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前回は主にねずみ講をしている方たちに向けてお話しました。今回はマルチ商法についてもお話しましょう。マルチ商法は合法ですが、普通の売買と違い大変厳しい規制がなされています。そして、ブログでマルチ商法をしている人たちはおそらくその規制を知らないのではないでしょうか。それではまず、マルチ商法とは何かについてお話します。先日お話しましたが、よりわかりやすいホームページを見つけたのでご覧下さい。→トラブル解決のために必要な法律の基礎知識ご紹介したホームページの中ほどにマルチ商法の定義が載っています。もうちょっと噛み砕くと、1商品・サービスなどを売るために、2金銭が得られることを宣伝し、3金銭を払わせる商法を言います。以前は、マルチ商法と通常の流通とは区別がつきにくいと申し上げましたが、2の有無によってマルチ商法か否かが区別できるでしょう。例えば、「料率○%のアフィリエイト」とか、「日給○円以上可能」とか「お小遣いがたまる」とか言って宣伝する場合はたとえ通常の商法と同じように見えてもマルチ商法なのです。そういえば通常の商法は利益を前面には押し出さず、商品のよさを宣伝しますよね。普通の店では「これを買えば儲かる」と言って商品を宣伝することはありません。「この商品は役に立つ」と言って宣伝します。それで、マルチ商法となるとどういう法律を守らねばなら無くなるのでしょうか。主な物としては特商法(特定商取引に関する法律)です。ここで一番注意しなければならないのは、33条の2です。(連鎖販売取引における氏名等の明示)第33条の2 統括者勧誘者(統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)又は一般連鎖販売業者(統括者又は勧誘者以外の者であつて、連鎖販売業を行う者をいう。以下同じ。)は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、統括者、勧誘者又、一般連鎖販売業者の氏名又は名称(勧誘者又は一般連鎖販売業者にあつては、その連鎖販売業に係る統括者の氏名又は名称を含む。)、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨及び、当該勧誘に係る商品又は役務の種類を明らかにしなければならない。長いですけど、ちゃんと読んで下さいね。まず、マルチ商法は法律上「連鎖販売取引」と呼ばれます。そしてブログでマルチ商法の勧誘をしている人は一般連鎖販売業者にあたります。自分は「業者」なんて大げさな物ではないと思うかもしれません。しかし、法律上「業者」とは統括者又は勧誘者以外の者であって、連鎖販売を反復継続する意思で行う者を言います。ブログで勧誘行為をすれば反復継続する意思があるといえるので、ブログで勧誘している人は「一般連鎖販売業者」となります。つまり、商材購入のみで満足し勧誘行為は行わないという例外の場合ををのぞき、マルチ商法に参加しただけで特商法を守らねばならなくなります。普通、マルチ商法に参加すれば、自らも宣伝・勧誘行為をするからです。さて、マルチ商法を宣伝・勧誘する人はどんなことを守らねばならないのでしょうか。大雑把に言って1氏名の公表と、2商品・サービスの明示です。ブログで勧誘している人はこの2つを守っていますか?もし守っていなければ法律違反です。「でも、氏名の公表が無いから摘発されたなんて話を聞いたことがない」とおっしゃるでしょう。実際私も聞いたことはありません。というのも、従来、マルチ商法の勧誘といえば昔の同級生などの知り合いを勧誘するのが定石でした。つまり、氏名は当然公表されており、誰も氏名の公表義務違反はしていなかったのです。また、インターネット経由で勧誘する場合も電子メールが主で仮に氏名の公表義務違反をしても証拠が無く、摘発しようが無かったのです。しかし、ここ1年足らずで急にブログを使って勧誘する手段が盛んになり、氏名の公表義務が問題になってきたのです。ブログの場合は氏名の公表をしているかどうかは証拠として残りやすく、今後摘発される可能性は十分にあります。摘発第一号になりたくなければ、腹をくくって氏名の公表をするか、マルチ商法の勧誘を止めるか二つに一つです。また、商品・サービスの明示もしていない方が多いように見受けられます。(法律上、サービスは「役務(えきむ)」と呼ばれます)ろくな説明もせずに登録ページに飛ぶようにした文章を書いていませんか?ちゃんとどんな商品・サービスを介在させるのか書かなくてはなりません。また、商品・サービスの明示だけでなく、他にもブログ等に書かなくてはならないことがあります。35条をご覧下さい。(連鎖販売取引についての広告)第35条 統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について広告をするときは、経済産業省令で定めるところにより、当該広告に、その連鎖販売業に関する次の事項を表示しなければならない。1.商品又は役務の種類2.当該連鎖販売取引に伴う特定負担に関する事項3.その連鎖販売業に係る特定利益について広告をするときは、その計算の方法4.前3号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項《改正》平11法160《改正》平12法120《改正》平16法0442 前項各号に掲げる事項のほか、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者は、その統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について電磁的方法により広告をするとき(その相手方の求めに応じて広告をするとき、その他の経済産業省令で定めるときを除く。)は、経済産業省令で定めるところにより、当該広告に、その相手方が当該広告に係る統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者から電磁的方法による広告の提供を受けることを希望しない旨の意思を表示するための方法を表示しなければならない。書かなくてはならないことが多いですね。段々、マルチ商法をするのが嫌になってきたかもしれません。その場合、クーリングオフが出来ます。その期間はマルチ商法について書面交付を受けてから20日間です。しかも、金銭の下限はありません(40条以下)。クーリングオフというと、期間は一週間で、3000円未満は不可とか、2万円以下は不可とか言うイメージがありますが、マルチ商法にかぎっては、期間は20日で、たとえ1円の商品でもクーリングオフ出来ます。ここで、「書面の交付を受けていない場合はどうなるの?」とお考えの方も多いでしょう。その場合は、いつでもクーリングオフ出来ます。商品・サービスを受け取ってから20日ではないので、安心してクーリングオフしてください。ところで、クーリングオフできるという事は、情報商材を使ったマルチ商法はどうなるんでしょうね・・・?参考ページ北海道経済産業局応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月31日
