目の変化びと

目の変化びと

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2006年12月20日
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カテゴリ: 物語
物語 12
はじめから読んでみようという人は 物語 1 へ。

右手をズボンのポケットに入れて洞窟の上からこっちをのぞいている人 が、とつぜん呼びかけてきた。

『おーい、キビタキは鳴きましたかー?』

 キビタキ? 鳴くってことは鳥か? 僕はおじいさんに尋ねる。
「キビタキ…」
「なんじゃ?」
「キビタキってわかります?」

 何言ってるんだ? じぃさん、ぼけなのか? まぬけとぼけの会話か? 僕の目のまん前にいるのはじぃさん、あんただろ? ひろしを見ると、ニコニコして二人の会話を聞いている。
「おじいさんの名前、キビタキっていうんですか?」
「人は呼ばれた名になるんじゃよ」
 やはりぼけか?
「どういうことなんでしょう?」
「おぬし、生まれたとき、名前があったかね?」
「それはまあ、生まれる前から親が決めてましたから」
「あほ。そうじゃない。人から、たとえば母親から名を呼ばれるまで、自分の名を知ってたかね?」
 まぬけの次は、あほ、か…
「赤ん坊は言葉を知りませんからね」
「あほ。赤ん坊に向かって名前で呼びかけるのは、その名前にしてしまうためじゃよ。かなしいことに、人は他人に呼ばれた名になってしまうんじゃ」

「おい、あそこだ、どっち見てる! あほ。あっちじゃ」
 じぃさんの視線を追う。
あれですか?  ああ、すごい。みごとな鳴き声ですね」
「ほら、飛ぶぞ!」

「うわっ、すごいすごい」
「おぬし、何をぼやぼやしとるんじゃ! ちゃんと答えてやらんか!」
「え?」
「鳴きましたか、って聞かれたんじゃろ?」
「あ、はい…おーい! キビタキ、鳴きましたよーぉ!」

『ありがとー!』

「どうしてあの人、キビタキが鳴いたかどうかなんて尋ねたんでしょうね?」

「A」(ひろしの言葉)



 さて、今回も、これまで同様、「A」に入れる「ひろしの言葉」を募集します。コメント欄に書きこんでくださいね。先着 1名様の「ひろしの言葉」を採用し、それにある程度合わせて、物語のつづきを書いていこうと思います。
 よろしくお願いします。

 ちなみに物語 13 のはじまりは、ネィルさんに応募していただいた「キビタキは鳴きましたか?」を、「おーい、キビタキは鳴きましたかー?」として採用させていただきました。
 ネィルさん、ありがとうございました。



物語 14 につづきます。





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Last updated  2006年12月22日 06時24分03秒 コメント(2) | コメントを書く
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Comments

ミズナ@ Re:ミズナさんへ(12/10) gaMeさんへ お返事をありがとうございます…
gaMe @ ミズナさんへ 「悟りについて」をおもしろいと言っても…
ミズナ@ Re:悟りについて(その33)(12/10) こんにちは。 「悟りについて」 なんか、…
gaMe @ まちがい けっきょくのところ、この頃(2006年)や…
gaMe @ もがいていた時期 この頃(2006年)書いてた、【私=瞬間ご…
無空無限@ Re:川を渡る(01/06) 幾月か幾年かは存在にまかせて、喜び祝い…
gaMe @ これ書いて、4〜5年経って、思うこと。 こんな文章を自分が書いただなんて、ほん…
gaMe @ 結末を知って見ると… この前(2018年8月19日)見ておもしろかっ…
gaMe @ 約 数 「同じ個数に分けられない(1個ずつは除く…

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