全10件 (10件中 1-10件目)
1
![]()
レイチェル・カーソン「沈黙の春」(新潮社、2001.6)を読んだ。原著は、1964年に「SILENT SPRING」(Rachel Carson)として出版された農薬の長期的な影響について述べた非常に有名な古典とも言える本である。日本語の初版は、1964年「生と死の妙薬」(新潮社刊)として出版されていたが、昨今の遺伝子工学の進歩や環境問題の先鋭化を背景に、若干の解説を加え新装版として発刊されたものである。当時、大量に使用されていた農薬のDDT等の長期的な生態系への悪影響を初めて書籍として指摘し、非常に大きな社会的影響と化学薬品業界からの強烈な反発を受けた(らしい)。内容は、これでもかこれでもかと言うほど生態系(エコロジー)への悪影響を記述しており、エコが叫ばれる現代から見ると「悪影響があるのは当たり前」のように思える。最近は、バイオ関連(遺伝子やウィルスなど)分野の自然科学系の書物を読むことが多いが、やはり「古典」は押さえておかないとね。(星三つ:★★★☆☆)沈黙の春
2008.06.21
コメント(0)
![]()
十市勉(財団法人エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員)「21世紀のエネルギー地政学」(産経新聞出版、2007.12)を読んだ。石油・天然ガス・ウランなどの資源・エネルギーから見た世界の最新情勢とわが国の戦略を記述した書籍である。最近、中東のオイルマネーやロシアの天然ガスマネーなど「資源」は通常の商品とは異なり「国家」が関与する政治商品としての性格が顕著である。また、中国・インドを始めとする新興国の資源調達の国家関与の動向も需給のバランスに歪を与えている。さらに、ブラジルのサトウキビ原料のバイオエタノール、米国のトウモロコシ原料のバイオエタノールもエネルギー資源が「食料」価格にまで影響を与えるなどおよそ2-3年前には予想もしていなかった事態に世界は直面している。あわせて、地球温暖化ガスとしての二酸化炭素排出量削減は、これらに輪をかけて複雑にからみあっていることは間違いない。こういった状況の中で、疑問に思うことが三つある。一つめは、「なぜ、中国やインドは、最近になってやっと高度経済成長ができたのか」と言うことである。一般には、当局政府が安定し適切な経済成長政策をとることができたからと思われている。しかしながら、「なぜ、こんなことが20年・30年前にできなかった」のだろう? この解は、最近になってやっと世界はフラット化した(グローバルなサプライチェーンが可能になった)からだとも言えなくもないが、それだけだろうかとも思える。なぜなら、欧米や日本は、先に先進国となっていた実例があるからだ。実際、まだ答えは見つけていない二つめは、「なぜ、資源は戦略物資になるのに、工業製品のキーデバイスは戦略物資にならないのか」と言うことである。携帯電話や薄型テレビの中には、日本の特定の企業しか製造できない部品が組み込まれている(とよく言われている)。「(マーケットシェアの大部分を占める)わが社のこの部品がないと、携帯電話はつながりません」なんてよく耳にする。じゃあ、石油や石炭・鉄鉱石がやってるのと同じように、もっともっと高値で売ったらどうなのと思ってしまう。なんでできないのか、そのメカニズムが良く分からない。三つめは、「なぜ、未だに経済成長をしない(しようとしない)国々があるのだろう」と言うことである。日本にように資源がなく世界のはずれの島国でも経済成長できるし、北欧諸国やシンガポールのように人口がそれほど多くなくとも経済成長できる。経済成長は、様々な副作用もあるが当該国民にとって相対的には生活水準が向上することにつながるのに、なんで、未だに政治的安定や社会的安定が阻害され続けている国家があるのだろうか、不思議でしょうがない。なんてことを、この本を読んでる最中に感じた。(星二つ:★★☆☆☆)21世紀のエネルギー地政学
2008.06.18
コメント(0)
![]()
