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「おっとぉ、忘れてたね、“不倫”の本来の意味の説明。 倫理、つまり、社会一般や団体生活においた習慣の中から生まれてね、通用するように なった規範のこと…そこから外れたこと、人の道から外れたこと、を意味するんだよ。 “不”ってつくとさ、大抵嫌なイメージがするよね。 不、非、未、無………なんていうのは、打消しの接頭語だから……… (こんな質問サイトもあるから、併せて見てみてね。)」『【1】「不」・・・「~しない」「~でない」………かぁ………… “不倫”=“道徳的じゃない”ってことになるんだよね……本来の意味って……』「うん…………。 人間ってさ、心理的に、否定されるのと、無視されるのって、すごく嫌がるじゃない? “不”って言葉は打ち消し…つまり、否定することでも、無視することでもあるんだよね。 そうなってくると…誰だって、“不”がつく言葉、避けたがるじゃない… だって、愛してるんだもん…大好きなんだもん… なのに、どうして………打消しや否定の意味がついた言葉を使われなきゃならないの? そう思うのが、自然な感情だよね? 本気で愛してるなら、いとおしいなら、なおさら……………」『……頭では、解かってるのにね。 でもやっぱり、そんな風に思われたくないよ………………。 だって、ともあきのこと、本当に大好きだもの。』「それは、私だって同じ。大好きだもん。ともあきのこと。」『ね』「ね」『……でもね…… 自分の行動を正当化する気は……全然ないの………… だって………自分が………過去にそれで苦しんでるんだよ? トラウマになっていて…未だにそれを引っ張ってるんだよ………? …それなのに…』「…たぶん… たぶんなんだけどね、(こんな言い方変だけど)真剣に不倫している人達の大半が、そう思っているんじゃないのかな…。 なんとなく…そんな気がするの……………。 あ、こんなのとは、一緒にしないでね。読んでる皆さんもね?(苦笑)」『………ともあきを好きになってから、すごく思うの……… “好き”って。 せつないね。』「……うん…… 何度、この想いを消せたら、そう思ったかわかんない。 だって、そうしたら、誰にも迷惑かけずに済むわ…………。 ともあきだって、元のしあわせな生活に戻れるわ…………。 そうでしょう? だからミューも、迷うんでしょう?」『…………うん。 でも、ともあきは、わたしをそれでも必要としてくれてる。 危険な橋を渡ってでも、側においてくれてる………………』「そして、一生懸命になってくれてるよね?」『うん』「だから、そんなともあきが、だ――――――――――いすき!! 」『うん!!』「だからね、決めたんだ。本編に、本当のことを書こうって。」『……だから、こっちを更新しなくなったのね? でも、そしたら、わたしの日記(小説)、どうなっちゃうの……?』「実はね、ミューの方の日記はね、私とともあきの“空白の時間”が書かれてるの。 だから、消せないんだ。ってか、消さない。」『…本編をお休みしていた間のこと…?』「そう。ここに、その期間の、本当のコトが書いてあるから、残してるの。」『小説じゃないじゃん(笑)』「そうかもっ(笑)」『でもまぁ………わたしも、あんりも、 今までも、これからも、ともあきのことを大好きなことは、変わんないもんね。』「うん。…しかも、強力な助っ人が出来ちゃったしね!!」『清和さん(本編では佐和さん)でしょ? ふたりがそんな風に信頼関係築くなんて、思わなかった………』「ね、何が起こるかわかんないよね。」『ってなわけで………』これからも、薬袋杏梨と、愛内美優、ふたりの日記をよろしくね
November 29, 2008
「さっきさ、ミュー、何を言ったって、不倫は不倫。そう言ったよね」『……うん…… どんなに愛していたって、どんなに大切に想っていたって、 相手には……家の人がいて、わたし達の場合には、お子さんだっている…………』「“婚外恋愛”って言葉あるでしょう? あれって……私が言うのも何だけど……すごく都合のいい言葉だと思わない…?」『…うん、それはわたしも思ってた。 でも、響きもいいし、本気で相手を愛している身としては、そう言いたいんだよね』「前にもちょっと日記で書いたんだけどね、 ただ、大好きなだけなのに、不倫って言われちゃう。 でも、自分の頭では、いけないって。だめだって。ちゃんと、ちゃんと解かってる。 ね、ミュー、“不倫”のコトバの本当の意味って、知ってる?」『? “既婚者と恋愛すること”、でしょう?』「Wikipediaで調べてみたんだけどね、 実は、“不倫=既婚者との恋愛”の意味で使われ始めたのは、'80年代初期からなの。 あるテレビドラマがきっかけだった、ってされてるよ。 それまでは、“不倫”ではなくって、“よろめき”って言葉が使われていたんだって。」『よろめき?』「うん。三島由紀夫さんの小説『美徳のよろめき』(改版)から来ているんだって。」『へぇ…知らなかった… もしこの“よろめき”って言葉が今も使われてて“不倫”なんて言葉じゃなかったら、 “婚外恋愛”って言葉は生まれたのかなぁ………』「んー…どうだろうね…? でも“不倫”って言葉よりは、情緒や文学的な儚さを感じるかもね。 ロマンチック、っていうのかな。 自分達の立場で、こんな話するのも、何なんだけど、ね…………」『………うん………』「ちなみに、“婚外恋愛”って言葉のはしりは、このドラマみたいね? この脚本家の方、ラスフレなんかも手がけてたよね。」『マンガ、なかったっけ?』「あ、これのことかな? このマンガは2006年発行だから、ドラマより後かな。」『ふぅ~ん、そうなんだ………』「だから、そうなってくると、この“婚外恋愛”って言葉が広まり始めたのは、 ドラマがやってた2002年って言えるかもね。 そうそう、こんな記事見つけた。 不倫とどう違うの~?なんて視点でも書かれてるから、読んでみると面白いかも!」『……でも……正直言って、あんまり違いなく使われてない…?両者の言葉って。』「……んー……ミュー、いいこと言うね………確かにそうかも………」この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。にほんブログ村・社内恋愛
November 29, 2008
『そうだよねぇ。 小説デビューにするにしたってさ、小説の題材なんて、いっぱいあるじゃんね? それこそファンタジーだって。学園恋愛だって。社内恋愛だって。』「でっしょぉ? なのになんで、“あえての不倫小説?”って思った。 そこでね、 “実は私は不倫経験があります。だから、この小説を書くことが出来ました、 ここには私の想いがいっぱい詰まってます。だから、読んで下さい!” たとえばさ、それが、小説家の渡辺淳一さんとか、 アーティストの竹内まりやさんとかなら解かるの………。 だって、表現者だもん。 表現者は、たとえその経験がないとしたって、カタチに出来るものでしょう? だって、アーティスト、なんだもん…。 でも、この場合、そうじゃない。アーティストでもなんでもないじゃん。 私には、ただのお遊びで、 本気でその現実に直面してる人を、バカにしてるようにしか見えない。 (あくまでも薬袋杏梨の視点なので、さらっと流してくださいね。 ファンの方ゴメンナサイ。) 本気で不倫をテーマにして小説を書くならば、 本気で小説家デビューをしたいと言うならば、 本気で、中途半端なタレントの位置を脱却したいと思うなら、 そう言ったらかっこ良かったし、本当の表現者と言えるんじゃないかなって思った。 評判は、落とすかもしれないけど、それはそれで、本当のことなんだもの…。 でも、そうじゃなかった。 結局、カネ稼ぎ。自分の人気は落としたくない。でも話題は欲しい。 そういうのが、すんごくミエミエだと思った(これは勝手な私の受け取り方ね、 だから、この人の考えなんだなぁって、さらっと流してね)。」『……まぁまぁ、おちついて。あんり。 それと、わたしのお話と、どういう関係があるの?』「その記事読んでね、結局私も同じなんだ、って思ったの。 既婚者のお友達に、嫌われたくない。 アクセス数が平均500、多いときは1000超える、この日記のテーマを変えたくない。 たくさんの人に読んで欲しいから、幻滅されたくない。 だから、ずっと“薬袋杏梨”が、現実に現在進行形で、実際に経験している出来事を、 “愛内美優に語らせる小説”としてごまかしてる… そういう気持ちが拭えなかったんだ……………。」『……そっか……それでだったの…………』「……うん……。 これはね、いつか書かなくちゃ、そう思ってたことなんだ。 だから、もちろん今だって、基本は“美容ブログ”だと思ってるよ。 そんなにそういう記事、書かなくなっちゃったケド(汗) さらっと書いてるように、見えるでしょう? でもね、本当は、すごく決断がいった。 正直“たかがブログに、自分の立場ヤバくするような、本当のこと書く必要あんの?” とも思った。 でも、 私のブログを大好きだって言ってくれてる方達、 “いつも読んでます”そう言ってくれてる方達、 仲良しさん、大好きさん………いっぱいいるんだ…………… だから、本当のことを書こうと、思ったの。 バストアップよりも、もっと大事なこと。 私の心を、今、たくさん占めてる、大好きな大好きな人のこと。 今、私の身の周りで、リアルタイムで起きてること………… 大好きでいてくれる方達がいるから、ちゃんと書きたい。そう思ったの。 もちろん、実際の生活もあるから、出てくる人達は仮名だったりするけれど、 そのへんは、勘弁してね(笑)」『そりゃー、しょうがないんじゃない?(笑) 会社名とか書いちゃったら、エライコトになっちゃうじゃんよ』「そうだよねっ。それくらいはいいよね、っていうか、そうしなきゃだよね(笑)」この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。にほんブログ村・社内恋愛
November 29, 2008
『確かに、“大好きな人が結婚してる人”となれば、 もちろん、嫌悪感を示す人は、決して少なくはないよね。』「ってか、それが当たり前だと思う。 “美優のお話”でも書いたけど、自分だって、言わば、その被害者なわけじゃない?」『……そうだね…… あんりは、実際言われてるんだよね?お医者様に。 “君のこの症状(うつ病)の根本的な原因は、両親の離婚から来てる”って。』「うん…………自分でもね、それは昔からうすうす気づいていたんだ。 だから、佐々木さ……ともあきを大好きだって気づいたとき、涙が止まんなかった。 いちばん“家族”を奪われるつらさを知っているはずの私が、 なんでこんな恋をするんだろう、どうして止められないんだろう、って」『でも、何を言ったって、不倫は不倫なわけじゃない?』「本当、そうだよね。 実際、大好きブロガーさんからも、そうメッセージもらったよ。 そしてね、その通りだと思った。 やめなくちゃ、早いうちにやめなくちゃ、そう思ったよ。」『でも、出来なかったんでしょ? だからわたし(愛内美優)に語らせることで、伝えようとしたんでしょう?』「………うん……… コレは内緒(?)…というか、知ってる人は知ってるんだけど、 実際、美優の名前の方が、私の本名と近いよね(笑)」『あ!確かに………そういえばそうかも』「でも、“小説”とか言ってる時点で、いちばんずるい方法をとってるわけで。」『そんな時、コレ見つけちゃったんでしょう?』「うん。 これは私の考えなんだから、一概にそうとは言えないと思うんだけど、 日常生活に基づいた小説って、実際に体験したこととか、何か思うところとか、 そういうのがないと、書けないと思うんだよね。 ファンタジーとかは、わかんないけど…それだって、 “こうだったらなぁ~”っていう願望・想像・妄想から始まるじゃない? じゃなきゃ、書こうなんて思わないし。 ましてや、一般人とか、小説家や表現者のプロじゃない人が、たった想像一本で “不倫”なんて書けないよ。 理解し難い世界だ(った)もん。 だって、人の大事にしてるもの、奪うんだよ?それを、しようとするんだよ? しかも自分で!! ……想像、つかないよ……つかなかったよ……………。 自分が今、その経験してるから、これは胸張って言える。」『で、これを読んで、イヤ~な気持ちになったんでしょ?』「うん。 正直(ファンの方ゴメンナサイ)、ふざけんなよ!!って思った。 言い方変だけど、真剣に不倫してる人達がいる中で、 “自分はこんな穢れたことしてませぇん、フィクションですぅ~、あくまでも 想像なんでぇ~、小説家デビューしちゃいましたぁ、てへっ”みたいなこと、 こういうことを題材にして、何にも解からない人間に、売名行為とか、 カネ稼ぎなんかで書いて欲しくなかった。」この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。にほんブログ村・社内恋愛
November 29, 2008
『ねぇ、どうして、“物語”ってカタチで、この日記を書こうと思ったの?』「ん? ……言えなかったから。 私の日記ね、最初は、ムネを大きくすることから始まってるんだよ。」『今じゃ、あんなカタチの日記になっちゃったよね(汗)』「うん、ここでね、書きたかったことが、本当の日記を書いてるうちに、 “事実は小説より奇なり”状態になっちゃったの」『…だから、こっちの更新をやめたのね?』「うん。 最初は、本編(本当の日記)を美容ブログ、こっちを小説仕立ての日記ってカタチで ちゃんとけじめをつけたくて始めたことなんだけど…」『でも、事実が複雑すぎて、小説どころじゃなくなっちゃった、と』「そういうこと。 それに……たくさん本編を読んで下さってる方達がいて、 その方達って、主に既婚女性の方が中心だったの。 仲良しして下さってる方も、実際既婚女性の方、多かったし………。 でも、こういう状態になっちゃったでしょ? だけど、せっかく出来た友達や、大好きさん、失いたくなかった。 だから、小説として残そう、そう思ったの………。」『でも、だんだん嘘ついてるのが、苦しくなっちゃったんでしょ?』「うん。 本編のコンセプトにあったのが、“ありのままを正直に”だったの。 最初やってた“サイズ測定”なんかもそうなんだけど、 ブログ書く上でね、嘘は書きたくなかったの。 でも、こうして小説にしてること自体、嘘をついてるとも言えるよね?」『……そうだね…… “小説”って名乗っちゃってる上で、「コレは事実を基にしてるかもですけど 嘘ですよー」って言っちゃってるような。』「それがね、自分の中で、だんだん許せなくなってきちゃったんだ。 友達を失うのも、覚悟しなきゃいけない。 本編の方向転換も、せざるをえなくなる。 それでも、“小説(=フィクション)”として、事実を書き続けるより、 ずっとずっと、よかったんだ。」『……そうだったんだ……』この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。にほんブログ村・社内恋愛
November 29, 2008

今の道 自分が選ぶ道だから 果てる場所まで 見届けてくの ----------------------------------------------------------------雨が、ずっと降り続ければいいの。せいせいするわ。普段、いっぱい我慢してるんだもん。これくらい願っても、いいでしょ。自分だけしあわせでいようなんて。……そうはさせるか!!汚れに汚れきった、そんな気持ちと、……可哀想。なんて可哀想な恋なの。せつないと思わないの?悲しいと思わないの?そんな恋…してて、しあわせなの?ねぇ、美優?あくまで良心を痛める、そんな私と。ふたつの相反する気持ちが、私の中で戦ってた。休日のミニレストランは、家族連れで賑わった。意地悪な気持ちで、毒づいた。『ふ… 今いい人そうにしている父親だって、隠れて何してるか、わかんないんだから 偽りのしあわせなんて、可哀想』だけど、すぐに、悲しくなった。『なんで…なんでそういう風にしか、考えられないの? どうしてそうなっちゃったの? どうして………?』ねぇ、美優。無理やりしまった自分が、ものすごく、ココロを痛めてるよ。そんな風にしか思えない自分を、哀れんでるよ。それでいいの?………それでいいの………?17時半。仕事をあがる時間が来た。挨拶して、派遣チェックシートに、会場の担当社員さんからサインを貰って、着替えて…簡易ロッカーの鍵を返して、外に出た。……外は……青空をのぞかせて、少し夕焼けがかってた。それを見て、ふと、悲しいような、これでよかったような、妙な気持ちになった。……これで、いいんだ、きっと。雨、上がってよかったんだ、きっと。ふっと力が抜けた。ほっとしたような、悲しいような、複雑な気分になって、思った。……長野県、雨じゃないといいんだけど。今までの自分の思考からは考えられないことを思った瞬間、夕焼けを映した瞳から、涙がこぼれ落ちた。いいじゃない。どうあろうと。たとえ、誰かと過ごしていても。たとえ、誰かになんて言っていようと。どんなことがあったって、私の気持ちは、変わらない。『大好き』たとえ、なんと言われようと。何があろうと。どんな扱いだろうと。私の想いは、同じなんだね。賑わう街が、暮れかけてく。明るい水色のひかりと、夕焼け色のひかりを混ぜて、ゆっくりと、夜へ向かっていく。今日も、たくさんのカフェやお店が並んだ歩道は、いっぱい人が歩いていたし、植えられた並木の葉っぱは、気持ち良さそうに、時折吹くそよ風に、さらさらと揺らされた。晴れて、よかった…。悲しかったけど。せつなかったけど。すっと静まり返った胸の中で、そう思って、少しだけ泣きながら、地下鉄の駅へ向かった。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
May 3, 2008

