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なんでも小説になるのである。時計の構造を小説にした本のブックレビュで筒井康隆が言っていたと思うが、何でも小説になるのである。 数学が小説になるのである。数学をテーマにした小説ではなく、数学の心を小説で表すことができるのだ。あの、我々をどこに導くのかハラハラドキドキしながら辿っていく代数や幾何の変貌が小説になっているのである。行き着いた先にある、声を失わせる美しい数学の風景が小説で表されるなんて、感動的じゃなかろうか。文学の奥深さにも触れることができる。 ブルーバックスの『オイラーの公式がわかる 』(原岡 喜重)も美しいオイラーの公式証明までをゆっくり導いてくれた感動的な本だったが、こちらは、まあ言えばエッセイである。同じことを小説でやった人はいるのかもしれないが、結城浩が最も成功している。 んじゃないかな、他の本を知らないから。 数学ガールが文学的に優れているかどうかは、個人的には疑問である。ラノベの構造を取り入れているから取っ付き易いのだろうか。これが男ばかりの数学バカたちの話なら、それほど受けてはいなかったと思う一方で、例えば旧制高校のバンカラをベースにしたら熱血青春数学物語が作れるのかも。勿論、複数パターンの女の子を登場させて…。 (美しい証明のある)数学の証明は美しいのだから、素材は問題ない。後は味付けだけである。多くの数学者や数学愛好家が、随想や論文と云った形でしか発表してこなかっただけであろう。 小説なので、漫画化もされている。映画化もされるそうだ。どの様な形になろうとも、どのような登場人物であろうとも、数学そのものはビクともしない美しさを持っている。そうか、だから奇を衒ったような人物配置でも、読者を惹きつける要素になっていれば、人気が出るのか。
2013/10/07
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9月4日に最高裁で嫡出子と非嫡出子の相続差別は無効との判決が出た。その時は色々思ったのだが、今振り返っても思い出せない。その時に書かないと駄目である。年齢なので仕方がない。 判決について大法廷決定があったので読んでみた。法律の文面は滅多に読まないので読み切ることは無理だったが、簡単に言えば相続差別は時代遅れになってきているからというものらしい。 例えば、ドイツやフランスの法律を例にとり、欧米諸国では相続差別はなく、日本のケースは世界的にも限られた状況にある(5頁)と、断定している。このことが事実かどうかは調べていないが、欧米がやっているから右に倣おうではないかという、日本人らしい判決理由だ。この理由を採用するのは、日本では当然だろう。タイタニック号ジョーク「(日本人へ)みなさんそうなさってます」 ただ、世界各国の婚外子割合 によると、フランスは52.6%、ドイツは32.1%など欧米各国は高い割合を示す婚外子だが、日本は2.1%と"世界的に限られた状況にある"と考えられるのだが、この辺りは判決に影響を及ぼしてはいるのだろうか。 この判決がニュースになるまではほとんど意識していなかったことがある。この判決で言われているのは、あくまで非嫡出子(正しくは”嫡出でない子”)の相続と嫡出子の相続を差別しないことであり、法律婚主義はビクともしていないという事だ。少なくともフランスとは全然違う。婚姻とは届け出したという、法律用語だったのだ。(あたりまえ?) 相続権以外の権利については、以前どおりだという事である。当事者でないのでどのような差別が残っているのかはわからない。すまん。 嫡出についても、はっきりとした定義はないらしい。数学では許されないことである。調べればわかるが、嫡出を細かいケースで分けていくとボーダーがけっこう曖昧になっている。 非嫡出子は最初の民法では父親の認知のある庶子と認知の無い私生子に法律上わかれていたらしい。今は両方とも嫡出でない子である。さて相続権だが、認知されていない子には相続権はない。あくまで同じ非嫡出子でも認知されている子にのみ嫡出子と同等の相続権があると、最高裁判所は判断したのだ。 それは、問題にならないのか?
2013/09/25
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9月8日に、2020年のオリンピック&パラリンピックの開催地が決定されるらしいので、今のうちに反対の理由を書いておこう。 当初はどこでオリンピックが開催されようが構わないので反対も賛成もなかったのだが、最近の報道では日本国民の総意でオリンピック東京開催が望まれているようなので、なんだか気に食わない。どうでもよい人間の方がいっぱいいると思っている。なぜ、オリンピック東京開催の輿論調査をしないのか、きっと反対が過半数を占める可能性を恐れているのだろう。日本国中が望んでいるような報道をしているのに…。 最後のプレゼンで、他国の質問として一番多かったのは福島原発の汚染の現状だった。吃驚したようなニュースが流れていたが、一番気になるのはそこだろう。放射線汚染の対応状況が気にならないハズがない。現につい最近また汚染水が漏れていることが発覚したのだから。その辺の情報もちゃんと伝わっていないはずがない。 日本のプレゼンターは絶対大丈夫ですと言い切ったが、その根拠はどこにあるのかわからない。もっと突っ込まれてもおかしくなかったはずだ。 ブラジルワールドカップじゃないが、オリンピックを開く金があるなら、原発汚染の後始末に掛けるべきだろう。福島救済に金をかけろ、って思うな。 オリンピック大好き人間が、うち(日本または東京)でも開催して欲しいな―、との希望で誘致を計るのはしかたないので消極的賛成の気持ちもあったが、別段強く望んでいるわけでもないし、誘致できなかってもどうという人間がいたことを、ここに控えておく。控。
2013/09/06
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今年(2013年)5月に、天理大柔道部で練習中に水を飲んだと、1年生が4年生にビンタをされ、鼓膜が破れた学生が出たことが明らかになり、この8月に公になった。天理大柔道部は防止策ができるまでは部活動停止になった。 たぶん、柔道部の面々は何が問題になっているのか理解できていないのじゃなかろうか。そもそも全日本柔道連盟自体がセクハラやら何やらで訴えられたのに自浄作用がなく、文部科学省の公益法人剥奪の脅しを受けて已む無く上層部の交代を受け入れたくらいだ。 ビンタされて鼓膜が破れたがどうした、俺たちの頃はもっと凄まじかったぞと、マゾヒズム全開の柔道部OBは山ほどいるはず。ビンタの4年生もきっと1年生の頃に同じような目にあわされての、言ってみれば仕返しがあったのだろう。あれは愛情だったのだから俺たちも愛情を返すのだといった心理行為かな。バカバカしいが、練習中の給水を咎めるという現代スポーツではありえない判断からして、常軌を逸しているのに本人たちは気づかない状況にあったのだろう。 全柔連幹部がが元のメンバーだったら、決して表に出なかったと思う。それだけの話。
2013/09/05
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予想通りブラジルが優勝した。玄人筋にはどうかわからないが、あまり面白い試合ではなかった。スペインの攻撃を、ブラジルが丁寧に叩き潰したイメージがある。ネイマールのスーパーゴールやダビド・ルイスのスーパーセーブは良かったが、スペインがなんだか過ぎて後半は見ていられなかった。 体力的には同条件の準決勝が盛り上がったのは、ウルグアイとブラジルの差だろうか。満身創痍のイタリアは、言われる通りにディフェンスを苦にしないチームなのだろうか。守りを楽しめるかのような戦いだった。かもしれない。素人目にはわからないのが残念だ。 毎回言われているようだが、コンフェデ杯のタイトなスケジュールは殺人的だ。実際かつては死者も出ているようだし。 来年のワールドカップの決勝がブラジルスペインで争われるのなら、今回のコンフェデ杯が前哨戦になるわけだが、個人的には決勝では見たくない。なぜならドイツを応援しているからだ。 本田や長友が何と言おうと、日本がワールドカップを優勝するには、まだまだ時間がかかるのを痛感した。スターティングメンバが力不足とは思わないが、バックアップの選手が少なすぎる。もし本田長友香川岡崎内田遠藤の7人が故障などで出場できなかった場合、決勝戦のイタリアと5分の戦いができただろうか。イタリアやスペインはそれができるのだ、吃驚だ。たぶん、FIFAトップ10の国はみんなできると思われる。だからこそ優勝できうるのだ。そんなことが分かったコンフェデ杯だった。
2013/07/06
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2013年の参議院選挙は、半年前の衆議院選挙や少し前の都議会選挙と同じく自民党が圧勝の勢いである。選択肢が少ないのが原因なのだが、なぜそこまで自民党を勝たせたいのかわからない。とくに、yahooのネット住民の気持ちが分からない。 ぼくも自民圧勝の予想だが、一つには野党の選挙戦術のミスがある。"アベノミクス"の賛否を問う選挙にしてしまった、あるいはされてしまったのだ敗因になるだろう。いや、まだ負けたわけではないが。 安倍政権発足後まだ半年である。もしアベノミクスが始動していたとしても、半年で何らの成果が表れるわけがない。今現れているのは、アベノミクスそのものではなく、期待した先行効果である。そんな短期間に効果が表れるような政策なら、短期間で潰れてしまうだろう。ある程度は長期予測をした政策のはずである、それを効果のあるなしを問うところに問題がある。安倍政権になって、まだ口約束が出たくらいでなぜか円安株高が現象として現れているが、これは本質ではない。ではないが、上向き経済を期待させるものであるので、このような幻を相手に戦っても勝てるわけがない。 "ねじれ国会"の解消も今回の参議院選挙の争点にしているようだ。自民党がこれを行うのはわかる。両院で過半数を占めたいだろう。仮に占めたからと言って、政策のスピードが上がるかどうかは疑問であろう。そもそも55年体制では両院とも自民党が単独て常に過半数を占めていたのだ。にも拘らず、スピーディーに政策が行われていたとは言えなかった。日本政府の対応の遅さは経済一流政治は三流と悪口を言われていたくらいだ。昔の自民党政権に戻ったらスピードは上がらないぞ。みんなそれを忘れてしまったのか、とはたと気付いたが、ねじれ国会が始まったのは1989年からだ。今から24年前か、自民党多数時代はけっこう歴史の彼方扱いされてしまうな。忘れているのではなく、しらない有権者が多いのだ。だからネット住民は自民党への期待ができるのだな。何となく納得した。 声を潜めている憲法改正論議はどうなる。憲法96条をまず改憲して、他の条文を改憲しやすくしよう、などと常識では考えられない意見を当然のごとく堂々と発言する安倍総理の頭の中は、他国に言って自国の悪口を言う元首相とどうちがうのか。 自民党はかつて両院で勢力を張り、改憲の発議も可能であったにも拘らず、一度も国会の議題として提案したことはなかった。何回か発議して、野党に潰されて、それでもと云うならまだしも一回も提案していないのに、改憲しにくいから改憲しやするするために改憲すると何を持っていうのか。子供が同じようなことを言ったら、うんまずやってみようね、と諭されるぞ。 可笑しな政治家がいるのだが、みんな国民が選んだのだ。せめて少しはましになるように考えて投票しよう。