近頃、ネットビジネスが次々閉鎖しているようです。その理由をご存知ですか?警察などの公的機関に摘発・改善命令を出されているからです。「逮捕されたんじゃないから大したこと無いな」とお考えかもしれませんが、それは違います。普通、警察には民事不介入の原則があって刑事法上違法でないかぎり何も出来ません。その原則がありながら、改善命令を出すということは、その改善命令を受けたビジネスは違法だということなのです。それと、日本の警察は重大事件でない限り、まず「あなたの行為は違法だから止めなさい」と注意を促し、その注意に従わないと逮捕するということが多いのです。つまり、注意を受けた時点で違法だということなのです。さて、どうですか。今まで参加していたビジネスが突然閉鎖した場合は、そのビジネスが違法だった可能性があります。そして、違法なビジネスに参加しただけで違法ですから、そんなビジネスに参加していたあなたは違法行為をしていたことになるのです。「今まで利用していた○○が閉鎖して悲しいです」なんてブログに書くと「私は今まで違法なビジネスに参加してたかもしれません」と告白するような物です。悲しいなんていう前に、自分が違法行為をしていなかったかどうか調べた方がいいですよ。ひょっとしたらあなたも芋づる式に摘発されるかも・・・。また、「当ビジネスは改善命令を受け、命令の通りに改善いたしました。よって当ビジネスはもはや違法ではありません」と能天気なことを言っているビジネスがあります。もちろん、改善命令を受けてその通りに改善すれば違法とはいえなくなります。しかし、逆にいうとそれまでは違法行為をしていたことになります。ということは主宰者は大変法律に疎いということです。そんな人が主宰するビジネスは今後も違法行為をする可能性が高く、安心して参加できません。いつ主宰者が違法行為をするかわからないからです。そんなビジネスに参加したいですか。また、一度改善命令を受けたということは、いわば当局にマークされたことになります。そんなマークされたビジネスに参加したいですか。少なくとも私は参加したくありません。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月28日
以前、司法修習生が逮捕されたと申し上げましたが、アリバイがあることを理由に釈放されました。つまり、逮捕された方が犯罪をしたという証拠が無いために釈放されたのですから、実質的には無罪と言っていいでしょう。(本来はニュースソースを張るべきですが、釈放されたにもかかわらずニュースでは実名が公表されていますのであえて張りません)よかったですね。逮捕された方はたまった物ではないでしょうが、一日も早くこのことを忘れ、立派な法曹になっていただきたいです。このことからもわかりますとおり、逮捕というものがいかにあやふやな物かお分かりでしょう。逮捕は怪しいと警察に思われただけで出来てしまう物なのです。刑事訴訟法編の初めの方で申し上げましたとおり、逮捕=犯罪者ではありません。裁判で有罪確定となって初めて犯罪者となるのです。もちろん、逮捕制度自体が捜査にとって必要なのはわかります。しかし、逮捕されただけで犯罪者扱いする今の風潮は刑事訴訟法の理念に反しています。せめてこれを読んでくださる皆様だけでも逮捕=犯罪者という発想を捨てていただきたいと思います。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月26日
民法家族法編 第2章 相続分野8遺留分前回は遺言書のお話をしました。そして、原則として、遺言書があれば法律に関係なく財産を相続させることが出来ます。とすると、困ることがあります。例えば、妻子ある清水君が死亡し、その遺言書に「財産は日本赤十字社に全部寄付する」とあったらどうでしょう。遺言をそのまま解釈すると、妻子は財産の一切合財を失い、無一文で路頭に迷う羽目になります。さすがにそれは妻子にかわいそうですね。そこで、たとえ遺言に書いてあっても一定の財産を得られるようにしてあります。それが「遺留分(いりゅうぶん)」です。第千二十八条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。 一 (略) 二 その他の場合には、被相続人の財産の二分の一 つまり、遺言に何が書いてあろうと法律で定まった分の半分が受け取れるのです。例えば、妻子ある清水君が死亡してその遺言書に「財産は日本赤十字社に全部寄付する」と書いてあろうとも、妻子は一定の額を受け取れるのです。これで妻子が無一文で路頭に迷うことはなくなります。また、清水君には2人の子供がいましたが、清水君は長男だけをかわいがり、次男には冷たくあたっていました。そこで、清水君が遺言書に「財産は全て長男に譲る」と書いたとします。この場合、長男しか財産を受け取れないようにも思えます。しかし、次男は遺留分を主張して一定の財産を手に入れることが出来るのです。遺留分はあまり知られていないような気がします。しかし、遺言が自分に不利に書いてあっても諦めず、遺留分を主張してください。以上で、民法家族法編は終了です。お疲れ様でした。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月25日
民法家族法編 第2章 相続分野7遺言書今までは遺言書が無い場合についてお話しました。しかし、ドラマなんかでは遺言書が出てきて大騒ぎとなるシーンが良くあり、皆さんにとっては遺言書による相続の方がなじみがあるかもしれません。まず、遺言書の内容は基本的に自由です。故人の自由に遺言が出来ます。ですから、遺言書がある場合には相続分でもめることはあまりありません。しかし、内容が自由に定められるからこそ、その遺言がちゃんとした物なのかが大変問題になります。そこで、法律も遺言書の形式について定めてあります。第九百六十条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、これをすることができない。 まず、法定の形式に従わなければ遺言は出来ません。もし、形式に従っていない遺言が有ればただの覚書です。第九百六十一条 満十五歳に達した者は、遺言をすることができる。 遺言は15歳から出来ます。契約が単独で出来るのは20歳からでしたが、遺言の場合はそれより幼くても良いのです。そもそも、未成年者が契約を単独で行えないのは、未成年者が変な契約をして不当に財産を失うのを防ぐためでした。しかし、遺言の場合は、遺言の効力が発生したときには遺言者は既にこの世に亡いことになります。遺言者がこの世にいない以上、遺言者の財産が不当に失われると言う事態を想定する必要がないから多少幼くても遺言を認めてあげるべきなのです。第九百六十八条 自筆証書によつて遺言をするには、遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。 ○2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれを署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。 まずは最もポピュラーな遺言である自筆遺言書です。