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家庭教師派遣業者の料金システムはは大きく分けて2つあります。1 月ごとにマージンをとるシステム2 家庭教師派遣が決定した時に1回だけにマージンを払うシステム2のタイプの場合には金額もはっきりしていて、初回に払ったお金が全額業者のモノになるというのは皆様ご承知だと思います。しかし、1の方は曲者です。業者に払った額のうち、いくらが業者のモノになるのかご不明な方もいらっしゃるでしょう。そこで、今回は1のタイプの業者のお金の流れについてお話します。今まで私が登録したことのある業者では、以下のようになっていました。業者X(今は倒産)=時給3000円→業者1200円・教師1800円業者P(家庭教師のプ〇〇〇〇)=時給3500円→業者1500円・教師2000円業者F(家庭教師のファ〇〇ー)=時給3000円→業者1500円・教師1500円こんな感じです。大体ご家庭がお支払いになった額の4割~5割が業者のモノになります。私が家庭教師に行った先で、「私は〇〇円頂いています」とお話しすると、大抵のご家庭はビックリされますので、業者の取り分が高いとお考えの方が多いようです。それでも、「家庭教師の研修をしたり、ちゃんと管理しているからお金がかかるのは仕方ない」とお考えかも知れません。しかし、前回申し上げましたとおり、研修をしていないのに、研修をしたと嘘をつかせる業者も有るのですから(業者Pはそのタイプでした)、一概に信用できません。また、業者Fは、「教師とご家庭と何かあっても一切関知しません」と言う態度でした。ですから、よっぽど良い業者を見極めないと、業者に無駄金を支払うことになります。しかも、業者Fは驚いたことに、マージンとは別に「教師管理費」を取り、国立大教師指名料・社会人講師指名料などの様々な名目でお金を取っています。もちろん、こういうお金は教師には一切入りません。このように、ご家庭が支払ったお金の半分くらいが業者に流れています。もちろん、家庭教師派遣業者だって営利企業なのですから、多少のマージンを取ることは当然です。ただ、支払う価値があるのかどうか見極めた上でお金をお支払いになることをオススメします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年01月31日

家庭教師派遣業者の方と話していて気づいたのですが、家庭教師は勉強の習慣の無い生徒さんが申し込むものと思い込んでらっしゃる方が多いようです。ですが、勉強の習慣の無い生徒さんは家庭教師に向いてないと思います。どうも、家庭教師なら教師が家まで来るため、嫌でも勉強するようになるとお考えの方も多いのですが、家庭教師というのは、家庭と教師の都合が合いさえすれば日程変更できるので、いずれ「今日は都合が悪いので…」とズルズル休んでしまうことが極めて多いのです。それに、宿題をやってこなくても、先生とご家庭にしか宿題をしなかったことを知られないため、生徒さんは恥と思わず、宿題を忘れることが平気になってしまいます。ですから、勉強の習慣の無い生徒さんは家庭教師には向きません。勉強の習慣の無い生徒さんに一番向いているのは、少人数の塾だと思います。しかも地元密着型で、塾生に同級生がいる塾が良いでしょう。これならば中々休みづらいですし、宿題を忘れると同級生の前で恥をかかされるので、生徒さんもある程度やる気になります。もし、塾にちゃんと行くか心配だと言う場合には、送り迎えをしてあげれば防犯にもなるので、一石二鳥です。「やる気を引き出すのも家庭教師の仕事のうちだ」とおっしゃる方もいるでしょうが、私は、勉強を教えずに、やる気を引き出す会話をして時給を頂くのは申し訳ないと思っています。さて、では家庭教師を選ぶのに向いている生徒さんはどういう方かと申しますと、勉強はしているのに成績が上がらないと言う方です。こういう方は、今やっている勉強に何か問題があるのはずなので、生徒さん一人と向き合って勉強方法を考える家庭教師が向いています。あとは、やる気はあるけれど何をやって良いか分からないという方も家庭教師向きです。やはり、生徒さんのニーズにあった勉強方法を家庭教師が探してくれると思います。他には、塾のフォローをして欲しいという生徒さんもいらっしゃいますが、これも良い使い方だと思います。塾+家庭教師ですと費用負担が大きいのが欠点ですが、塾と家庭教師のイイトコ取りが期待できるでしょう。ということで、生徒さんによって家庭教師が向いている方・いない方がいらっしゃいますので、生徒さんに合った勉強方法を探してみてください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年01月30日