感じてた たとえ晴れても 雨の日も 想う気持ちに 変わりはないと ----------------------------------------------------------------今日も、私は働いてた。今回は、百貨店の催事の絵画展に隣接する、ミニレストランでウェイトレス。水色のチェックのエプロンを着て、まるで『不思議の国のアリス』のような制服だった。でもさすがに、26歳で『アリス』はちょっと恥ずかしい。でもまぁいいか、そう思いながら、ひたすら注文される食事を運んでた。朝、どうしようもないくらいに、雨だった。たとえ出勤が不便になっても、私は少し、せいせいした気分でいた。…けれども…私は、そんな自分を、恥じた。情けなくて。せつなすぎて。自分で『私はなんて可哀想なオンナなんだろう』そう思った。それは…『悲劇のヒロインぶる』とか、そういう類じゃなかった。どちらかと言うと、『自分で自分を嘲笑する』感覚に似てた。カワイソウナ、オンナ。ソンナフウニシカ、オモエナイナンテ。雨は、小雨ながら、なかなかの激しさで、降り注いでた。----------------------------------------------------------------昨夜、いづみがメールをくれた。『アドレス変えました』に対する、返信を兼ねて。『例の彼とは、なかよくやってるの?』…私は…すぐに、こう返した。『なんと、3日から、5日まで、ご家族でキャンプだそうで… やんなっちゃうよね。 自分で決めたこととはいえ、泣きそう』新しい、真っ白な携帯が、震えた。『なんなの? ほんっと、ムカつく男! ミュー、やめちゃいな、そんなヤツ!! 幸せにしてくれない男なんか、やめちゃえ!!』………いづみなんだか、いづみの気持ちが、胸にしみた。だめね、泣いちゃだめよね。だって、自分で選んだ道だもの。遠い道。それでも、自分で選んだ以上、自分で責任は取らなきゃならないよね。『…私ね、正直、ちょっと疲れてきちゃったの… なんで…うまくいってるのに、こんな思いしてまで…そう思いかけてる… なかなか、物分かりいい人でい続けるのは、難しいね。 どうしてもね、連休が雨になればいい。 あの家族がいくところ、隠れてこんなことしてる罰が当たって、 雨が降ればいい、そう思っちゃう…… いけないよね、最低だよね、ごめんね、ぐちって…』いづみの返事は、こうだった。『ムカついてしょうがないんだけど。 私だったら、家庭崩壊させちゃう!! どっちにもいい顔しようなんて、そうはさせるか!!って感じだよ』!いづみの言葉が、ふっと、私の胸に落ちた。『ソウハサセルカ』あぁ、これ、まさしく今の私の気持ちなんだわ、そう思った。だから、今朝、雨が降っていた時、喜んでた、最低な私。嫌い。こんな私、嫌い。でも、喜ばずにいられなかった。『ソウハサセルカ』自分だけ、しあわせになろうなんて、させるもんですか。そう、思ったの…。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
May 3, 2008

最低ね そんな私に ひらひらり 『お食事行こう』 お誘いメール ----------------------------------------------------------------あぁ……なんか、つまんないの。バカみたい。こんな恋、バカみたい。ときどき、やめたくなってくるの。不倫って、ちゃんと両方愛してくれる人じゃないと、向かないんだ。そんな風に、思った。本当は、あの人は、優しくなんかないことにも、気づき始めていた。表面の優しさと、心からの優しさは、全く形の違うもの。だけど、そこもひっくるめて愛せるかどうかが、たぶん、未来を左右していく気が、した。諦めたら、そこで終わっちゃうわ…。決めたじゃない。どんな道が待ってようと、私は最後まで、この想いを見届けるんだ、って。今まで、諦めてきたから。嫌になって、すぐに投げ出してきたから。こうなってしまったこと、自分でも気づいてる。たぶん、この恋は、私にとって最大の試練で、荒療治なんだと思う。連休くらいで。たかが連休くらいで、めげちゃだめ。清和さんからの言葉くらいで、めげちゃだめ。がんばれ、私。この気持ちが、本当のものならば。もし、本当じゃないと思うなら、やめればいい。でも、きっと後悔する。それで、いいの…?だから、ひたすら私は、受動的でいよう。せめて、この恋だけは。でも、夢見るのは、がんばるのは、自由だもんね。勝手かもしれない事なんか、最初から解かってる……。だからこそ、最初の段階で、振ってほしかったけど……。今さらそんなこと言うのは、卑怯以外の何物でもないって、ちゃんと解かってる。だから、最後まで、逃げ出さずに………。江藤さんとごはんを食べに行って、ドラッグストアでコラーゲンウォーターを買って、会社に戻ろうと、エレベーターを待っていた、そのとき。ポケットで、新しい携帯が、慣れない震え方で、震えた。『あいちー、すまん、なかなか電話出来ぬよ。 そういやさぁ、5日の午後は、暇かい? 食事でも行かないかー?』本当は、迷ってた。実家帰ろうかなぁって。りふぁ&しゅーまコンビに会いたいし、なんだか疲れちゃったし…。だけど、混んでたら、よけい疲れちゃいそう。だから、実家に帰るのは、また今度にした。では、清和さん。お食事でも、ご一緒しましょうか・・・。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
May 2, 2008

涙雨 あなたは気づいてるでしょうか? このお天気が 私のココロ----------------------------------------------------------------涙雨。午後から、雨が降り出した。『…このまま……5日まで、雨が降りますように…』『ちょ、愛内さん… なに世間の人を不幸に陥れようとしてるの(笑)』昼休み。大きな声で、会社の窓際のバルコニーでつぶやいた私に、江藤さんが吹き出した。なんかね…思うの……ちゃっかり家族の前ではいいお父さんなんだなーって。当たり前なんだけど。当然なんだけど。解かってるんだけど。じゃあ、なんで最初の時に断ってくれなかったの…。最近、すごくそう思うの…。にゃにがきゃんぷだー。かるいざわなんか、あめになってしまえー。ばかやろー。あぁ、嫌なオンナ。私。悲しくなってきちゃう。最近、好きな人は、とてもノーデリカシーなんじゃないかと、気づいてきた。でも、そんなの、私にも言えることだよね。だから、人のせいにしちゃ、いけないよね、うん。だけど、何かが、ものすごく納得いかなかった。中途半端にするくらいなら、振られた方が、よっぽどましだったのに。傷は、浅い方がいい。中途半端な優しさほど、残酷なものはないから。でも、だめだよね。人の不幸なんて、願っちゃダメ。解かってるのに…。せめて、連休中、彼の家族が出かける先だけ、雨が降ってほしいなーなんて、望んでしまう私を許してください…。自分だけ、しあわせでいようとしてる罰だいっ。ちょっとだけ、そんな風に、思った。ばっさり、髪を切った。ケータイも、変えた。スーツも、新調した。6日は、部屋の掃除の予定。…で、ケータイのアドレスも、一新。でも、連休明けまで、あの人には教えない。教えたくない。私の、小さな意地悪で、復讐。こんなことしか出来ない。だけど、たまにはすねてもいいでしょう?いつも、物分かり良くいるんだから。不幸を願ってるわけじゃないもん。必死に、自分に言い訳をする。雨が降ればね、樹とか、草とか、花だって喜ぶし、水で潤うし…だから、雨に、なーれ。意地悪なオンナの、ささやかな願い。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
May 2, 2008

ひとりきり 全て閉ざしてみたいから 後ろ向きにね 時々くらい----------------------------------------------------------------……髪を、切ろう。そう思った。ものすごく、ショックだった。本当は、清和さんの言葉が、ものすごくショックだった。解かってたのにね。振り切ったのにね。夜、眠れなくなってしまった。こんな私でいることすら、嫌で仕方なくなってしまった。だから、明日は、有給休暇をとった。管理部の、総務企画課に、メールを打った。もちろん、休暇届出書を添付して。『一身上の都合により、明日、有給休暇を頂きます。 申し訳ありません』たまになら、全てから逃げてもいいかしら?もう、切りたい。切りたい。髪。ばっさり、やりたい。こんな自分が大嫌い。今、清和さんの言葉が、つらい。ともあきに、会いたくない。会えない。こんな状態で、私、誰にも会えない。だから、明日。ばっさり、髪を切ろう。そう思った。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 29, 2008

【え】 えがいてる ゆめがほんとに なったなら**************************************************************ライフ・リブ・ラブ。過ぎてく毎日が、とってもいとおしい。あなたが大好きで、大変なことでさえも、せつないことでさえも、なにもかも、いとおしくてたまらない。そんな想いを、こめて。Life-Live-Love. どんなに『不倫』って言葉を避けようとしたって。どんなに『婚外恋愛』って言葉で、美しく逃げようとしたって。今、あなたと、こうしていることは、紛れもない事実。一度決めたこと。だから、ここから逃げちゃいけないよね。この想いを、最後まで貫いて、見届けるその日まで………。画面いっぱいに広がる夜景を見ながら、夢を見た。遠くて、きれいな、海の側。1日中、あなたといられたら、どんなにしあわせだろうって………。何度も、横浜と神戸の夜景がシンクロして、なんだか、私達は、離れた場所にいるのに、ふたりで、高層ビルの最上階で、夜景を見ているような気分になってた。みゅー :ねぇ、憶えてる? ともあきが『いつか、ランドマークタワーか、イクスピアリでも行こうか』 って言ってくれたこと。ささきち:うん。みゅー :私ね、あの言葉ね、涙が出そーなくらい、嬉しかった。ささきち:・・・・・・・みゅー :でもね、自分のわがままで、大好きな人を、危険な目に遭わせられない。 とも思った。ささきち:でも、きっと、いつか… チャレンジしてみようか!………止まらなく、なった。涙腺が、ともあきの言葉で、一気に壊れた。みゅー :ありがと………一緒にいるだけで、しあわせ。その気持ちはね、今だって同じだよ。だけどね、やっぱり時々、夢だけ見てしまう、私を許してね、ともあき……。みゅー :私ね、ともあきに逢えて、本当に良かった、そう思うの。 ずっと、ずっと、私、わがままなヤツだったけど、 ともあきに逢ってね、 当たり前が、どんなにしあわせかって、すごく解かるようになったから…そうね、不倫かもしれない。そうね、汚いかもしれない。そうね、悲しいかもしれない。そうね、辛い日だってあるかもしれない。でも、それ以上に…………。『あいうちみゆう』が、『ささきともあき』を大好きになったことを、大切にしたいんだ。未来なんて、わからないけど、どうか、未来まで、はるか遠くまで、この道が続いていますように。離れた場所にいるけど、ココロはこんなに側で、宝石箱のような夜景を、ふたりで、一緒に、見てた。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 24, 2008

【う】 うつうつと かなしくおもう じしんかな**************************************************************ライフ・リブ・ラブ。過ぎてく毎日が、とってもいとおしい。あなたが大好きで、大変なことでさえも、せつないことでさえも、なにもかも、いとおしくてたまらない。そんな想いを、こめて。Life-Live-Love. 深夜、2時。私達は…シンデレラの魔法の時間さえ超えて、一緒にいた。もちろん、チャットルーム……仮想世界の中だけれど。あなたは、連休は『お家の人』につきっきりだと、話していた。無性に憂鬱な気分になった。連休中……私の存在は、消えるんだなぁって……そう思うと、自分の存在価値がわからなくなる。怖い。そう思った。ともあきの中から、連休を過ごしてしまったら、私が消えちゃう気がしたの。ねぇいっそのこと、この想い、深い感情の海の底に、沈めてしまおうか。新しい想い、育てようか。ねぇともあき。今日、帰り道にね…突然大学生から『お茶しませんか』って声かけられたんだよ。ねぇともあき。今日江藤さんのお客様で来てた取引先の人、とってもかっこよかったんだよ。私がいなくなったら……私がいなくなったら……どうする?どうもしない。どうにもならない。だから…怖くて訊けない。『よかったね』なんて言われたら…私…………私…………だめね。想いを消すよりも、やっぱり、大切にしたい。摘みとりたくない。ささきち:1チャンネルつけてみて。みゅー :え…?ささきち:今、横浜と神戸の夜景映してるんだよ。リモコンを取って、チャンネルを合わせた。テレビいっぱいの、きらきらの夜景。みゅー :こうやって交互に映してると、横浜と神戸がわかんなくなる……ささきち:港町だから、似てるかもしれないね。みゅー :うん……あなたの車に乗って、夜景を見た。私ね…あの日ね、すごくしあわせだったの。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 24, 2008

浮かれ気味 みんな待ってる連休は 私にとって 拷問みたい----------------------------------------------------------------……時間、早回ししたい。こんな立場ですから、正直連休とか、いりません。にゃにがごーるでんうぃーくだ。……私には……地獄以外の何物でもなく、もう既に、今から憂鬱なのでした。働いてた方が、よっぽどまし。この連休の間、『あぁ今頃、あの人は家族と…』とか、ことある毎に思うんだろうか。そんな連休、やだ……………。海でも見に行こうかなぁ。だめだ、よけい惨めになる。バイトでもする?家族連れ見て、せつなくなるのかなぁ。こもって、勉強でもする?ちょっとそれはそれで、どうよ?っていう……。あー…………………………かといって、千早達と遊ぶ気にもなれない。千早、彼氏出来たんだよね。ごめんよ、千早。今、千早のおのろけ聞けるパワー、残ってないの……。ごめんね。ごめんね。千早。はぁ……ただ、ただ、憂鬱。連休、いらないよぉ。どうしようかな、連休、何に使おう?もしかして、こういう時こそ、自分磨きに向くのかしら?ん、それもありかも。じゃあ、そう過ごそうかな?この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 23, 2008

せっかくの 好きなあなたに片想い 沈んでいたら つまらないよね ----------------------------------------------------------------篠宮凉子になりたい…。ふぅ。たまたまつけてたドラマを見ながら、ため息をついた。だって。もともと、彼女のご主人は、既婚者だったというけれど、ちっとも汚らしい感じ、しないもん。でもそれって、彼女自身がちゃんとかっこいい生き方してるからなのかなぁ…。そんな風に思った。ちょっと、思い立つ。それが、直接この恋に関わってくるかどうかは判らないけど。ねぇ。私、この恋をしてから、びーびー泣いてばっかりじゃない?それでいいのかな?ともあきから見て、私、魅力的なのかな?違うよね。私、いいの、いいの、なんていいながら、しっかり奥様のこと、羨んでる。そんな女、綺麗だと思う?絶対違うと思う。今夜だって、結局、清和さんの耳の痛い忠告から逃げてきた。泣きじゃくりながら帰ってきた。でも、こんな私、ちっともステキなんかじゃない。『……がんばろっかなぁ』私が暗いままだったら。後ろめたいままだったら。いつまで経っても、この想いは、『不倫』『悪いこと』『いけない恋』なのかもしれない。結果なんて、見えてるかもしれないけど。あえて、見えてる結果に、逆らってみるのも、アリかもね?やってみなくちゃ、わからない。だめだったら、だめでいいじゃん。どれだけがんばれるんだろ? 私。誰が、なんて言ったって、いいじゃん。好きな気持ちは自由だよね。あえて、結果は見えてるんだもん。だったらきっと、その方が、逆に後悔しないかもしれない。でもそうね、いづみがくれた『そういう話もあるって話』……。それが起きたら、奇跡だけど、ちょっとだけ、夢見たっていいよね!せっかく大好きな人が出来たんだもん。しあわせでいなくっちゃ。こんな、嫉妬でぐじぐじした、暗くて湿っぽい想いなんかじゃ、この恋も、こんな女に想われてるともあきだって可哀想。せーわさん、ごめん。心配させて、ごめんなさい。でも、それでも、がんばりたいの。苦しいのなんか、最初からわかってるじゃない。よーし、今日から、目標は、篠宮凉子!!それでいいじゃん。せっかくの恋だから。好きになっちゃいけない人だからって、暗くなるのはもったいない。『あぁ、あの人なら、素敵だよね』そう言われる女の人になろー!この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 21, 2008

この恋を 消してしまえと言われても 出来やしなくて 今ここにいる ----------------------------------------------------------------解かってるよ、ちゃんと解かってる。外に出しちゃいけないことだから、あえてともあきがそう言ったことくらい。解かってるよ、ちゃんと解かってる。きつい言葉が、清和さん流の『やさしさ』だってことくらい。……でも……でも……なんて悲しいの………。仕方ないことなのに、なんでこんなに悲しいの………。清和さんは、なおも続けた。たぶん、清和さんは、鋭いから、何かを感じ取ってる。私の思いだけじゃなく、我妻部長と、ともあきが、何かで動いていることも…。だから…清和さんは、こういう言い方をするんだ……。清和さんのカンは、小さい頃からよく当たるらしいよ、と、てっペーが言っていたっけ。『彼はね、かなり家族を大事にしているんだ。 だから、あいちーが、もし本当にささきちを好きなら、やめた方がいい。 ただ傷つくだけだ。 それに、少しでも脈があるならば、 冗談でくらい“いいねぇ~”とか言うはずだ。 もし……たとえばあいちーと彼が、何かの拍子に仲良くなったとして、 彼が、君の想いに応えたとしても、 それは、偽りでしかないはずだ』脚が、がくがく震えた。自分の存在意義が、わからなくなる。見えなくなる。私、どうしたらいい?誰かが、その道を指し示してくれるなら…………。『…やだなぁ、清和さん』笑みを含んで、私は答えた。『そんな………佐々木さんのことなんて、何とも思っていません。 ただ、だって、清和さん、あのとき、誰がタイプって訊くんだもん。 だから、あえて答えただけ……そんな…… そんな、好きなんかじゃ……………』『…………美優、ちゃん』ぽろ。ぽろ。ぽろ。笑ってるのに。勝手に、涙が……出てくる………。『………美優ちゃん………』『……だからね、何とも思ってないですよ、佐々木さんのことなんて』涙が、勝手に出てくるけど、とりあえず、私は、笑って、デスクの上の、さっき忘れたノートをバッグに入れた。『じゃ、せーわさんっ………私、帰りますっ』『ちょ………あいちー!』いられないでしょ。これ以上いたら、ばれちゃうよ。本当の気持ち。ばたばたばたばた。私は、エレベーターに飛び乗った。す…っと、ドアが閉じた瞬間、私は………。『………ふえぇ……ん』行き先のボタンも押さずに、ひとりで、むせび泣いた。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 21, 2008