日付け・氏名と印が必要で、全て自筆であることが必要です。つまり、ワープロなどで印字することは原則として無効になってしまいます。というのも、全部自筆であれば筆跡から偽造かどうかがわかるので、全て自筆が求められます。第九百六十九条 公正証書によつて遺言をするには、次の方式に従わなければならない。 一 証人二人以上の立会いがあること。 (以下略)次に公正証書遺言です。公証役場という公的な機関で作られる遺言です。これだと偽造の可能性がほぼ0%になるので、絶対に自分の遺言は偽造されたくないと考える方はこの手段をとることがあります。ただし、公正証書遺言も自筆遺言も効力は同じで、一番新しい遺言で前の遺言を破棄出来ます。つまり、公正証書遺言をしたあと、自筆遺言で「前につくった公正証書遺言を破棄し、新たに遺言する」と書けば、新たに作った自筆遺言が有効になります。第千二十二条 遺言者は、何時でも、遺言の方式に従つて、その遺言の全部又は一部を取り消すことができる。 以上が通常の場合の遺言です。しかし、人間いつ最期を迎えるかわかりません。遺言をしないまま、死んでしまうことは無念です。そこで、法律もそんな万一の場合に備えて、死にそうになった場合には緩やかな方法で遺言が出来るように定めています。第九百七十六条 疾病その他の事由によつて死亡の危急に迫つた者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもつて、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合には、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。 ○2 (略)○3 (略) ○4 前三項の規定によつてした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力がない。 ○5 家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。 イメージとしては、重病患者が突然危篤になった場合を想定してください。そんなときに、患者は一々自筆で遺言など残せません。そこで、証人が3人以上いれば口伝えで遺言出来ることにしています。目の前の人が死にかけていると、「喋らずにじっとしていて下さい!」と言いたくなってしまいますが、ちゃんと聞いてあげるようにしてください。ひょっとしたらどうしても遺言しておきたいことが有るのかも知れないのです。無念のまま逝かせる事はあまりにかわいそうです。ちなみに、なぜ3人も証人が必要なのかはお分かりですか。もし、一人だと捏造される恐れがあるからなのです。よく時代劇で、兄弟の派閥間で世継ぎ争いをしているさなかに殿様が危篤になるシーンが有ります。そんな時、ある派閥の一方が殿様の枕もとで「殿、お世継ぎは?」と聞いて、殿様は喋れるはずも無いのに「わかりました。お世継ぎはご長男様ですな」と自作自演することがあるシーンをご覧になったことがある方は多いでしょう。そういうような自作自演で遺言が捏造されないように証人は3人必要なのです。こんな場面はめったに無いですが、万一遭遇したら故人のためにちゃんと遺言を聞き取って上げてください。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月23日
民法家族法編 第2章 相続分野6承認・放棄相続においては、通常は土地や財産を得られますから相続を承認するのが普通です。第九百二十条 相続人が単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。 当たり前じゃないかと思うかもしれません。しかし。もう一度条文をご覧下さい。「権利義務を承継する」となっていることにお気づきですか。相続と言うのは財産を得るだけでなく、死んだ人の義務も得てしまうのです。ということは、もし死んだ人が借金を背負っていたらその相続人は借金を背負ってしまうのです。死んだ親の借金は子の借金ということになります。それでいいじゃないかとお考えかもしれませんが、親は子の知らないところで借金できるのですから、自分の知らないうちに借金が増えていくのではたまったものでは有りません。なので、借金を背負わないようにする方法があります。それが、相続の放棄です。第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初から相続人とならなかつたものとみなす。 このように、相続の放棄をすれば自分は相続人でなかったことになり、借金を相続させられることはなくなります。ただし、いつまでも放棄が出来るとすると借金取りは誰に請求したらいいのか分からなくなりますので、放棄については時間制限があります。第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があつたことを知つた時から三箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。「相続の開始」を知ってからから3ヶ月以内に相続放棄の手続をしなくてはなりません。そして相続は財産をもった人が死亡した時に開始されますから、ほとんどの場合財産をもった人が死亡したことを知ったときから3ヶ月以内に相続放棄をしなくてはなりません。もししないと、相続を承認したことになり、財産と同時に借金も相続したことになります。ここで注意していただきたいのは、借金の存在を知ってから3ヶ月以内ではないということです。あくまで死亡を知ってから3ヶ月以内なのです。とすると、実際に次のような事件が起こりえます。例えば、妻のある清水君が500万円の遺産を残して死亡しました。残された妻は泣く泣くも清水君の財産を相続して、新しい生活をはじめました。ところがその3ヵ月後、突然、蒲原達樹がやってきて、「清水君に1000万円貸していた。そこで、相続を承認した清水君の妻よ、1000万円返してくれ」と言ってきたのです。清水君の妻は借金があることを知らなかったばかりに相続放棄の手続をとらなかったため、1000万円の借金を背負ってしまいました。つまり、差し引きでマイナス500万円となってしまったのです。どうでしょう。清水君の奥さんはかわいそうですね。「相続放棄をすればいいじゃないか」とお考えの方もいるでしょう。しかし、蒲原が登場した時期をご覧下さい。清水君の死亡から「3ヵ月後」なのです。そう、相続放棄の時間制限をすぎており、もはや清水君の奥さんは相続放棄したくてもできなかったのです。もし、借金があることを知っていれば相続放棄をしてプラスマイナス0円に出来たのに、相続放棄をしなかったのでマイナス500万円となってしまいました。蒲原がもっと早く登場していれば、清水君の奥さんは相続放棄出来たのに・・・。あれ?蒲原はもっと早くに請求できなかったのでしょうか。実は、蒲原は相続放棄されたくないばかりにあえて3ヵ月後に現れたのです。別に清水君の死亡を知ったのがたまたま3ヵ月後だったのではありません。借金取りからすれば、相続放棄されるとお金が返ってこなくなる危険があります。なので、借金取りとしては、相続放棄をせず、相続を承認した上で相続人に借金を払ってもらいたいと考えるのです。