コメント欄でリクエストを頂きましたので、ちょっと家庭教師をしていて気づいたことを申し上げます。今回は、教材販売付の家庭教師派遣業者(以下、「業者」とします)についてです。まず、当たり前の話なのですが、教材の内容と値段をチェックしましょう。そして、市販の教材や、通信教育と比較してください。市販の教材といっても、ちゃんと教科書に準拠して作っている教材はありますので、業者の教材とあまり変わらない市販の教材が見つかるかも知れません。そんな場合に、高いお金を出して教材を買う必要はありませんので、市販の教材とまず比較しましょう。内容が市販の教材より良くても、次に値段です。進研ゼミやZ会よりも値段が高い場合には要注意です。特に、私の知る限り、進研ゼミの教材は問題・解説共に極めて質が高く、高校受験に関して言えば、教材としては進研ゼミだけで十分だと思います。ちなみに、私が中学1・2年の生徒さんを受け持つ場合、ご家庭から「何か良い教材がありますか?」と聞かれたら進研ゼミをオススメしています。(中学3年生ですと、入試の過去問をオススメします)そして、進研ゼミの受講料は1ヶ月6千円弱で、中学3年分先払いするなら割引込みで20万程度になります。ですから、業者の教材が3年分で20万円を超えるなら、進研ゼミを超える良さがその業者の教材に無い限りは契約しない方が無難です。私が、かつて受け持った生徒さんの中には、3年で三教科40万円とか、五教科で60万とかビックリする値段の教材がありましたが、教材の内容はイマイチでしたね。何でここまで市販の教材や通信教育を強調するかと申しますと、業者によっては教材の高さを「3年間塾に行ったらこれくらいかかりますよ」と誤魔化してセールスすることがあるからです。これは卑怯ですね。塾は当然、教材だけでなく先生がついて教えてくれるのですから、教材の値段と、塾の値段を比較するのは不均衡です。もし、塾と比較するなら、3年分の家庭教師代+教材費を合わせた額と比較しなくてはなりません。と言うことで、教材販売を伴う業者と契約する時には、市販の教材や通信教育との比較をすることを強くオススメします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年01月29日

前回は、家庭教師派遣業者と解約する場合に使える法律についてお話しました。今回は、契約時に使える法律について申し上げたいと思います。まずは、不実の告知の禁止(特商法44条1項)・故意に事実を告げない行為の禁止(44条2項)です。早い話、嘘をついてはいけないし、重要なことを黙っていてもいけないのです。例えば、実際には学生しかいないのに「社会人の教師が教えます」とは言ってはいけないのです。あと、地方だと「〇〇大生だけでやっています」と言うのをウリにする業者がいるみたいですが、もし別の大学生が混ざっていたら特商法44条1項違反です。それと、家庭教師派遣業者の中には、家庭教師に研修なんかしていないのに「研修した」と称している業者がいます。実際、私が登録した業者の中には研修をしていないのに、「2週間の研修を受けたことにしてください」と言ってきたり、簡単なテストをもって研修したことにしている業者がありました。それにもかかわらず、「家庭教師には研修が義務付けられています」なんていうのは、特商法44条1項違反と言うわけです。家庭教師派遣で「故意に事実を告げない」と言うのは、あまり良い例が浮かびませんが、例えば「教材販売はしません」と言っておきながら、家庭教師派遣だけの契約を結んだ後に「実は教材を買わないと家庭教師は派遣しません」と言われるとかが該当するかも知れません。そして、以上の規定(特商法44条1項・2項)に違反するとお客の側には契約取消権が発生します(特商法49条の2)。取消権に基づいて取り消すということは、前回の話とは異なり、契約自体がもともと無効になるので(民法121条)、理論上は、支払った額の全額返ってくるということになります(民法703条)。ただ、実際には全額取り戻すというのは、なんだかんだあって難しいらしいですが、特商法49条の2は交渉上の強力なカードになるはずです。このほかにも、たとえ違反しても取消権は発生していないものの、禁止されている行為があります。一つ目は、困惑させる行為の禁止です(特商法44条3項)。もちろん、民法上でも強迫(「脅迫」ではありません)に至れば契約取消できるのですが(民法96条)、家庭教師派遣業者は、強迫に至らなくても困惑させる行為も禁止されます。例えば、契約するまで帰らないとかがあります。家庭教師の勧誘は夜間にされることも多いので、業者に居座られると大変困惑し、根負けして契約してしまうことがあると聞きます。ですから、もし「契約するまで帰らない」などと言われたら、「特商法44条3項に違反しますから、お引取り下さい」と言ってやりましょう。もし、「特商法って何ですか?」などと言われたら、「特商法も知らない方とは絶対に契約できません!」と言って追い出してください。二つ目は、誇大広告の禁止です(特商法43条)。「絶対に成績が上がる」とか、「この教材は市販されているものよりずっと良い」などとは言ってはいけません。ちなみに、断定表現のみを禁じているわけでは有りませんから、「断定さえしなければ何を言ってもOK」というわけでも無いのです。たまに、この辺を勘違いしている業者さんがいらっしゃいますが、誤りです。ですから、勧誘に来た人が、上記のようなことを言っていたら、契約しない方が無難です。特商法を知らないからです。以上の2つ(特商法43条・44条3項)は、業者が違反しても取消権までは発生しませんが(個人的には、44条3項は取消権を発生させるべきだと思うのですが、取消権を認めた条文が見つかりませんでした。もし見落としがあったら教えてください)、特商法47条に基づく業務停止命令の理由になります。つまり、特商法43条や44条3項に違反すると、業務停止命令を食らいかねないのです。ですから、特商法43条や44条3項に違反されたら、国民生活センター等に相談してみるといいでしょう。契約時には、以上4つの条文が皆様のお役に立てるはずです。家庭教師派遣業者は一杯ありますので、特商法を知らない業者が来たら、直ちに切って、新しい業者を探すか、直接契約の家庭教師を探すことをお勧めします。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年01月27日