2013/07/05
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筒井康隆の久々の作品だったので、読むのが惜しいくらい楽しんで読んだ。いつもながら筒井康隆はいいなぁ。 新聞を取っていたら別だろうが、連載時に摘まみ読みしてもだめだな、全然違うストーリーをイメージしてしまっていた。 今回は古語を使用して新しい感覚に挑戦するものだった。いつもながら実験的だ。だからこそ筒井康隆なのだが。簡単な言葉の注釈が入っているからでもあるが、全体に流れる気品の良さが最後まで堅牢に構築されていたからでもあるが、古語にそれほど違和感なく読めた。この人はやっぱり力量が違うなぁ。 シチュエーションがしっかりしているので、色々な結末もあり得るのだろうが、いつも通りのとても優しい終了に持ち込んでいた。読者に優しい終わり方ができる素晴らしい作家であることを再確認した。 性欲を不自然なく取り除いたらこのように成りうる事もあるのだというのはテーマのようで、テーマではないと思う。自信はないが、人類の黄昏を描いたようにも思えるのだ。作者が黄昏の向こう側に薄ボンヤリと消えていきつつある姿を想像した。こういう老境もありなのかも。事成し遂げて、後は…。
2013/07/01
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コンフェデ杯の決勝リーグは、結局ヨーロッパ2国と南米2国が残った。世界的な実力の証明がなされた結果と言えますね。 ブラジルウルグアイ戦はしょぼしょぼ目でしか見られなかったので、臨場感を得られず残念だった。予選が終わり、準決勝からいよいよ本大会と思っているので、これではいけない。 しかし、レベルが高い。この2か国は50年前のブラジル大会での因縁があるらしいが、それは別にしても素晴らしい戦いだった。ウルグアイの3トップは羨ましい。スアレス・フォルラン・カバーニは反則だろう。それに打ち勝つブラジルのオフェンスも凄いのだが、抑えるディフェンスも凄いわ。 スペインイタリア戦は4時に起きて最後まで観戦した。このイタリアとよくまあ3-4で負けられたな日本。別の国との噂もあるくらい別の国の様だった。もしかしたらバロテッリがいないからかも。なぜエルシャーラウィーは出場できなかったのか。それほど高い評価は、イタリア代表監督には貰えていないようだ。ピルロもお疲れだったようで、動きにキレが減っており、最後の方はコーナーキックも任せていた。気温30度、湿度80%ではなぁ。 スペインもいつものパス回しが見られなかった。イタリアのディフェンスが上手く機能していたからでもあろう。ゴール前のパスを悉くに潰していた。しかし、この堅固なイタリアの城壁をそれでも乗り越え破壊してゴールを襲うのだから、スペインも侮れない。それにしてもスペインのシステムは、なぜかDFのラインが5人だった。おかしくないのか。解説者の指摘もなかったから、いままでもそうだったのだろうか、ぼくが気付いてなかっただけなのだろうか。攻撃時にFW以外の押上げが少なかったのはこれも原因があると思うのだが、違うのだろうか。 それにしても高度な戦いで目が離せなかった。延長戦ではさすがに足は止まっているのだが、それでも一瞬の動き出し時はハイクラスのままだ。凄い。 また、相手の体力を削り・精神を削っていく戦いは見ていてゾクゾクするものだった。何度も何度もライン際へ二人掛かりで追い詰め、何度も何度もフリースローを行わせる。そこでまだ削りますか、まだ削る力がありますか。ゴールを攻めるだけが戦いではなく、選手を攻める戦術もあるという事か。面白いなぁ。 結果はPK戦7-6でスペインの勝ちだった。これでブラジルの優勝はほぼ確実になったであろう。1日多い休養日、戦い抜いた試合時間の差 - ブラジル90分・スペイン120分+PK戦 - そしてホームの利がある。 ブラジルは組織力の弱さとそれに関連したディフェンスの弱さがあり、スペインはそれを衝くのに十分な力を持っているだろうが、3条件の差で勝てないだろう。もし勝つとしたら、それはなんだろうか。楽しみである。
2013/06/28
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FIFAランキング通りの結果になった、そんな感想だった。なので、ブラジル戦もイタリア戦も、あっておかしくない試合だったと思う。順当な結果に終わってしまったのが残念だったが、勝てるかもしれなかったと言えるんじゃないだろうか。勝てなかった理由は、詳しい冷静な分析で調べ上げ、次の本番への糧にしてもらいたいものである。 岡崎と香川はよく戦っていたと思う。脚を痛めて退場するまでの長友も良かった。戦術的な話だが、長友が駆け上がっているのになぜ香川はスルーパスを前線に出さないことがあるのだろう。長友がディフェンスを引き連れているためパスコースがないのなら、その分だけ間が空いているハズなのにパスは後ろに送っているのが目についた。何か理由があるのか。 本田はダメダメだった、せっかくイタリア戦で世界にアピールしたのに台無しになったんじゃないかな。遠近感が狂っているようだった。目の手術の後遺症が出ているんじゃなかろうか。 酒井(ヒ)と栗原は顔にやる気が感じられなく、顎鬚が気持ち悪いので、個人的には嫌いでありプレーを評価する気がしない。ははは。今野は一人で頑張っていた印象あり。よく画面に映っていて覚えている。 メキシコとは五分五分の戦いと言える。違いは何と言ってもストライカーの差だろう。エルナンデスのマークの振り切り方はレベルが違う。彼のシューズには chicharito が刻印されているのだな。 3敗だった日本代表だが、これをワールドカップに生かせれば万々歳じゃないのかな。世界の超一流のサッカー国と試合ができるなんて、滅多にできない経験じゃないか。そもそも目的はワールドカップ直前に世界の壁を感じることだったのだから。 いくつか気になる点で、日本の若手の問題。5大会連続のワールドカップ出場は快挙だが、その次を担う若手は育っているのだろうか。今大会に帯同して次期に主力となる選手はいないだろう。宮市を期待していたんだが、怪我ではなぁ…。 基盤作りの重要さを肌身に感じ若手を育成してきた日本サッカー界の希望が花開いた現日本代表は良いのだが、続いての育成できていないのでは日本サッカー界は暗黒に陥ってしまうのではないだろうか。心配だ。 ザッケローニ交代説が喧しくなってきているようだ。しかし、ザックの何を持って批判しているのかというと、負けが込んでいるからだ。負けが込めば監督交代をいち早く言いたいメディアの気持ちはわかる。ほら見ろ、最初から言ってたじゃないか、と自慢するためだろう。スポーツ新聞なら仕方ないが、専門誌がそれではダメだ、専門的に欠点をついて欲しい。 例えばシステムだが、日本代表はザックのシステムを理解して実践できているのか。3-4-3 で臨むと全く機能しない。いつの間にやら 5-2-3 になってしまう。攻撃的なシステムが守備一辺倒になるのでは、実践できていないすなわち理解できていないと判断されても仕方がないのではないだろうか。 メキシコ戦ではおそらく前線では持たせて、中盤あたりからプレッシャーをかけてボールを奪い、奪ったら一気に速攻でゴールを襲うといった戦術ではなかったか。残念ながら奪ってもなかなか速攻はできない、パスが通らないしセカンドボールが奪えないことが多かったのだ。本来はコンパクトになるべき2列目と3列目が間延びし勝ちだったのが原因と思われる。つい、守備に走ってしまうのだろう。高い位置で守備のできる精神力の強さを磨くことが必要だろうなぁ。メンタルとはこれか。 ザックはコンパクトを重要視しているので、できない日本代表に問題があると言えるんじゃなかろうか。まあこれでコンフェデ杯の予選は終わった。いよいよ本選を楽しめるなぁ。明朝の対戦が残っているが、予想では準決勝がブラジル対ウルグアイとスペイン対イタリアの同大陸対決、そして決勝がブラジル対スペインのワールドカップ決勝でもあり得るかもの試合となるだろう。楽しみ楽しみ。
2013/06/23
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ブラジル戦、イタリア戦を終えてみんなが楽しく自分の意見をweb上に揚げていて、結構感心することも多い。どうかなと批判的な気持ちも浮かぶ意見もあって中々面白いのだ。これがコンフェデの効果というものだろう。 ザッケローニ監督の評判が悪い。選手交代を失敗するだの、硬直した選手起用しかでき無いだの、戦術に柔軟性がないなど、このところの言われ方を見るに、アジア大会優勝やワールドカップ予選前半とは大違いな感がある。 しかし、それらは本当に監督を評価するのに適切なのだろうか。逆に考えられないかと思う。つまり、監督の思い描く戦術を選手達が取れないので、身につくように根気よく教えているのだ。たとえばブラジル戦では前に前にと鼓舞する監督の意志を反映できた選手はどのくらいいるのだろうか考えてみるとわかるんじゃないか。大半が縮こまってしまっていたじゃないか。 選手起用にしてもそうだ、スペインみたいに控え選手を総入れ替えしても十分代表として活躍できるので起用に頭を悩ませるのならともかく、帯に短したすきに長しの選手を遣り繰りしているのだとしたら、相当な技術ではないか。それはザックのせいなのか? 僕としては次のメキシコ戦をとても楽しみにしている。「イタリアに勝てたのに」と嘆くファンは多いが、世界的な反応は日本のベタ褒めだ。それはそうだろう、緒戦のメキシコ戦を鮮やかに勝ち抜いてきたイタリアを自信喪失にさせるくらいまで攻め込んだアジア代表はかつていなかった。確かに、“勝つ”執念はイタリアに及ばなかったのはメンタルの弱さだが、それを差し引いても日本は強かった。もしかしたら、ブラジルにも勝てたんじゃないかと錯覚させてくれるぐらいに。 この強さははたしてフロックなのか、かなり実力なのか、次のメキシコ戦で証明されると思っている。だらしない試合ならば、破れかぶれの一発が出ただけなので、今後も期待は薄い。目の覚めるような鮮やかな試合ならば、日本の力は本当に底力が付いてきている証拠だといえる。と、見ているんだが、どうだろうなぁ。勝ちに行くんだという、アグレッシブな気持ちを見せて欲しい。技術はどうあれ、気持ちは負けないことを示して我々を楽しませて欲しい。
2013/06/21