ですから、借金取りはあえて相続放棄の時間制限内には登場せず、相続放棄の時間制限がすぎてから登場するのです。そうはいっても、遺族からすれば知らなかった借金を突然払わされるのですから、非常に困ります。そこで、判例(最高裁昭和59年4月27日判決 )によりますと、借金の存在を知らないことに相当の理由があれば借金の存在を知ってから3ヶ月となる場合があります。しかし、「相当の理由」という抽象的な文言でお分かりの通り、実際にはどうなるか分からないというのが実情です。ですから、家族の死亡で悲しんでいる時にまた心労の種が増え、ご遺族の心労は計り知れない物になります。とすると、自衛するほうが現実的かもしれません。つまり、万一これから皆さんのご家族に不幸があった場合は、大至急隠れた借金が無いか調べるようにしてください。大変お辛いとは思いますが、3ヵ月後にもっと辛い思いをすることが無いように借金の有無はお調べください。また逆に今、借金をなさっている方は、ちゃんと借金の明細を残しておくことです。たとえ家族にいえない借金だとしても、せめて遺言書と一緒に借金の明細を残しておいてください。死亡直後に借金が明らかになれば、ご遺族に相続放棄の道があり必要以上にご遺族に苦労をかけることはありません。しかし、相続放棄できなくなってから借金を背負わされたのでは、ご遺族に不要な苦労をかけます。どうか、自衛手段をとるようにしてください。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月14日
今どきねずみ講をやっている人などいなくなったと思っていました。(だからDネットのようなマルチ商法が流行るのだと思ってました)しかし、楽天広場のネットでお小遣いを稼ぎたい!というテーマで日記をお書きになっている方の中には明らかにねずみ講をやっている方がいます。そこで、今一度ねずみ講そのものにスポットを当ててみたいと思います。ねずみ講は違法行為であり、刑事罰を受けますので、絶対にやらないで下さい。念のため申し上げますが、いくら名前がねずみ講っぽくなくても実質的に見てねずみ講なら当然違法です。では、まず条文をどうぞ。ねずみ講は「無限連鎖講防止法」で禁止されています。法律上、ねずみ講は無限連鎖講(むげんれんさこう)と呼ばれます。(定義) 第2条 この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。 条文が長くて嫌になってしまうかもしれませんが、ちゃんとお読みください。違法行為かどうかの分かれ目なのです。大雑把に言うと、1、加入時に金品の提供を求められる。2、加入後は2人以上勧誘することが求められる。と言う2つの条件を満たせばねずみ講である可能性が極めて高いと思って頂いて結構です。そして、ねずみ講は自分が主催者になることはもちろんのこと、加入、勧誘も禁止されています。(無限連鎖講の禁止) 第3条 何人も、無限連鎖講を開設し、若しくは運営し、無限連鎖講に加入し、若しくは加入することを勧誘し、又はこれらの行為を助長する行為をしてはならない。 つまり、自分が加入することは当然のこと、ホームページやブログで勧誘する行為も禁止されています。例えば、ブログで「入金報告!」などと書けば、自分が加入していることを自ら告白しているに等しく、いわば「私は犯罪をしています」とブログを使って全世界に公表しているようなものなのです。あるいは、ブログで「いいビジネスです。今すぐ加入を!」等と書けば勧誘行為に当たります。これも処罰対象です。そして、以上の違法行為に該当した場合は、刑事罰が課されます。(罰則) 第5条 無限連鎖講を開設し、又は運営した者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 第6条 業として無限連鎖講に加入することを勧誘した者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。 加入すれば勧誘することがほとんどでしょうから、たいていの場合、第6条にあたり、1年以下の懲役または20万円以下の罰金です。何だ軽いじゃないかとお考えの方もいるでしょうが、何にせよ前科一犯です。あなたはお金に目がくらんで前科者になりたいですか。ここで、「業として」という文言から、「自分は別に仕事としてねずみ講をしているんじゃない。片手間にやっているだけだ」と言う方がおられるかもしれません。しかし、法律で「業として」というのは「反復継続する意思をもって」と言う意味です。つまり、ある程度反復継続して勧誘するつもりであれば、1回勧誘しただけで「業として」勧誘したことになります。ですから、誰か別人に勧誘を強要されたような例外的な場合で無い限り、「業として」勧誘したことになります。でも、主催者から「弁護士に聞いたところ違法でないという説明を受けた」とか、「警察の担当者から違法でないという説明を受けた」という話を聞いたとおっしゃるかもしれません。しかし、それは本当のことでしょうか。一体どの弁護士会に所属されている弁護士先生がおっしゃったのでしょうか。どの部署に所属されている警察の方がおっしゃったのでしょうか。はっきりしませんね。ですから、頭から信じるわけには行きません。また、万一本当だとしても違法性がなくなるわけではありません。裁判所はこのような判断をしています。お札そっくりなサービス券を作ろうとして、警察署に相談に行ったとしても、自己の行為が積極的に許されるとの回答を得たわけではなく通貨を摸造したサービス権を配布した際に積極的な警告を受けてなくても処罰する。(最決昭和62年7月16日)つまり、警察が公式見解などで「○○というビジネスは合法である」と積極的な評価をしない限りは処罰される可能性があるということです。弁護士や、警察の担当者の言葉程度では違法性が消えないのです。でも、自分のビジネスは商品が介在しているからねずみ講じゃないとお考えの方もいるでしょう。確かに原則としては、商品が介在していればねずみ講にはならず、マルチ商法として合法になります。しかし、その商品に実質的な価値は無いか払った額に見合った価値が無いと判断されればねずみ講になります。(最決昭和60年12月12日)目安としては、自分の得た商品と払ったお金を比べて、もしその商品がお店でその値段で売っていたら、自分以外の他人は買うかどうか考えてください。そして、この値段じゃ他人は買わないなと思えばねずみ講になる可能性が高いということです。また、ここでも「弁護士がマルチ商法でありねずみ講ではないといった」とか、「警察担当者がねずみ講ではないといった」としても無意味であるのは前記のとおりです。さて、ここまで読んで自分の行為が違法ではないかと怖くなってきた方もおられるでしょう。そんな場合、どうすればいいのでしょうか。まず、直ちに参加組織から脱退し、ホームページで勧誘行為をしていたらそのページを削除し、謝罪文を載せた上で、弁護士の先生に相談すべきでしょう。弁護士には守秘義務があり、相談に行ったその場で警察を呼ばれて逮捕されると言うことはありません。なので、最善の策を教えていただくために、弁護士の先生のところへ相談に行くことをお勧めします。では、ご友人が違法行為をしていると分かった場合はどうすればいいでしょうか。一つは刑事告発するのも手ですが、さすがにそれは友人としてできないでしょう。なので、「このままだと警察に捕まるし、多くの人に迷惑をかける」ということを説いてあげてください。このページを丸々コピーしてご友人に見せてあげてもかまいません。また、たとえ以上の事柄に引っかからず、合法だといえそうな場合でも、1人につき2人以上を勧誘するビジネス全ては早晩行き詰まります。普通、一度加入した人は二度と加入しないからです。そういえば、近頃やたらと「新しいビジネスが始動!」とか、「先行登録開始」とかいう迷惑メールを見かけませんか?あれらはひょっとしたら既に行き詰まったネットビジネスが名前を変えて新規登録者を求めているのかもしれませんよ。「早めに登録してよかった」と思っているのはあなただけで、実際は再び騙されているのかもしれません。うまい話など黙って飛び込んでくるはずが無いのです。私のページを応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月12日