私は、法律関係の仕事のみならず、いわゆる直接契約の家庭教師もしております。その際に気づくのは、たいていの方が家庭教師派遣業者で何らかの不愉快な目に遭っていると言うことです。それで、家庭教師派遣業者に懲りてしまい、私のような直接契約の家庭教師にたどり着くと言うパターンをたどってらっしゃるとのことです。特にもめるのは、解約時のようです。もちろん、契約書に解約の手続が適正に定めてあって、契約書通りに解約が進めば良いのですが、契約書の内容が不適正であったり、契約書とは違った解約手続をとられてしまうこともあると聞きます。解約時に私がいれば、何とかして差し上げられたのに…と思うこともしばしばです。しかし、家庭教師派遣の解約は、特商法(特定商取引に関する法律)で規定があります。特商法の規定に反する解約には応じる必要がありません。そこで、今日は特商法に基づく家庭教師派遣の解約方法を申し上げます。まず、特商法が適用される家庭教師派遣には一定の条件があります。と言っても、条件と言うのは支払う額が5万円以上で、契約期間が2ヶ月以上の場合ですから(特商法41条1項1号、同施行令11条1項、同別表別表第五の第一欄、同施行令11条2項)、ほとんどの場合は当てはまるでしょう。結局、「夏休み集中」とか、「3回限定」とか、「1回お試し」等のごく限定された場合には適用されないと思っていただければ良いでしょう。(以下、本日の記事における家庭教師・家庭教師派遣とは、特商法が適用されるものを指すものとします)さて、特商法が適用される場合には、解約はどうなるのでしょうか。まず、契約書を交わしてから8日以内であれば、クーリングオフが出来ます(特商法48条1項)。ただ、家庭教師を解約するのは普通、1回は家庭教師が来てからであって、8日は経過しているでしょうから、クーリングオフだけでは不十分です。そこで、8日を経過しても一方的に解除が出来ます。まあ、解除にすら応じない家庭教師派遣業者はほとんど無く、もめるのは解約金についてです。なので、解約金についても規定があります。初期費用(2万円を上限)(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)+5万円又は1ヶ月分の月謝のうちのいずれか低い額(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)+既に授業を受けた分の月謝(特商法49条2項1号イ)たいていは、既に授業を受けた分の月謝は支払済みだと思うので、どんなに高くても7万円が上限だということになります。教材販売の無い家庭教師の解約については以上で話は終わりです。ただ、教材販売が有る場合、家庭教師自体の派遣よりも、販売された教材の解約で揉めることが多いようです。ですから、教材についても同時に解約することが出来ます(特商法48条2項本文)。では、どの程度返金されるのでしょうか。条文は以下の通りになっています。特商法49条6 関連商品の販売を行つた者は、前項の規定により関連商品販売契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務提供受領者等に対して請求することができない。 一 当該関連商品が返還された場合 当該関連商品の通常の使用料に相当する額(当該関連商品の販売価格に相当する額から当該関連商品の返還されたときにおける価額を控除した額が通常の使用料に相当する額を超えるときは、その額) 二 当該関連商品が返還されない場合当該関連商品の販売価格に相当する額 三 当該契約の解除が当該関連商品の引渡し前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額 大抵は、契約解除と同時に教材も返還しますから、適用されるのは49条6項1号です。(ちなみに、返還しない場合には2号が適用され、教材については返金されません)ということは、通常の使用料分は返金されないということになります。例えば、教材が本の場合、書きこんだらそれで使用したことになりますから、書き込んでしまった本の分はは一切返金されない可能性が高いと言わざるを得ません。(ただ、ルーズリーフ形式の場合は、使用したページ数に応じた返金を交渉する余地があるかも知れません。)ただ、未使用であれば未使用の分については「通常の使用料」が発生しませんので、「使用した教材と未使用の教材はセットなので全てについて返金には応じられない」というのは認められないことになります。以上から、教材販売を伴った家庭教師派遣契約を解約したい場合、返ってこない額は以下の通りです。