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2009.01.23
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シラクーサのホテルは日本から予約せずに来た。イタリアはよっぽどの観光地のハイシーズンでない限り、ホテルが見つからないということはない。シラクーサのように文化遺産テンコ盛りの街は、アクティブに観光して歩きたい。そうなるとタオルミーナのような滞在型の豪華ホテルではなく、経済的でそこそこ便利な場所にあるホテルに泊まったほうがいい。

駅で母に荷物を見ていてもらい、近くのホテルを見に行った。さっそく手ごろそうな3つ星ホテルを見つけて飛び込む。フロントには若いイケメンのお兄さん。

「今日ともしかしたら明日も、泊まりたいんだけど、ツインの部屋ありますか? できればバスつきの」
「バスつきはないよ。シャワーだけ」
「あ、じゃシャワーだけでも。いくら?」
「86,500リラ(=約5,000円)」

やっ、安い!

「部屋代? それとも1人の宿泊料金?」
「部屋代だよ」
「泊まるかどうか決める前に、部屋を見せてもらえる?」


イタリアでは泊まる前に部屋を見せてもらうのは全然OK。どこでも気軽に見せてくれて、嫌な顔をされたことはない。

見せてくれた部屋は、日本のビジネスホテルなら12,000円ぐらいは取りそうなレベル。内装はモダンで、シャワーはドロップ式ではなく、ちゃんとノズルがあった。ベッドのスプリングや水の出方などチェックして問題ないので泊まることに。

シラクーサに着いた時間が遅いので、2泊すると告げる。泊まってくれると知ったお兄さんは、より親しげな口調になった。

「キミ、日本人? イタリア語うまいね」

つーか、ホテルに泊まるかどうか話してるだけなんですが。

「イタリアに住んでるの?」

来たっ! お決まりの質問。イタリア人は褒められるのも大好きだが、褒めるのがまた輪をかけてうまい。

北イタリアの都会ではそんなことはないのだが、南に来ると、必ず「イタリア語うまいね」から始まって、「イタリアに住んでるのか」「イタリア語はどこで勉強したのか」と聞かれる。店でもホテルでも、観光案内所でも(苦笑)。

イタリアに住んだことはないし、勉強も日本でしただけだとこれまたお決まりのパターンで答えると、ホテルのイケメンにーちゃん、

「うそぉ。信じないよ」

とオーバーなリアクション。とっても話しやすい雰囲気なので、ついでにいろいろ聞いてしまった。



すると、フロントから出てきて、ホールにある市内地図の前にMizumizuを連れて行き、

「バスは、ここから(←と街の中心からちょっと離れた場所を指し)出るんだけど、どのバスも、こう通って(←と道をたどり)、ここに来るんだ(←とホテルの近くを指す)」
「来るのにどのくらいかかる?」
「10分ぐらいじゃない、なんで?」
「アルメリーナ行きのバスの時間は調べてきたんだけど、たぶんその時間はこのターミナルから出る時間だと思って」


つーか、バスの乗り方聞いてるだけなんですが。

「アルメリーナ行きも必ずこのバス停に来るのは確か?」
「言ったろ、全部のバスがここに来るんだ。間違いない」

このイケメンのにーさんは、「雇われ」でないことは確かだ。たぶん家族経営のホテルなんだろう。ヨーロッパの「雇われ」の態度はおおむね悪い。ことに中級程度のホテルやレストラン、それにショップでは。逆に家族経営の店だと、非常に商売熱心。日本のように労働者のレベルが平均的に高い国から行くと、「雇われ」と「オーナー」の仕事ぶりの違いにしばしば驚かされる。

街にも詳しそうなので、ついでに美味しい店も聞いちゃおう。

「何食べたいの?」
「パスタとか、リゾットが好きなんだけど」
「パスタなら、絶対Quelli della Trattoriaだよ」
「どこにあるの?」
「カブール通り。ちょっと待って…」

と、フロントに戻り、下から市内地図を出して、ボールペンでマルをした。

「このあたりだよ。自家製のパスタの店で、スカンピのクリームソースのフェットチーネが最高」

なんともクレバーなお兄さんだ(おまけにイケメン)。イタリアってなぜか美形のほうが感じがよく、親切なのだ。それは女性も同じ。

おかげで次の街への行き方もわかったし、夜の食事の場所も決まった。さらにお兄さんは、地図の海岸沿いの道を指して、

「ここは、海に沈む夕日がきれいだよ」

なんて至れり尽くせりのアドバイス。そりゃどうも。さては、ずいぶんご利用になっていらっしゃるようで。ま、Mizumizuの場合、一緒に行くのは母だがね(笑)。

駅で待ってる母を連れて、ホテルの部屋に入り、荷物を置いて市内見物に出発した。

ホテルは旧市街からは離れている。バロック建築で有名なドゥオーモ広場に行こうと、タクシーだまりに行くと、ズタボロのイタ車で半分寝たようにダラけているじーさま運転手がタクシー列の一番前にいた。ヨレヨレのチェックのジャケットを着ている。

うっ、やる気なさそうなじーさんだ。でも、最前列のタクシードライバーに優先権があるのは、イタリアの掟。

しかたなく、あけっぱなしの窓から覗き込み、

「ドゥオーモ広場まで行きたいんだけど、いくら?」

と聞いた。じーさんはあわてて姿勢を正す。

「クインディチ」

15,000リラ(約900円)という意味だ。シワだらけの顔だが、人は悪くなさそう。タオルミーナが20,000リラからスタートだったので、さすがにそれより安い。OKしてズタボロ車に乗り込んだ。