民法家族法編 第2章 相続分野5 相続分(2)例外の場合死んだ人には子供は居なかったが、孫がいた場合はどうでしょうか。<図>死んだ人 | 子(既に死亡) | 孫前回、相続ができるのは配偶者、子、子がいなければ死んだ人の父母、死んだ人の父母もいなければ死んだ人の兄弟姉妹だと申し上げました。そうすると、孫は相続できないようにも思えます。しかし、これでは不都合でしょう。というのも孫は普通、子に扶養されています。ある人が死んだ場合、子がいれば子が財産を相続し、孫はその子が相続した財産で扶養してもらえます。しかし、子だけが相続できるとすると、ある人が父母なくして死んだ場合、子が既に死亡していると当然子は相続できません。とすると、財産は死んだ人の兄弟姉妹に行ってしまいます。そうなると、孫は死んだ人の財産で扶養してもらうことが出来なくなります。孫にとっては自分の親が死んでいて財産状況が厳しいのに踏んだりけったりです。そこで、そんな不都合を防ぐために孫にも財産が行くようにすることになっています。これを「代襲相続(だいしゅう・そうぞく)」と言います。第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。 ○2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、(中略)、その者の子がこれを代襲して相続人となる。「被相続人」とは、死んだ人のことです。死んだ人の財産を相続する人を「相続人」と言いますから、死んだ人は相続される側となりますので、「被相続人」と呼ばれます。そして、「○2」というところをご覧下さい。今ご説明したことが条文に書かれていることをわかっていただけると思います。次に、いくら子供に相続権があるからといって子供が意図的に親を殺害したらどうなるでしょうか。あるいは、自分の取り分を増やそうと兄が弟を殺害したらどうなるでしょう。感覚的に相続させるわけには行かなくなるでしょう。そこで、法律もそんな子供には相続させることを認めません。第八百九十一条 左に掲げる者は、相続人となることができない。 一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位に在る者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者 しかし、これだけでいいでしょうか。例えば、サスペンスでありがちな場面として、三人兄弟のうち長男が次男を殺害したとします。ところが、三男は自分の相続分が増えたのでむしろ長男の行為を歓迎し、特に警察には言いませんでした。いくら三男は自分が手を下したわけではないとはいえ、こんなあくどい三男を許すわけには行きません。そこで、自分が手を下していなくても殺害を知って黙っている場合には相続できなくなります。第八百九十一条 左に掲げる者は、相続人となることができない。 二 被相続人の殺害されたことを知つて、これを告発せず、又は告訴しなかつた者。但し、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であつたときは、この限りでない。 また、故意に自分に有利な遺言書を書かせた場合もやはり相続させるわけには行きません。法律もそのように定めています。第八百九十一条 左に掲げる者は、相続人となることができない。三 詐欺又は強迫によつて、被相続人が相続に関する遺言をし、これを取り消し、又はこれを変更することを妨げた者 四 詐欺又は強迫によつて、被相続人に相続に関する遺言をさせ、これを取り消させ、又はこれを変更させた者 あと、自分に不利な遺言が書かれたことを隠す行為も禁止されています。第八百九十一条 左に掲げる者は、相続人となることができない。五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者 ただし、相続させたくない場合は以上の事柄に限定していいのでしょうか。例えば、家庭内暴力をする息子などには相続させたくないですが、殺されない限りは法律に当てはまらず、相続されてしまいます。そこで、自らの意思で相続を封じる手段が必要です。それが「廃除」です。第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があつたときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。 このように家庭裁判所に廃除の請求をして、その請求が通ると廃除された人は一切相続できなくなります。皆さんもあまり親不孝していると廃除されてしまうかもしれませんよ。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月11日
民法家族法編 第2章 相続分野5 相続分(1)通常の場合ちょっと別の話題をしていて、本来の民法編の更新が遅れてしまいました。期待しておられた方、申し訳ございません。さて、皆さんが一番お知りになりたいところですね。まずは条文をどうぞ。第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、左の規定に従う。 一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。 二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。 三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。 四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。但し、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。 まず、一というところからご覧下さい。死んだ人に子供がいる場合は、相続財産は全て子供と配偶者で分けられます。その割合は、配偶者2分の1で、のこりの2分の1を子供の数で頭割りします。ただし、子供に非嫡出子が居れば嫡出子と非嫡出子の割合が1:2になるように頭割りされます。