初期費用(2万円を上限)(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)+5万円又は1ヶ月分の月謝のうちのいずれか低い額(特商法49条2項1号ロ・同別表5の三)+既に授業を受けた分の月謝(特商法49条2項1号イ)+教材の通常の使用料(特商法49条6項1号)ということで、支払った額から以上の額を引いた額が返金されるということです。そして、この額は強行規定であり、たとえ契約書でこれ以上の額が定められていても、守る必要はありませんし(特商法49条2項柱書・6項柱書)、解約についてお客の側に不利な規定も無効となります(特商法48条8項)。つまり、業者が勝手に「違約金30万円」などと契約書に定めていても、守る必要は無いということです。このように、必ずしも業者の言いなりになる必要はありません。特商法を活用して、上手に解約しましょう!また、解約で揉めてしまった場合には国民生活センターが皆様の味方になってくれます。遠慮なく相談してみてください。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。
2008年01月25日

第4章 破産と権利能力・行為能力1 破産者の権利今回は,破産者自身はどうなるのか,お話します。まず,破産者が自然人(個人)の場合,原則として,士業等の公的資格が必要な職業に就くことが出来ない(これを資格制限と言います)こと以外は,法律上の不利益はありません。厳密に言うと,代理人・後見人・後見監督人・遺言執行者にもなれませんが,これらに就いている方はごくわずかなので,気にしなくて良いと思います。しかも,資格制限は復権が認められれば回復するので,一生資格制限されっぱなしというわけではありません。(復権) 第二百五十五条 破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。 一 免責許可の決定が確定したとき。 二 第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。 三 再生計画認可の決定が確定したとき。 四 破産者が、破産手続開始の決定後、第二百六十五条の罪について有罪の確定判決を受けることなく十年を経過したとき。 そのほかの不利益としては,官報に掲載されると言うのがありますが,官報を見るのは,国家試験の合格発表の時くらいであって,普通に生活している分には見ないでしょうから,大した不利益ではないでしょう。また,法律以外の場面での不利益といえば,いわゆるブラックリストに載って,クレジットカードが作れなくなるらしいです。ただ,考えようによってはこれ以上借金できなくなるので,むしろ利益かも知れませんね。このように,公民権がなくなるとか,牢獄に入れられるとか言うのはデマなのでご安心ください。ちなみに,法人の場合は,破産手続開始決定は解散事由になりますが,破産手続終結後,同じ法人を作ることまで禁止されるわけではありません。また、会社法成立により、破産者でも取締役になれることになりました。ということで,破産しても大した不利益はありません。ですから,経済的に行き詰ったら,破産も選択肢の中に入れてください。破産を恐れて,より悪い選択をしてしまうのは避けてください。さて,破産というと,原則としては破産者の全ての財産を清算(換価)して,債権者に配当します。つまり,破産者の財産を,「破産財団」と呼んで破産管財人に管理させ,適宜処分して,配当します。(破産財団の範囲) 第三十四条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。 (破産管財人の権限) 第七十八条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。 しかし,文字通り全部の財産を換価したら,衣食住全てを失い,その日から路頭に迷います。それではあんまりなので,破産者の自由に出来る財産を認めることが出来るとされています(これを自由財産といいます)。(破産財団の範囲) 第三十四条 3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。 一 民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号 に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭 二 差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号 に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項 (同法第百九十二条 において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。 4 裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。 ここで,「差し押さえることが出来ない財産」とは何かと言うと,以下の通りです。全部重要なので,全部引用します。(差押禁止動産) 民事執行法第百三十一条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。 