梅田望夫「ウェブ時代5つの定理 この言葉が未来を切り開く!」(文藝春秋、2008.3)を読んだ。前作『ウェブ進化論』からの期待感から梅田氏の最新の著作を購入した訳であるが、この本も素晴しい。気になったページは、上隅を三角に折るのが常だが、この本は読破後、とてつもないページが折れていた。筆者の独自の勉強法としてシリコン・バレーのビジョナリーの方々の切れ味の鋭い金言を集めて、仕事の様々な局面で活用してきた。本書は、未来を切り開く言葉を選び、「5つの定理(ていり)」として分類・整理し、構造化した結果である。なお、5つの定理とは、「アントレプレナーシップ」(進取の気性に富む)・「チーム力」・「技術者の眼」・「グーグリネス」(グーグルという会社のグーグルらしさを表す言葉)・「大人の流儀」である。この本を読むと、米国人にはアントレプレナーシップがありベンチャー企業が活発だが日本人ではそうでなくアントレプレナーシップが乏しいと一般的には思われているが、実はアントレプレナーシップがある人は「シリコンバレー周辺(にすんでいる人)」だけではないかとさえ思える。また、チーム力についても日本が得意だと思われているが、ここでいうチーム力はトップ級の最優秀人材間でのシナジー効果の発揮を表現しており、とても日本的な組織にはない特質のことを言っている。この本の中には、ゴードン・ベル(DEC社で初期コンピュータ産業育ての親)、ロジャー・マクナミー(シリコンバレーの投資家)、ティム・オライリー(ウェブ2.0の言葉を広めた出版社社長)、ピエール・オミディア(eBay創始者)、Steve Wozniak(アップル共同創業者)、William Harmbrecht(ベンチャーキャピタリスト)らの各種金言がちりばめられており、一つ一つ紹介はできないが、一つ一つがとても深みがあり貴重なフレーズである。これらの中でも、2005年夏にスタンフォード大学の卒業生向け講演でのスティーブ・ジョブズ(アップルCEO)の名スピーチは貴重だ。実際、当時、自分の知り合いの二人から(二人は互いに知人ではない)ほぼ同時に、「このスピーチは素晴しいから是非紹介する」とのメールを受け読んだことを今でも思い出す。「君たちの時間は限られている。その時間を、他の誰かの人生を生きることで無駄遣いしてはいけない。ドグマにとらわれてはいけない。それでは他人の思考の結果とともに生きることになる。他人の意見の雑音で、自分の内なる声を掻き消してはいけない。最も重要なことは、君たちの心や直感に従う勇気を持つことだ。心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、もうとうの昔に知っているものだ。だからそれ以外のことは全て二の次でいい。」-スティーブ・ジョブズ今でも感銘を受けるが、もしもっと若ければ心の底から感銘を受けたろう。特に若い人に超お薦めです。(星四つ:★★★★☆)ウェブ時代5つの定理
2008.06.15
コメント(0)
![]()
産経新聞大阪経済部「やっぱりすごい関西の会社」(産経新聞出版、2008.1)を読んだ。関西企業大研究による第2弾である。今回の方が、前作と比較して取材も綿密で出来が良い。 取り上げている企業は、老舗…伝統を踏まえさらに挑戦と題し「竹中工務店」「宝ホールディングス」「コクヨ」「クボタ」「グンゼ」、一筋に…深化いっそうの深化と題し「マンダム」「フジッコ」「京都銀行」「アシックス」「ワコールホールディングス」、新技術…先端へなお先端へと題し「島津製作所」「日東電工」「ダイハツ工業」「オムロン」、多角化…さらなる展開めざしてと題して「岩谷産業」「江崎グリコ」「日本ハム」「南海電気鉄道」「阪急百貨店」の19社である。 コクヨ・グンゼ・マンダム・フジッコ・日本ハムが関西の企業であったことも再認識したし、グンゼが京都府綾部市の地場産業「郡是製糸」からの命名でSCつかしんの運営会社であること、フジッコが昆布加工食品製造会社「富士昆布」からの命名で神戸市で創業したこと等も新たに仕入れたコネタである。 まあ、読んで損はないかな。(星三つ:★★★☆☆)やっぱりすごい関西の会社
2008.06.14
コメント(0)
![]()