また、子供が既に死亡していても孫が居れば財産が孫に行きます。(これは後日お話します)例えば、清水君が600万円の財産を残して死亡したとします。そのとき、清水君には配偶者と子供3人が居ました。この場合、配偶者には600万×2分の1で300万が行きます。そして残った2分の1の300万を子供3人で頭割りします。この場合は3人なので300万÷3で子供1人あたり100万円が行きます。しかし、もし子供の内1人が非嫡出子だった場合、嫡出子の相続額:非嫡出子の相続額=2:1になるようにしなくてはなりませんから、嫡出子一人当たり120万、非嫡出子一人当たり60万と言うことになります。次に、死んだ人に子供や孫が居なくて、死んだ人の親が生きていた場合、相続財産は全て配偶者とその死んだ人の親で分けられます。その割合は、配偶者3分の2で、のこり3分の1を親で分けます。例えば、清水君が600万の財産を残して死んだとします。そのとき、清水君には配偶者と父親が居ました。この場合、配偶者には600万×3分の2で400万が行きます。そしてのこり3分の1の200万が清水君の父親に行くのです。では、死んだ人に子供や孫も親もいなかった場合、もし兄弟姉妹が居れば配偶者と兄弟姉妹で財産を分けます。その割合は配偶者が4分の3で、のこり4分の1を兄弟姉妹で分けます。例えば、清水君が600万の財産を残して死んだとします。そのとき、清水君には配偶者と姉と妹が居ました。この場合、配偶者には600万×4分の3で450万が行きます。そしてのこり4分の1を姉と妹で頭割りしますから150万÷2で75万ずつ姉と妹がもらいます。以上が相続の原則的な場合です。次回は相続の例外的な場合をお話します。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月09日
以前とりあげた、業務マニュアル販売を利用するマルチ商法のDネットについて、また動きがありました。まず一つは、業務マニュアルに添付されていた情報集のみを販売し始めたのです。これは、おそらく「マルチ商法(=合法)の形をとっていても、商品が無価値であれば、違法なねずみ講となる」という判例をクリアするためでしょう。Dネットは建前上、業務マニュアルを売買するマルチ商法だからこそかろうじて合法だったのです。その業務マニュアルが無価値だとなれば商品を介在しないねずみ講となり、違法になってしまいます。そこで、業務マニュアルに添付された情報集を別個に販売し、少しでも売れれば「ほら、情報集に価値を認める人がいるから、情報集は無価値物ではない。そして無価値物でない情報集が添付されている業務マニュアルも無価値物ではなく、業務マニュアルを売買するDネットは合法である」と言いたいのでしょう。建前としてはそうですが、裏を返せばそういう手段をとらないとねずみ講になってしまう可能性があると主催者ですら思っているのがDネットなのです。このような組織に貴方は参加したいですか?ちなみにDネットの情報集は、ネット上で公開されていますので、興味がある方は調べてください。もう一つは、「所轄の警察に尋ねたところ、合法と言う答えを得た」ということです。まず、そもそもどこの警察に尋ねたのか良くわからないので正直言って本当かどうか疑問です。よくねずみ講の勧誘に書いてある「弁護士に尋ねたら合法だと言われました」というのと大差ないような気もします。また、仮に本当だとしてもDネットには近づかない方がいいです。実は、公式見解で「合法」という言質を頂かない限り、処罰される可能性は残るからです。裁判所は以下のような判断をしています。お札そっくりなサービス券を作ろうとして、警察署に相談に行ったが、自己の行為が積極的に許されるとの回答を得たわけではなく通貨を摸造したサービス権を配布した際に積極的な警告を受けなかったとしても処罰する。(最決昭和62年7月16日)いかがでしょう。確かに、Dネットの言う「合法といわれた」と言うのが積極的に許されたという意味であれば処罰されることはありません。しかし、「違法ではない」とか、「今すぐ検挙する物ではない」とか消極的な回答であっても「合法と言われた」と表現することはありうることで、もしそうであれば、後に処罰される恐れは十分あります。そして一回でも警察に相談に行ったことがある方はご存知でしょうが、社会通念上あまり褒められた行為ではない事柄に対して相談をすると「違法ではない」とか、「積極的にどうぞやってくださいとは言えないが、検挙する物でもない」とか言われる物です。私も昔、サイクリングしている時にキャンプ場が見つからなかったので、警察に行って「近くの○○公園で野宿してもいいですか」と聞きに行ったところ、「良いとは言えないが、今日だけ目をつぶっておくよ」と言われたことがあります。つまり、Dネットの言う「合法といわれた」というのも積極的に許されたわけではなく、消極的に言われただけに過ぎない可能性があると考えられます。ですから、警察の公式見解で「Dネットは合法です」と言われない限り近づかない方が無難です。このように、たとえ「弁護士が言った」「警察が言った」と書いてあっても、それが免罪符になるわけではありません。何となく違法な気がする物には近づかない方がいいでしょう。
2005年01月08日
先日、司法修習生が女子トイレを盗撮したとして逮捕されました。が、1月26日にアリバイがあるとして釈放されました。つまり、無罪同然となったわけです。よかったです。釈放された方はこのことを忘れて、立派な法曹になっていただきたいと思います。しかし、以下の記事は逮捕された方の名誉を傷つける物ではありませんので、削除は致しません。盗撮はどう処罰されるのかお分かりいただくために公開を続けたいと思います。刑事訴訟法の理念上、裁判が確定するまでは犯罪者では有りませんから、事件の内容を詳しくは書けません。ところで、盗撮したのが理由なのに、逮捕容疑は建造物侵入だったことにお気づきですか。「強制わいせつ罪」ではないかと思った方もおられるでしょう。強制わいせつは、暴行または脅迫が必要です。つまり、被害者に対して直接働きかけなければ強制わいせつにはなりません。盗撮の場合、被害者は何も気づいていないことが普通ですから、強制わいせつにはならないのです。しかし、のぞきの罪ではないのかと思った方もおられるでしょう。確かにのぞきの罪というのはあります。ただ、のぞきとはリアルタイムで見ることを指すことが多いのだそうです。直接隠れて見るとか、望遠レンズで遠方から見ることを指し、カメラを仕掛けてあとから見ることはのぞきの罪にはあたらないとの事なのです。また、仮にのぞきの罪にあたるとしても軽犯罪法違反にすぎません。軽犯罪法第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。 二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者 そして、建造物侵入は建物の管理者が立入りを禁止する場所に立ち入るだけで成立します。そうすると、男が女子トイレにはいることは禁止されていますから、建造物侵入が成立するのです(住居侵入等) 第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。 