一 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具 二 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料 三 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭 四 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物 五 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物 六 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。) 七 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの 八 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物 九 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類 十 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物 十一 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具 十二 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの 十三 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物 十四 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品 こうやって見ていただければ分かりますとおり,意外と差押禁止動産は多いのです。実際,借家住まいの1人暮らしの人には差押可能な財産はほとんど無いらしいです。また,民事執行法に定められていることでもお分かりいただけます通り,破産に限らず,個別に執行を受けた場合でも同じですので。是非覚えておいてください。ドラマなんかですと,最低限生活できるものをのぞいて一切合財差押えられ,赤紙を貼られていますが,実際はそこまで酷くないということです。例えば,勉強道具や仏壇にも赤紙が張られるシーンがありますが,勉強道具は11号に当たりますし,仏壇は8号に当てはまりますので差押えできません。また,これら以外の物は差押可能とはいえ,所詮中古品ですから,安くしか換価できません。そこで,動産に強制執行されそうになったら,友人に頼み込んで,差押えされる日に差し押さえられた物を買い取ってもらえばいいのです。そして,買い取ってもらった物をそのまま使わせてもらえば良いでしょう。(動産は,わざわざオークションにかけることは少なく,その場で古物商に買い取ってもらうらしいです。そういえば,夜逃げ屋本舗という映画にそういうシーンがありましたね)ちょっと長くなってしまったので,続きはまた次回にしましょう。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。【参考本】倒産法概説この本は、破産法のみならず、民事再生法・会社更生法といった倒産関連の法律を横断的に解説してくれます。破産法・民事再生法・会社更生法を比較して学べます。執筆者は学者の先生ですが、あまり固くなく、比較的読みやすい本です。
2008年01月24日
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第3章 免責普通、破産法の説明を申し上げる時には、免責を一番最後に持ってくるのですが、やはり免責が一番関心をもっておられる方が多いと思いますので、免責を先にご説明いたします。当初申し上げましたとおり,免責は破産手続とは別個のルートで進行するわけですが,やはり破産と言ったら免責です。でも,何故免責制度なんてあるのでしょうか。まず,もし免責制度が無かったら,破産する人は著しく減ります。そうなると,破産者は財産隠しに走りますし,本当に無一文になるまで悪あがきを続けますので,債権者の不利益になります。また,免責制度がないと,破産者は自暴自棄になりかねません。さらに,社会経済的に見ても,破産者が一生借金に追われるより,借金を免責して,新たな気分で働いてもらい,納税してもらう方が良いし,ひょっとしたら新規事業を立ち上げて社会貢献に繋がる可能性もあるのです。最後に強調しておきたいのは,そもそも貸金業者の利息は貸倒れリスク(破産リスク)を計算して設定されているということであり,いわば保険みたいなものなのです。グレー金利を廃止した金融業者の審査が急に厳しくなったというニュースを聞いたことがあると思います。これは,金利30%なら貸せるが20%では貸せないという判断をしているに他ならず,金利が貸倒れリスクを含んでいることの証拠です。ですから,実は貸金業者は破産して免責を受ける人がいることを一定限度見込んでいるわけで,保険と非常に良く似た構造をしています。以上のように,免責制度にはれっきとした意味があり,免責を恥じることはありません。ですから,いざとなったら免責制度をきちんと活用してください。