メルヴィン・ブラッグ「巨人の肩に乗って」(翔泳社、1999.10)を読んだ。”巨人の肩に乗って”とは、1675年にサー・アイザック・ニュートン(Sir Isaac Newton)が「どうしてこのような偉業を達成できたのか」との質問に「わたしが人より遠くを見てきたのは、巨人の肩に乗っていたからだ」(先人が成し遂げた成果を踏まえて進めたという意味)で有名な言葉である。実際、自分が学生の時の指導教官も「君達は、巨人の肩に乗って研究を進めろ」とよく言っていた。その時は、先行研究を綿密に行うことで、どこまでが分かっており・どこに目を付ければ(”穴を掘る”と先生は表現していた)新規性があるのか、みきわめなければならないこととしか理解していなかったが、後々までも気になっていたフレーズであった。本書では12人の偉大な科学者(巨人)の人物像を、現代の専門家間のインタビューに基づき取り上げている。何もないところから科学的思考を生み出したアルキメデス(風呂につかっていて、浮力の法則=アルキメデスの原理を発見したときエウレーカ〈eureka〉と叫んだ人)、数学の力を借りて人間の推理力を物理世界に応用したガリレオ・ガリレイ(数学と天文学と物理学を結びつけた人)、ニュートン力学のサー・アイザック・ニュートン、化学の祖アントアーヌ・ラヴォアジェ(元素と化合物の境界線を引き、化学と数を結びつけた人)、電気工学の祖マイケル・ファラデー(力線の概念を発明した人)、チャールズ・ダーウィン(天文学・物理学・化学といった目的をもたない機械論的な自然科学の世界と文化・芸術・生物学といった意味のある世界を統合する方法を示した人)、カオス理論を発見した数学者ジュール・アンリ・ポアンカレ、ジークムント・フロイト、マリー・キュリー、天才アルバート・アインシュタイン、DNA二重らせん構造発見者フランシス・クリックとジェイムズ・ワトソンである。こういった本は、ノンフィクションであり大変ためになる本である。(星三つ:★★★☆☆)巨人の肩に乗って
2008.06.13
コメント(0)
![]()
杉山大志「これが正しい温暖化対策」(エネルギーフォーラム、2007.8)を読んだ。洞爺湖サミットが目前に迫り、ポスト京都議定書に対する日本政府のスタンスが発表され、また、IEAの2050年エネルギー見通しが発表されるなど、色々と将来の地球温暖化ガスの削減に対する大枠が出揃いつつある。これらによると、2050年には2005年基準比で日本は60%~80%の地球温暖化ガス排出量の削減を目指すらしい。本当に実現できるのか難しくハードルの極端に高い目標であることは確かだ。一方で、テレビ・新聞等マスコミを中心とした一般市民への啓蒙は、省エネをしましょう・ライフスタイルを変えましょうといった到底理論的にはナンセンスだけれども耳障りの良いスローガンが繰り返し流されている。省エネでは増加するCO2を主とする地球温暖化ガスの削減は不可能であるし、一度便利な生活をしている市民がエネルギーを消費しにくいライフスタイルに変えることが不可能であることは明らかであることなのに・・・こういった観点から、この本は問題を正面から扱っている。「国同士の政治パワーゲームの結果から京都議定書は事実上消滅する可能性がある」という偏った指摘や、本書のタイトルである「これが正しい・・・」って言ったってあなたの意見でしょといった点が気にはなる(気に障る)。しかしながら、技術的な側面をベースにロジカルに論理展開を十分に行った上で分析している。水素社会の到来は電気と同程度のクリーンさしかないのでシナリオからは無視し、ガスを利用するコージェネレーションはヒートポンプ給湯器の方がCO2排出量や省エネルギー性で優れておりシナリオからは限定的とした点など明快である。実に、もやもやとした気分がすかっとする良書である。お薦めである(星四つ:★★★★☆)これが正しい温暖化対策
2008.06.11
コメント(0)
![]()