解かってた でもだからこそ 現実を 目の当たりにし 深く沈むの ----------------------------------------------------------------忘れ物を、した。せっかく早めに退社して、18時半には家に着いたのに、なんと、ごはんを食べて、20時回ってから、大事な忘れ物をしたことに気づいた。……イヤ過ぎる……結局私は、もう一度スーツに着替えて、夜だというのに、会社に戻った。電車に乗って。最寄駅で降りて。会社の入っているビルへ向かう。ごはんを食べたことが、唯一の救いかもしれない。……エントランスの自動ドアから、明かりがもれていた。こんな時間に、誰かいるの…?そおっと、エントランスをくぐって、IDカードを通した。『よ、あいちー。』『せーわさん!』営業所には、清和さんがいた。どうしたんだろう、清和さん…?『せーわさん、どうしたんですか?』『ん、自社のPCに、アプリケーションのインストールしてたんだ。 てっぺーの勉強用にね』『こんな遅くに、ですか?』『うん。じゃないと、なかなか帰ってこられないからね』せーわさん&てっぺーコンビは、なかなかの美形だと思う。たぶん、うちの会社で、いちばん美形なんじゃないだろーか。半分暗い社内で、PCの光に照らされて、アプリケーションをインストールする清和さんの横顔は、なんだか知らない人のようだった。『てっぺーは?』『帰っちゃったよ。あいつんち遠いし。こっから幕張なんて、遠すぎだ』『そうですよね…ひとり暮らしすればいいのに』『逆にそれでもここまで通ってるのがすごい』『確かに…』B課は、毎日遅くて大変らしい。しかも、出向先の、千代田区にある社屋と、ベイシティにある臨海社屋に、日替わりで行ったり来たりするから……。『ね、あいちー』『なんですか?』『ささきちのこと、あきらめた?』『えっ!?な、なんでそんなこと… 私、佐々木さんなんて、なんとも思ってま…………』“思ってません”って、言えなかった。清和さんの不意打ちに、言葉が詰まった。『……あきらめたほうが、いいよ。 じゃないと、あいちーが、あとでつらい思いをする』『せ…せーわさ、私、そんな、全然………ッ』『俺さ、ささきちに、ちょっとカマかけてみたんだ。 彼、3月14日、誕生日だって、知ってた?』『…そうだったんですか…知らなかった………』私は、精一杯の演技をした。『誕生日に、あいちーでもあげるよー、って、言ってみた』!!『や、やだぁ、清和さんったら』……どうし、よう……どうしよう……動揺してる……私…………こわい……怖い、崩れそうで、怖い………とにかく、悟られちゃダメだ。とりあえず、笑っていて、私。誰にも、この気持ち、知られちゃダメ………!でも、きっと、清和さん、カンで、気づいてるんだ………だめ、平静を……装って……!『すげぇ嫌がってた。迷惑だ、って』………一瞬、周りの景色が、何も見えなくなった。私の中身、全て抜けていく気がしてた。ただ、白くて。目の前に、細かい星が散って。ふっと気を抜くと、たぶん、私……倒れてしまう、そう思った。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 21, 2008

なんでなの? 身体を合わせない日でも 変わらずいつも 会ってくれるの…----------------------------------------------------------------こんな立場で、しあわせですとか言ったら、いけませんか?自覚しています。どんなに私がいけない女で、いやらしい女で、汚らしい女であるかと。でも、たとえそう言われても、大好きです。どうしようもなく、大好きです。私の家族を壊した父の愛人と、ヨコカワリカは大嫌いです。今でも。けれども………。その気持ちを理解出来そうになっている私は、ただのバカなのでしょうか?散々『される側』にいたのに、どうしてあえてこんな風になるんだろう。どうして………。ねぇ。もう会えないユウミちゃんや、かつての小山さんの恋人、ユウナさんに呼びかけてみる。……きっと、本当は、不倫なんかしたくなかったよね?だって。本当は、その人だけが欲しくて。なのに、オプションで、私には必要ないものがついてきちゃう。その『必要ないもの』に、何度苦しめられただろう?たとえて言うならば、テレビショッピングで、それそのものが欲しいのに、余分なおまけがついて、ぽっきり30000円とかいうようなもの。『それだったら安くしろーとか思うんだけどさー』と、昔の彼、トモアキが言っていたっけ。“オプションさえなければ”非難される恋じゃなかった。誰が……進んで人を不幸にするようなことを、望んでするもんですか……。誰も傷つかずに、みんなしあわせで、そういられたら、こんなにいいことはない。だって、何が悲しくて、何の関係もない家族を、不幸にしなきゃいけないの?なのに、なんで、カミサマは、こんな意地悪するんだろ。こんな、過酷な意地悪を。あぁ、あぁ、あぁ、何を言っても、ただの言い訳だって、非難されてしまう。だけど、それでも、私は、ともあきが好き。ともあきと逢えたことを。側にいられることを。誇りに、しあわせに思います……。----------------------------------------------------------------『……すき』届かないかもしれない。解かってる。届かないかもしれないけど、後悔しないように、心の中身、全部伝えたい。くちづけを交わすたび、ありったけの想い、全部込めた。今夜は、キスまで。熱が、少しだけ、高い。途切れなく、何度も何度も、キスをした。あなたにぎゅっと抱きしめられて、ふわふわと、熱っぽい身体で、しあわせな気持ちになって、あなたに全てを任せてた。綺麗な海に抱きしめられて、波に静かに洗われる、虹色に艶めく真珠みたいに。『大好き』その答えは、いつも『おれも』じゃないことは、私も本当は気づいてる。『ありがとう』そう返ってくる、答え。嬉しくて、涙が出るほど、せつない。………それでも、私は、あなたが好き………。かなうか、かなわないかどうかを確認してから、恋愛し始めるわけじゃないから……。それよりも、後になって後悔しないように、後になって、ちゃんと愛せなくてごめんなさい、なんて、悲しい後悔しないように、あなたと逢った意味を、模索しながら、あなたの側にいたいんです………。……不倫相手なんて、所詮、性欲処理だと言った人がいた。だからこそ、どうして? あなたにそう訊きたくなった。あなたは…私が『出来ない』日でも、ちゃんと会いに来てくれる。しあわせだなって、本当に思うの。だって私、あなたがいるだけで、こんなに嬉しいんだもの。『大好き』『……………』『ともあきが、大好き』届かなくても。かなわなくても。どんなことがあっても。『大好き!!』いとしくて、いとしくて、ベッドに横たわって、抱きしめられて、数え切れないほど、キスを交わした。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 20, 2008

冬が来て 歴史はめぐる 夢のよう 幼い私 それを知らずに----------------------------------------------------------------そして迎えた、バレンタインデー。こうして見ると、不思議なことに、美優の恋は、いつも冬にやってくる。この年は、黒い紙に、パステルカラーで不透明のカラフルボールペンで文字を書く、『ミルキーペン』なるものが、女子高生の間でブレイクしていました。そうねぇ…ルーズソックスもそろそろ終焉を迎えていて、濃い色のハイソックスが流行り始めた頃かな?私も、ミルキーペンのトリコになったひとりで、秋の学院祭は、黒と紺の用紙に、ミルキーペンでイラストを書いたポスターを作りました。まぁそれはさておき…。この年のバレンタインデーも、例外ではなく、私は、黒い紙に、カラフルなミルキーペンを使って、上原さん宛てにお手紙を書いて、にじ色クッキングという本を見ながら、せっせと5種類のショコラトリュフを作ったのでした。ビスケットを砕いて、ココアと生クリームをなじませて、ころころまるめて、ビターチョコかミルクチョコでコーティングして、シュガーパウダーか、カラースプレーか、ココアで包むの。可愛いラッピングをして、あらかじめ用意した、クマさんの小さなぬいぐるみに、チョコを入れた袋を抱っこさせて…きれいな包装紙で、くるんとくるむ。でもなぁ……『ねー上原さんは、クマさんとか好き?』『セガーラのCMのクマなら好き。』とか言ってたもんなぁ……大丈夫かなぁ……。まいっか?----------------------------------------------------------------14日。運良く私はその日バイトで、上原さんも出勤。休憩時間が19時にあって、なんと、そのとき、まるで誰かが計らったように(そんなわけがないけど)、私がひとりで休憩しているところに、上原さんが来たのでした。………い…今渡せなきゃ、後がない!!『……う……上原さんっ!!』『ん?』私は、猛スピードでロッカーを開けて、青い色の包みを取り出した。『………へ?』『き…今日、ばれんたいんでーじゃないですかっ だから…っ、上原さんにっ……ちょこれーとつくりましたっ。 受け取ってくださいっ!!』上原さんは、ものすごくびっくりしてた。でも、やがて、そっと目を細めて、優しい顔して笑ってくれた。『……ありがと』そう言って、上原さんが包みを開けようとしたので、慌てて静止した。『わぁぁっ、家!家行ってから開けてください!!』………まさかこのとき、私は、10年後に、上原さんにとってもよく似た人に、とってもよく似たシチュエーションで、同じようなことをして、この頃もっとも嫌っていた道へ進むだなんて、これっぽっちも…夢にも思わなかったのでした。そして10年後、私は、よくこう思うようになるのです。『ジジツハ、ショウセツヨリ、キナリ。』と。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 20, 2008

はじめての 小さな恋の始まりは 大人になったばかりのあなた----------------------------------------------------------------ともあきと、初めて逢ったときにね、思い起こさずにいられない、想いがあった。とてもとても昔のことなのに、突然、変わり果てた私の全てを、一瞬にして、戻してしまったから。そしてね、一緒に撮った写真を見たときに、私はひどく驚いたの。だって。………だって………。----------------------------------------------------------------『…上原さんと、ミュー、似合うと思うけどな』『えっ!?』社員のおじちゃん、上川(カミカワ)さんが、突然そう言ったから、私は、品出し用のタワシの束を、どさどさっと落としてしまった。16歳の、冬ももうすぐの、11月。私は、学校に内緒で、こっそりと、家の近くのホームセンターでアルバイトをしていました。『ファミリセンター宇佐見店』は。家からも近いのですが、私の通う学校―――創新学院からも近くて、それはそれはヒヤヒヤものでした。でも、何とか無事に、バイトを始めて3ヶ月。先生達に見つかることもなく、順調に過ごしています。最近、私は、外のエクステリアのレジを手伝うことが多いです。エクステリア担当は、今年社会人になったばっかりの、上原 友裕(ウエハラ トモヒロ)さんっていう人。上原さん、は。優しい目をしていて。笑うと、すっごく可愛くて。なんだか少し、おさない感じが残ってて。なのに、ちょこっと先生みたい。のんびり口調で話してて。…そんな人です。めちゃくちゃいい人そう~って感じの上原さんに、私は、そーっと恋をしていたのでした。一度、勇気を出して、閉店間際の、ふたりっきりのときに、訊いてみることにしました。『ねーねー、上原さんは、どういう女の人が好きなの?』『うーん、佐々木菜々海(ササキ ナナミ)、かな?』…ササキナナミ、は。当時、トネテレビの『トンでるイケテル!』とかいう番組(←あまりテレビを見ない)で、レギュラーを務めていたタレントだった。『ササキナナミかぁ…』『なんで~?』『ううん、なんとなく…そうなんだぁ…』……困った。ササキナナミが好きなのかぁ……。…よく、誰々に似てるとか、言われることってありませんか?当時の私は、それはそれはしょっちゅうのように、奥森愛(オクモリ メグミ)に似てると言われていたのです。当時人気のあったバンド、『Jack and Betty』好きつながりで仲の良かった、女子家政科の『アキコちゃん』曰く、『芸能雑誌“アポロ”のオクモリメグミの写真を見て、ミューちゃんだと思ったくらいびびった』なのだそうで…(嬉しいけど…喜んでいいのでしょうか?)。だから、全く系統の違うササキナナミ…という答えに、ちょっと落胆してしまったのでした。……どうしたらいいんだ……。ササキナナミとオクモリメグミじゃ、全然違う………。えーん……。上原さん、私じゃダメかしら?………だってさっ………。上原さん、社会人だし…23歳だし…。私、高校生だし…16歳だし…。上原さんから見たら、きっと……私なんか…コドモなんだぁ………。だって、ササキナナミ、ちょこっとイケテルネーチャン系じゃないよぉ。そうゆうの、似合わないし………うぅ………。だって。だって。オクモリメグミなんてっ。制服女優とかいう別名があるんだよ?やっぱりコドモなんだぁ………。でも。でも。でも。上原さん、カノジョいるかなぁ?女子高生じゃ、嫌かなぁ?あっ、でもね、でもね、……夏にね、『はじめて』は済ませたから、もう大人だよ?…って…カラダだけ大人だって、仕方ないよね………。………はぁ………。しかも、もう汚れちゃったから、だめかなぁ………。どーしよ。どーしよ。ちゃんと私から好きになって、おつきあいしたことないから、どうしたらいいのか、よくわかんないよ。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 20, 2008

とろけそう 甘いため息つきながら あなたに全て 委ねているの----------------------------------------------------------------ごろん。ふたりとも、脱力して、ベッドの上に寝転がる。一緒に寝転がっていると、どっちからともなく、くっついて、抱きしめあってる。視線が合うと、まるで、申し合わせたようにね、目を閉じて………キスしてる。チェリーの香りのリップグロスが、ともあきのくちづけで、とろけてく。『…したくなっちゃう……』『……だめ。』大好きよ。大好きよ。大好きよ。ともあき。ねぇ、ほら、もう、くちづけだけで、そっとつぼみが開く。でも…今夜は、キスまでね?そっとくちびるを離したとき、ともあきの吐息が、首筋にかかって、びくっとなる。『あん…ぞくぞくする…』『…そんな声出されたら…こっちもしたくなっちゃうよ…』ため息みたいな声で、ともあきが言った。そんなともあきが、愛しくて愛しくて仕方ないの。ねぇー………。いつもは、私がそっとあなたに護られてるから、こんなときは、私がそっと包んでも…いい?『…熱い…熱出てきた?』『うん…ちょっと。えへへ』そっとね、ともあきを抱きしめる。いいこいいこ、してあげる…………。ともあきの髪を梳くように、ともあきに、いいこいいこするの。そんな私に、あなたは、耳元と首筋に、何度もキスする。『……あ……』『くすぐったいの?』『…うん…だめなの…ぞくぞくしちゃう……』そんな私を、目を細めて、穏やかな顔で見て、また、くちづけ。『ん……』ぎゅって、抱きしめていてね。横たわって、抱きしめあったまま、何度もキス。そっと、私の手と、ともあきの手がふれて、どちらからともなく、指をからめてる。…………熱いの…………。ねぇ、もっと、して…………。微熱でぽーっとしたままで、大好きな人にささやいた。もっと、もっと、くちびるを重ねて、私のこと、熱くして…………。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 19, 2008

微熱なの 優しいあなた お見舞いに 美味なごはんと あまいくちづけ ----------------------------------------------------------------『今、N社を出たところです。 30分くらいで、そちらに向かいます』意地悪ね、ともあきは。私の想い知りながら、そっけなくて、他人行儀。 です。ます。ですか?ますか?解かってるけど、ちょっとせつない。…………もっと…もっと…近くなりたいの…………。胸が……きゅんとしめつけられる。だめ、そんなこと、望んじゃだめ…………。ともあきは、きっと知らない。私が、想いを抑えつけるのに必死なこと。ふっと気を抜いたら、愛しい気持ちが全開になってしまいそうなの。……熱が、少し、上がってきたみたい。病気のせい?それとも………。どきどきどきどき………。----------------------------------------------------------------携帯が鳴った。『もしもし~』『あ、着いたの?』『うん。なに食べたいか決めた?』『あったかいもの♪』『…そっか…なにがいいかな……すき焼き風のものとか、好き?』『うんっ』いつもね、不思議に思うことがあるの。ともあき、どうして私の好きそうな物がわかるの?冷静に、人間観察が好きなんだよ、そんな風に言っていたけれど、…でも…それでも…ともあきの観察力に、舌を巻く。ともあきにね、全部伝わってる気がして、私の勝手な思い込みかもしれないし、誤解や錯覚かもしれないけど、ゆっくり…穏やかな波に揺られて、あなたに全てを任せてるの……。やがて、エントランスの呼び出し音がする。カメラに、ともあきが映った。『開けるよー』「開錠」ボタンを押して、自動ドアが開いた。----------------------------------------------------------------美味しそうな、すき焼き風うどんと、ペットボトルのお茶を持って、ともあきがやってきた。『一緒にごはん食べよう』『うん!』小さな、お気に入りのガラステーブルに、すき焼き風うどんと、あなたが食べるハンバーグのお弁当と、お茶が、並ぶ。『ありがと、来てくれて』ねぇ、病気になっちゃって、しあわせ!?なんて。そんなこと言ったら、叱られちゃうね。………だぁいすき………。ともあきに、私の全て、見せちゃってる。こんな、パジャマ姿、他の人じゃ見せられない。いけないね。だって。知ってほしいの。もっと。私のこと。でも、本当は、まだ、胸の中で、いっぱい言葉が眠ってるの…。全部伝えてしまったら、あふれて、止まらなくなりそうで………。はねっかえりで。バカでアホで。活発で。女っぽくなくて。そういう風にいるので、精一杯なの。じゃないと、私……………。だから、おしゃべりでごまかしてしまう。もっと、可愛らしくいたいのに。でも、そうしてしまったら、私きっと…………。『びっくりしたよ…まさか、点滴打ってるなんて思わなかったから』『思わないよね、普通……自分でもびっくりしたよー。 だって、検査終わるなり、点滴打ちますって言われて…。 でも、今日暖かかったじゃない? なのにね、寒くて寒くてしょうがなかったんだよね。 お昼休み、日が差すところから動けなくなっちゃったの』『ありゃ』『ね、困っちゃうよね…病院行ったらそんな感じだし…』『無理してたんじゃないの?』『ううん、全然そんなことない……気持ちはすっごく元気なんだけどな』『全く…』『なによぉ』そんな私を、ともあきは……いつもね、優しい目で見てるの。生意気で、可愛くないコで、ゴメンネ?なのに、そっと私を包んでくれるから、どうしようもなく………女になってしまうの。でもね、それが、とても心地よくて……。あぁ、我慢しなくていいんだ………そう思えるの。私の家に来るとね、あなた、リラックスして、スーツを脱いで、Tシャツ姿になるの。なんだかね、いとおしい。そういう小さなことにまで、すごくしあわせを感じるの………。思うの……。意外と、つらい恋なんかじゃないんだ…って。ともあきと出逢ってからね、『当たり前』をすごく大切にしたくなったの。私、ずっと、わがままでどうしようもない女だったの。だから、愛してくれた人、傷つけて………。『当たり前』が、いちばんしあわせなんだって、知らずにいたの。見かけや身体を見せることでちやほやされても、華やかな世界におかれても、たとえば目立つことで、プライドや、欲は満たされたけれど、しあわせとはとても程遠くて………。ここ数年くらいね、男性を、見た目で選んでた。私の価値観、何でこんな風になっちゃったんだろう、そう思ってた。芸能人だと、小池考一郎とか、小泉亮平とかが好きだったから…。高橋雄太は、小池考一郎に似てたけど、あんな性格じゃあね…。伊東雄二も、ちょっと見は小泉亮平に似てたけど、あんな性格じゃあね…。…アホ過ぎる。中身ちゃんと見てたら、こんなわけのわからない恋、普通はしないでしょ…。自分の見る目のなさに、思い返して、思わず脱力しそうになった。すき焼きうどんを啜りながら、目の前のともあきを見た。……たぶんね、イケメン(私、この言葉が苦手…)とかとは、違うところにいると思う。でもね、うまく言えないけど、たぶん…違いの分かる女の人…ならば…惹かれずにいられない、女の大切にしてるものを、そっとつかんでしまう、例えて言うならそんな人。ものすごく、目立ってかっこいいとかじゃないの…。でもね、胸が、きゅんてなっちゃうくらい、すっごく素敵な人なんだよ。優しい目をして。笑うと、すごく可愛くて。なんだか少し、少年みたいで。なのに、ちょこっと先生みたい。のんびり口調で話してて。でも、ちょっとだけ激しい部分を隠し持っていて。優しいだけじゃなく、厳しい部分も持っていて………。だぁいすき………。『どしたの?』あまりにも、私が見つめるから、ともあきに不思議がられちゃった。『んーん、なんでもない!』微熱はね、病気と……ともあきへの想いのせいなの。この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 19, 2008