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大変アグレッシブな攻撃を行った日本代表を興奮しながら応援できた。楽しい90分だったなぁ。負けてしまったのはとても残念だったけど、来年のワールドカップに期待の持てる試合だった。何が残念と言ったって、最初の前田のヘディングと最後の香川のヘディングだった。こう言っちゃ何だが、香川のヘディングは、香川でもあのタイミングでは緊張してしまうのか、だったが、前田の場合はもっとゴールとキーパーを視野に入れて打てよ、との感想を持ってしまった。前線でどれほどボール回しができても、決められない前田はフォワードとしては失格だと思う。何故かイタリア誌では評価が高かったが、ボランチとしての長谷部は代わりが欲しい。 PKでの本田とブッフォンの駆け引きはどきどきしたし、香川のボレーシュートには感激した。ああ、岡崎のヘディングシュートもね。 イタリアが中2日で疲労が蓄積していたことを考慮しても、日本はよく攻撃していた、よく攻撃の形ができあがっていた。いいじゃないか、この気持ちならブラジルにだって負けなかったはずだ。システムや個の力が劣っていたらすぐには埋められないが、勝とうとする心意気なら決して埋められなくはない。むしろ弱いチームにこそそれが有ってしかるべきだ。理由は分からないが、ブラジルに変な引け目があるんじゃ無かろうか。ブラジルを妙に買いかぶっている、必要以上に過大評価しているのかも。攻撃は確かに恐ろしいが、防御はそれほどでもないぞ。 防御と言えば、日本のセンターバックを中心とするディフェンスの評判が、日本のファンには悪い。10回防いでも1点取られれば非難されるディフェンスと、10回失敗しても1点取れば評価されるオフェンスの理不尽さもあろうが、それにしても吉田はよく問題視される。確かに素人目で見ても、ふと気の抜けたプレーが必ずあり、そのときに限って得点を入れられる。気が抜けるから得点される訳なのだが、その原因はどこにあるのだろう。90分間緊張を保てる訳がない。オフェンスの選手ならば、シュートを失敗した後の弛緩はよく見られるし、もっともだと同意もできる。では、ディフェンスの特にCBは試合中のいつ緊張を緩和するのだろう。超一流のCBはどのタイミングで気を抜いているのだろうか。そこまで指摘するのなら、吉田をもっと避難しても良いが、気を抜いたから得点されたので不要だというのは、言い過ぎだ。 個人的には残念ながら、嫌いな遠藤が見事なパスなどでの組み立てをしてた。やるじゃないか、ちっ。やっと香川が動き出したし、長友もその運動量を見せた。試合直後の本田の悔しそうなインタビューは感動的だった。
2013/06/20
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スコアは0-3とやや一方的だったが、僕としては結構楽しめた戦いだった。少なくとも朝4時起きの鬱憤をどこにもぶつける気は起きなかった。1点目のネイマールのスーパーゴールは、あれは仕方ないだろう。素晴らしいとしか言いようがない。また、3点目は失点覚悟で前掛かりに戦った上でのカウンターによるものなので、リスクは織り込み済みだったと思う。どのチームにだって起こりうることだ。問題になるのは、後半始まってすぐの2点目ではないだろうか。あそこの得点は、実力差を云々されても仕方がない。 webでの評価は芳しくない。長友が自虐的に自分たちを責めるのは、試合直後の感想であり、優勝宣言をしていたこともあって、わからぬでもないが、観戦していたファンやスポーツ記者の非難はどうかと思う。日本代表に裏切られたって口調なんだが、どのくらいの戦いを期待していたのか知らないが、ちょっと言い過ぎじゃないかな。 ウッチーはなかなかよくネイマールを抑えていたし、本田も前線でかなりのボールキープだった。フッキに取られることもあったが、すべてのボールを支配できる選手がいたら、それの方が不思議だ。日本もブラジルボールを奪うのだから、逆もされて当り前だろう。 不満はもちろんあった。パスミスがかなり目立った。しかも肝心な所で、例えば自陣のゴールエリアの近くで、パスミスをして危機を招いていたのはどうなのか。減給モノ(?)であろう。 トラップが下手なんじゃないかと思う場面も多かった。ロングパスのボールをコントロールできずに跳ね上げてしまうのだ。当然次への行動が1拍も2拍も遅れてしまい、素早い攻撃ができない。ブラジルの選手も滑るくらい、フィールドの状態が悪いのだろうが、プロなら後半には対応できるって聞いたぞ。 遠藤は具合が悪かったのか。個人的には嫌いな選手なので、早く変わりを見つけて貰いたいものだ。あくまで、個人的な意見ね。上手下手を言っているわけではない。 長谷部はキャプテンとしては有益なのかもしれないが、選手としては疑問に思うことが多々ある。絶対的に技術力が不足している感が否めない。本田をレジスタとしてコンバートした方がよいのじゃないかな。 香川が相変わらず働き損ねているのが残念でならない。原因はわかないが、ワンツーパスなどのワンタッチパスが最近の日本代表に見られなくなっている。あるのはあるのだが、アジア大会を制した時のような鮮やかな動きが見られないのだ。そのかわり、ドリブルしてパスが目立つ。ドリブルで相手ディフェンダを抜きされる選手はそれほどいないぞ。ドリブルとワンタッチパスの組み合わせで相手を翻弄するのが良い組み合わせではないのだろうか。 呼吸が合ってない場面も多かった。パスを出されてからあわてて走り出したり、走れなかったりする。パスはどこへ出るからそこへ走りこんでおく、このような練習はしているはずだが実戦で現れていない、つまりはやっていないのと同じである。こんなことで、日本のストロングポイントはチームワークと言えるとは思えない。ちっとも組織として動いていないことになる。個の力を向上しなければならないと、長友や本田は言っているが、組織としてもダメダメな状態だと思うんですが…。 これらの不満はそれほど問題ではないと思うのである。チーム練習をこなし息を合わせ意識を交流させれば自然に一つのチームとして有機的な動きができるはずである。がんばれニッポン。イタリア・メキシコ戦までにもっともっとタイミングというか、勘を磨けば十分にかつ強さを持っている。いて欲しいなぁ。中盤の底はテコ入れしてほしいものだ。
2013/06/16
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現代SF作家の書下ろしSFアンソロジー。バイオやバーチャルやといった、「ねじまき少女」とか「マルドゥック」な話ばっかりだったらついていくのが辛いと思っていたが、思いのほかよく知っている内容のSFも多かったので楽しく読めた。日本SF作家クラブ編なので、編者がいない。げによって、解説がないので、それはそれで惜しい。「神星伝」冲方丁、これって長編の1部じゃないかな、長編用の設定だよね。永井の豪ちゃんが若い頃に描いたら嵌っていただろうなぁ。「黒猫ラ・モールの歴史観と意見」吉川良太郎、よく知らない人だ。普通でよかった。「楽園(パレディスス)」上田早夕里、バーチャルな話。若い作家はバーチャルが好きだ。共通意識までもう一歩だよって話。「チャンナン」今野敏、古っぽいタイムトラベリングの話。まあ、そんなもの。「別の世界は可能かもしれない。」山田正紀、ワイパーのエピソードが使い切れてなかった。少女とネズミはまあ、そんなもの。「草食の楽園」小林泰三、思考実験だと思うが予想も経過も結論も、ま。「不死の市」瀬名秀明、スカボロフェア。作った神話に沿って話を進めてるのかな、そうであるなら神話を見せろ。魅力的な神話を。「リアリストたち」山本弘、いつものバーチャルもの。虐待といった面白い問題提起もあるのに、作者の興味は別の所にある。いつも通りだ。「あの懐かしい蝉の声は」新井素子、この人はこの文体を死ぬまで守り続けるのか。脳が怠ける、いや脳が省略化を行う作用をすることは知っているはずだが、この結末かいな。「宇宙縫合」堀晃、小松左京が惚れ込んだだけはあるハードSF、一気に畳み掛けるように時空間を縫ってしまった、この力技は凄すぎる。「さよならの儀式」宮部みゆき、ストーリテリングは見事としか言いようがない。物語になっている所が流行作家たるゆえんか。逆か。話は普通。「陰態の家」夢枕獏、ストーリーだった。多々良陣内シリーズってありそうだな。
2013/05/25
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僕の知らなかった格闘技の歴史が明かされる度に感嘆しながら読んだ。主人公が木村政彦なので、特に柔道の流れが詳しく描かれていて、その内容と調査に戦慄すら覚えた。 高専柔道のこと、武徳会柔道のこと、加納治五郎の想定していた講道館柔道のことを、よくここまで調査したなと感動を覚えた。著者の調査の正誤は、今後の研究によって補完されたり否定されたりするのだろうが、この作品から出発せざるを得ない事象は山ほどあるんだろうなぁ。格闘史はこの本を避けて通れないだろう。 天覧試合での勝利までは、ほとんど木村政彦のファンになりかけた。いやもう、その時は木村政彦を英雄として讃える自分がいた。 力道山との例の試合はもちろん知ってはいたが、もちろん裏側は知らなかったので、新たな知識を心から楽しめた。特に、you tubeでも確認できるが、試合時間と映像時間の差がある。その差に隠された出来事を、当時の記事によって再現しているのだが、これには納得させられた。作者はこの試合に至るまでの文章で、読者にあることを訴えていたと思うのだが、作者もそれを潔く結論付けた。唐突感の無い、自然な発露だったので、逆にそれが作者をして木村政彦ファンであることを強調させていた。上手い。試合のフルバージョンが、裏の世界にあるかのような仄めかしがあった。もし本当にあるのなら、100年もすればweb上に現れるだろう。 空手や日本のプロレスに関しての歴史も詳しい。内容も感心するばかりである。僕はプロレスが「ショー」であることの意味を本当に理解したと思った。筋書きは大まかであれ詳細であれブックという形で存在するが、それは八百長とかいう範疇のものではない。鍛えぬいた体は人によっては信じられないほど本物であり、人によっては嘘の鋼なのだ。サーカスの芸は筋書きがあるが、芸人は鍛えに鍛えてあるし(時々は手抜きもある、畜生め、名は伏せて仮名にするがシルクドソレイユ。稽古を実践で行うな、へたくそな演技はみせるな!)、一歩間違ったら大けがや死に至る。それを八百長とは言わないのと同じようなものかな。残念ながら今はプロレスを見ても面白くない。僕の好きだったプロレスは昭和で終わったのだろう。棚橋はさすがだと思うが、そのくらいだなぁ。残念だ。 戦後の木村政彦の動きもよく調べていた。プロ柔道やらプロレスやら、エリオグレイシーとの戦いの顛末も初めて知った。凄いじゃないかグレイシー柔術。木村政彦がエリオに勝った理由も納得のいくものだった。戦前の柔道は今の柔道とは違うものだったのだ。加納治五郎の願いどおり、柔道に当身を取り入れられていたら、柔道家は無敵に近かったのじゃなかろうか。そんな柔道が今のように世界中に広まっていたとは考えられないけれども。寝技すら無くなっていっているのが今の柔道らしいから。 最後のエピソードは必要だったのだろうか。これが小説なら、「夢落ちか!」みたいな感想が漏れてくるぞ。せっかく足で調べまわって、歴史の隙間を少しずつ丁寧に、希望と事実が混じらないように神経を使って築き上げてきた作品が、このエピソード、検証不可能なエピソードで空想の世界に飛び込んでしまった。作者としては書かずにいられなかった話なのだろうが、木村政彦讃歌としてはあって当然の話なのだろうが、画竜点睛を欠いたドキュメンタリーになっちゃったなぁ。妻たちのエピソードでフェードアウトした方が良かったんじゃないか。…しかしまあ多分これがよいのだろう。
2013/05/24