ドロシー・H・クローフォード「見えざる敵ウィルス その自然誌」(The Invisible Enemy a Natural History of Viruses, by Dorothy H. Crawford, 寺嶋英志訳)<青土社、2002.10>を読んだ。少し前に、山中伸弥先生の著書や福岡伸一著作「生物と無生物のあいだ」のなかで、細菌とウィルスの違いの表現に感銘を受けていたので「ウィルス関係」の書物を図書館で借りたものである。 タイ国でのHIV感染者が多い理由に、1988年に王の恩赦で大勢のHIV陽性の静脈内薬物常用者たち(刑務所内で使いまわされた注射器のため)を地域社会に放免したことなどウィルスにまつわる過去の事例が多数挙げられている。更には、巻末には、例えば「レトロウィルス:持続するために宿主の染色体のなかに自己ゲノムのDNAコピーを挿入するRNAウィルスの一群」といったように専門用語の解説が15ページに亘り記述されており良心的な本であった。(星三つ:★★★☆☆)見えざる敵ウイルス
2008.06.09
コメント(0)
![]()
林梓生「大阪力! 探訪」(大阪書籍、2006.8)を読んだ。橋下大阪府知事が大阪維新プログラムを発表したことだし、大阪力(おおさかりょく)って何と図書館で興味を持って借りたものである。本書は、筆者が朝日新聞大阪版編集長の時に、連載「大阪力!探訪」として2005.4~2006.4まで毎週日曜日の朝日新聞大阪版に掲載された特集記事がベースとなっている。(よんだことはないがね・・・) 内容は、公開講座が名物の阪大中之島センター(菊野亨センター長)の経緯、企業ミュージアム512館ガイド本を出版した亀田訓生氏の話、ボクサーが建築家になった安藤忠雄氏の生い立ち、中之島セントラルタワーを始めとする中之島地区再開発の話など、文化・芸能・学術・経営・地域開発・観光スポット等多種多様に大阪力の紹介をしている。が、やっぱり書籍というより記事であり、なにかごった煮のような感じがする。また、切り口が深くはないので「あっそう」「それで」という感想も持つ。 (星二つ:★★☆☆☆)大阪力!探訪
2008.06.06
コメント(0)
![]()
稲盛和夫「アメーバ経営 ひとりひとりの社員が主役」(日本経済新聞社、2006.9)を読んだ。京セラ創立者にして現在最高顧問である稲盛和夫氏が書き下ろした、京セラ内部の経営管理手法、特に管理会計システムの真髄を解説した書籍である。企業内部の管理会計システムを詳細な形で一般の書籍の形で書き下ろした本は、経営学の分野でも大変珍しい。逆に言えば、他社は絶対真似できないシステムである自信の裏返しであるように思える。 特に、「アメーバ」というネーミングは、どこか古めかしく時代遅れの感があるが、京セラ社内ではいたって真剣にかつ真面目に語られているのであろう。管理会計自体が、企業競争力の源泉になっているとは考えにくい。しかしながら、この企業の特色や企業風土を具現化するシステムなのであろうとは思える。 「アメーバ経営」の真髄をどれだけ強調されても、残念ながら、他社で内容自体が参考になることはほとんどないと思われる。 (星二つ:★★☆☆☆)アメーバ経営
2008.06.01
コメント(0)
![]()
福岡伸一「講談社現代新書 生物と無生物のあいだ」(講談社、2007.5)を読んだ。良書である。前半のロックフェラー医学研究所での野口英世氏のくだり、ウィルスは生物かどうかのくだり、遺伝子がDNAであることの発見及びDNAが二重らせん構造であることの発見のくだりなどは、非常に読み応えがあり、途中で読むことをやめられないほどの内容である。 後半は、「生命とは動的平衡にある流れである」として本書のテーマを記述している。確かに、人間も細胞レベルから見れば、食べた食物を元に、時々刻々消滅と再構築を継続している一方、人間として全体としては不変で統一された形状を維持している。しかしながら、全体の量と比して、変化している絶対量が問題なのであって、自分は「動的平衡状態にある流れ」が「生命」だとは到底思えない。後半も記述内容自体は良質であるが、本書の結論に関して個人的にはあまり好きではない。 しかしながら、全体としてはすばらしくまとまっており、お薦めな本である。(星四つ:★★★★☆)生物と無生物のあいだ
2008.06.01
コメント(0)
全10件 (10件中 1-10件目)
1