ありきたり 粗品みたいなプレゼント それでもココロ 詰めているから ----------------------------------------------------------------暖かい日差しが。晴れた日特有の、青いひかりが。私の部屋に、注ぐ。前に住んでいた所は、ちゃんと陽が当たらなくて、暗い、湿っぽい部屋だった。優しい春に包まれて、大好きな人の頬にふれて、ぎゅっと抱き合って、ゆっくりくちづけを交わした。『………ふ………』どうして?もう何度も、こうしてくちびるを重ねてるのに、いつも、いつも、ドキドキする…。まるで、初めて恋をしたみたいに。『ともあき』同じ名前。昔大好きだった人と、同じ名前なのに、そっと呼ぶと、違う甘さをふくむ。不思議ね。『トモアキ』は、懐かしい響き。元気かなぁ。ありがとう。しあわせでいてね。そう思う。『…ともあき』何度も、何度も、呼びたくなっちゃう。『あ!』何度かキスを交わしたあと、思い出したの。今日渡さなきゃ、ね。『ねぇねぇ、ともあきに渡したいものがあるの……』『なーに?』私は、ちょっとだけ身体をずらして、側のサイドボードに手が届く距離だったから、引き出しを開けて、プレゼントを取り出した。『はい』『えっ!?』『……おたんじょうび、おめでと……! あげたかったの。 ともあきに…プレゼント………』『え…気なんか遣わなくていいよ……』『そんなんじゃない……好きだから……あげたいの……』ねぇー………包み紙だってね、こだわっちゃったんだから。メーカー違うのに、わざわざスタイリッシュな『リーベル』のものにしたんだから。だって、大好きな人の誕生日だもん。だけど、いかにもなモノはあげられない。そっけない。『会社で貰いましたよ、記念の粗品に…』そんな感じのプレゼント。だからこそ、いっぱい、いっぱい、私の想い、全部詰まってる。あの時のチョコと、一緒。そっけないけど、飾り気ないけど、いいの。シンプルな包装紙の下に、『大好き』がいっぱい入ってるから。きっとね、プレゼントするたびに、ビジネス用品になってしまう。入学祝いや、就職祝いみたいで、それがちょっとせつないけれど、それでもね、あなたの側においてね、そんな気持ちを込めて………。そっと、深緑の包装紙をとくと、ブルーブラックの箱が出てくる。あなたが箱を振る。かた、かた、かた、かすかに箱の中で音がした。『?…なんだろ』『へ?…何の音…?』あれ?ペンって、固定してあるはずだよね?何の音………?箱を開けてみると、ペンと、4センチくらいの、小さな説明書が入ってた。『あー…かたかた言ってたのは、説明書の端っこが、箱にぶつかる音だったのね』『……まさか、これ、高かったんじゃ……』『…そー言うと思ったから、お手頃な値段のものにしたの。 高いと、受け取ってくれなさそうだもん。 ね、そのペンなら…『会社の粗品で貰ったよ』って、言えるでしょ? ……そっけないプレゼントで、ゴメンネ。 よかったら…使ってくださいっ…………』チョコレートを渡した時と同じくらい、胸が破裂しそうだった。あのとき、この恋は閉じ込めよう、そう思ってた。でも、ともあきは、見抜いてたの?私が、この想いを、閉じ込められやしないって。あの頃ね、私、何度も何度も言い訳してた。あふれそうな自分の想いを、なんとかして閉じ込めるために、逃げていたの。……だけど……。あなたが、少しずつ、そんな私の側に、歩み寄ってきてくれた。そのたびに、消されそうだった恋が、確かなものに変わってく。大切な想いを、無理やり摘み取ろうとしていた私に、そっと手を伸ばして、ぎゅっと抱きしめてくれた。仕方ないから、諦めなきゃ。この想いは摘み取って、新しい恋の種を蒔かなきゃ。食事だけだってよかったのに。『ごめんね』って振ってほしかったのに。お母さんが悲しむから。所帯持ちの女友達に、嫌われてしまうから。……うそつき。自分の芽吹いた想いに、言い訳つけて摘み取ろうとするたびに、ともあきに、そう言われちゃった気がした。『……ありがとう』ともあき。ねぇ私、ともあきの嬉しそうな顔が大好きなの。ずっと、側で、あなたの喜ぶ顔、見ていたい。ほら、もう一度、想いがあふれて、くちびるを重ねる。無理やり摘み取られるはずだった想いが、大好きな人に護られて、そっと、のびやかに、育ってる。(※つづきはこちらへどーぞ。)この恋を、そっと見守っていてください……。いつも、押してくれてありがと………。おかげで、なんだかちょっと、せつなさが抑えられそうです。
April 19, 2008

今解かる 部外者だから 言えたこと 身に起きてこそ 知るせつなさは----------------------------------------------------------------家に帰り、軽くシャワーを浴びて、パジャマに着替えて、横たわる。ふと………友達だったユウミちゃんを思い出した。白い桃の缶詰が大好きで、幼い顔をした、一部ではアイドルの彼女。そんな彼女が、誰かの家庭を傷つけて、小山(オヤマ)さんとデートに行く約束をして、平気で笑ってる。許せなかった。でも、許せなかったのは、ユウミちゃんじゃなく、小山さんだった。人の良さそうな顔をして、優しいユウミちゃんを弄ぶ、そんな小山さんが大嫌いになった。……だけど……何度か小山さんの奥様に接触したことがある。なんて言うか………一言で言うなら『圧倒』というのだろうか。『威圧』?『圧力』?とにかく『圧』という漢字がつく言葉が似合う人だった。奥様と、ユウミちゃんは、真逆の場所にいた。知ってた。この奥様が、小山家が経営してるライブハウスのバーテンダーと、出演者の、あるバンドの女の人が恋に落ちた時に、徹底的に女の人を精神的に追い込んで、心を壊したことを。小山さんほどではないけれど、奥様もまた、このバーテンダーを気に入っていたからだ。『アイミ』という名前の、その女の人は、『クリアスカイ』というバンドで、歌ってた。彼女は、ライブハウスのバーテンダーに恋をして、この奥様に、散々追い詰められ、奥様に逆らえないバーテンダーに、悲しませられ、ついには、精神を病んで、歌えなくなった。『心に嘘つきながら、歌うことは出来ない』そう言って、彼女は歌うことを辞めて、ステージで散った。なんだか、嫌だった。小山さんも。その奥様も。汚い夫婦、小山さんち。そんな風に思ってた。その上、小山さんは、ユウミちゃんの前にも、出演していたあるユニットの女の人と、恋愛関係だった。『結奈(ゆうな)』……。彼女は、とても明るくて、元気で、見た感じは、今ドキねーちゃん。でも、とても繊細で、優しい人だった。ユウナさんを、小山さんとこのライブハウスから追放したのは、他でもない、その奥様だ。アイミという名前の女の人の心も。ユウナさんの心も。その奥様と、小山さんが、壊した。でも、小山家には、10歳になる娘、佳帆(かほ)ちゃんがいた。さんざん人を傷つけておいて。佳帆ちゃんを、お客さんに会わせる事で、いい夫婦を演じてた。その一連の様子を見て、『そりゃー小山さんが不倫しても仕方ないわな』とも思ったし、だからこそ、そんな小山夫婦が嫌だった。でも…………小山さんが、ユウミちゃんに手を出したと知ったとき、私は、小山さんの存在自体が、ドブにへばりつくヘドロのように思えた。ユウミちゃんを、あんたみたいなので、汚さないでほしい。悲しませないでほしい。これ以上、女の人の心を壊さないでほしい。そう思った。ベッドの上で、部屋の天井を見上げた。窓の外は、ゆっくりと、藍色に染まっていく。そのうち…空には、ミルク色の三日月が、見える頃だと思うんだ。もしかしたら。ねぇ、ユウミちゃん。ユウミちゃんは、それでもいいから、小山さんの側にいたかったの……?せつなくても。たとえ涙が止まらない日があっても。私は、勝手に、ユウミちゃんが、小山さんに汚されてる、遊ばれてるとしか思えなかった。でも、ユウミちゃんは、ユウミちゃんなりの考えがきっとあって、何もかも覚悟で、小山さんと愛し合ってたのかもしれない。あぁ、私……ユウミちゃんのこと、何も解かってあげられなかった。自分がこんな風になって、初めて解かった。自分じゃどうしようもない、強い想いがあることを。着信を知らせる、愛月菜未の歌が、鳴った。……ともあきからの……メールだった。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 19, 2008

さらさらと さくら花びら 風に舞い 君に想われ 春色夕陽----------------------------------------------------------------夕陽に照らされて、電車が走る。やがて、くだらない苛立ちが、夕陽にすっと消えていく。こんな…夕焼けが見える時間に帰るなんて、どれくらいぶりだろう。そんなことを、思った。私、ともあきからの着信が気になって、メールを送った。『電話くれたの?ありがと… 今病院から帰ってるとこです。 ずっと点滴打ってたの。ゴメンネ』数、分後。手に握りしめてたケータイが震えた。液晶画面に、ともあきの写真と、電話番号。『……はい』電車が、タイミングよく駅に止まった。家の最寄り駅ではないけれど、ともあきからの電話の方がずっとずっと大事だから、私は電話に出ながら、一度電車を降りた。『もしもし~』のんびり、穏やかで優しい、あなたの声。あなたは、いつも、『美優に癒されてるよ』そう言ってくれてるけど、私もね、同じなんだよ、ともあき………。『大丈夫? ……聞いて、びっくりした…… そんなことになってるなんて……いま、帰ってるの?』『うん。帰る途中』ホッとしてる。ねぇ、私ね、思うのよ、ともあき…。あなたの側にいられるだけで、あなたの声が、私に注がれるだけで、私、こんなにもしあわせを感じてるの。ゆったり。ゆっくり。『………美優、会社終わったらお見舞いに行くよ。』え!?思いがけない、コトバ。一気に胸が高鳴った。『………ほんと………!?』『うん。何か食べたいものある?買っていくから。』『わーん…いちごショートケーキ!』『だめっ。病気なんだから』『んー……じゃあね、あったかいもの』『わかった。また電話するから、考えておいてね』『うん』 ね、具合が悪くて、身体はとっても重いのに、ともあきの声を聞いただけで、ふわんとして、甘い気分になる。電話を切って、次に来た電車で、家の最寄り駅まで。一昨年新駅舎になったばかりのこの駅は、とてもキレイで、通路の窓から夕陽が差して、真下を通って長く長く続いてく線路が見える。駅を出ると、大きな桜の木が、淡い…白っぽい薄紅色の花を、たくさん咲かせてる。駅前商店街は、少しずつ賑わい始めてて……。そんなひとときを、夕陽が優しく包んでる。ふわっ。やわらかい風が吹いた。桜の花びらが、樹から離れて風に舞う。ともあきのことを想う気持ちに似て、穏やかな、のんびり、ゆったり流れる時間。あなたが来るまでに、パジャマに着替えて、ゆっくり身体を休ませてよう、ね。穏やかで、全てを忘れてしまいそうな、さくらの春の、優しい夕焼け。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 19, 2008

ほんとうは ひとりじゃないの知ってるの あなたこんなに 想ってくれて----------------------------------------------------------------目が…覚めた。今、病院内は少し遅い休憩時間。誰も、いなかった。15時半から、午後の診療が始まる。まだ、点滴は終わってなかった。『…………』横の篭に置いたバッグのポケットの中で、携帯が光った。…………誰…………?着信が、4件あった。…………ともあき…………。そうか、きっと、倉木課長か江藤さんから、N社にいる我妻部長に、電話がいったんだ………。で、ともあきが、その話を誰かから聞いて…心配して………かけてきてくれたの………?ぽつり、ぽつり、まだ点滴が落ち続けてる。今まで寒がっていたのが嘘みたいに、胸が熱くなった。ちょっとしたことだけど。同じことがあったら、奥様にだって、同じように…いいえ、それ以上に心配するかもしれないけれど。それでも、本当に嬉しかったの。まだ、少し、下腹部は痛むけど………。そんなこと、たいしたことないくらいに、感激なの。私は、安心して、バッグに携帯を入れなおして、もう一度、ふっと眠りに落ちた。----------------------------------------------------------------………点滴が終わったのは、16時半。なのに、17時になっても、ちっともお会計に呼ばれない。もう、身体が重たくて、一刻も早く、帰って寝たかった。痺れを切らして、私は、医療事務の女性ふたりに、話しかけた。『……もう30分経つんですけど……お会計まだですか?』『……あ、そうでしたか……すみません………』ちょっと太り気味の、若い医療事務の“お姉ちゃん”は、もそもそと、PCを(今さら)検索しだした。『あのー、診察券、なくなっちゃったみたいなんですよぉ』……は?意味がわからない。一緒にいる、頼りなさそうな年を取った医療事務の“おばちゃん”も、うろうろ、おどおど。そうこうしてる間に、15分が経った。さんざん意味のわからないことで待たされて、15分。私は、この病院、すごく好きだった。先生も、看護師さんも、親切だから。でも、いつももたもたしている、この人達が大嫌いだった。辞めちゃえばいい。いらいらした。なんでこんなのが、のうのうと仕事してるの………。具合が悪いせいもあってか、私は必要以上にいらいらしていた。『いいかげんにして下さい。診察券がないとか…なんなんですか? じゃあ…ちゃんとしてもらえなかったら、私待ちっぱなしだったんですか?』『えっと…そういうことになりますよね…ごめんなさい』『……もういいです』あんなの、いらない。余計具合悪くなりそう。ものすごく、ものすごくいらいらして、腹立たしかった。最低。私、最低。なんなのよぉ……………。なにやつ当たりしてんのよ………。なかなか、いろいろ、うまくいかないからって。………最低………。会社に電話をして、なんだか泣きそうな気持ちで、夕陽の差し込む電車に乗った。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 17, 2008

ねぇ私 これから歩く この道は どうなってるの? ひとりじゃ怖い----------------------------------------------------------------気が、気じゃ、なかった。覚悟なんて、とっくに出来てたはずなのに。どうする?私、どうする?もしものことがあったら、どうする?怖かったのは、尿検査。よく、別の病気や怪我で来て、『おめでたですよ』って告げられる。何度か、そういうの、テレビや映画で見た。…それが…何の障害もなく、愛し合ってるふたりなら、きっとこの上なく嬉しくてたまらない出来事なのに。何度も、何度も、頭の中で、『もしも』をシミュレーションした。……いちばん最初にすることは……親に告げること。でも、最初は、妊娠してる事実じゃなく、『恋人が亡くなった』と告げよう。もしも私の中に、命が宿ってたら、この方法しか、その命を生かすすべがないから。それから、妊娠していることを告げる。そして、私は、どうしても、あの人が残してくれた命を大事にしたいと、親に懇願しようと、思った。産みたいの。大好きな人の子供がいるとするなら。でも、そんな私のわがままで、あなたを苦しめるわけにはいかない。そしたら、ともあきの前から、去らなくちゃ。いちばん、したくないこと。だって。だって。だって。私、ともあきの側に、いたい。どんなにつらくてもいいから、どんなに過酷でもいいから、私は……ともあきの側に、いたいの。でも…そのくらい愛した人の子だからこそ、ひとりででも、育てたいの。だけど…理不尽に思う私もいた。たった出逢う順番が違っただけで、片方はしあわせで、片方は、人生を揺るがす大決断。ただ、大好きなだけなのに。悔しくて、悲しくて、せつなくて、胸の中がごちゃごちゃ………。何も望まないって、決めてるのに。決めてるはずなのに。でも待って。早まらないで。心の中で、もうひとりの私が、ささやいた。そんなわけがないでしょ。だって、基礎体温は、高温がずっと続くどころか、いつまで経っても、体温が上がらない。もともと、私は生理不順。その上、精神的に不安定になると、すぐ生理が遅れる。こんなたくさんのことを、いつの間にか、先生の言葉を聞くまで、私の思考回路と感情が高速で行ったり来たりして………考えてた。『…尿路…感染症………』『そう。 そんな異常な寒がり方をするなんて、風邪以外で考えられるのは、 今の時点では、それくらいかな… それに、尿に、わずかな潜血反応があるんです。 それと、白血球の数が、異常に多い。 今から、2時間ほど点滴を打ちますよ。 暖かくするから、いちばん向こう側のベッドに横になって下さいね』先生の話では、おそらく、今夜、もしくは明朝に、熱が出るだろうとのことだった。前にも一度、尿管結石で、入院したことがある。私は、泌尿器系が、弱い。たぶん、幼い頃に、腎臓病を患った、母譲りなのかもしれない。ストレスが溜まったり、精神的なショックを受けたりすると、必ず、下腹部が痛くなったり、尿に血が混じったりするから……。……もしかして……生理来ないのは…これのせいで、身体に負担がかかってるからなのかな……看護師さんに、点滴の針を刺してもらった。………ぽつり………………ぽつり………音もなく、静かに、小さな雫が落ちていく。つうーっと…透明なチューブを伝って、雫が、私の身体に注がれる。………寒い………でも、看護師さんが、大きなヒーターと、暖かい掛け布団を持ってきてくれた。ちょっとホッとして、白い天井を、ただただ見つめてた。腕に、すうっと冷たいものが染みこんでいく感覚をおぼえながら、私自身も、いつの間にか、すうっとまどろみの中にすい込まれていった。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 17, 2008