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山岸凉子のファンではあるが、作者が何を言いたいのかさっぱりわからない話だった。判らなくても面白ければよかったのだが、残念だった。何かこう、深い水底から何かが浮かび上がろうとして、水面は見えたが力足りずそこまでで終わって沈んでいったイメージが残った。山岸凉子のここ20年の作品に時々感じられる変調感が残念な形でできあがってしまった。 『ツタンカーメン』は『封印』から移り変わる途中で転調がおきたが、結果的には素晴らしいドキュメンタリーになった。『封印』のオカルト調のまま進めていたらどうなっていたかはわからない。 『青青の時代』は良い始まりだったのに、途中でなんだか作者が疲れてきたようで、腰砕けな内容になり惜しい作品になってしまった。 『ケサラン・パサラン』は1巻目からどの方向に進むのか迷いがあったが、2巻目は迷ったままビュリダンのロバ状態で終わってしまった。何なの、何が言いたかったの、誰か解説してくれないかな。感想は"つまらない"で終えるのもなんなので、良い評価の解説を聞きたいのだが、webでもアンマリなようだ。一寸先の闇は払えない、進まなかった道はわからない、と言った感じで良いのかもしれないが、何かこうスッキリしない。ハッキリしない。山岸凉子でなければ、「読むほどのものでもない」で済ませられるのになぁ。
2013/03/31
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『これはペンです』『オブ・ザ・ベースボール』『バナナ剥きには最適の日々』『道化師の蝶』を図書館から借りてきて読む。「SFが読みたい!2011」の1位や、芥川賞を取ったりしたので借り難かろうと思い多めに予約したら、SF大賞を受賞した、『屍者の帝国』以外一度に借りられてあたふたしている。 『これはペンです』を最初に読み、これは思弁小説なんだ、懐かしい。だが今のぼくでは荷が重い。かなり面白いのに、読み進められない。難解な本を読破した矜持のために字面のみ追って読書を完了させる、若い頃の意味の無い努力をこの年になってすることがあるとは。読書は本当に深い。 内容は理解できなくとも面白いことはわかったので読み進めるうちに文体にも慣れてきて、好き勝手な感想もポツポツ浮かび上がってくるようになった。本当に、人間の能力は計り知れないものだ。 言語実験を行っている登場人物があちこちにでてくるので、これらの本は繋がっていると断言しても構わないのだろう。書き手が男と思ったら女だったり、途中で「私」が変わったりといった遊びを行ってその謎解きまで本文中で行ってくれているのだから、物質としても違うしタイトルも違うのだが、全部同じ本の一部だと断定するよ、ぼくの中でだけ。 作者の意図はわからない。解ろうとして触ると粉々になってしまうような、近寄ろうとしても虹の下はくぐれないものだ。なんか、歯痒い面白さがあるなあ。このブログを書いたら、自分でも落ち着くので、他人の感想などをamazonかなにかで見させてもらおう。文章をそのまま文章で楽しめば事足りるのだが、作者は何を言いたいのかなどと要らぬことを考え出すと五里霧中になってしまう。しかし、作者はオレの言いたいことをわかってくれー!とメッセージを投げかけているかもしれない。いや、いないと思うけども。
2013/03/25
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病院に着いたばかりの血圧は上が127だったが、手術直前は152に上がっていた。本人は落ち着いているつもりだったが、体はそうではないことを証明していた。おそらく心もどきどきだったのだろう。 一つには、1時間早くなった手術の時間もあるだろう。2時の予定と聞いていたが、1時にはそろそろなので着替えてくれと言われた。 看護師さんたちは皆にこやかで、手術前の緊張をほぐしてくれようとしている。心配しないように、慌てないように、ゆったりとしかしキビキビと準備を進め、話しかけてくれる。チョット眠いので、静かにしてください。 医者は手術に専念しているようで、話しかけられたのは「チョットぐりぐりします」くらいだった。 右目が悪いので、右目から手術をして貰いたかった所だったので、気を使ってくれたのかと思いきや、今日は右目の日だった。患者はみんな右目の手術であり、医者のポジションも右目シフトだった。手術台はイスであり、歯医者の椅子席のように座って体を倒していく。光源や装置本体は左側にあり、医者は右側に座って患者を待つと言うポジションだった。 何度も何度も目薬を注される。瞳孔を開く目薬を最初の内に注されてから、感染症を防ぐ目薬、出血を止める目薬、麻酔の目薬などを多分注されているはず。何かあったら目薬を注してくるので回数は覚えていない。これが注射なら副作用の心配をするところだ。 右目を残して顔全体をガーゼで包む。左目では全く見えなくなる。麻酔が効いているので右目は見えないだろうと予想していたが、ちゃんと見えるので驚いた。その右目に何か被せてきた。おそらく目蓋を開いておくためのテープか何かじゃないか。3枚ほど重なられたようだ。それでも結構目は見えるものだ。見えるまま機械が右のほうから水晶体を吸い出すのではないかと、ちょっとビビった。 「光ります」と医者。強い光が上方から射してきて、ホワイトアウトした。光だけがあって、何も見えない。これで手術中に水晶体がなくなった状態で外界を見る恐怖は無くなり、安心した。何か音が聞こえるが、行われていることはわからない。超音波で水晶体を破砕して吸い出しているのだろう。「ちょっとグリグリします」と医者。何かが眼球をグリグリしている。きっと眼内レンズを入れているのだろう。早く終わらないか、来週もう一度この恐怖を体験しなければならないのか、もうえんじゃね? などと恐怖に慄いているうちに終わった。前の患者が何となく長かった気がしていたので、早く終わってほっとした気持ちになりたい自分がいた。まだ来週あるのか。もしオレが妖怪百目だったら、白内障手術など決してすまい。 手術後の目は、眼帯でなく透明なカップだった。見えるのは全く問題なく、触るのを防ぐのが大切なのだろう。メガネ無しで室内は認識できる。手術前は0.01位しかなく役に立っていなかった右目が大活躍するとは、ちょっと感激だったぜ。ただ、手前に焦点を合わせて依頼をしていたのに、やや遠い気がした。実際に遠かったのだ。 カップは翌日の検査までそのままにする。顔どころか風呂へも入れないので別段構わない。 問題なのは、焦点がぴったり合う地点が無いことだ。 30cm手前に合わせてもらう筈だったが、実際は70cmほど手前だった。騙されたか!これでは手元での細かい作業が出来ないじゃないか。もし職人なら商売替えをしなくてはならないだろう。それどころか現実が嫌になって自殺も考えるだろう。職人でなくて良かったかもしれない。 このことはセカンドオピニオンの眼科からしっかり聞いていたので、想定内は想定内だったのだ。眼内レンズは入れてみないとどう見えるかはわからない、ボクの場合は右目の近視があまりに強すぎるので、予想よりも遠くになるかもしれない。それを聞いていなければ、職人までは行かなくてもかなりのショックはあったろう。手術の医者からは聞けなかったことだ。 翌日の検査後にセカンドオピニオンを尋ねて色々ときいてみた。左目はもう良いのではないかと弱気なことを言ったら、ちゃんと否定してくれた。持つべきものはセカンドオピニオンである。手術自体はとても上手く行っているらしい。診てもらうとすごく綺麗な手術だと言われた。技術は確かなのだ、技術は。単に、医者のサービス業面が無さ過ぎるだけなのだろう。それでよいのか。 しかし、1日に何件の白内障を手術するのか知らないが、次から次へとベルトコンベアのように患者を処理して寸分狂わない。職人技といえよう。病院自体は月間300人ほど白内障手術を行うらしい。手術は週2回のようなので、月に10人として1日30人か。聞いた話では2人体制でするのだが、4月から一人が抜けるため、二人分を一人で行っているとか。それは、止めてくれないかなぁ。 失敗した話は聞かないから、相当に腕が良いのだろう。集中のため笑う余裕が無くなっているのかもしれない。ご苦労様な話だが、余裕は持ってほしい。少なくとも左目の手術が終わるまでは。 目の細胞がはしゃぎ回っているので、視力が中々落ち着かないのだそうだが、ぴったり焦点が合うようになるのだろうか。ネットなどでもセカンドオピニオンの話でも、焦点の合い方に驚くとのことなのだが、本当に合うようになるのか大変不安である。手術から5日目である。視力が落ち着くのは1~2ヶ月とのことなので、様子を見るしかない。焦点が合い過ぎて、逆に困るってのは本当か。1ヵ月後を待て。 焦点が手前に合わないのは仕方ないが、薄い老眼鏡を用意すればよいなどと、簡単に言ってくれるよなぁ。医者ってのは大体そうだな。眼科医は見えにくくなったらめがねを使えば良いと言う。ドブが臭かったら鼻をつまめば良いというのと変わらないんじゃないかな。本質的な解決策に至るまでの、あくまで一時的なものであるという気持ちは忘れてほしくないな。忘れてないのなら、持ってほしい。
2013/03/18
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倉多江美の『静粛に、天才只今勉強中!』を読んで以来、ずっとフーシェに関する本を読みたいと思っていたのがやっと念願叶った。遅すぎるだろうが、読めないよりはずっとまし。その間に、『静粛に、』の方は絶版になってしまったようだ。何て日だ! 『静粛に、』では主人公のコティがもう一働きの前で終了していたので、現実のフーシェの晩年は謎のままだった。平民出にも拘らず、オトラント公爵なる者になっており、その公爵家はスウェーデンで命脈を保っているという。しかし、晩年はブイブイ言わした貴族なんぞではなく侘しい貴族生活を田舎で送っていたようだ。 とはいえ、フランス革命で多くの浮沈があり、ロベスピエールもナポレオンも幸福とはとてもいえない最期を迎えたのだ。生き延びて栄華のまま亡くなったのはタレーランくらいなものじゃないかな。平穏に死ねた何てのは幸運の残りが最後の最後にやって来たからじゃなかろうか。 死の寸前まで秘密の手紙を、それが公開されたら多くの関係者の首やら何やらが吹き飛ぶような手紙を隠し持っていたことも、徹底的な没落にならなかった理由であろう。 その書類は、死の寸前に全て焼き払ったそうだ。潔いともいえるが、評伝を読んだ限りでは、折角集めたデータはオレ以外のものにどうして使わせられようかとの気持ちがあったと思う。潔いなんぞフーシェらしくない。オレの物はオレの物のほうがスッキリ理解できる。 読み上げるのに時間はかかったが、とても面白かった。
2013/03/03
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編まれる舟を描くのではなく、舟を編む人々を描く小説だった。勘違いして読み始めたが、とてもおもしろかった。前向きな気持ちを興してくれるせいか、あっという間に読み終えることができた。 章ごとに変えてある視点の工夫が読みやすさを増しているのだろうか。時が瞬時にたっているのも楽しめた。上手いもんだなぁ。 この構成があれば、別段辞書を作成しなくても感動を覚えただろう。文房具でも土木工事でもなんでも、大きなプロジェクトなら何にでも使えそうだ。「プロジェクトX」 辞書に関する記述部分は「作った」感があって、(ぼくてきには)残念だった。最初勘違いした、辞書そのものができあがっていく姿を、事細かに辞書視点で描いてくれたら、もっとよかったのに。
2013/02/23
