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元卓球部裏部長

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2005/07/23
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テーマ: Jazz(2021)
カテゴリ: カテゴリ未分類
引き続き、Jazzについて。
今日はビリーホリデイです。


彼女の歌声は、いつも僕を不思議な気持ちにさせる。

当時、Jazzに携わる者の人生の多くは、決して幸福といえるものではなかった。
麻薬に溺れ、酒に溺れ、黒人であればいわれの無い差別を受けることもあった。
そういった人生の影は、大体において昇華され演奏に反映される。
そして最後には、ミュージシャンとしても、人間としても、生命を縮めることになる。

ビリーホリデイは、そんなJazz界においても最も過酷な運命を背負った人間の1人だった。
10歳にして強姦され、14歳で売春の罪で逮捕されたというのは有名な話だ。

彼女の人生については、自伝「奇妙な果実」に詳しい。
残念ながら、僕はまだこの本を読めていないのだが。
とにかく、現在の日本でのうのうと暮らしている僕にとって、彼女の少女時代の苦悩は計り知れない。

しかし、彼女が僕に与える印象は悲痛なものではない。
その上質な歌声は、安らぎさえも与えるのだ。

ビリーホリデイを紹介する文章でよく用いられる表現がある。
「彼女がスイングすれば、世界がスイングする。」
全くもって、その通りだと思う。
実際、彼女の歌を聴くたびに、世界が僕を乗せてスイングしていることをはっきりと感じることができる。
その瞬間はとても心地いい。

彼女の歌声は僕を包み込む。

それはさながら、大きなゆりかごのように。
僕、或いは世界を安らかな眠りへと誘う。

これは彼女が、自らの背負う宿命を歌に昇華したというだけでは説明しきれないものがあると思う。
もちろん、そこに辿り着くまでには、彼女の中で様々な葛藤や想いが蠢いただろう。
彼女はその先に、何を見つけ出したのか。


僕が想像するに、彼女は全てを許すことができるようになったのではないだろうか。
運命を許し、世界を許し、自分自身を許すにいたったのだろう。
彼女はそういう意味で、マグダラのマリアであると同時に、イエスにもなれたのだ。
全ての罪や穢れは、彼女の前に意味を無くす。

そして、彼女の歌声は今日も僕を不思議な気持ちにさせる。
彼女の慈しみの前に、僕はあらゆる意味で自然にさせられる。
僕を取り巻く世界もまた、自然になる。

彼女を何かに例えるとしたら、僕は真っ先に"月"を挙げる。
その光は、柔らかく、優しい。
でも、月はいつか欠けてしまう。
彼女の苦悩が、命を奪っていったように。





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Last updated  2012/04/07 11:51:09 AM
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