  2014.09.21 16:36:17
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