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Gシリーズの8作目に当る。Gシリーズは、動機やらトリックやら犯人やらはどうでもよいようだが、その傾向は変わらない。何の為にミステリ仕立てにしているのか、ぼくにはわからない。死者をラップに包んで美しさを保てるのか疑問である。ツルツルテンになってしまうだろう。 ただ、作者の何かの目論見が表題にもありそうなので、読み続けている。あってもなくても、どうでも良くなっていくのかもしれないなぁ。
2013/02/13
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村上春樹は文章が上手いなぁ、本当に上手い。昔々双葉十三郎訳で読んだときは、当時は高校生で文章の読み方も拙かったのではあるが、何か、痒いところがあって手が届かないが面白かった。村上春樹訳で読んでみると、文章の読み方の拙さは変わらないのだが、視力が0.5の見え方だったのが、1.0位見えるような描写に感じた。部屋の隅にあった何か四角い物が、実はゴミ箱だったのがわかった。解像度が1200dpiだったのが2400dpiになったように感じた、っていう私的な感想があった。
2013/02/12
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ファーストコンタクト物であり、作者の大好きなUFOネタであるため、ペダンティックな知識が山積している楽しい話である。それにしても山本弘のここ数年の活動は眼を見張るものがある。素晴らしい。 舞台が大阪と言うことで、大阪弁が鼻につく人は読み難いんじゃないだろうか。同じ関西圏のぼくも、少々嫌になった。 基本の構成は特にどうということはないのだが、作者の得意とするトンデモ本の世界が広がっていて、出し惜しみしないその広範な知識にかなり中弛みしてしまった。もっと好きな人は好きなのだろう。作者の意識したジュヴナイル展開も、映画のガメラならいいが、小説では間延びしてしまう。ボク的には、ってやつだが。 お約束の“銀河の歴史”辺りからの盛り上がりはとても楽しめた。異星人の地球人が受諾できないと考える秘密は、異星人モノやUFO愛好家たちを向こうに回した、かつ物語の中で整合性の取れたなかなか良いアイデアだった。「オメラスから歩み去る人々」のアイデアに類似しているが、使い所が違う。 地球を訪れ、監視できるくらい高度な科学力を持った異星人を理論的に書き上げた上で、心理的な受けが狙われている。 異星人の楽しい言い回しが嬉しい。巻末の、あれもとても楽しい。古いSFファンなので懐かしかった。 いつも思うのだが、これで文体が素晴らしければなぁ…。
2013/02/11
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もう四半世紀近くも前になるのだが、竹下内閣時に「自ら考え自ら行う地域づくり事業」の一環として1億円の地方交付税を地方自治体に与え、それぞれで好きなように使うイベントがあった。 細かいことは別にして、この中で宝くじを購入した自治体があった。単に宝くじを買うのではなく、大仰な服装や大道具小道具を作り、大名行列かチンドン屋のように物々しく東京まで購入に出て行った。地域をアピールして、過疎化が進む村の名を知らしめるためだったのだろう。 1回で終わるのではなく、資本が続く限り毎年毎年買い続けるのだ。「今年もやってきました」と、何年か後にもテレビに取り上げられていたので、当時のアピールとしては成功だったのではないだろうか。 私は勿論覚えているし、妻に聞いてみてもテレビで見たことは記憶していた。wikiにも「宝くじを購入した自治体もあった」と記述があるくらいだ。 にも拘わらす、その自治体がどこであるかはわからない。誰も覚えていないようなのだ。wikiにもそれがどこであるかの記載はない。それどころか、都市伝説扱いしているサイトもあるくらいだ。 気になるではないか。ネット上で見つからないのならば、もし発見して載せればこのブログへの訪問者が一気に増えるに違いない(そうかなぁ)。そんな功名心を満たすべく調査を開始したのだが、都市伝説扱いされるだけはあって、さっぱり見つからない。 ネット上にないのならば書籍を当たるしかない。県立図書館へ行き、司書に聞きながら『おらが村の一億円は何に化けたか』(外山操とグループ21・雄鶏社)これは、wikiの参考文献に揚げられている。『いま、ふるさと創生は』(恒松制治・ぎょうせい)の2書を借りてきて調べてみたが、見つからなかった。400近くの例があるにも拘わらず、目当ての宝くじ自治体は載っていなかった。3000もの自治体の中の一部分とはいえ、こんな珍妙なアイデアを実践した自治体は他にないはずなのに、なぜ取り上げられていないのだろう。その方が不思議である。 もしかしたら、本当はなく、会ったと思っているのは偽記憶なのだろうか。 そんな訳はないはずだ。何かの理由があるのだ、きっと。宝くじを買ったのは確かだが、ふるさと創生の一億円は使っていないとか。って確率は低いだろうなぁ。 というわけで、今回は途中経過と言うことで調査は続行しよう。新聞に載っている可能性があるかもしれない。いちいち開くのは嫌なので、データベースが使えたら良いのだが…。
2013/01/28
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どうしたのだろう、疲れたのか。お涼さんの破壊力が甚だ低減している。何だかありきたりのストーリーでおどろおどろしさが少なくなってしまった。お涼さんが原因ではなく、敵役が力不足なんだろう。人体改造して素手でシロクマを引き裂ける力を身につけたかと思ったら、単なる手品師だった。 核廃棄物処理をビジネスにしようとのアイデアは秀逸だと思うが、あり得そうな話なだけに逆に「怪奇事件簿」から遠ざかってしまった。 因みにamazonのカスタマーレビューでは評価2か。感じるところは同じだなぁ、きっと作者はもう書きたくないのに、出版社とのしがらみで出さざるを得なかったんだろう。お気の毒に。
2013/01/26
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バスケット部キャプテンが自殺した桜宮高校の体育科の募集が停止になった。橋下市長が、体育科の募集を行うなら予算執行に判を押さないと脅迫したのを受けて、大阪市教育委員会が体育科の募集を普通科に振り替えて行う決定をした。但し、試験科目は過去の体育科と同じであり、運動に重きを置いたカリキュラムを行う予定。この結果に市長は至極ご満悦とか。 わけがわからない。色々突っ込みどころが多すぎて、どう反応すればよいのだろう。バスケット部の監督を頸にしておけば良かっただけとも思うし、そもそも死ななければ問題にならなかった教育制度の問題はどうなのだろう。『死んで良かったね』って言われるだろう。橋下市長はなぜ看板の掛け替えだけで満足したのか、単に教育に口出しをしたかっただけと判断されても仕方ないだろう。予算執行をちらつかされてびびった教育委員会もヘタレである。まあ、教師なんてメンツさえ何とかなればよいのだけれども。
2013/01/22
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大方の予想通りだったので、「的中した」と自慢する予言者は冷静な判断が出来ない者と言えよう。 自民党圧勝、民主党惨敗、維新の会躍進、未来の党自滅といった感想である。橋下はガッカリしているらしいが、それこそ現状分析力が無いと言われかねないだろう。ほぼ0の状態から50以上の議席を取ったんだ、何に文句を言うのだろうか。 何社かの新聞の分析は、その通りだと言えるんじゃないだろうか。日経新聞だが、自民党圧勝ではあるが、支持率は2009年惨敗時とあまり変わらないらしいから、消極的賛成による結果との指摘は正しいと思う。 民主党よりましな政治で、経済の建て直しを行って欲しいものだ。 ただ、確か前回も消極的賛成で民主党がボロ勝ちしたにも拘らず、民意だといって好き勝手な言動が首相に見られた。同じ轍を踏むなよ。 投票率が戦後最低の部類だったことに関しては、日経新聞の分析は信じられない。ぼくの考えでは、「自民圧勝」のキャンペーンとも思える世論調査を流したことによる諦めムードが原因だ。投票先を決めかねているぼくのような無党派は、世論調査でかなり心を折られてしまったのだから。結果が決まっている選挙に誰が行きたがるのだろうか。 選挙期間中はせめて世論の動向を操作するような記事は禁止してもらいたいものだ。結果として自民党が今以上に議席を占めたとしても、だ。
2012/12/18
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12月16日(日)に衆議院選挙がある。解散前の風向きとは違って、自民党圧勝の予想がなされている。ネットなどの印象では、若い連中は自民党よりの意識のように思える。物心ついたら民主党がでたらめな政治を行っていて、就職やら仕事やらで苦しんでいた。自民党政権の時はバブルやら何やらで良い時代があった、そんな時代に戻して欲しい。といった思いがあるのに違いない。それを見越して自民党も「日本を取り戻せ」のスローガンを全面に掲げている。いや。 ぼくとしては、自民党政治の酷い有様を見てきているので、意地でも入れたくはない。といって、民主党に入れるほど寛大にもなれない。一回やらしてみたら酷い政策をやった上に開き直っている印象が拭えないからだ。高速道路無償かとかどうでもよいが、行政改革は全然進んでいないし、減らすはずの赤字国債は増加する一方じゃないか。もうええやろ、一回沈んで浮かび上がってきたら考えよう。 政権担当能力のない、つまり先の見通しのできない政治家が政権を取ると改革が進まないことがよく分かった3年間だった。仮に公務員を2割減らすとしたら、そのぶん失業者が巷にあふれるわけだが就職のケアをしていた様子がない。クビにするが仕事は自分で探せと言うことらしい。てっきり、国の行っている仕事を民間に任せるから公務員が減らせて、そこで活動させるのだと思っていたのになぁ。 さてぼくの住む区域では、残念ながら小選挙区は自民党で鉄板である。2009年の選挙で県内残りすべての小選挙区で自民党が惨敗したにも拘わらず、早々と当選を決めた候補者のいる選挙区である。追い風が吹いている今回、負ける要素は全くない。 候補者本人は生真面目一本を地で行っているタイプなので、我らの選挙区にはぴったりである。総裁選に出馬したり、国会では党代表で民主党に質問するが、その押しの弱さをさらけ出しただけで政治家としての強さは全く無いと言っても良いが、今はマイナスに働いていない。 残りの候補者は民主党と維新の会と共産党であり、共産党以外はいずれも初めて見る公示ギリギリになって現れた落下傘候補なのでどうしようもない。 しかたないなぁ…。 比例代表は、自民党と民主党以外に投票しよう。ぼくは原発には反対でなく、むしろ原子力は使いこなすのこそ人類の矜恃だろう位に思っているので、反原発の党はごめんだ。まあ、そうは言っても政権を取れば未来の党であろうが共産党であろうが、廃炉にできる訳がない。電気の使用量を減らせるのなら可能だと思うが。 被災地でないからだろうか、それほど原発は争点とは思わない。まず第1は景気回復だろう。どこの政党がやってくれるか。自民党は企業が拡大すればそのおこぼれで国民が富むとの理念があり、それはそれでそうかなとは思う。 まあしかし、今回は民主党を焦らせて解散させる景気になった維新の会に敬意を払っておこうかなぁ。あそこが国会に乗り込むべく矢継ぎ早に準備を始めなかったら、解散は来年に引き延ばされていたんじゃないかな。維新の会にとっては急な解散だったものだから、太陽の党と合体するやら減税の党をイジメるやらのドタバタを有権者に印象づけてしまい、勢いが無くなってしまった。これは野田首相の読み勝ちだったようだ。維新の会の首は絞められたが、自分の党の首も絞めることになるとは思わなかったようだ。まさか自民党がこれほどまでに復活するとは、有権者を読み切れなかったんじゃないかな。