仰向けに 白い天井見つめてる 私に注ぐ 小さな雫----------------------------------------------------------------…近くに、行きつけの小さな医院がある。会社の前の広い道路を渡って、斜め前のワクドナルドの横の細い道を入って、ちょっと歩いて右折する。『馬込医院・内科/泌尿器科/外科/整形外科』と書かれた案内板を掲げた入口のドアを、開けた。きっと、開院して結構経つんだろうな、と思われるこの病院は、“先生と看護師さんは”善い方達ばかりで、処置も早く、信頼のおけるところだった。……数分、待合室の椅子に腰掛ける。受付して、それほど経たないうちに、呼ばれる。『アイウチさん、診察室へどうぞ』『はい』診察室には、3つほどベッドが並んでる。ベッドのすぐ横に、診察スペースが設けてある。『……すごい寒がり様だね……』お医者様は、私の寒がり方がすさまじいから、驚いていた。それもそうだ。だって。外に出ればお天気。平日じゃなかったら、行楽日和のいい陽気。コートなんかいらないくらいの日差しなのに、寒がってるなんて、誰がどう見てもおかしい。『これから検査をしましょう。 血液検査と、尿検査をします。 お手洗いは、ここを出て、まっすぐ突き当たったところにあるから、 そこで採尿して、指定の場所において下さいね』先生の指示に従って、私は看護婦さんから採尿紙コップを受け取る。言われたとおりに、まっすぐ突き当たったトイレに入った。トイレの中は、寒々しくて、なんだかせつなかった。小さな空間は、意外に広く取ってあって、便座トイレ、洗面台が、ひとつの場所に設置してあった。洗面台の横に、縦に細長い窓があって、そこから、日が差し込んでた。その頼りない日ですら、ものすごく…暖かく感じた。便座の右側の壁に、紙コップ置き場が設置されていた。そこに、中身を満たした紙コップを置いて、念入りに手を洗って、廊下に出た。採尿が終わって、採血をした。『じゃあ、ぐっと握ってくれる?』看護師さんの言うとおりにしているうちに、くっ。私の腕を、細い針が突き刺した。この細い針、細いのに、痛い。注射針は大嫌い。注射器の中に、まるでカシスジュースとトマトジュースをミックスさせたようなものが、みるみる詰まっていく。でも、それを直視してしまうと、余計に身体が冷たくなってしまいそうな気がしたから、私、必死で白い天井を見上げた。採尿と採血の後、またほんの少しだけ、待合室に戻る。とにかく寒くてコートが脱げない私を、『アイウチさん』看護師さんが、もう一度呼んだ。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 17, 2008
Dear*Tomoaki*『入社して、最初に会ったとき、 美優のこと、綺麗で優しい子だなぁって…思ったよ』ともあきの、その言葉がね、すごくすごく嬉しかったの。ねぇともあき。私はね、あなたに逢って初めての日、あなたが、『入社のご挨拶』をした後に、微笑んだ時にね、なんだかとってもドキドキしたんだよ。ときどき思うんだ。私、こうなるの知ってたのかなって。ひとめぼれなのかなぁ。ある意味、そうなのかなぁ。ううん、でも、ひとめぼれと、ちょっと違っていて、ひとめぼれって、もっと、もっとなんか違っていて……なんか、うまく言えない。本当だったら、両想いだったのかな?ねぇ、もっと、もっと、早く生まれたかった。私ね、絶対ね、どんな風に出逢ってもね、ともあきのこと、好きだった気がする。でも、恋愛するたびに、相手の人に思うことだから…そんな月並みなコトバじゃ、うまく通じないね。どうして、こんなにドキドキしちゃうんだろ…………。不思議なんだけどね、ともあきのこと考えると、誰より優しい気持ちになれちゃいそうな気がするの。最初逢った時からね、今もね、ずっとね、ともあきに、優しくしたくなるの。誰よりも。誰よりも…。どうして………ともあきなんだろ。せつなくて、苦しくて、いちばん過酷な選択を迫られる恋なのにね。でもね、それでもいいって…思えるくらい、ともあきが、好きよ。何度も、何度も、名前呼びたくなるの。好きよ。大好きよ。ともあき。綺麗な水面に映る、銀色の月みたい。真夜中の草原を吹きぬける、優しい風みたい。きらきら、私の中に、淡いひかりの流れ星が落ちてくる。ひとつ。ふたつ。みっつ。きっと、ずっと忘れないと思う。おばちゃんになってもね、おばあちゃんになってもね、最期を迎えてもね、どこかで誰かに生まれ変わってもね、ともあきのこと、すごく大好きになったこと、忘れないと思う。ともあき。私ね、あなたに逢えて、よかったんだよ。すごくね、ともあきに逢えたことが、なによりのしあわせだよ。たとえなにがあってもね、きっと、きっと、変わらず大好きだと思う。言っちゃいけない。口に出しちゃ、いけない。ずっとね、そう思って、抑えつけてた想いがあるの。ともあき。愛しています。誰よりも。たとえ、かなわないかもしれなくても。遠いかもしれなくても……。それでも。それでも。誰よりも、誰よりも、あなたを愛している人がいること、忘れないで。ともあき。大好きです。今までも。これからも。今も。ずっと、ずっと、ずっと。
April 16, 2008

【い】いつだって みまもっていて くれてるの**************************************************************ライフ・リブ・ラブ。過ぎてく毎日が、とってもいとおしい。あなたが大好きで、大変なことでさえも、せつないことでさえも、なにもかも、いとおしくてたまらない。そんな想いを、こめて。Life-Live-Love.『急にともあきに会いたくなったの』午前11時半。突然メール入れてみた。たまに……わがまま言いたくなる。そんなにすぐ、わがままがかなうなんて、思わないけれど……『美優、どうした?』メールが来た。『ううん……ごめん、うそ、大丈夫…』私は、昼休みのうちに、ごはんの後に……携帯から、ともあきにメールを打った。会いたい。会いたい。じゃないと、壊れちゃいそう。ねぇともあき。自由に会いたいって…言えたらいいのに。今日、午前中…叱られた。たまたま、川田取締役の機嫌が悪かったの。でも…皆川田さんを怖がってしまうから、川田さんも、私にしか当たれないんだよね。でも、今日の私の気分も最悪で、なんだか知らないけど、せつなくて泣きたい日だった。そんな日に叱られたからさぁ大変。その上、川田さんも、度重なる北海道(支社がある)出張で、ストレスピークと来たもんだ。側にあった段ボールを投げつけられて、中身の書類が散った。川田さんの、モノに当たるのはいつものコトだから、いつもは軽くいなせるのに………。私は廊下に飛び出して、半ベソでメールを打った。『ともあきに、会いたい』………午後、3時20分。『今夜はお茶でもしましょうか。 心配です…』夜…7時。ちょっと会社から離れたファミレス『Alice Killey's』で、待ち合わせる。ともあきが来るなり、テーブルに突っ伏した私を見て、彼、ぎょっとしてた。『……大丈夫?』ため息まじりの、優しい声。それだけで、ずいぶん癒される。ねぇ、なんで…私、ともあきの彼女じゃないの?恋人じゃないの?……妻じゃないの…?あぁ…だめね、またせつなくなる。思ったの。ねぇいっそのこと、私が会社を辞めてしまって、あなたの前から消えられたら、あなた、ずいぶん楽なんじゃないかしら…?自分が、ますます『いらない子』に思えちゃう………『こら。』ともあきに、軽くこづかれる。『………らしくないぞ』『……ごめん』だめ。明るくいようよ。せっかくともあきと過ごせる、大切な時間。ね…駅でバイバイするとき、ともあきが言った。『帰ったら、来なよね。…チャットルームに…』『うん』今夜は、あまいくちづけも。エッチもなし。手さえつなげなかったけど……私鉄のホームに上がってから、山手線のホームに…何気なく目をやった。…ともあき、見えるかな…そしたらね、遠い遠いホームに…あなたが見えたの。!あなたが…こっちのホームを見ていた。乗る電車は、反対方向なのに……愛されてる…ちゃんと、大切に想ってくれてる。ねぇともあき。明日もちゃんと、会社へ行くわ。そしてね、また真夜中、あなたに会いに行くわ。だから、強く抱きとめてね………番外編もよかったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 15, 2008

晴れた日の 春の陽気に ただひとり 身体が全て 冷えてゆくかも----------------------------------------------------------------最高気温、17℃。それなりに、暖かい陽気。なのに私は、社内の暖房をつけ、小さな湯たんぽを膝において、ひとりで震えていた。風邪…?ううん。だって、熱も、咳も、出ない。他は、いたって健康なの。さっきの出来事以外は……………。----------------------------------------------------------------ずきっ。下腹部が痛んだ。『……う』生理かな!?と一瞬思ったけれど、そういう痛みじゃない。どちらかというと……。一度、尿管結石で、入院したことがある。それに近い痛みだった。あわてて、トイレに行く。!!ものの見事に、尿には血が混じっていて、真っ赤になっていた。……どうしよう……どうしよう……どうしよう…………。かまわず会社に来たものの、身体が冷たくなる一方で、なにがなんだかわからない。『……愛内さん、大丈夫…?』『おかしいよ、絶対様子が変だよ』江藤さんと、倉木課長が、口々に言う。『……だいじょうぶです……』お昼休み。日差しはとても暖かいのに、寒気が、ピークに達した。『…………す…すみませ……そこの日なたにいていいですか………』わぁ……寒くて動けない。私、冬眠しちゃうのかな?そういえば、ここのところ、身体がおかしい。この間飲みに行った帰りも、会社の最寄駅で、急激に身体が冷えて、立てなくなって、意識が遠のきかけた。応急処置で、会社の側のビジネスホテルに、無理やり泊まった。見るに見かねた倉木課長が、言った。『…病院、行ってきなさい。 絶対その方がいい。 たぶん、このままじゃまずいよ。』『…はい…そうすることにします………』倉木さんの勧めで、私は、何とか歩いて行けそうな、会社の近くの病院へ、向かった。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 13, 2008

もしかして…? 私にとって この『もしも』 喜びなのか 試練なのかは----------------------------------------------------------------生理が、来ない。きちんと、毎日基礎体温はつけてるけれど、一向に変化の兆しがない。最後の生理は………2月。もう、3月が終わろうとしてる。私はもともと、きちんきちんと生理が来る方ではないから、いつものことだろうと思ってはいた。けれど。いざとなると、ちょっと怖いような気も…した。ともあきには、気丈に振る舞ってた。みゅー :ねぇ、『もしものこと』が起きたら………知らないふりして。ささきち:だめ!みゅー :だって。 堕ろしたくない。 大好きな人の子供だもん。絶対に、堕ろさない。 だから…もしものときは、逃げて。 私、会社辞めるから……逃げて……もしものことが起きたら。私は、誰が何と言おうと、絶対に産むつもりでいる。甘い…そうかもしれないね。でも、どうだろう?堕ろすの?自分の勝手で?大切な命を…?出来ないよ、そんなこと。大変なのなんて、最初から覚悟の上。それでも、私、もしものことがあったら、ちゃんと、産まれてきた子に、教えてあげたいの。『私は、あなたのお父さんが大好きでたまらないから、 あなたのことを産んだのよ』『だから、あなたは、望まれて産まれてきた子なのよ』そう言ってあげたいの………。そしたら、父親は、亡くなったことにしようと、思ってる。『あなたの誕生を待ちわびていたんだけど、 事故で亡くなってしまいました』そう言おうと…思ってる。もし、本当のお父さんが、別に子供がいて、自分は愛されていないなんて思ってしまったら、とても悲しいことだもの。そして、もちろん、私は、両親にも、嘘をつき通すつもりで…いた。妊娠が確定したら。『恋人が亡くなってしまった』と、両親に告げるつもりでいる。その後、妊娠が発覚したことにしようと、思った。その嘘は、一生つき通さなければならないけれど、全てを守るには……いちばんいい方法な気がした。『ミュー、覚悟はあるの…?』いつかの、いづみのメールがリフレインする。…………うん…………覚悟なら、とっくの昔に出来てるよ…………たった生理がないだけで。きっとそう思う人もいるかもしれない。でも、私が、あの人を好きな以上、私に課せられた『課題』というか…『試練』だと思ってるから。ただ……体温が、一向に上がらない。なぜか、ここ数日、ひどい寒気がする。………なんだろう………わからない。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 13, 2008

もう一度 おんなじことの繰り返し? 好きじゃないのに うそつきな恋----------------------------------------------------------------悩んだ。私は、家に帰ってから、PCの前で、うんうんうなってた。早い時間に眠れるわけもなく、ただ私は、ひとつの迷いに苛まれてた。『こいびとさがし』。はっきり言って、うちの会社じゃ、出逢いなんて望めない。てっぺーは、お互い『戦友』という位置づけだから、もうすでに恋愛じゃないし、かといって、新卒に賭けるのは、ちょっと………。年下は、出来れば勘弁してほしい。----------------------------------------------------------------『いやぁぁっ、やめてぇ!!』2007年1月1日。真夜中の午前2時。まだ私が、このマンションに引っ越す前。当時、私には、一緒に住んでいる人がいた。高橋雄太(タカハシユウタ)という、3つ年下の彼氏だった。……元旦から、2時間に渡って、私は、凄まじい暴力を受けていた。年が明けるまで、他の仲間もいたのだけど、私が、酔って浮かれていて、彼のDVと、性格の悪さを暴露したのが、そもそもの原因だった。必死だったのかもしれない。気に入らないと、殴る・蹴る・首を絞める………。ここ最近、それが多くなってた。思えば、本当に精神的に未熟だったと思う。相手も。私も。『てめぇ、ふざけてんじゃねぇよ!』絶対に友達や仲間に見せない、恐ろしい表情。私は、この姿を、彼の友達や仲間に、曝してやりたかった。この人が、どれだけの猫かぶりか。本当は、どんな人間なのか………。私は、そのまま、胸倉をつかまれて、突き飛ばされた。『だって本当のことじゃない!! ばらされるのが嫌だったら。こういうことやめなさいよ!!』最初は、気丈に言い返してた。…………だけど…………『ふざけてんじゃねぇ!!死ねよ!!』思いっきり、背中を蹴られて、一瞬息が出来なくなる。『……っ!』『死ね!死ね!!』何度も胸倉をつかまれては、放り出される。髪を引っ張られる。腕と脚を、激しく拳で殴られる。首を絞められる。これを何度繰り返しただろう。でも、どんなに理性を失ってても、顔に傷を負わせないこの人間は、もはや人間じゃなかった。『いやぁぁぁぁぁ、やめて、やめてよ…っ』もう一度、背中を蹴られた。一瞬、息が止まる。両腕、両脚が、痛む。本気で殺されるかもしれない、と思った。『………わかった』もうだめだ、と思った。『別れよう。お願い、出て行って。今すぐ…出て行って。』『…………』『ごめんね、もう、私がもたない』すると、それまで散々に私に暴力を振るっていた雄太は、手を止めて、私を抱きしめた。----------------------------------------------------------------もう、あんな思いはたくさんだった。実は以前、私はMikree(※)に参加していて、その人とは、そこで知り合って、つきあい始めた。破局の原因も、Mikree。そこで知り合った女の子・横川李香(ヨコカワリカ)と、その人は、趣味を通じて会っていたりしていた。Mikreeの日記には、あたかも私が悪いように書かれ、本当のことを一切書かずに、綺麗ゴトだけを並べて、いかにも僕達は純愛で結ばれましたと、記してあった。もう、Mikreeはたくさん。『こいびとさがし』本当にしたい?自分に問いかけた。何度か、試みてた。千早達と参加したパーティーで、ひとり、仲良くなれそうな人を見つけた。……だけど……。彼に、心が向かなかった。私の胸は、ともあきでいっぱいだったから………。数時間、悩んだ。無料の恋人探しサイト(ちゃんとしたところのもの)や、結婚相談所の『お申し込み』を、クリックしかけた。Mikreeは、もうやる気ないから、パス。今度は、個人的に、合コンパーティーでも行こうかとも、思った。でも、それでも、結局私の想いは、ともあきにしか、向かない。無駄な抵抗は、やめよう。その気がないのに、仲良くなっても、相手を傷つけるだけだから…。たとえ、罪を重ねることになるとしても、私は、もう自分に嘘はつけない。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 13, 2008

