コミュニケーションファクトリー ~演出工房~
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昭和33年に女性活動団体の運動により廃止された、「赤線」。女性の人権擁護のために作られた売春防止法だが、これほど建前と実態が違う法律は他にないだろう・・・・入浴サービスという名目でソープランドが存在し、料亭という名目で、刹那の恋の相手をする商売が存在する。実際問題、こういった性風俗産業が法律の規制の通りに全くなくなった場合、レイプ、痴漢といった犯罪が増えるということは否定できない。需要と供給のバランス・・・・ここで働く女性達にとって、売春防止法は敵、人権擁護を謳うならそれだけのお金か仕事を国が保障してくれるのかという理屈を口にする。手っ取り早い金儲け・・・最初はバイト感覚の水商売から足を突っ込み、いつの間にか風俗にという女性も少なくない。R子は今年30歳、彼女には7歳の男の子がいる、その子が3歳の時に離婚。相手の男性が引き取って以来会っていないらしい・・・彼女に言わせると離婚原因は旦那の暴力・・にもかかわらず身寄りと経済力の全くない彼女には子供の養育は無理という判断を裁判所は下した。R子は西成区の風俗街、飛田新地に身を置いて2年になる、居酒屋で飲んでいるとき、彼女はいつもこういう言い回しをする。「どうせ世の中思った通りにはならんやろ?希望なんて持つだけ悲しかろ」九州なまりがその言葉をよけいに悲しく聞こえさせる。4年前、離婚を期に大阪に来た彼女は、まずはキャバクラという種類のお店に勤めたという、そこで知り合った金持ちの70歳近い男性に、囲われ、お金には不自由しない生活になったそうだが、自分で働かずに飼われている生活ほど不自由な生活はなかったと過去を振り返って彼女はそう言う。その男性の所を飛び出して一人で暮らすようになり、水商売を転々とし、借金が出来、行き着いた先がこの飛田新地。体を売る罪悪感で涙するのは最初の一週間、毎日、福沢諭吉に抱かれていると言い聞かせながら時間を過ごすのだとか・・・自分で選んだ道とはいえ、正直、彼女に対してはいつも説教したい気持ちになってしまう。「もっとポジティブになって、借金返したら、何か自分でお店でも持ったら?」そう言う僕に彼女はいつもこう返す「きっとそんなにうまくいかんよ・・・」酒乱の父親は母親に暴力をふるい、たまりかねた母親は娘をおいて蒸発・・・そこに来た後妻。最初はその娘を可愛がったものの、自分に子供が出来ると、手のひらを返したように冷たくなり、その娘をいじめた。幼心に傷を負った娘は家出をし、高校は中退。結婚した相手は暴力亭主・・・・R子の生い立ちを聞いていると、確かにうまくいかない人生とあきらめてしまうのも無理はないと思う。この西成区には、もっと悲惨な幼少期を送っていても、がんばって、自分で商売をしたり資格をとってバリバリ表社会で働いている人もたくさんいる。しかしそれも一握り、不幸な家庭に育った人間がヤクザや風俗嬢になる確率は、そうでない人間に比べて明らかに多い。ここでの「不幸」と言うカテゴリーは、母子家庭、父子家庭などということではなく、幼少に大きな傷を負うような目にあったり愛情を受けずに育ったと言う意味である・・・彼女の「うまくいかん」を説得できない自分がいる。「いいイメージをすれば必ず夢はかなう」僕はこの考え方で、ある程度の地位と夢をかなえ、おそらくこれからもそうなると信じている。しかしその言葉は彼女には響かない・・・・同じ人間・・僕は恵まれた環境に育ったから、すきな仕事をしたり、当たり前のかたぎの仕事で食べていくことが出来ている。やくざや風俗嬢はアンダーグラウンドの商売、しかし、僕が不幸な環境で育っていたら・・・そこにいないという保障はない。もっと言えば、生きた環境によっては自分がアルカイーダのテロリストになっていなかったと言う保障もない。おそらく僕の価値観の通用しない世界が僕の知らないところにたくさんあるということも受け入れなければいけないのだろう。それでも僕はこれからも彼女にはこう言いつづけていきたい有難迷惑とはわかっていながら、無理を承知で・・・「いいことと考えていたら・・必ずいいことあるで」と
Nov 4, 2004
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