2012/12/14
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筒井康隆のラノベでありメタラノベでもある。繰り返しの場面とエロいシーンがいつまで繰り返されるのか心配だったが、ちゃんと途中から爆走した。いつもの筒井康隆だったので、安心した。どのへんがラノベでどの辺がメタラノベなのかよく分からなかったのが残念。筒井ファンとしては特に拘りはない。ただ、気になるだけ。誰か解説してくれてないだろうか。アマゾンのレビューを見ると、予想通りの毀誉褒貶で絶賛から拒絶まで揃っている。筒井ファンはいつも通り絶賛でラノベファンは拒絶ってところだろうか。ぼくはラノベは「涼宮ハルヒ」くらいしか読んだことはなく、比較できない。山本弘のブログを見ると、ラノベの定義ははっきりしないものらしい。『ビアンカ・オーバースタディ』も筒井康隆のラノベ定義によったラノベ&メタラノベであろう。エッセイにその辺を言及しているのかもしれないがまだ見たことがない。ラノベ大好きの息子にちょいと聞いてみたら、彼女の定義によればイラストがポイントになるらしい。表紙の見開きにカラーがあり、本文中にもイラストが無ければならないらしい。勿論これは必要条件である。この定義だけなら早川SF文庫はすべてラノベになってしまう。まあ、SFもラノベも9割がクズだから同じようなものか。山本弘的定義はラノベ出版の本って感じかなぁ。少年マンガや少女マンガで同じような定義があったなぁ、その昔。
2012/11/25
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白内障との闘いといっても、病気と闘うわけではない。白内障を怖がる自分の心をどうあやして手術を迎えるかをうだうだ考えるのだ。説得しきれずに手術を断念することもありえる。 白内障は眼球の水晶体部分が白く濁ってしまう病気であり、現在は日帰りで手術できる程度にまで処理が洗練されてきている。らしい。ちっとも怖くないはずだが、眼科医がインフォームドコンセントを知らない場合は無用な恐怖心を与える。与えられたおれが言うのだから間違いは無い。 もっと無知だった以前、白内障の手術とは眼球を取り出して濁った部分をこそげとって綺麗にした後で眼窩に戻すのだろうと想像していた。いや、そんな恐ろしい手術が日帰りで出来るわけがない。眼球を取り出すって、無茶苦茶だろう。しかも、どうやって濁った部分を綺麗にするのだ、流水で洗い流すのか。人形の眼球か。などと、一人ツッコミがいくらでも出来そうである。 実際は、水晶体部分に横から穴を開けて吸出し、代わりの人工レンズを嵌め込むのだ。昔はガラスが使われていたのだが、現在はアクリルが使われている。 …、「水晶体を吸い出す」ってのを、説明の紙で読んでびびるのはおれだけじゃないはずだ。怖いじゃないか。病院によるのだろうが、その手順を医者でなく、事務方から手渡されたコピーの繰り返されて読みにくくなったコピー用紙で読んで恐怖を覚えないのなら、その人は死んでいる。冗談じゃないぜ、そこは医者が安心感を抱かせるべく勤めなくてはならない重要な仕事だろうが。 こんな気持ちで手術を受けたら、きっと後悔するし、きっと手術も失敗して盲になるに違いない。そう思ったので1回目の機会はパスした。この判断は間違ってはいない、と思いたい。全て終わってどんな感想になるかは今からの楽しみ。 手術にはメリットデメリットがある。これは手術前に納得しておかなければならない。しかし、手術もせずにメリットデメリットがわかる分けないのも事実である。じゃあ、どうしろってんだ!と一人ツッコミしても淋しいので、医者からの情報やらWEBでの情報やらで自分なりに考えてみよう。 メリットとしては、まず白濁した水晶体が透明になり、白内障前よりものがはっきり見えるようになる。そもそもこれが手術の目的だ。ならなければ詐欺だ。どの程度の透明度になるのかはしらない。アクリルの透明度、それは水族館でみる水槽のようなものか。科学的には透過率で表すらしい。ウィキによると、特定の波長の入射光が試料を通過する割合であるらしいがよくわからない。ガラスにこんな表示がしてあるのか? また、医者が口を揃えて言うには、近視が直るらしい。それも劇的に回復するので絶対にお勧めなんだとか。絶対にお勧めってのが怪しいじゃないか、絶対儲かりますから小豆を買いましょうと言われたのを思い出す。買っていたら大損していた。医者の言なので、ある程度は信じられるだろうが、気もつけなければダメだ。泣くのはおれなんだから。 近視が回復する理屈はこうだ。曲率が強くなりすぎた水晶体を適切な曲率のレンズに変更するので、適切に見えるようになる。水晶体を吸い出したときに眼圧が正常化する。眼圧の変化による焦点の合致が行い易くなる。 実は最初に引っかかったのはこのレンズ交換による近視回復だ。アクリルレンズは水晶体と違い変形しないので曲率を変更できない。つまり、遠くが見えるように調節したレンズで近くを見ることはできない、あるいはぼやけて見える。遠視に固定させるのである。逆に手元に焦点を合わせることもできるが、その場合は当然ながら遠くはぼやけている。近視が回復するのではなく、遠視で固定するだけじゃないか。言い方の問題だが、誤魔化された気になる。 両目の白内障手術のときは、片方の焦点を遠距離にし、もう片方を手元にする方法があり、この選択が多いようだ。と言うのも知人が両目の手術を行った後右目と左目の焦点が違うように思えて医者に聞くと、そうですよと答えられたらしい。その話を今掛かっている眼科医にすると、書類にチェックを入れないとそうなるとのこと。説明してないんだ(あるいはその知人がちゃんと聞いてないか)。こういった所で不信感が生まれるのだなぁ。 お金を出せば、両眼とも遠くも手元も見ることができる様になるらしい。その仕組みはレンズにあり、真ん中あたりが遠方用であり下側が手元用になっている。遠近両用メガネを目に嵌め込むだけじゃないか。金を出してまでしたい処理ではない。その程度でもったいぶられても感心はしないぞ。 今でも水晶体の曲率は強くなったままで、もう自然に弱まることはないのだろう。一番知りたいのは、レンズの曲率を変化させる水晶体の能力がまだ残っているのかどうかなのだ。曲率は強いながら、ある程度は遠くを見たり近くを見たりするのに変形はしているのだろうか。その変形が全く出来なくなるリスクを負うのだから、ちゃんとした説明がほしいものである。それが最大の恐怖と言っていいだろう。
2012/11/20
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マグダラのマリアはスペイン人だったようだ。美人だ。なぜかむき出しの左乳房が白く塗りつぶされている。画家が塗りつぶしたのか、後の誰かがこのような冒瀆を犯したのか。とんでもないことである。 グレコが活躍していた頃のスペインの風俗が描かれているような印象を受けた。イエスやパウロなどが描かれているので、紀元ごろのガラリアが舞台になっているはずだが、スペインの味がした。 きっと、みんなスペイン人で15世紀頃の人々だったのだろう。時代考証しても始まらない。する必要はあるのかなぁ。 青と赤と黄色が実に綺麗だ。こんな色出しますかって感動するくらい綺麗な色だ。聖者が身に着けているので思い入れのある色使いなのだろう。ちょっと調べてみるべきかもしれない。聖書の何処に書いてあるのかは知らないが、イエスの母マリアは聖母だった。聖母信仰も斯くありなんとばかりの「無原罪のお宿り」はすごい。聖母マリアは美人さん、実年齢で描くことは画家には出来かねたのであろうか。 以前、中学校の教科書でバロック派として習ったときの写真ではなんとも思わなかったが、実物群を目にするとその生気ある表情にうっとりする。みんな生きているなぁ。どんなに顔色が悪くても、生者なんだ。 気に入ったのでは、「マグダラのマリア」美人もさることながら、骸骨を横置きにして空手チョップしているポーズが楽しい。「受胎告知」も良い。沢山あるなかの最高傑作と呼ばれる作品は、言われるだけはある。ガブリエルが雲に乗る乗り方も堂に入ってきているし。「羊飼いの祝福」(?)も最後の作品が良い。青、赤に加えて光まで入ってきている。色鮮やかな作品はどれも良い。 図案で気に入ったのは「拳骨を振るうキリスト」オラオラオラここから出ていかんか商人ども!!オラオラ!!!グレコの頃の構図は無きに等しいのか、絵の構成が分からない。やはり、それなりの意味はあるのだとはおもうが、気ままに人や物や何か分からないものを配置して見える。 キューピッド(?)は怖い。生首がゴロゴロ転がっている。何なのかわからないが、不気味と言うより、変だ。妻の話では、どの宗教画にもゴロゴロしているとか。そうだったか、こんど意識してみてみよう。聖母の周りに生首がゴロゴロあると、鬼子母神を連想してしまう。
2012/11/18
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行きつけの図書館で見つけて読んでみた。中国怪奇物はやっぱりおもしろい。『聊斎志異』は読んでいたのだが、比べてみるとまた違った面白さがある。続けて『山海経』や『閲微草堂筆記』などを纏めて読んでみようかな。捜神記の中にも何のために採取したか分からない話や、落ちのない話も色々あるが、それぞれに歴史を感じる。今回特に記憶に残ったのは、妖怪に犯された男が懐妊する。臨月になるとまた妖怪がやってきて、腹を割いて子供を奪っていった。凄すぎるやろ、なんじゃいこれは!!
2012/11/09
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昨日『佐川急配』と名のるワンクリック詐欺メールが届いた。腹立たしいことである。情報処理試験で頭を抱えているのに、本当に迷惑な。昼休みに携帯の電源を入れたら、大量の詐欺メールが入っていた。いったいどこからメルアドが漏れたのだろう、これも腹立たしい。「大金が当たりました」「いらないお金なので貰って下さい」の中にヒョイと埋もれていたのだ。なぜイタズラメールかというと、すべて同じメールアドレスだったからである。勿論、佐川急便とは何の関係もない。世間でも結構出回っているようだ。たまたまこのブログを読んだ方もご注意あれ。僕はメールの振り分けをこまめに行っているので、一般のホルダに入って来たら不審なメールと判断できるのだが、妻とか娘や息子とか母の携帯に届いたらすぐに判断できるか心配だ。見知らぬメールが届いたら開けないようには言っているが、うっかりと言うこともあるからなぁ。まあ、子供や母はメルアドを帰ればそれで問題ないが、僕や妻は仕事関係のつきあいから簡単には変更できないのが難である。やれやれ。オレのメルアドを漏らした奴に災いあれ!