間違っても,生命保険で返そうなんて思わないで下さいね。ただし,免責制度を悪用・濫用することは許されません。そこで,一定の場合には,破産手続が開始しても免責が認められない場合があります。(免責許可の決定の要件等) 第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。 一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。 二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。 三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。 四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。 五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。 六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。 七 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。 八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。 九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。 十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。 イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日ロ 民事再生法 (平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項 に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日ハ 民事再生法第二百三十五条第一項 (同法第二百四十四条 において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日十一 第四十条第一項第一号、第四十一条又は第二百五十条第二項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。 1号は財産の隠匿が特に重要です。隠匿するようなあくどい破産者に免責は認められないというわけです。2号は破産を嫌がって,高金利の金融業者に走ったり,取り込み詐欺をやってしまうことです。「信用取引」というと何か大げさに聞こえますが,クレジット契約も信用取引にあたるのでご注意ください。2号は,あくどい破産者を戒めるというより,2号の行為に走らないようにとどめる意味で規定されていると思います。4号は有名ですね。賭博で作った借金は免責されないと言われるのはこのせいです。ただ,「その他の射幸行為」というのがある以上,賭博でなくても免責されない場合があるということなので,ご注意ください。例えば,ハイリスクな投資は危ないでしょう。浪費というのは皆さんが想像されるとおり,ブランド物に狂う行為が危ないです。5号は財産が無いのにあると見せかけて取引をすることを言います。これは法人なんかでありそうですね。見せ金・見せ手形で信用させて,掛けで物を買ってしまう場合が当てはまりそうです。個人でも信用欄に嘘を書いて借金やクレジットをすると5号に当たるかもしれません。10号は,免責を繰り返すことは認められないということです。ただ,失礼ながら破産者というのは,切羽詰っているのであり,ちょっとでも変なことをしたら免責を認めないというのでは,かわいそうです。特に,2号は切羽詰るとやりがちです。トイチに走るシーンや,クレジットカードで買った物を右から左へ業者に売るシーンはドラマや漫画でよく見るでしょう。ですから,裁判所も破産に至るまでの事情を考慮して,免責を出してくれることがあります。第二百五十二条2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。「夜逃げ屋本舗」など破産を扱ったドラマで,面接の指導までするシーンがあるのは,このためでしょう。面接官を納得させられれば,免責が可能になるので,面接は非常に重要なのです。【送料無料選択可!】夜逃げ屋本舗2 / 邦画応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】倒産法第2版この本は、倒産法の体系マスターとでも言うべき本です。伊藤塾の本らしく、語り口がやわらかくてとっつき易い本です。
2008年01月23日