では、条文を見比べてください。拘留とは30日未満の身柄拘束をいいますから、たとえのぞきの罪が成立しても30日未満の身柄拘束しか出来ません。しかし、建造物侵入は3年以下の懲役ですから、明らかに建造物侵入の方が重い罪なのです。ですから、建造物侵入で逮捕されたのだと思います。そうすると、結局盗撮自体は取り締まれないのかとお考えになるでしょう。実はその通りなのです。条例(地方ごとに定められる決まりごと)で取り締まっていれば別ですが、法律(全国一律の決まりごと)では盗撮自体は取り締まっていないのだそうです。ただ、盗撮する時には必ず建造物侵入が伴いますから実質的には盗撮を取り締まれますし、仮に建造物侵入しないで盗撮したとしても民事裁判を起こされて慰謝料請求されます。見ていただければ分かりますとおり、盗撮も全く割に合わない犯罪です。間違ってもまねなどしないようにしてください。私のページを応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月07日
民法家族法編 第1章 親族分野4 子(3)養子今まで申し上げてきた子には、少なくとも母と子には血のつながりがありました。しかし、実際には子宝に恵まれない場合もあります。そこで、全く血のつながりの無い人を子供にする手段があります。これが養子という制度です。養子も婚姻と同じように新たな親族関係を作り出すものですから、婚姻と同じように養子の意思と届出だけですることが出来ます。第七百九十九条 第七百三十八条及び第七百三十九条の規定は、縁組にこれを準用する。 第七百三十九条 婚姻は、戸籍法 の定めるところによりこれを届け出ることによつて、その効力を生ずる。 ただし、15歳未満の人はちゃんとした判断が出来ません。小中学生くらいだと親に怒られた勢いで養子に行きたいなどと言い出しかねません。そこで、15歳未満の人は自分から養子に行きたいとは言えず、親が代わりに養子の承諾します。第七百九十七条 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わつて、縁組の承諾をすることができる。 また、たとえ親の承諾があっても養子に行かせるわけにはいかない場合があります。例えば、芸者にするために売り飛ばすとか、下男にするために売り飛ばすなど、人身売買目的の養子は阻止しなくてなりません。しかし、そういう場合は親も金が手に入るので、進んで承諾しかねません。そこで、そういう場合を防ぐべく、未成年者養子には原則として裁判所の許可が必要となります。第七百九十八条 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。但し、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。 さて、このように問題なく養子が成立した場合その子はどうなるのでしょうか。養子は嫡出子となります。血のつながりが全く無いから何となく非嫡出子ではないかとお考えでしょうが、嫡出子となります。第八百九条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子たる身分を取得する。 例えば、清水君と三島さんが結婚し、一子(甲太君としましょう)をもうけました。その後、清水君夫妻は養子(乙平君としましょう)を取ったとします。そうすると、甲太君も乙平君も清水君の嫡出子ですから、甲太君も乙平君も同額の相続分となります。応援してくださる方は、下記のリンクをクリックしてください。人気blogランキング
2005年01月06日
*今日の日記は1月3日に放映された「ナニワ金融道6」のネタバレが含まれています。ビデオなどに撮って後日ご覧になるつもりの方はご注意ください。このナニワ金融道は結構法律を意識して作られていて、私のように法律を勉強する者にとっては面白いと同時に大変勉強になります。そこで、ちょっと法律的にナニワ金融道6を追ってみましょう。1、パチンコ依存症もちろん、パチンコにのめりこむこと自体は何ら犯罪ではありません。しかし、パチンコ依存症女は幼い子供を車内に置き去りにしていました。もし、こんな事をして子供を死なせたら、「過失致死罪」となります。仮に死ななくても、体調を崩させれば「過失致傷罪」となります。れっきとした犯罪になってしまいます。まあ、舞台設定が12月のようですから、子供が死ぬことはまず無いでしょう。ですが、褒められた行為ではありません。2、090金融劇中では、5万円を借りて一週間後7万円にして返すことになっていました。つまり、7日で40%です。いわゆるトイチ(10日で10%)もびっくりの高利です。法律では、1年で29.20%の利子しかとってはいけないことになっています(出資法)。つまり、365日で約30%までしか認められていません。思いっきり法律違反です。3、恋愛商法(デート商法)これはやっかいです。もちろん、理論的には、初めから騙すつもりで男に近づき物を買わせる行為は詐欺罪になります。ですが、その立証が出来ないのです。たとえ、女が男に近づいて宝石を買わせる様子を全てビデオに撮って裁判に持ち込んでも「買わせる時までは好きだったが、急に気が変わった。騙すつもりなど無かった」と言われたらどうしようもありません。恋愛感情の有無など本人以外は立証しようが無いのですし、心変わりすることが犯罪になるわけではありません。ただ、恋愛商法はキャッチセールスの一種ですから、劇中で灰原が語ったようにクーリングオフが出来ます。もし引っかかったらクーリングオフしてくださいとしか言えません。重々お気をつけ下さい。4、マルチ商法劇中にあるように、きれいなピラミッドを作って、購入者が払ったお金を上位者で山分けする商法が典型的なマルチ商法です。ですが、先日申し上げたDネットのようにちゃんとしたピラミッドが出来なくても購入者が新たな購入者を勧誘するように勧められる商法はマルチまがい商法だと思って近づかない方が無難です。ちなみに、劇中でちらっと出てきたねずみ講というのは、商品を使わずにお金だけをやり取りすることです。例えば、加入者がまず参加費として1万円を払って加入し、その加入者が新たな人を勧誘したらその新たな人の払った1万円のうち半分が勧誘者の取り分で、もう半分は本部に送るという形を想像していただければいいでしょう。これは、ねずみ講で間違いなく法律違反です(無限連鎖講防止法)。しかし、マルチ商法は「生産者→問屋→小売店→消費者」という正常な流通経路と区別をすることが困難なため、違法とはなっていません。しかし、マルチ商法には様々な規制がありますし、実質的には商品を介したねずみ講ですから、手を出さない方が無難です。また、劇中では「契約するまで返さない」というシーンがありました。これは刑法上の監禁罪となりますし、民法上の強迫行為となって契約は取り消すことが出来ます。5、帝国金融への捜索・逮捕刑事訴訟法上、捜索には令状が必要で捜索時には令状を見せなくてはなりません。劇中では見せてなかったような気がしますが、まあ時間の都合上削られたのでしょう(もしちゃんと見せていたらごめんなさい)。あと、劇中では警官の胸倉をつかんだ桑田が現行犯逮捕されそうになっていました。