解かってる いけない期待 抑えつつ さらり流れた 泊まる約束----------------------------------------------------------------日曜日、浦浜でのお仕事、最終日。もちろん、私は浮かれてた。その影響かどうかはわからないけれど、その日、やたらとイベントに参加するお客さんが多かった(=おもちゃを買ってくれた)し、それと連動して、売り上げもとってもよかった。坂宮さんからは感謝されっぱなしで、景品だった『ポケマニ』のぬいぐるみを一個、もらった。これは、りふぁちゃんの入学祝いであげようっと………。----------------------------------------------------------------イベントが終わってくたくたで、帰りの電車ではうとうとしてたはずなのに、私は、家に帰って、大掃除。なんでこんなに?と思うくらい、元気だった。恋愛って、すごい。ちょっとしたことで、こんなに元気になれる。ねぇねぇ、ともあき、私ね、きっとね、あなたが大好きで仕方ないんだ……。なんとなく、部屋に、帰り道の途中で安売りされてた、ピンク色のカスミ草と、チューリップを飾ってみた。カーテンを、ちょっと替えて。お皿を揃えて。なんだかひとりで浮かれてた。----------------------------------------------------------------………ところが………月曜日。ともあきの様子が変だった。メールが、来ない。なんだか嫌な感じがして、仕事中も落ち着かなかった。なんだろう?この嫌な感じ………。そして、その嫌な予感は、的中した。夕方、タイムカードを打って、会社を出た。その、とき……。エレベーターを降りた瞬間、メールを受信した。あ、メール。ともあきからの、メール。『28日のお泊まり、ナシにさせてください。 せっかく楽しみにしていたでしょうが、すみません。』直感。当たってるかどうかは、わからない。奥様と、なんかあったんだ。もしくは、なんか言われたんだ………………。………………………………………………。だめね、しょうがないって、解かってるのにね。なんだろ、この、嫌な感情。泥みたいなものが、ゆっくり、ゆっくりと、私の中でうねってる。普通のカップルならば、『どうして?』そう訊くこと出来るのにね。本命が物分かり悪い以上、物分かりの悪い女はふたりも要らない。だから、黙って、私は、気にしていないふりを演じなきゃいけない。揺らいだ。『無理してでも、彼氏を作った方がいいのかな…………』うっすら落胆しかけた想い。私は……その日、何も言えずに、ただ、早く寝ることにした。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 12, 2008

嘘でしょう? 『泊まっていい?』と言ったこと その日を待って 女艶めく ----------------------------------------------------------------『美優』『…ん…』ベッドに腰掛けるともあきの背中に抱きついて、鼻にかけた声で返事した。『28日………会おう』『…うん』『…その日、次の日になってもいいよ』えいま、なんていったの…ききちがい…?『……泊まっても、いいですか』……………!!胸が、破裂しそうにドキドキしてる………!私のいけない思考回路、もう空想を始めてる。一晩中、一緒、なの…?どうしよう、私、きっと、きっと、本番の新婚初夜より、緊張してしまいそう……。ねぇー………ごはん作っても、いい?おままごとみたいよね?でも、それでも、私には、すっごく嬉しくて……………。ごはんの後、飲みましょうか?カクテルでも、作りましょうか。私、パジャマで、あなたの側にいてもいい?なんだか夢みたい。大好きな苺よりも、甘い甘い夜。離さないでね。夜中、ずっと、離さないでね…………早く、来週になーれ。----------------------------------------------------------------でも今日は、帰っちゃう。アースカラーのパーカーを着たあなたは、私にこう言った。『気づいてた?』そう言って、左手を見せた。『………ううん、知らなかった………』嘘。知ってた。出来れば本当に、このままだったらいいのに、そんないけないことまで思ったよ、ごめんね、ともあき………。あぁ、見えない指輪、消えちゃうね。あなたが、ミニバッグから取り出した指輪をはめたとき、せつなくて、せつなくて、せつなくて、胸がしめつけられた。それでも、知らないふりをしなくちゃ。そのまま指輪はずしてて……そう口に出してしまわないように。『じゃあ』玄関先で、何度も、何度も、くちびるを重ねる。『好きよ』『ね、もいっかい』『おねがい…もっと』キリがなくなっちゃう。無理めなお願い。もうひとり、『ささきともあき』さんを下さい。そしたら、指輪はずしてぇーなんて、嫌なこと言いそうにならなくて済むもの。ひとりは、佐々木家のパパでいい。もうひとりは、私の恋人。なんて無理めなお願い。でも、実現したら、この上なくしあわせなお願い。だって、誰も不幸にならなくて済むもん。でも……夜、ドキドキして眠れなかった。…私…あなたが帰った後、生まれた故郷を話すあなたを思い出して、泣いた。だって、涙が止まらない。あなたの寂しさ、せつなさ、全部…せめて半分取り除けるように。そのために、私、いてもいいかしら……?ねぇ、ともあき………。そしてね、お泊まりの約束が、どうしようもなく、私の胸をときめかせてる。『あぁ―――…………もうだめ…………』ひとりきり、部屋で、つぶやいた。身体が、頬が、熱い……………ともあきと、過ごす夜…………早く、来週になーれ。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 12, 2008

せつなげな あなたの側にいたいから 罪でもいいの ひそかに誓う ----------------------------------------------------------------…私なら…私ならって、いつもノドまで言葉が出かかるの。私なら、ふたりの新居は、自分の実家よりも、あなたの実家の近くを選んだと思う。私なら、冗談だって、『帰ってこなくていいよ』なんて、言わない。私なら……私なら……私なら……あふれそうな想い、言葉にはしない。でも、言葉にならない代わりに、涙になってしまう。ねぇ知ってる?人魚って泣けないんだって。涙よりも、もっともっと、つらく悲しい思いをしなくてはいけないんだって。でもね、たとえ、大変なことや、どんなに苦しいことや、悲しいことが待っていたとしても、それでも大切にしたいものがあるの。『すき………』本当は、好きなんかじゃ足りない。愛してるでも、こんな立場じゃ重すぎる。でも他に、どう伝えたらいいの?服が、ベッドの下に散らばる。ねぇ、今夜は、いつもよりゆっくり愛し合えるの………『…今日は…私がともあきに、してあげたい…』いつも、あなたが、私の身体中にくちづけをする。だから…今夜は…、私が、ともあきの身体中に、キスする。そんな私の感じる場所を、あなたが指でなぞってく。そーっと、また、いつもみたいに、私の身体が想いをあふれさせる。いつ、ともあきを受け入れてもいいように、やわらかく花開いて、こぼれる滴。なんてしあわせなのかしら。あなたに逢えたこと。あなたにこうして抱かれること。ね、ともあき。悲しくなることはあっても、未来が暗いだとか、不幸だと思ったこと、一度もないよ。『もう二度と恋しない』なんて、いい加減なことは言えないけれど、そのくらい強い気持ちで、あなたを想っているから。あなたが好きだと気づいた時から、全て、覚悟してたことなの。あなたが、ぎゅっと私を抱きしめて、ゆっくり…覆いかぶさってくる。……やっと、あなたが…いちばん側に来てくれる。ねぇ、いつか、夜中ずっと抱いて。朝になるまで、ずっと、ずっと……………。『………っ』一瞬の衝撃が、うれしさと、しあわせと、気持ちよさと、喜びに変わる。耐えられずに、私の身体全部がとろけだす。ねぇ私ね、出逢った瞬間に、あんなふうに思ったの、初めてだった。たぶんね、こうなること、私、知ってたのかもしれないよ。そこから、全てが始まってしまったの。あなたの優しさに、何度か泣きそうになった。あなたは、何気なかったかもしれないけど、少しずつ、少しずつ、私の胸の真ん中に…あなたが…入りこんでた。『……ぁ、ともあき、きもちい……ともあき、だいすき………』ささきさん。ともあきさん。ともあき。あなたと、近くなっていく証拠。振ってくれたらよかったのに。………ううん………こうして、側にいてくれて…ありがと…………私の気持ち、抱きしめてくれて…ありがと………これが、いけないことだって言うならば。私ね、もう誰かを好きになることなんて、知らなくていい。……ゆっくり……あなたの身体が、ふっと緩む。私、そっと、ゆっくり力が抜けていくあなたを、ふんわり抱きしめた。なんてしあわせな、土曜日。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 12, 2008

たとえもし 嫌なヤツだと言われても いとおし過ぎて もう戻れない ----------------------------------------------------------------……長い……キスを交わした。長くくちびるを重ねて、ふと視線を合わせて、首筋にキスし合って、もう一度……くちびるを重ねて………。何度も、繰り返した。いつの間にか、テレビからは、キャスターの声じゃなく、CMの音が聴こえていた。強く、強く、抱きしめてほしい。もっと、もっと、抱きしめたい。心から、そう思った。私。もしね、何かが、私を、あなたから離そうとしても、きっと、ずっと、もっと、あなたのことを、愛すると思う。この恋は、障害だらけだけれど、だからこそね、今さら、怖いものなんて何もないのよ。どうして、こんなに好きになっちゃったんだろうね。あの日入社したのが、あなたじゃなくても、こんなに好きになったかな?ううん、答えは……『絶対に違う』。どうでもいいことは、簡単にコトバに出来るのに、いちばん言いたいことだけが、うまく言葉にならないの。だから……何度も、抱きしめ合って、何度もくちづけを交わすの。大好き………………。あなたも、少しは、愛してくれてるの……?『…きゃ…くすぐった………』くすくすくす。ふれてる。私の身体に、あなたがふれてる。『……ん……』ふわり。ぎゅっ…って。私、あなたの腕の中で、とろけそうになってる。あなたの、コロンの匂い。私のパジャマに残るの。『………あ』身体中、熱くなってく。どうしようもなく、汗ばむ。私の全てが、くすぐったい………感じやすくなる。あなたが、お姫様抱っこをして、私をそっと、ベッドの上に降ろした。繰り返し、繰り返し、ともあきのキスの波。寄せて、返して、ゆったり、さざ波。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 11, 2008

『もう二度と寂しくないよ』と言いたくて 言えずに交わす 涙色キス ----------------------------------------------------------------3~4時間くらい、ドライブしたでしょうか。見慣れた景色が見えてきて、北草間周辺に、帰ってきた。『この辺に100円パーキングあるかなぁ』『ある!うちからいちばん近いトコ!』そこに、車を停めて、私の家まで、手をつないで、歩く。あなたと手をつなぐのが、すごーくしあわせ。たったそれだけのことなのにね、なんだか、世界中のしあわせ、全部独り占めした気になるの。大好き。ともあき、大好きだよ。いつものように、テレビをつける。で、他愛ないおしゃべりをするんだ。きっとね、他の人が聞いたら、くだらない話ばっかりなの。だけど、冗談ばっかり言って、ともあきが楽しそうにするのを見るのが、これまた、私のしあわせだったりするの。『…岩手県○○市で起きた、連続強盗事件で………』今ちょうど、“報道サテライト・サタデー”の時間。キャスターの粂川壱朗が、カメラを真っ直ぐ見て、早口で喋ってる。『あ、いわて ねぇねぇ、龍泉洞、ほんっとにすごいんだね… こないだWeb検索しちゃった』そうなの。岩手県はね、ともあきの出身地。住んでたトコのいちばん近い観光名所は龍泉洞なんだよーって、初めてお昼に一緒に行ったとき、教えてもらったよね。私の、テレビの近くにおかれたノートPCから、ともあきが、検索をかけてた。画面いっぱいに、岩手県の地図が表示された。『この辺なんだよ、住んでたとこ。』『そうなんだ!』『ほら、結構近いでしょう?龍泉洞』『あ~…本当だ…』拡大された岩手県の地図を、ともあきは、ドラッグしてするするすると動かした。『ここ。この辺に住んでたんだ』『わ!今の地図でも、まだ家が残ってる!!』『うん……もうね、今は違う人が住んでるよ。』『知ってるの?』『一度……当時の近所の、両親と親交が深かった人達に、挨拶しに行ったんだ』『……そうなの……』…空き地っぽいところにカーソルを持っていって、ともあきが言った。『…この辺で、よくひとりで遊んでたよ』『……え……』『なかなか両親も遊んでくれなかったしねー………』『働いてたんだっ…け…』『うん。小さい洋食屋をやってた。』ともあきは、まるでその場所にいるみたいに、私に、昔住んでた場所の話をしてくれた。『で、この辺がね、親戚が住んでたとこなんだ』『そうなんだ………』どうしよ、胸が、きゅってしめつけられて……止まらない。『なぜ…? なぜレストランだったのに…転勤じゃないのに…横浜へ来たの…?』『……なかなかね、お店が…うまく行かなくなっちゃったんだ……。 売り上げも、下がる一方だったしね………。 父方の親戚が、横浜にいて、会社を経営してたんだ。 そこで…父が働かせてもらえることになって… 引っ越すことになったんだ』せつなそうな笑みを浮かべて、あなたが言った。私の胸の痛みが、ピークに達した。ともあき、この住んでた街、好きだったんじゃないのかな。ご両親のことも、すごく大好きだったんじゃないのかな。そんな気がしたから。すごく懐かしむように、大切に、優しい目をして話すともあき。そして、忙しい両親。この場所を離れなくてはならなかったとき。ひとりで遊んでいたりした時期。……どうしようもなく、せつなくなった。気がつくと、私の瞳から、涙がぽろぽろこぼれてた。ねぇ、もう寂しくないよ。ずっと側にいるから。そう言いたかった。でも、そう言っていいのは、私じゃないんだ。それが、たまらなく悲しいよ。たくさん、寂しい思い、したんだね。悲しい思い、したんだね。懐かしい故郷を、優しい目で案内してくれるともあきが、いとしくて、いとしくて………たまらないよ。マウスを動かす手と、反対側の…ともあきの手を、そっとにぎった。涙だけ、ぽろぽろこぼれる。………私だったら………強く思った。………ご両親の最期の時間、出来るだけ多く、ともあきと過ごせるようにしたのに……!!……ぎゅ……ただ強く、あなたの手を握る。言えないよ。そんなこと。言っちゃだめなんだよ。『…ここにはね、“浄土ヶ浜”っていう、綺麗な海岸があるんだ…… 小さな頃、両親に何度か、連れられて行ったんだよ。 ここに行ったときの写真とかが残ってる』ともあき。ともあき。何度呼んでも、足りなくなりそうだった。ともあき………『どうした?』『……ううん……せつなくなっちゃって………』届くかな、わからない、それでも、言葉にしたい………『もう、寂しくないから、ね? 私、いるから……小さな時の分の寂しさも。私にわけて…』ふ……っと、穏やかな微笑みを浮かべて、あなたが、強く私を抱きしめて、そっとくちびるを重ねた。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 11, 2008

駆けてくの ひとつの決意 胸に秘め やるせなさ過ぎ いけない女 ----------------------------------------------------------------なぜ、あなた、私といるの…?納得して結婚したのではないの…?いつも、ちゃんと、聞けずにいる。でも、なんだかときどき、あなたの奥様の話を聞いていると、少し悲しくなってくる。綺麗でいようとすることが、優しくいようとすることが、女でいようとすることが、無意味に思えてくるからだ。なんて嫌な女なんだろう、自分のことをそう思う。けれども、奥様が、ともあきよりもずっと体重があること、不満やわがまま(私から聞いて、恵まれてると思うようなことばかりだから、余計にそう思う)ばかり言っていること、そんな話を聞いていると、なんだか、努力することが、嫌になってしまいそうになる。………私………一緒に生きてくことって、お互い思いやることだと思うの………心も、見た目も、綺麗でいようって、思ってた。でも、なんだか、あなたの話を聞くと、ただそれが虚しい行為に思えたの。だって、綺麗じゃなくたって、いくら体型維持しなくたって、私の好きな人に愛されてる。なんて不公平なの。あぁ、だめね、こんなこと思っちゃ。だから、私、いつも、破裂しそうな想いを閉じ込める。逆…をしたらどうかな…。ふと思った。だったら。私は、綺麗になるように、がんばろう、そう思った。あなたが、奥様や子供のわがままをきかなくてはいけない分、私、あなたが癒される存在に、なりたいと思う。あなたが、甘えられる場所に、なりたいと思う。それが、私の存在意義で、もしかしたら、私の、くじけそうな気持ちへの、ささやかな抵抗なのかもしれない。『帰ってこなくていい』なんて、冗談だって言わない。すべて、逆のことを、しよう。全部解かってる。たとえば、私と奥様が、海で溺れていて、ともあきが、どちらかひとりを助けなくてはいけないとしたら、きっと、私が海の底深くまで沈んで、絶命する立場であろうことも。たとえ、あなたが歩いてく道が、たとえ、明るく照らす道しるべが、私に続く道じゃないとしても。小さな、決心だった。光をちりばめて、闇に浮き上がる街並みを見下ろして、ミニバンは、さらに、さらに、スピードを上げて、駆け抜けていく。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 10, 2008