破産法編第2章 破産手続の流れ前回は,破産法の役割についてお話しました。今回は,破産手続の流れについてお話します。まず,破産手続の申立をします。(破産手続開始の原因) 第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。 2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。 そして申立が認められると,破産手続開始決定がなされます。これは,昔で言う破産宣告なのですが,「宣告」と言うのは印象が悪いのか,改正によって「破産手続開始決定」に変わりました。(破産手続開始の決定) 第三十条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。 (中略) 2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。 なお,申立から決定までに財産隠匿されると困るので,保全手続を採ることが出来ます。(他の手続の中止命令等) 第二十四条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続の中止を命ずることができる。ただし、第一号に掲げる手続についてはその手続の申立人である債権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限り、第五号に掲げる責任制限手続については責任制限手続開始の決定がされていない場合に限る。(以下略)(債務者の財産に関する保全処分) 第二十八条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合には、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、債務者の財産に関し、その財産の処分禁止の仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。 さて,破産手続開始決定がされるとどうなるのでしょうか。いろいろ細かい手続はありますが,大雑把に言うと,破産者の財産を整理し,借金の額を確定し,配当をするのです。破産者の財産を整理する条文はいろいろありますが,代表的なのは以下の条文です。(破産財団の管理) 第七十九条 破産管財人は、就職の後直ちに破産財団に属する財産の管理に着手しなければならない。 借金の額を確定するのは,債権を届け出させ,その債権がいくらか調査し,債権の額を確定すると言う過程を通ります。(破産債権の届出) 第百十一条 破産手続に参加しようとする破産債権者は、第三十一条第一項第一号又は第三項の規定により定められた破産債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、次に掲げる事項を裁判所に届け出なければならない。 (以下略)(破産債権の調査の方法) 第百十六条 裁判所による破産債権の調査は、次款の規定により、破産管財人が作成した認否書並びに破産債権者及び破産者の書面による異議に基づいてする。 (以下略)(異議等のない破産債権の確定) 第百二十四条 第百十七条第一項各号(第四号を除く。)に掲げる事項は、破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内若しくは特別調査期間内又は一般調査期日若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、確定する。 債権確定がなされれば,換価された破産者の財産を,配当します。(配当の方法等) 第百九十三条 破産債権者は、この章の定めるところに従い、破産財団から、配当を受けることができる。 (以下略)そして,配当が終われば破産手続終結決定がなされます。(破産手続終結の決定) 第二百二十条 裁判所は、最後配当、簡易配当又は同意配当が終了した後、第八十八条第四項の債権者集会が終結したとき、又は第八十九条第二項に規定する期間が経過したときは、破産手続終結の決定をしなければならない。 2 裁判所は、前項の規定により破産手続終結の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。 ちなみに,免責は以上のルートとは別個になされます。(免責許可の決定の要件等) 第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。 (以下省略)なお,良く聞く「同時破産廃止」とは,破産手続開始決定と同時に破産手続終結決定がなされることを言います。(破産手続開始の決定と同時にする破産手続廃止の決定) 第二百十六条 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。 「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」と言うのは,つまるところ破産者に大した財産が無い場合をいい,個人破産のほとんどは,同時破産廃止らしいです。さて,次回からもう少し詳しく見ていきましょう。応援していただける方は、下記のバナーをクリックしてください。※私は、アフィリエイトの画像を参考に、店頭で中身をご確認の上、お買い上げいただくのがベストだと思います。あくまで皆様の便宜としてアフィリエイトリンクをご利用ください。【参考本】倒産法第2版この本は、倒産法の体系マスターとでも言うべき本です。伊藤塾の本らしく、語り口がやわらかくてとっつき易い本です。
2008年01月09日
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