いざスタートすると運転はうまい… というべきか若いというべきか。とにかくイタ男はハンドル握ると素っ飛ばすもんだと思っているらしい。運転は総じてみな巧みだとは思うのだが、事故も多い気がする。街では、真昼間にしょっちゅう救急車のサイレンの音を聞く。あれは自動車事故がほとんどだろう。勝手に想像してるだけだけど。

さらに、このじーさん、やや耳が遠いらしい。ちょっと話しかけると、後ろをぐうッと振り返り、こっちの目をしっかり覗き込んで、

「え? 何?」

と聞き返す。もちろんその数秒間は前を見てない。で、前を向いてくれたところを見計らって、さらにこちらが何か言うと、また振り返ってしっかり視線を絡めてくる。こ、怖いってばさ。前見てよぉ。

も~、会話はなるたけ控えよう。

ドゥオーモ広場の近くに着くと、ケータイの電話番号を書いた紙をわたしてくれて、

「またタクシーが必要だったら、ここに電話して。市内だったらどこでも15,000リラでいいから」

おお、それは便利。呼び出しても同じ値段なら安心だし。けっこう商売うまいじゃないの。

barocco

これが、シラクーサのもう1つの見所、壮麗なバロック様式のファサードをもつドゥオーモ。

barocco2

ファサードの扉には、貴婦人のかぶるレースのような繊細な装飾が施されていた。

旧市街のカブール通りは、まさに「バロックの小道」。石畳にバロック風のバルコニーや装飾をもつ石造りの建物の並んだ昔ながらの狭い通りだ。夜、食事にもう一度来たのだが、柔らかな街灯に照らされた道は、スペイン絶対王政時代の上品な残り香が漂い、ギリシア劇場やローマ劇場といった古代の遺跡を見たあとはなおさら、「ここって一体どこの国だったっけ?」と混乱してしまう。


barocco4

惜しむらくは、路地に活気がないこと。昼間から何をするでもなく、手持ち無沙汰に立ってる土地の人たちが、またうらぶれ感を増幅させていた。夜はさらに閑散として、ひと気がない。

barocco3

こちらは夜のドゥオーモ広場。ムーディなロウソクをテーブルにおいて、白いパラソルをひろげてまだ客を待っているドゥオーモ前のカフェ兼レストラン。でも誰も座っていない(苦笑)。

さびし~

『ニューシネマパラダイス』『海の上のピアニスト』『みんな元気』で有名なジョゼッペ・トルナトーレ監督の映画『マレーナ』でも、シラクーサの旧市街がロケに使われていた。この広場をモニカ・ベルッチ扮するマレーナが歩いているシーンがあった。

さて、タクシーは公衆電話から呼び出すとたいがい来てくれて、非常に助かった。だが、一度だけ、「今ダメだから」と言われて、別のタクシーを使ったのだが、このタクシー、真っ白なピカピカのメルセデスで、グラサン(←死語?)をかけた30代のやる気(ぼる気?)まんまんのガタイのいい兄さんだった。

「15,000リラ」

と事前交渉して乗ったのに、いざ目的地に着くと、実はメーターを動かしていて、

「ほら」

とメーターを指し示す。2万リラを超えていた。

カッとなったMizumizuは、

「15,000リラって言ったじゃない!」

と怒鳴った。その勢いに気後れしたのか、一見ヤクザ風(失礼!)のにーちゃん、驚いたように、気弱な声で、

「み、見せただけだよぉ」

だって!

「なんで、メーター使うのよ! 見せただけぇ? 嘘つき! 1万5000リラって言って、それから2万リラって言うつもりだったんでしょ。サイテーね。シチリアのタクシー運転手はみんな親切だけど(←もちろんウソです)、あなたは最低!」

と一方的にまくし立てて15,000リラをわたして、とっととタクシーを降りるMizumizu。Mizumizu母も黙ってついてくる。

逆ギレされても面倒なので、相手が呆気に取られてるうちにどんどん道をわたって遠ざかった。

安全圏内に入った(?)ところで振り返ると、タクシーから離れるわけにもいかず、ドアのそばに立ちつくしたグラサンの顔が、ジト~ンとこちらを睨んでいた。

観光を終えた夜遅く、ホテルのそばを歩いていると、なんとじーさんのほうのタクシー運転手が友人とおぼしきおっさんと歩いてるのに出くわした。

さっそく、ヤクザ風のにーちゃんに、15,000リラと言っていたのに、それ以上取られそうになった話を路上でするMizumizu。

「あなたのほうがずっとよかった」
と言うと、いきなり、それまでの話はすっかり頭から飛んでしまった(もともとあまり聞えてなかった?)らしく、
「オレのがいいんだ!」
何年洗濯してないのかわからないチェックのジャケットの胸をふくらませて、大声でリピートするじーさん。
「そうそう、あなたのが優秀」
調子を合わせると、ものすごく嬉しそうな顔になり、またこっちの顔を覗き込むようにして、
「明日はどこ行くの? 朝迎えに行くよ」
お抱え運転手にへんし~ん。

明日は朝早くバスでピアッツァ・アルメリーナに行くからと断わると、じーさんはうなずき、
「じゃあ、いい旅を。また来てね」
と、友人とおぼしきおっさんと夜の(シケた)シラクーサの街へ消えていった。あのあと酒をのみながら、今日東洋人の観光客から気に入られた自慢話をおっさんに語ったのだろう。

教訓:シラクーサでタクシーに乗るときは、ピカピカのメルセデスではなく、ズタボロのイタ車を運転してる枯れたじーさんのほうが無難。






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最終更新日  2009.01.23 09:14:29


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