宝石を集めたみたい 窓の外 まばゆくひかる 想いに似てた ----------------------------------------------------------------そういえば、修二がよく、首都高に乗って、いろんなトコ連れてってくれたなぁ…って、昔のことを思い出した。夜の中を駆け抜ける車の外側の景色は、宝石箱みたいな、ジェリービーンズとキャンディをちりばめたみたいな、ビーズがいっぱい散ったみたいな、そんな景色だった。ともあきは、いつの間にか、高速道路に車を乗せてた。ちょっとしたことを、知る。ともあき、ちょっとだけ、運転、荒いかも。でも、危険なわけではなく、あぁきっと、思いっきり走るのが好きなんだろうな~、そんな風に思えた。『上京して、6年くらいになるんだけどね、 未だに、首都高走るのとか、東京の夜景見るのが大好き。 なんだかね、ここは住むにはあまり適さないかもしれないけど、 いつもね、夜景見るたびにね、上京してよかったなぁって思うの』『そっか…』『未だに田舎者なだけなんだけどね』『………』『あっ、吹き出さなくてもいいじゃなーいっ』あなたが、横で、運転してる。あなたの向こう側で、きらきらの夜景が、流れ星みたいに流れてく。運転するあなたの横顔を見て、どうしようもなく、胸が、ぎゅっとしめつけられた。目を細めて、穏やかな顔で運転するあなたが、まるで一枚の絵みたいに、鮮やかに、私の中で焼きついた。………私の好きになった人。この人で、よかった。そう思った。『観覧車が見える!』ライトアップされた観覧車が、まるでチューブに入ったゼリー菓子みたいに、細く、ぴかぴかときらめく。虹色に、色とりどりに彩めく、オブジェのような観覧車に、私はすっかり魅せられてた。何度だって見ているはずなのに、虹色の観覧車は、見るたびに、私を子供みたいな気持ちにした。『…亡くなった両親が、最後に住んでいたのが横浜なんだ。 だから…横浜から、千葉まで帰ると、3つの観覧車を見ることが出来るんだよ』『みなとみらい、お台場、葛西臨海公園…?』『そう』『なぜ、横浜に住まなかったの…?』『カミさんがね……お姑さんの近くで暮らすのやだーって。 出来るだけ、実家から離れたくないからって言ってたんだ』嫉妬、しちゃう。こんなに愛されているなんて。……私だったら、とてもじゃないけど、そんなにわがまま言えるほど、愛してもらえるだろうか?そんな風に思う。でも、その裏で、………私だったら………とも思った。よく、わからない。大好きな人の、父親や母親と、一緒に暮らしたくないものなのだろうか。結婚は、当人同士じゃなく、家と家でするもの、そう修二が言ったことがある。それに…晩年、ともあきのご両親は、事故で亡くなるまで、病気で苦しんでたって聞いたことがあったから、余計によくわからなかった。だって、大好きな人のご両親が、弱ってるんだよ?なのに、離れて暮らすの……?自分の親は大事なのに……?なんだか、理解が出来ない。私の中で、いとこの家………おじいちゃんがいて、お姉ちゃんがいて、お姉ちゃんのご主人(おじちゃん)がいて、いとこがいて、りふぁ&しゅーまコンビがいて………これが基本形だからかもしれない。だから、嫁・姑・舅の関係が、いまいちピンと来ないんだ。だって、大好きな人のご両親と仲良くなれないなんて、とても寂しいことだもの………。わからない。わからない。そういうものなの?だとしたら、結婚って、なんて難しいものなんだろう。ただただ、不思議に思った。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 10, 2008

『どこへ行く?』 ホントに行きたいところはね あなたのとなり そう永遠に ----------------------------------------------------------------都道を、走ってた。知らない街。私は車を運転することは出来ないから、こうやってドライブ出来ることがとても嬉しい。私の知らない、街。でも、ともあきが、ずっと仕事で来てた街。まだ私が幼くて、こうして上京してくるなんて思いもよらない頃、もうあなたは、ひとりの大人として、この街で働いていたのね。願うならば、私も、そのときに大人になりたかった。途中で、『コンビニ寄る?』あなたが、訊いてくれた。『うん!』なんだか、嬉しい。あなたは、途中にあった『ミニマート』に、車を横付けして止めた。少しずつ、街が藍色に暮れかけてく。まだ、もうすぐ春とはいえ、夕風は冷たい。『なに買おーか』『お腹空かないの?』『ポップコーンいっぱい食べたから、お腹いっぱいになっちゃった』『あららら』私は、温かいミルクティーを、加温器から取った。『じゃあ、カフェオレにしようかな』ともあきは、カフェオレ。嬉しそうに加温器からカフェオレを取るともあきを見ていたら、私もカフェオレが飲みたくなった。『待って、やっぱり私もカフェオレ』私は、朝田乳業と書かれた、あまり見たことのないカフェオレに変えた。レジを済ませて、温かいふたつのペットボトルを、ちょこんとドリンクホルダーに置く。何だか、ドリンクホルダーに並んだペットボトル達が、ちょっといとしかった。『…どっか、行ってみる?』意外なあなたの言葉に、私はどうしようもなくどぎまぎした。『…え…』……じゃ…あ………『夜景がきれいなトコ、走りたい!』降りなくてもいい。それでもいい。せっかく車に乗っているから、一緒に、きれいな場所に行きたい。続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 10, 2008

首都高で 夜景をめぐるエトランゼ 星くず集め 駆け抜けていく ----------------------------------------------------------------今日の仕事は、5時に終わった。ふたり、メールで約束する。『もうすぐ終わるよ!』『じゃあ、トイキャラットの隣のワックでお茶してます』ポケマニのエプロンと、入店証をはずしたら、『ポケマニお姉さん』じゃなくなる。逆に、私が小さい子みたいになっちゃうね、ともあき。ワックへ行ったら、“美味になったワックブレンド”の紙コップを片手に持った、アースカラーのパーカーを着た、ともあきが座ってた。佐々木係長でも、佐々木家のパパでもない、私だけが知ってる『ささき ともあき』が、いた。『働きっぷり、見ちゃったよ』『ぇえっ!? き…気づかなかったよ…』ワーめちゃめちゃ恥ずかしい…………。MCってさ、知ってる人がいないからこそ出来るよね…なんて思った私は、小心者かしら?『おもっきり、ふたりの子福引きに誘ってた。 あーやってるやってる~、って見てたよ』『くは~………』小さい子と話すとき、めちゃめちゃいいお姉さんぶってます……ごめんなさい、キモイよね……心の中で冷や汗をかきながら、ともあきと話してた。ともあきと、駅まで歩く。の、かなと思ったら?なんと、ともあきは車で来てた。『車で来たの!?』『もちろん。家からじゃ浦浜まで遠いよ』『そうよね…そっかぁ………』よろこんじゃ、いけないよね。わかってる、でもね。嬉しいな。だって、夢見てたから。ともあきとのドライブ。途中、パーキングエリアとか、コンビニで、飲み物買ってね、遠ーくまで、車で走っていくんだよ。私は隣で地図を見るから、あなた、運転してってね?それだけのことだけど、それだけのことが、好きな人と一緒ってだけで、きらきらに輝きを増すんだよ。大好きな人がいるだけで、ココロが喜びにふれるの。すごいんだよ、好きな人って。そして…あなた…今日、指輪、してない。気づいた瞬間、心臓が……ドクドク鳴った。わかるよ、だって手をつないだもん。本当は、気づいてるよ、あなたの、優しい気遣い。でもね、ここは、気づいたらいけないんだ。………私………嬉しいって言っちゃいそうだもん………。私の中で、空想をした。今、あなたの空いてる指に、私と同じ、見えないリングをつけてることにしよう。プラチナの、きらきらのリングでね、ちっちゃなちっちゃなアクアマリンと、ちっちゃなちっちゃなパールが埋まっているの。あなたの誕生石と、私の誕生石。宝石言葉、知ってる?アクアマリンは、恋にしあわせと、喜びをもたらす石。パールは、想像力を高める石。形のない、空想の指輪には、ぴったりの石でしょう?今日だけ、見えない指輪。ともあきに内緒で、そっと、私の中で、魔法をかけた。さぁ行くよ!ともあきの運転する車、深いグリーンの、4ドアミニバン。ショッピングモールから、しゅっぱーつ!続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 9, 2008

【あ】 あそぼうよ おひさしぶりに あえたから**************************************************************ライフ・リブ・ラブ。過ぎてく毎日が、とってもいとおしい。あなたが大好きで、大変なことでさえも、せつないことでさえも、なにもかも、いとおしくてたまらない。そんな想いを、こめて。Life-Live-Love.今日は、実家に帰ってきました。地元に帰る、最高の楽しみは、双子のいとこの子供、里映(りふぁ)ちゃんと柊真(しゅうま)くんに会うこと。母の話によると、『もー、りふぁちゃんとしゅーまくんがね、 毎回毎回おかーさんの顔見るたんびに “みゅーちゃんは?みゅーちゃんは?”って聞くんだよ。』毎回、母が伊原家を訪ねると、決まって私の話になるという。『ねえねえ、みゅーちゃんは?』『みゅーちゃんはとうきょうでおしごとしてるから、 またかえってきたらあそびなね。』『とおきょお、どこ?』『とおいとこ。』『みゅーちゃんとおきょおなの?』『うん。』こんな具合に。待ってくれてるならば、会いに行かなきゃね!『こんにちはーっ』『みゅーちゃん!おねえ、みゅーちゃんきたぁ』『ミュー、帰って来てたの?おかえり』お姉ちゃん(私の伯母。愛称はお姉ちゃん、おねえ)が聞く。『うん。会社休みだからさー』『ちょっとぅ、りふぁとしゅーまと遊んでやって。 ずーっと“みゅーちゃんみゅーちゃん”言ってるんだから…』『もっちろん。その為に来たようなモンだもん』『ねーねー、きらちゅとぴっちゃんかいてぇ』『かいじゅうきんぐの“かぷ”かいてぇ』『こんど、“きゅぷりーふぁいぶ”かいてぇ』『はーいはい、ちょっと待ってねぇ』うひー………あと何枚絵を描くんだ………辺りに散らばるクレパス、マーカー。色とりどり。カラフル。『あと“ぴかりんじぇにぇれーしょん(※うまく言えてない)”かいてぇ』『んもー、はやくさっきかいたのも、いろぬりしてね?』『はーい!』……コドモは……なんて移り気。ぬりえに飽きて、今度は抱っこ。『ねぇねぇ抱っこしてぐるぐるして~』『じゃあおいで、たたみのへやでぐるぐるしよう!』『わーいぐるぐる~』最初、驚いたことがある。りふぁちゃんは今度小学1年生。しゅーまくんは、今4歳。でも、抱っこすると、圧倒的にしゅーまくんの方が、重く感じる。見た目も、しゅーまくんの方が小さいのに、抱っこすると、ずしっとなるのだ。そういえば、ともあきがこんなことを言ってたっけ。『抱っこすると、男の子の方が、金属の塊りみたいな重さがある』って…。その夜のチャットは、『子供の重さについて』夜明かしして話してた。でも、重くたって、疲れたって、ふたりのことが、可愛くてしょうがない。『いっくよ~、ぐるぐるぐるぐる~』『きゃ~』ちいさい時に、家族や親戚と、楽しく遊んだ思い出は、子供にとってタカラモノ。だから、なかなか帰ってこられないけど、大きくなるまで、たくさん遊ぼう。あなた達が、愛情いっぱいの、素敵な大人になれるように。私みたいな、寂しい思いをしないように。りふぁちゃん。特にあなたは、おかーさんやお姉ちゃんから、『小さい頃の美優ちゃんにそっくりだ』そう言われてるから、みゅーは、心配で仕方ないんだよ。抱きしめられたこと、いいこいいこされたことが、いつかきっと、しあわせだったなぁって思える日が来るから………。番外編もよかったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 9, 2008

吹く風に 小春日和の 澄んだ空 あなたが来るの 遠い街から ----------------------------------------------------------------ここは東京都下、浦浜ニュータウン。今日も抜けるような青空で、電車を降りて、ターミナルを抜けると、並木道が続く。とても洗練されたこの街は、晴れた青空がよく似合う。駅からちょっと歩いたファーストフード・カフェ、『ベッキーズ』で、集合時間までお茶しよう。浦浜センター駅から、少し離れると、大型ショッピングモールがある。レストランや、大型スーパー、専門店が集まっていて、横にはちょっとした憩いの広場が併設されてる。その中の店舗のひとつに、今日の現場『トイキャラット』がある。『おはようございまーす』『あ、伊原さん、おはよう。今日から2日間、よろしくね』私ね、会社にバレないように、派遣の仕事は、前の苗字でやってるの。だって、関東に、うちの親戚以外で、本当に『愛内』って苗字の人、いやしない。会ったこともないよ。そんなんで、このまま働いたら、一発で私だってバレてしまう。だから、比較的『愛内』よりはメジャーな『伊原』という苗字で、働くことにした。坂宮さんという人が、今日の担当。とっても爽やかで、あっかるい人。派遣会社の人から、『坂宮さんはお祭り好きで、こういうキャンペーン大好きだから、 イベント中、ポップコーンとかわたあめ作るかもしれないよ(笑)』と、お話を聞いていた。案の定、私はインカムを装着することになり、もうひとりの女性、川村さんと組んで、ポップコーンを作りーの、商品アナウンスをしーの、宣伝用ティッシュ配りをしーの、福引きの受付をしーの、な一日になりそうだった。朝10時。少しずつ、お客さんが増えてくる。私は、精一杯元気よく、昨日覚えたアナウンスの文言を喋った。『いらっしゃいませ。 本日も、トイキャラット浦浜マリオンモール店にお越し頂きまして、 誠にありがとうございます。 本日から2日間! ちびっこに大人気の “ポケるまにあ!・プレゼントキャンペーン”を開催しております。 ただいま、ご家族でお立ち寄り頂いたお客様全員に、 出来たてポップコーンを差し上げております! また、ポケるまにあ!の商品をお買い上げ頂いたお客様は、 1商品につき1回、福引きに参加できます。 この機会を、どうぞお見逃しなく!!』小さな子が来たら、すかさずポップコーンとキャラクターシールつきティッシュ、風船を配って、小さくしゃがんで、その子の目を見てお話する。前に、聞いたことがあるんだ。小さな子は、自分の目線と同じ高さで見てもらえると、安心するんだ、って。だから、りふぁ&しゅーまコンビと話す時も、私はいつだって、しゃがんで、目を見て、お話する。きっと小さな頃、自分もそうしてほしかったから…。『ねぇね、ポップコーンとポケマニはすきですか? いまね、そこでね、ふくびきやってるの! だからね、ぴっちゃんのふうせんみんなにあげてるからあげるー。 ふくびきね、ポケマニのプレゼントがあたるんだよ!!やってみる?』『うん』『ポケマニのおもちゃをなんか1コかうと、1かいできるんだ。 だから、ママにきいてごらん?』横で、その子のママと、パパが苦笑する。『ママぁ!いい?』『うーん、小さいお人形ならいいよ』『ほんとぉ!?』トイキャラットには、食玩なんかも売っていて、ポケマニシリーズは、小さなおもちゃや、カード類、食玩も充実してたし、そういう小さな商品でも、福引きに参加出来るから、(※注:金額が大きい商品を買えば買うほど、福引き以外に特典がつく)ある意味では、購買促進しやすい商品かもしれないな~、と思った。きゃっきゃっと、小さな子が嬉しそうにする。その瞬間が、たまらなく好きだ。実家、たまに帰んなきゃ。りふぁ&しゅーまコンビと、遊びたい。そう思った。身につけた、派手なオレンジの“ポケマニエプロン”のポケットの中で、私の携帯がふるえる。メールを、受信してた。『何時に終わるの? その頃、待ち合わせしませんか? それまで、懐かしい元同僚と、食事でもして来ます』続きが気になったら、押してみて? たくさんの人に読んでもらえて、嬉しいな…。ありがと。
April 8, 2008

土曜日は 遊びに行こう どこまでも ビスケット色 コドモ気分で ----------------------------------------------------------------そうね、もし、かなうならば、素敵な家に、素敵な家族。愛する旦那サマがいて、かわいい子供が2人か3人。お休みの日は、おっきな車で出かけましょ。みかん色の太陽と、透き通った空の下。ポケットに、キャンディ詰めて。腕の中には、テディベア抱いて。ちっちゃい子供と話すとき、そのコの目線に合わせましょ。おんなじものが見えるよに、ちっちゃくしゃがんで話を聞くの。ちっちゃい子供は素直だから、きっといっぱい発見をする。分かち合いましょ、一緒にね。パパと、ママと、君たちと。かけがえのない、しあわせな時間。----------------------------------------------------------------私は、土日もアルバイトをしていました。とてもじゃないけど、今のお給料だけでは、貯金が全く出来そうにないから。MCと呼ばれる、キャンペーンガールとウグイス嬢の真ん中のようなお仕事です。今週は、トイキャラットという、大手おもちゃ屋さんのキャンペーン。子供に大人気の『ポケるまにあ!』を前面に押し出したイベントで、家族をターゲットにした、オモチャ関係のキャンペーンなのです。子供の注目を惹いて、売上げを伸ばしましょうっていうのが、本当の目的なのだけど。『ポケるまにあ!』、略して『ポケマニ』。数人の小学生くらいの男の子と女の子が、幻の『ポケルマニア』という動物(…なのか?)を探して、フシギな冒険をする物語…らしい。とりあえず、オレンジ色のねずみの『きらちゅ』と、ライム色のアヒル『ぴっちゃん』だけは知ってる。ダテにりふぁ&しゅーまコンビと遊んでないのだ!この『ポケるまにあ!』、かなりの長寿番組で、私が高校生くらいから、ずっとテレビで放映してる。今現在も、幼・小・中学生の間で、高い人気を誇る作品なのである。同じ長寿アニメの『プリご●太』に、匹敵するんじゃないのかな。そういえば……。ともあきがこぼしていたっけ。ささきち:ポケマニのイベントか、、、、、 あちこちでスタンプラリーやら、福引きやらやってるから、 子供が・・・やりたがる・・・みゅー :あはは、やらせてあげてよう、おとーさん!ささきち:この間、ららぽーとでも福引き系イベントやってて、 1等が、ポケマニの映画招待券プレゼントだって言うんだ・・・ 無理やりあきらめさせたよ・・・みゅー :はずれとか、4等とかって、ポケマニに関係ない景品だったりするもんね☆ときどき、地元に帰って、りふぁ&しゅーまコンビと お守り お買い物行く時も、ポケマニ見ると、もう大騒ぎなんだよね。『わー!!きらちゅ、きらちゅ!!』なりふり構わず、ポケマニのイベントの方に走って行っちゃう。『ちょ、りふぁちゃん、待ってぇぇぇぇ』手をつないでるしゅーまくんも、『♪しっとん・ぴっちゃん・ぱっちゃぱっちゃん♪』と、キャラの口グセを言い始める始末。きっと、まさみくん&なみちゃんも、そんな感じなんだろーな。双子ちゃんがなりふり構わず『ポケマニ』のおもちゃ売り場に駆けてって、あわててふたりを追いかけるともあきを想像して、なんだかしあわせな気分になった。ささきち:今週の土日も仕事?みゅー :うん。なんと今度は浦浜なのよ♪東京都下、浦浜市。ちょっと遠いけど、キレイなファミリータウン。そこの郊外型ショッピングモールでのMCが、今週の仕事なの。ささきち:浦浜・・・みゅー :行ったことある?ささきち:うん・・・最初に勤めた会社、浦浜だったみゅー :そうなの!ささきち:美優。 明日、美優の仕事っぷり、見学しに行っていい?!みゅー :えぇっ?ほんと!?ささきち:うん。 久しぶりに・・・浦浜行きたくなった。さぁ、2回目の週末デート。MCも、熱が入っちゃいます。続きが気になったら、押してみて? 『ブログ村』<社内恋愛>第3位になりました。ありがと…。
April 7, 2008