2012/10/22
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敗戦になってしまったが、フランス戦よりずっとおもしろかった。本田がいるといないでこうも違うものかとも思うが、単に作戦の立て直しかもしれない。フランス戦では感心した今野が、ブラジル戦では役立たずの印象だった。内田は相変わらず力不足だ。イケメンだから使っているのかと勘ぐる。実際は力があるのだろうが、あまり良い印象がない。長友、本田、香川は感心する。長友、本田はフィジカルでも決して負けない恐ろしい体格だ。みんながこのレベルだと、ワールドカップも優勝するのではないだろうか。それはそうとして、気になったのは香川の勘の悪さだ。どうしたのか分からないが、マンUでの調子の悪さを引きずっているようで、ゴールとの感覚がずれてしまっている。と思う、自信はないが。印象に残ったシュートが2本あったが、いずれも枠を捉えていない。枠に飛んでこそゴールが生まれるってものだろうに、外れている。外れたボールはゴールにならない。どうなのだろう、あれで良いのだろうか。良いわけはないと思うのだがなぁ。
2012/10/17
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西遊記は色々な版がでているが、通しでの翻訳であるこれは、一度は目を通しておきたい本である。全10巻だか、途中樵と漁師の無意味な章潰しもあるが、結構スムーズに読める。無意味なダレダレ話も全体の構成から考えると必要不可欠のもの、であるらしい。この本は、必ず巻末の訳注と共に読むべしのものである。その理由は一度読んでみるとすぐにわかる。言ってみれば、裴松之の注釈附き陳寿『三国志』って所である。とにかく、三蔵法師が情けない。僧侶や妖怪の評価は非常に高いのだが、本人は至って小心者で描かれている。ちょっと妖怪が現れればすぐに腰を抜かすし、猪八戒の讒言を真に受けて孫悟空を邪険にするしなど枚挙に暇が無い。困った坊さんである。それだけに孫悟空の活躍に見ごたえがあるのだろう。ところが、7巻くらいからだんだん詰まらなくなってくる。話にオリジナリティが無くなり、なんとなく以前の話の焼きまわしっぽくなってくるのだ。西遊記は何人かで書かれて完成したらしい。きっと、後半の担当者は力不足だったのだろう。とても残念である。まあ、大雷音寺近くで妖怪が暴れまくってもそれはそれでおかしいことなので、後半の妖怪の弱さは仕方ないのかもしれない。設定上気になることは、三蔵法師は生身の体なので雲に乗れない為歩かざるを得ないことになっている。しかしながら、妖怪に連れ去れらるときはかなりの距離を運ばれている。どうなっているのだろう。
2012/10/14
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コブナントのファーストクロニクル最終巻である。いい話で終わって良かった。あれだけ苦労したのだから、コブナントには良い終わり方をして貰いたかったので、安心した。その世界を破滅させようとする魔王を打ち破る、荒ぶる力を持っているのに、その力で魔王を破滅させることは全宇宙の破滅を招くという設定を、コブナントは癩者の姿勢で解決する。そしてコブナントはハンセン病ではあるが癩者ではなくなった(らしい)。いい話だったなぁ。ただ、訳者あとがきは邪魔。なんだかやる気のないあとがきは不要だよ。どこの出版社か、残りのクロニクルも翻訳して欲しいなぁ。
2012/10/12
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待望の3巻が発売された。酒見節も快調で読みやすい。だが残念ながら、1・2巻に有った新しい孔明の姿は影を潜めているようだ。その破壊的な想像力は押さえつけられていた。これは、作者も書いているように、「三国志演義」の荒唐無稽さが今回の白眉である赤壁の戦いで全開放されているからである。おまけに史書の「三國志」の内容がそろっとしか触れていないので、実はこうではないのか!が言いにくいのだ。演義の内容がもう無茶苦茶で突っ込みどころ満載と言うか、つっこむと逆に痛い目に合ってしまうという困った状況なのである。それにしても、歴史的によくまぁ劉備は中南部の一部とはいえ荊州を所領に出来たなと思う。何があったのかさっぱりわからない。火事場泥棒のようなことを行ったのは確かだが、なぜそんな事が出来たのだろうか。演義の赤壁が出鱈目なだけに経過がさっぱりわからない。孔明が単身呉に入ったのは確かそうだが、その理由もその結果もよく解らないってのが真相みたいだ。孫権は呉の諸侯も掌握し切れていない連合軍の代表みたいなものだったし、呉の人数も少なかったので、切り取りご免の許可を貰ったのかもしれない。孫権も、部下の諸侯が切り取ったら取り返すのが厄介だが、独立軍の乞食部隊が占領していたらいつでも取り戻せると踏んだのかも。
2012/09/23
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コブナントシリーズも第二部に入って戦いも大掛かりになってきた。コブナントは相変わらず召喚先の世界を信じない姿勢を貫くが、同じく召喚されたハイル・トロイは、その世界と大王エレナに感動し、己の能力を全て傾けて魔王の軍勢から国を守ろうとする。ハイル・トロイもコブナントと同じく現世では不具者だった。眼球そのものが存在しないのだが新しい世界では遥か彼方まで見通すことが出来る。その事実を現実として受け止める彼と、信じないコブナントの対比も興味深い。ムホラム王やエレナ大王を筆頭に、生き生きとした登場人物が次々と倒されていくその戦争の無慈悲さにも心を痛めるだろう。なのに、何やってんだコブナント!ところで、第二部と思っていたこの「邪悪な石の戦い」だが、実はコブナントのThe First Chronicles の2巻目であり、3rdに当るThe Last Chronicles の4巻目が来年度発行され様としているとか。現在進行形のシリーズだったのだ。原書で読まない限り、この名作は読めないのだなぁ…。
2012/09/22
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見知らぬ名作とはあるもので、僕にとってはこの本がそれだった。ウィキで指輪物語を見ていたら、ゲド戦記と隣り合わせにあった。そうでなければ、まず気づくことは無かっただろう。エピックファンタジーでこの2件のみを取り上げたウィキの指輪物語の記述者に感謝するとともに、その該博深遠さに恐れ入りました。なぜ見知らぬ名作かと言うと、名作であることは間違いがない。しかしながら、入手することがほとんど不可能と思われるからだ。従って、人の目に触れることがなく、見知らぬという形容詞が附くのだ。本当に名作ならば復刻されるであろう。それが起こらないって事は、その程度の作品に過ぎない。仮に内容がどれほど深刻でありどれほど難解であろうとも、それが素晴らしい作品であれば、機会があるたびに再版なり何なりされる、はずである。普通なら。しかし、あくまで個人的な感想だが、のっけから主人公が「癩病」である。"ハンセン病"ではなく「癩病」であり、その病気ゆえに本人は悩み苦しみ、社会からは完全に差別されている。この設定の本が再版される見込みはまずないと言えるんじゃないかと思う。あくまで個人的な意見だが。しかも作者はハンセン病に無知で書いているのではないらしい。父親がハンセン病の医師であり、本人も子供の頃から患者をよく知っているとか。よく知っていて主人公の背景に設定しているのだ。どうしようもない。amazonのレビューがいくつかあるが、大体内容は同じである。絶賛してはいるのだが、とにかく取っ付きにくい。最初の苦労さえ過ごしてしまえば、その世界から抜け出せなくなるだろう。取っ付きにくい難解な作品があり、それが名作か駄作かの判断をどうするかは読書好きにとって大きなテーマではないかと思う。その答えの一つをこの作品で教えてもらった。何を言っているか解らないままストーリーが結構進んでいく。言葉とか世界観とかが闇の中で時折照らされてちらりと見える程度でしかないのに、話はすごい勢いで進んでいくのだ。結果が駄作ならばチラ見していた曖昧な姿は、やはり曖昧な表現のままでラストが来て、本を叩きつける羽目になるのだが、『コブナント』は違う。今は理解できていないが、明らかに何か広大な世界がそこにあることを十分に意識されてくれる。今は読む力が足りないだけであり、一旦全て読み終えて、もう一度読み返せば、その素晴らしい世界が初めから僕の周りに提示されていたことがわかるだろう。そんな期待を確信されてくれるのだ。これが名作でなくてなんであろうか。と、本当に思っているのだが、第三部を読み終えて上の記述を満足して読み返せるかどうか。…ま、大丈夫だろう!!
2012/09/17
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トッカンの3巻目である。とってもヒューマンな話であり、読んでない人は1巻から読んで損はない。税務署の徴収官のお話は、たいそう身近なのに、サラリーマンにはとても遠い世界である。なので、初めて知る世界に新鮮な驚きがある、あくまで身近でない人には。ただ、残念なことに素材を生かし切れていないようだ。ヒューマンな仕上がりを求める余り、特別徴収官のリアルな実態は見えてこない。個人的な感想であるが、そう思う。この読後感は1巻からついて回っているものであり、個人的にはとても残念である。
2012/08/21
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ご存じと学会の収集箱である唐沢俊一が「福島原発事故」後のインターネット情報を基本知識として、デマの姿を明かしていく分析本である。一言では言えないが、「人は見たいものを見る。見たいものとは自分を不安にさせるものだ」と言うことだと思う。もっともであり、このことを色々な話題から証拠立てている。結構おもしろい。お得意の陰謀論へのコメントから、かなり冷や冷やする原発事故後の母親達の反応へのコメントなどは、スイカがサックリ切れた気持ちよさがある。ただ、作者が何を言いたいのかは、最後まで分からず仕舞いだった。
2012/07/17
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山本弘は同年代と言うこともあって、話がとても良くわかる。SFである。一般にSFには、評価は高いものの小説としてのレベルはどうかと云われるものが結構あるのだが、SFであり、それで十分なのだ。「SFは100%クズですよ」と言われた時代もあるのだから、十分だ。面白いから良いのだ。内容は置いといて、山本弘が描くステロタイプの常識人は、いつもながら憎々しい姿を見せてくれる。素晴らしいと感心している。"黄昏の尻尾"では、「怪獣無法地帯」のアネットがいい味を出している。怪獣に踏み潰されやがれと思ってしまったよ。
2012/07/13
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僕自身は学生運動には参加していないが、なんとなく懐かしい読み物だった。ちょうど付き合っていた娘が興味を持っていたので、つられてマルクスの『経済学・哲学草稿』や『資本論』を読んだので、少しばかり恥ずかしい気持ちとともに当時を振り返った。学生運動の10年ほどあとに入学したので、燃え滓は残っていたものの、危険はなく、楽しんで触れられるくらいの雰囲気だったなあ。ただ、1学年違えば見方も違っていたので、学年違いの彼女が学生運動をどのように見ていたかは、もうわからない。ああ、会いたいなぁ。Mさんは元気にしているだろうか。当時は、愚か者の行動との感想を持っていたが、今この本を読んで自分なりに思うには、かの人たちは祭りを楽しんでいたのだろうと思う。何にせよ、打ち込めるものが目の前にあって嬉しかったのだろうなぁ。学生が団体で、大学の運営に物申して効果があるなんて思いもしなかったのじゃなかろうか。そこでイチビってしまったんだね。「授業料値上げ反対」「大学の不正を許すな」位で留めておき、社会改革は別のプロに任せるなり、自分たちが働いていく上で新たにプロになればよかったのだろう。社会を知らない学生がどうやって社会を変えていけるのか、考えなかったのかね。かの人たちが失敗したから、あるいは総括しなかったから、後の学生が政治活動できずに苦労しているといった意見やら、なぜ短い間に収束してしまって、後が続かなかったのかとの感想が各所にあった。これは、実際に日本の大きな問題だと思う。近代になっても、明治維新やらええじゃないか、米騒動、血税一揆、大正デモクラシーといわゆるムーブメントは時々起こっては短い間に消え去ってしまう伝統が日本にはある。ようにふと思ったのだが、これが正しいかどうかは、調べてみないとわからないな。これは、いいテーマか。オレにとって。
2012/07/12