これは不当逮捕でもなんでもなく、職務中の公務員につかみかかったら公務執行妨害罪が成立してしまいます。なのであれは正当な逮捕なのです。皆さんもご注意ください。6、収賄罪灰原は何も悪いことをしていないのですから、釈放されて当然であり、正当な釈放に対してお金を払っても収賄罪にはならないのではないかとお考えの方もいるでしょう。しかし、正当な行為に対してもお金を払えば収賄罪が成立します。なぜなら、正当な行為にはお金を払っても良いとなると、国民は「公務員にはお金を払わないとちゃんと仕事をしてくれないのではないか」と思ってしまいます。これは不都合なので、正当な行為に対しても収賄罪が成立します。また、灰原は領収書をちらつかせて刑事に返済を迫っていますが、これは恐喝罪です。たとえ実際に借金があるとしても、その取立ての手段として相手を困惑させる行為を用いることは認められていないのです。以上のようにナニワ金融道には法的なお話が一杯です。ビデオに撮っておられた方はもう一度見返して、「あー、この場面にはこういう法律が適用されるんだ」と確かめていただければ、また違った楽しみ方が出来るのではないでしょうか。
2005年01月04日
民法家族法編 第1章 親族分野4 子(2)婚姻関係に無い女性に産まれた子婚姻関係に無い女性が子供を出産した場合、どうなるのでしょうか。出産した女性は出産した子が自分の子であるとわかってますから、当然に母子関係を発生させてもいいでしょう。では父親は誰でしょうか。実際には女性は一人で子供を産めませんから絶対に父親がいるはずです。しかし、婚姻していない以上、誰が父親なのかわかりません。ということは、婚姻関係に無い女性に産まれた子には法律上の父親は不存在と言うことになります。しかし、内縁関係にある場合など、実際には父親がわかっている場合が珍しくありません。そこで、父親であろう者が自発的に自らが父親であることを認める手段があります。それが、「任意認知」です。第七百七十九条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。 しかし、たとえ実際には父親が分かっていても養育費を払うのが嫌になってしまい父親が認知してくれない場合もあります。そんな身勝手は許されません。なので、任意に認知してくれない父親に対しては裁判で強制的に認知させます。これを認知の訴えと言います。七百八十七条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴を提起することができる。但し、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。「直系卑属」と言うのは難しいので無視して結構です。「法定代理人」と言うのは法律上の親ですから、ここでは母親の事を言います。つまり、子自身やその母は、父親であろう者に対して強制認知させて法律上の父親になってもらうことができるのです。 さて、任意認知にしろ、強制認知にしろ、認知された子は嫡出子になるのでしょうか。そこで、もう一度嫡出子とは何か考えてください。嫡出子とは婚姻関係にある男女間に産まれた子を言います。つまり、母も父も確定したとしても父母が婚姻していない以上、嫡出子と呼ぶことは出来ません。なので、嫡出子に非ずということで、非嫡出子と呼ばれます。例えば、婚姻関係に無い清水君と三島さんが関係を持って、三島さんに子供が生まれたとします。そして清水君はその産まれた子が当然自分の子だろうと思って任意認知をしました。そうすると、産まれてきた子の母は三島さんであり、父は清水君ですが、三島さんと清水君は婚姻関係に無い以上、産まれてきた子は非嫡出子です。そして、非嫡出子となると、相続分が半分になる場合があります。ちなみに清水君が任意認知せず、強制認知を受けなかった場合、たとえ清水君が科学的にその子の父だとしても、法律上は赤の他人と言うことになります。となると、不都合が出てきますね。例えばできちゃった婚の場合はどうなるでしょう。できちゃった子は婚姻前に生まれた子ですから、婚姻関係にある男女間に産まれた子ではなく、嫡出子とは呼べなくなり、非嫡出子となります。そうすると、婚姻後に産まれた第二子は婚姻関係にある男女に産まれた子ですから、嫡出子となります。従って第一子は非嫡出子で、第二子は嫡出子となってしまいます。これでは同じ父母から産まれた兄弟姉妹で相続分が変わってしまい不都合です。そこで、第一子も嫡出子にする手段があります。それを「準正」と言います。できちゃった婚であっても、男が認知していて、出来ちゃった子が非嫡出子となっていれば、婚姻と同時に子が嫡出子となるのです。第七百八十九条 父が認知した子は、その父母の婚姻によつて嫡出子たる身分を取得する。 これで、できちゃった婚であっても出来ちゃった子が嫡出子となるのです。皆さん、ご安心ください。
2005年01月03日
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。ということで、早速法律に行きましょう。民法家族法編 第1章 親族分野4 子(1)婚姻関係にある男女間に産まれた子今まで婚姻・離婚の話をしてきました。婚姻すると子供が生まれることが多いので、次は子供の話をしましょう。まず、婚姻関係にある男女間に懐胎・出生した子供を「嫡出子」と言います。「ちゃくしゅつし」と読みます。たまに「摘出子」と書いてあるページを見かけますが、誤りですのでご注意ください。嫡出子か否かは相続分などに影響が出るので、嫡出子か否かは重要なのでしっかり読んでください。第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。 ○2 婚姻成立の日から二百日後又は婚姻の解消若しくは取消の日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。 (懐胎とは妊娠をいいます)このように、妻が婚姻中に妊娠して出産した子は嫡出子となり、夫の子と推定されます。では、万一妻が不倫をしていた場合はどうなるでしょう。そして不倫相手と性交渉をして妻が懐胎したらどうなるでしょうか。条文を素直に読むと、理由はどうあれ妻が懐胎したら夫の子と推定されてしまいます。ですが、夫の方はたまったもんじゃありません。血の繋がらない子を嫡出子として扱うのは辛いでしょう。そこで、推定を覆す手段を準備する必要があります。それが嫡出否認の訴えと言います。第七百七十七条 否認の訴は、夫が子の出生を知つた時から一年以内にこれを提起しなければならない。 もし妻の生んだ子が自分の子ではないと夫が知った場合には、夫はこの訴えによって自分の子であるという推定を覆すことが出来ます。ところで、772条を見ると、婚姻成立から200日までに産まれた子は嫡出子として扱われないように読めます。しかし、今では出生届が婚姻届より後に出ていれば嫡出子とされますので、婚姻関係ある男女間に産まれた子全てが嫡出子となります。仮に婚姻から半年程度で子供が産まれたとしても、問題なく嫡出子として扱われますので、ご安心ください。
2005年01月01日
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