電話越し 血を受け継いだ 父の声 二度とは聴けぬ 夏の夕暮れ ----------------------------------------------------------------『…………義次(よしじ)ね、ここにはいないの……ちょっと待ってね おーい、あずさ、あずさ、義次の連絡先知ってるかい?』あずさ、とは、私のいとこです。あずさちゃんも、もう、高校生でしょう………。『……美優ちゃん、げんき?』『うん、げんき』電話は、あずさちゃんに代わられました。『義次おじさんちの番号はね、0**の、6**の…………』『ありがとう!早速かけてみる!!』…これ…私の実家と同じ…宇佐見市の市外局番だ………。ってことは…お父さん…市内にいるのね……?そんなことを思いながら、私は父に電話をかけた。『…もしもし』男性が出ました。私は……声を聴いて、ある確信をしながら、あえて知らないふりをして、言葉を続けました。『……水野さんのお宅でしょうか…… そちらに…義次さん……いらっしゃいますか…?』『………美優ちゃんかい………?』『…………うん、美優だよ、私………美優だよ、わかる…?』『…わかるよ…忘れるわけないだろう?…美優ちゃん………』少し年老いた、父の声。父は、当時、もう39歳。早いなぁ…と思いました………。少し、父と話をして、母が再婚したこと、今はしあわせなことを告げました。『…お父さんは…? しあわせなの…?』『…………』父は、優しさなのでしょうか。何も言えなかったのでしょうか。あえて、答えませんでした。数日後、もう一度、父に電話をしました。すると、父は、こう言いました。『もう……美優ちゃんからかけてきちゃ、だめだ』『…え…』『…用があるとき、こちらからかけるから………』ショックでした。解かってはいたけれど、ショックでした。私は、それ以来、父からの電話を取ってはいません………。けれども、もし、今、父に伝えることは?と聞かれたら、迷わずこう答えることが出来ます。『しあわせで、いてください』と。続きが気になったら、押してみて? 『ブログ村』<社内恋愛>第3位になりました。ありがと…。
April 6, 2008

深紅の血 父の遺伝子受け継いだ 私がいるの 否定されても ----------------------------------------------------------------19歳の、春。母が再婚しました。当時、母がしあわせになれた今だからこそ、私には、しなきゃいけないことがあると思いました。本当の父に連絡を取ること。ずっと、父ばかりがいけないと思っていました。けれども、本当にそうだったのでしょうか?父は、あの雨の日に、こう言いました。『お母さんは、言っても言っても、ちゃんとした食事を作ってくれない』と。私も、母の食事には、不満を持っていました。あるときは、たまご焼きとごはんだけ。またあるときは、マヨネーズかけご飯。たまに、かぼちゃの煮物が出てくる時は、とても嬉しかった。ううん、母の名誉のために、補足します。母のことは、大好きですから。決して毎日そうであったわけではないのですが、おかずがちゃんとある日とない日の差は、あまりにも激しいものでした。いとこの家でごはんを食べる時、思ったものです。『たくさんおかずがあっていいなぁ…』現在でも、母は、今の父に、食に対するいい加減さを指摘されて、しばしばけんかになることがあります。そのたびに、その、前の父の言葉を思い出して、物悲しくなるのでした。父に、連絡を取らなくては………19歳の私は、そう思いました。----------------------------------------------------------------あの時、父が女性に求めたものは、何だったのでしょうか。そして今、ともあきは、私に何を求めているのでしょうか。彼らが欲しがっている(いた)ものは、非なるもので、似たものだと思うのです。それを、あの頃を振り返って、改めて理解しようと思います。大学から帰った、ある日の夜。ふと、前の父に電話をしようと思いました。もう大人になるから、そろそろ、この出来事に整理をつけなくてはならないのです。昼間は母が働いていたため、いとこの家に預けられていた、3~4歳頃の私は、なぜか、電話の側にあるアドレス帳を、面白がってめくって、おもちゃにして遊んでいました。なんと、そのおかげで、私は、栗衣川(くりきぬかわ)という村にある、父の本家の電話番号を、19歳まで記憶していたのでした。今、試しにここにテンキーで、今もその電話番号を思い出せるかどうか打ってみましたが、なぜか、最後の下4桁の記憶にだけ、紗(しゃ)がかかっていて、もう思い出せなくなっていました。だから、その記憶は、おそらくそのときのための、『とっておき』だったのかもしれません。人間というのは、つくづく不思議なものです。私は、自分のPHS(当時はまだPHS)で、はっきり記憶している父の実家に、電話しました。『もしもし、水野でございます』………3回の呼び出し音の後、女性が出た。この声は………『おばあ…ちゃん?』『!!』女性は、私の一言に、ひどく驚いた様子でした。そして、驚くべきことに………『美優ちゃん!』私の声を、憶えていたのです。もう、最後に会ったのは、10歳頃だったのに。あれから、10年が経とうとしているのに。父方の祖母は、私を憶えていてくれたのです………。『ああ…美優ちゃん…美優ちゃん…元気なの…?』『うん、元気だよ、おばあちゃんは…?』『元気でいるよ…ああ…美優ちゃんから連絡が来るなんて…どうしたんだい?』『今日は、お願いがあって、連絡しました… お父さんと…話したいんです……… お父さん、いますか…?』続きが気になったら、押してみて? 『ブログ村』<社内恋愛>第3位になりました。ありがと…。
April 6, 2008

ふるえるの 恐怖と不安 悲しみと あなたに言えぬ 胸の暗闇 ----------------------------------------------------------------思うことがある。客観的に見て、確かに、今まで起きたことを考えたら、解からなくはない。ともあきの奥様に、嫉妬したくなる気持ち。でも、どうだろう?だからといって、その嫉妬が、肯定出来るものじゃないことも、私、ちゃんと、解かってるよ……。いづみ。よしえさん。おかーさん。どう思っただろう。たまたま、皆は優しかったから。私を大事にしてくれていたから。たまたまああいう答え方をしてくれただけ……。それくらい解かるでしょう?大人なんだもの。こういう恋だから。ルールがある。そう思った。私は、次の日の日曜日、こわごわと………検索サイトの検索欄に、『不倫 どうすればいい』と、単語を入れて、検索した。『夫の不倫相手を排除したいです。 そのためには、どうすればいいですか?』…………排除…………ショックだった。排除…なんて嫌な単語だろうと思った。邪魔なものや、いらないものを取り除く……………。指先から、血の気が引く。『本気で前の主人の相手の女性を「ゴキブリ」だと思いました。 そして口論になった時に思わず相手を「ゴキブリ女」呼ばわりしてしまい、 初めて主人に平手打ちをされました……』…………ゴキブリ…………私の大嫌いな、虫。この世から、いなくなって欲しいもの。逢う順番が違っていただけで、片方はしあわせ、片方は、虫けら以下………………もし、この事実を知ったら、おかーさんも、私を虫けらだと思うんだろうか。私は、佐々木家を巣食う、虫けらなんだろうか…………そのサイトを読み進めていて、背筋が凍った。嫌な言葉が並んだ。『泥棒猫』を触った男は『ケダモノ』………。どうして?どうして勝手に決めつけるの……?きっと理由があるはずなのに、その理由は無視するの……?誰か、お願い。嘘でもいい。誰か、解かって……………!目を閉じた。気絶しそうになったから。でも、だからといって、止められるほど、いい加減な想いじゃないんだ。ともあきからかけられた、ときめきの魔法。私の手の中に、しあわせまでの軌跡を刻む、懐中時計が握られてる。この懐中時計の時間が許す限り、私は、ともあきと一緒にいられるの。ねぇ、美優。私は、ちゃんと、『好きだ』って、自分の声で、ともあきに伝えられるの。『せつないよ』『大好きよ』『こうしたいよ』って、ちゃんとともあきに言えるのよ……?だから、ちゃんと、自分の気持ち、ともあきにぶつければいい。最初に、手紙を書いたように。たとえ、怖い目に遭おうと、自分が不利になろうと、ともあきへの想いは、変わらない。私は、もう一度、恐怖に覆われてしまいそうな想いを、奮い立たせた。『つらくなっても、せつなくなる時が来ても、 しあわせが何か解かるまで、私は、ともあきの側にいる……!』たとえ、全てを敵に回そうと。ただ、私は、あの人が好き……!愛してるわ、ともあき。誰よりも。誰よりも。誰よりも。大好きよ…!続きが気になったら、押してみて? 『ブログ村』<社内恋愛>第3位になりました。ありがと…。
April 6, 2008

パスワード フォルダの中のマリアージュ しあわせ色のふたりの写真 ----------------------------------------------------------------『お願いがあるの…』家に着いて、ベッドの上に並んで腰掛けた。座椅子よりも、ベッドの方が、座り心地がいいから。私は、かねてからのお願いを、ともあきに口にしてみた。『なーに?』のんびりした、穏やかな口調で、ともあきが返す。『…ともあきの…写真欲しいの………』なんだか照れくさかった。中学生の時の恋みたいだ、と思った。写真ひとつ。くちびるだって、身体だって、結んでいるのに、それでも、私、あなたの写真が欲しかった。でも、断られるかもしれないよね………わかってるんだけどさ………こういう形の恋愛って、証拠残したくないものだもんね………『いいよ。』意外な答えが、ともあきから返ってきた。『ホント!?』『……嬉しそうだなぁ』『嬉しいに決まってるじゃん! やったぁぁぁ~! ね、ね、じゃあ写メするっ!! わーん』私は、いちごミルク色のケータイを、ともあきの前で構えた。『行くよー! ルート4は!?』『なにそれ~』『にって言ってよぉっ』『わからんて』『もぉっ、じゃ、もいっかいね、ルート4は?』『に』しゃらら~んシャッターを押したことを知らせるオルゴール音がした。携帯の中のともあきは、穏やかな笑みを浮かべてた。『一緒に撮らなくていいの?』『……え……いいの?本当に…?』しあわせだぁ~、と思った。だって。好きな人と、一緒の写真。私、ずっと大切にしちゃう。もちろん、奥様とは、数え切れないほど、一緒になんて撮ってると思う。家族の写真だって、あふれるくらいあると思う。でも、でも、私の中だけでは、そのどの写真よりも、今日撮った写真が、いちばんなの。負けないくらい、価値のあるものだと、自負するから。『いくよぉ~』ふたりが並んで座る目の前に、精一杯左手を伸ばして、ケータイを構える。あなたが、そっと私の腰に手を回して、ぎゅっと身体を近づける。ドキドキ…する。『あぁぁっ、ブレちゃった~』『じゃあ、こっち側支えるから』『ありがとぉ……もう一度!』くっつく。ふたりの距離。近い、距離。こんなに側に、あなたがいる………。ケータイ、私、左手で構える。ケータイ、あなた、右手で、反対側を支える。初めての、ふたりの、共同作業です……なんて、結婚披露宴の、ケーキ入刀を真似て言ったら、あなた、怒る?2枚目の写真。私はすごく、嬉しそうで、あなたは、優しい目をしてる。『せっかくだから、もういちまーい!』しゃらら~ん3枚目の写真は、私は、これ以上ないくらい、しあわせそうな顔をしてた。あなたは、そっと、微笑んで、穏やかな瞳を細めてた。写真を撮った後、ふと、目が合う。………では、キスを交わしましょう―――――……………。夕暮れ。区内に、午後5時を知らせるチャイムが響いた。写真の中だけ。ふたりきり。今日一日のしあわせな時間全てを、携帯の中に閉じ込めた。あなたの誕生日と同じ数字のパスワードを、フォルダにかけて………。続きが気になったら、押してみて? 『ブログ村』<社内恋愛>第3位になりました。ありがと…。
April 6, 2008

春色の 夕陽の下で 散る涙 お願い指を離さずにいて ----------------------------------------------------------------ファミレスを出た。ともあきは、ただただ、苦い顔をしていた。私は……無理やり涙を止めたけれど、いつまたぼろぼろ泣き出すか、わからない状態だった。不公平だと思った。こんなに、生きてて、不公平だと感じたことはなかった。たくさんの出来事があったから、今は、ちょっとしたことくらいは耐えられる。………だけど………。こんなに、自分が生きた道が無意味だと、落胆したことはなかった………。ただただ、今、ともあきの奥様が憎かった。そんな自分もまた、憎かった。醜かった。私の全てと、すり替えたいとすら思った。どれだけ何気ない毎日が、しあわせなのかと…思い知らせたいと、思った。だけど、すぐ、灼けついた嫉妬を、冷たい水のような自制心で、冷やそうした。自分が悪い。あのまま我慢していれば、もっと自分に説得力があれば、修二と一緒にいられた。こんなせつない思いすることもなかった。でも、自分のことばかり責めるほど、悲しいことは…ないんだね………。今、もし、私の全てを肯定してくれる人がいたら、きっと私は、手放しで、大声を上げて泣き出すだろうと思った。激しい嫉妬を、自制心で冷やした。嫉妬は、冷えて、悲しみになって、小さな、小さな、氷の粒になった。氷の粒は、私の体温で溶けて……瞳から、流れ落ちた。『……泣いたら、おしおきするぞ』優しい口調で、冗談めかして、ともあきがいった。『……ごめん……ごめんね、今ね、すごく醜い気持ち…… 何の苦労もしてない奥様が…… それなのに、ともあきを手に入れた奥様が…… あなたの子供を産んだ奥様が………憎くて憎くて仕方ないよ…… ものすごく嫉妬してる…いけないのにね、こんなの、いけないのにね……』ハナサナイデ、ツナイダテヲ、オネガイ…………声にならなかった。いちばんの願い。祈り。側に、いて。ぎゅっと、つないだともあきの手をにぎった。ともあきは、強く、にぎり返した。『………遠回りして、戻ろう』穏やかな低い声で、ともあきが言った。『………絶対に、独身だったら、今とは違っていたんだから…泣かないで』「僕が、いつかお嫁さんを選ばなければならないとしたら、 いっそのこと、おまえを選ぶよ。 物を言う目をした、おしの捨て子の、かわいいおまえをね」(※)王子は、声と尻尾を捨てた、人魚に言った。そう、王子が好きになってしまった、あの娘ともう一度会うまでは。人魚は、何度思っただろう。王子と、その女が、再会してほしくなかったと。もっと早く、あなたに出逢いたかった。あなたが、彼女を、目にする前に。私は、人魚のように、きれいな気持ちでいられるのかな……。ただ、涙だけが、ひとつぶ、ふたつぶ、あふれてくる。さらり、ある一軒家の桃色の梅の木が、風に花びらを散らした。辺りに、甘い梅の香りが舞う。ひとつ、決めてる。たったひとつ。それは、私の賭けでもあるの。「たった一つ、人間になれる方法があるというところでは、 人間がお姫さまのことを心のそこから愛するようになり、牧師さまの前で、 この世でもあの世でも、いつまでも真心は変わりませんと、硬い誓いを立てたなら、 その人の魂が、お姫さまの体に伝わって、人間の幸福を分けてもらえるというのです。」私は、幼い頃大好きだった『人魚姫』を、ぼんやりと……何度も、何度も、思い返していた。この想いが、どんな結末を迎えるかなんて、今は誰にもわからない。だから、今、このしあわせな時間を、精一杯大切にしよう。この想いが、本当に強いから、傷ついてもかまわない。続きが気になったら、押してみて? 『ブログ村』<社内恋愛>第3位になりました。ありがと…。
April 6, 2008

純白の ヴェールをまとい 目を閉じる しあわせの夢 露と消えたり ----------------------------------------------------------------修二、私ね、修二のお嫁さんになりたかった。でも、結婚すると、莫大な借金を、うちの両親も背負うことになってしまう。内縁の妻だって、よかったんだよ。でも、ウェディングドレス、着たかった。修二の隣で、着たかった。『倉益美優』に………なりたかった。あなたの故郷、日南に行ったって、かまわなかった。ううん、行きたかったよ、私………。修二。あなたの前の奥様は、別の人と恋に落ちて、いなくなってしまった、と話してくれたね。だから、今度こそ、しあわせになろう。私と、一緒に。----------------------------------------------------------------『…手伝って、美優』『いや…そんなの犯罪だよ…やめよう、修二、やめよう…』修二は、3ヶ月前に購入した、私のPCの電源を入れて、スキャナに、三友製薬の、株券を挟んだ。『……やめて……っ!!』私は、修二に叫んで飛びついた。『やめてよっ…やめて……!!』『美優っ、引っ張るなっ』めちゃくちゃにしがみつく私を、修二は制止しようとする。『いやぁぁぁぁーっ!!』目の前が、真っ暗になった。私の夢も、ふたりの関係も、信頼も、粉々になった。修二は、株券のスキャンをやめてくれたけれど、私のショックは………あまりにも大き過ぎた。----------------------------------------------------------------けんかが絶えなくなって、修二の家を出た。他の男の人とつきあっても、つまらなかった。やがて、修二から、暴力団員の妻の女性と、不倫していることを、告げられた。それ以来、修二の行方はわからない。私は、修二に会った最後の日から、ごはんを食べなくなった。家の中で、動けない日々が、続く。体重は、10キロ近く落ちてしまった。後にも先にも、こんなに痩せたことはない。もう、全てがどうでもよかった。もう、二度と、こんなに誰かを愛することはないだろう、そう思った。愛内美優、21歳の、恋。続きが気になったら、押してみて?
April 6, 2008
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