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楽しかったeuro2012は終わってしまった。面白かったなぁ。イタリアを応援していたのに、残念だった。緊張感のある見ていて飽きない試合だった。バロテッリも頑張っていたが、起点になってスペインを脅かすには、経験が足りないような印象だった。ピルロだけでは辛かろう。敗因の一つは、過密日程じゃないだろうか。イングランドと120分フルに戦ってPK戦のあと中3日でドイツ、次いで中2日でスペインとの決勝はかなり酷いと言えよう。それでなくても高齢者(失礼)の多いイタリアなのに、回復の機会は無かったんじゃないか。好きなカッサーノがヘロヘロで可哀想だった。折角のヨーロッパ最強国選手権なんだから、ベストのコンディション同士での戦いも、観たかったなぁ。それはそうとしても、スペインは強い。パスサッカーの魅力をたっぷり堪能できた。ポルトガルにはてこずったらしいが、wowowに入ってないので観れなかった。たいそう面白い、スペインたじたじのゲームだったらしいよ、そうなのか?やはり、歴史がそれを起こさせるのか。…ドイツ。ドイツって言えば、決して諦めない往生際の悪さも売りの筈なのに、1点先行されて浮き足立ち、2点差が付けば諦めムードになってしまうなんて、どうしたんだろう。スマートなドイツなんで要らないよ。PK戦に持ち込めば俺たちが勝つ、といった泥臭さはもうないのか。2年後のワールドカップまでには、諦めないドイツに戻って欲しいものだ。
2012/07/02
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あれだけ強そうだったドイツが、イタリアに負けてしまった。ドイツ、応援していたのに。敗因は何だろうか、色々言われているが、「球運」がなかったんだろう。エジウのトラップミスやゴメスの決定力不足、デフェンスの甘さ遅さが気になりはしたが、選手達は当然知っていたろうから、あんなものなのだろう。イタリアがパーフェクトだったわけでもないし。エジウの目が怖い(笑)彼はドイツ人じゃなくてイスラム教徒らしいから、ドイツの一体感は大丈夫かな。まあ、スペインもスペインとカタロニアに分かれていてチームは強いので、問題はない。今大会のイタリアは、鉄壁の守りカテナチオ(ウィキによれば、イタリアではもう50年も前にこの言葉は使用されなくなっているらしい)に加えて、攻撃するパスサッカーを戦術に取り入れてチームは変貌を遂げているとか。年齢・経歴を問わず、「唯才是挙」と魏武の呼びかけの様なことで人を集めたらしい。ピルロ(あのPKは反則だろう)やブッフォンといったお年寄りからバロテッリの若造まで、新戦術をこなせる人材を吸収していった監督の手腕は素晴らしいと思う。個人的にはカッサーノがお気に入りだ。ナイスアシスト。2010にACミランに来てからのファンなので、ごくごく最近のファンだ。アイデアにうっとりする。問題児だったらしいが、ミランでガットゥーゾにもまれて良い感じになった。監督がバロテッリを旨く操縦できているのは彼のお陰もあるんじゃないかな。いかにもイタ公なキザな感じがおきにいりだ。代表入りできてよかったなぁ。決勝はスペイン対イタリアだ。パスサッカーの完成度ではスペインなのだが、フォワード決定力でイタリアが勝っていると思う。フォワードのいないスペインには荷が重かろう。とはいえ、リードすると気が抜けるので、2-1でイタリアの優勝にしておこう。
2012/07/01
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民主党・自民党・公明党の3党合意で、消費税増税案が衆議院で可決された。民主党小沢派の67名という反対はあったものの、3党合意の前には焼け石に水であり、このまま参議院でも可決されるだろう。 個人的には、消費税増税も已む無しとは思っている。増えていく一方の社会保障費や国債を考えれば、借金を食い止める為の負担は致し方ないだろう。 それはそうとして、消費税増税など一体改革法案だが、衆議院での審議はあったっけ。今日委員会で通って今日本会議で採決されたような。3党合意があったら、本会議での審議は無くてよいのか、それとも審議自体はずっとやってきていたのだろうか。俎上には上っていたはずなので、3党合意での結果をそれぞれが本会議で意見つきで述べるべきじゃないかなぁ。 国民が国民がとどの党派も言っているようだが、審議に関してのコメントはニュースでは聞けなかったので、忘れない内に書いておこう。
2012/06/26
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30年余りの願いが遂に叶い、念願の「目黒寄生虫館」に行ってきた。(何でこんな所に来たんだ、嗚呼)。お洒落な展示になっており、密かなデートスポットになっているのも、宜なるかなである。実際、この日もカップルの方が多かったくらいだ。 カップルでなく、1人で寄生虫を見に行く人間の気持ちもおかしいと言えばおかしいが。 売り場の女の子が抜群に可愛かった。なぜここでバイトしているのだろう。白衣を着ていたので、もしかしたら研究員かもしれない。 あんなに可愛いのに、お腹の中には研究用に寄生虫を飼っているのだろう。度胸があるとしか言いようがないが、寄生虫でダイエットを唱え、また実践している藤田回虫先生もいるのだから、おかしくはないか。 個人的には、寄生虫は心の底から嫌いである。嫌いと言うより、生理的に負けなのだ。 小学生か中学生かその頃に何かあったのだと思うが、寄生虫が怖くて怖くて、嫌いで嫌いで仕方がなかった。今でも「大」が付くくらい嫌いである。妻の次くらいに世の中からなくなって欲しいと思っているくらい、慄然とさせられる生物である。 しかしながら、逃げてばかりもいられない。敵を知り己を知らば、少なくとも負けることはあるまい。逃げ方もわかるに違いない。知は力なり、との思いで、大学の頃より文献を色々と読みあさった。とは言っても、専門書は高くて重くて読み切れなかったので、手軽な文庫本や新書で何とか知識を蓄えていった。 その中で気に入ったのが、回虫先生こと藤田紘一郎(ふじた こういちろう)と、この目黒寄生虫館を私費で立ち上げた亀谷了(かめがいさとる)である。生真面目な亀谷博士の涙ぐましい努力には頭が下がる思いである。(なぜか知らないが、藤田先生の著書には亀谷博士の話が全く出てこない。おそらく、学閥が違うのであろう) ディスプレイに工夫をして、寄生虫を美しく見せているとは効いていたが、これほどとは思わなかった。サナダムシの名で有名な8mはあろう日本海裂頭条虫がホルマリン(でないかもしれない)漬けにされているが、バックを青にして後ろから光を当てているので、その白い体が碧い光の中に浮かび上がってとても幻想的であった。といっても、勿論所詮寄生虫なのだが。 展示物を見ながら、なぜ僕はこれほど寄生虫が嫌なのだろうと考えた。寄生虫を扱った小説はいくつかあり、僕が読んだ中でも貴志祐介「天使の囀り」や星新一「品種改良」は傑作だが、個人的には恐怖は感じない。これも、自分自身への疑問だったが、今回の経験で一つ仮説が立てられた。それは、自意識と異形化の問題だった。 寄生虫も、古くからの馴染みになるとアニサキスやエキノコックスのように宿主を殺したりはしない。その代わりでもないし、代わられるのも嫌なのだが、異形の体にしてしまう奴らがある。○○(気色悪くて書けない、駄目だ、オレはまだトラウマを克服できていない)になってしまうにも関わらず、自分自身であることの意識には全く変化はないのだ。なんてこった。 これ以上は頭が回らない。異形の者への差別意識にも繋がってくるので、自分自身でも整理が付かない。差別する気は全くないが、もし自分が異形の存在になったら果たして正気でいられるであろうか。そんなモノにはなりたくないというこの気持ちは、なってしまっている人への差別の心でないと言い切れるだろうか。 この辺が自分でもわからない。紋切り型のレッテル貼り主義者達なら「差別だ」と迫ってくるだろうが、僕自身の考えではそれは言い切れない。 こんな疑問への回答を自分で得られるかなぁ。得たいものである。
2012/02/20
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白内障と診断された。どうしても手術をしなくてはならないというわけではないが、どうしますか。手術すれば近視も軽くなるが、放置したら悪くなるだけ。などと誘導されたら受けるしかないじゃないか。選択肢が一つしかないような。 思い切って手術を受ける決心をした。何となく脅された気分はなくもなかったが、紹介状を書いて貰い、紹介状などいらない病院へ行った。県下では名高い眼科の総合病院である。 数人医者がいるのだろう。たまたま私が当たった医者が、私と波長が合わなかったのかもしれない。ものすごく事務的に対応する医者だった。 毎日何人も診察して、次々にこなしていくためには仕方ないのであろうが、その中にもコミュニケーションは取れるんじゃなかろうか。 多分、その医者にとっては白内障の手術などはルーチンワークなのであろう。右目はかなり悪くいという。左目も白内障ですかと訊いたら、うなずいて「年相応です」という。そうなのかもしれないが、そんな言い方はないだろう。じゃあ、年を取ったら白内障になって当然なのか。そんなにみんなを病気にしたいのか、え。 向こうは何度もやっているかもしれないが、こっちは初めてなのだから、不安があるのに全く気にとめていないようだった。どんなことをするのか尋ねると、ホチキスで閉じた数枚の神を渡されて、それに書かれてあるので読んでおいて下さい、だと。インフォームドコンセントは?それがこの病院の患者への姿勢なのかい。 その説明紙によると、白内障の手術はレンズを吸い出して代わりを埋め込むのだそうじゃないか。それは、結構怖い。焦点は合わせられるようになるのか、そもそもそれはサイボーグ手術ではないのか、などと言った疑問が次々に浮かんできたので、何回目かの診察で(この病院ではちょっと見て出て、ちょっと見て出てを繰り返す。今のシステムはこうなのか、わからない)少々びびっていることを告げたが、「ああ」言われただけ。いやいや、不安を抱えた患者が医者であるあなたの前にいることがわかりませんか? さらに、効いたのは手術の予定日と金額の説明が、医者ではなく看護師からだったことだ。看護師かどうかもわからない。予定だけなら受付なのかもしれない。こういったことは、患者と医者で決めて欲しい。 ルーチン作業に過ぎないと思っているのかもしれないし、「その程度のもの(医者が言った)」なのだろうが、患者は患者なんだから、せめて不安は取り除いて欲しかった。 これで手術を受けるのは止めにした。日程も決めないうちに一通り検査をさせられた費用は返ってこないが(ちくしょう)、このまま続けられない。こんな信用できない医者に目を預けられるか。絶対に、万が一が起こり、しれっと謝られて終わりになろう。御免被る。 ああ、ネットでは割と評判良いようだったのにな、兵庫県のAさぎり病院。
2012/01/30
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上司の愚痴だが、めんどくさい人である。 統計を手作業で行っていたら、後ろからじっと見ていたかなり年下の上司が、なぜそんな手間の掛かる方法をとるのかと訊いてきた。だいたいは週毎に手作業を行っているのだが、先月はそれができなくて、纏めて行ってると答えたら、なんだが絡んできた。 いつもは週毎に行っている作業が先月崩れた理由は何か。なぜ崩れたのか。特に覚えがなく、週毎にやれなくなったので、纏めて集計を取っているといったのだが、許してくれない。 崩れたんだろ、理由があるのだろ、などと詰め寄ってくる始末。おまえはうちの妻か。 適当に答えていたら、急に切れた。せっかくおまえのために言ってやっているのに揚げ足ばかり取って、勝手にしろ!揚げ足を取られていると思っていたが、取っていたのか。思いもよらない攻撃をしていた自分にビックリした。 ビックリして宥めに入ったのだが、どうも虫が治まらない様子。どんどん畳み掛けてくる。 わからないというのは逃げだ!(まあ、そうですね、そういう見方もなしとは言えません。)何が悪いのかわかっている、言ってやろうか。とくるので、ここは大人しくうなずいた。悪いところと指摘して戴けますか、と。 すると、上司が言うには、それでいいのか!?指示を受けるだけで良いのか!(指示を受けるわけではないと思うが…)悪いところがあれば、指摘して戴いて、自分なりに吸収して考えたいとお答えした。 わからないんだろ、わからないんならこっちが言うことは抽象的になってしまうだろ!?(あの、わかっているから言ってやると曰われたのはあなたなのですが…)ご指摘戴けるというので伺いたいのですが、と精一杯の反撃を行った。 オレはな、上からどうのこうのするのではなく、下から持ち上がってくるのが好きなんだ。それをそのまま上に報告していく。改善していくのは下からするのが良いのだ。(急に良い上司ぶられてもなぁ。そこまでの過程が全然理解できないんですけど)はあ、…。 もう今日はいい、火曜日に答えを聞かせて貰う!! こういって、貴重な整理時間を1時間も潰して彼は帰っていった。きっとカンカンに怒っているのだろうが、未だに何を言いたかったのか、私にはわからない。せっかくの3連休なのに初っぱなから憂鬱さ満載だ。本当に、何が言いたかったのだろう。
2012/01/06
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妻が東北3県の被災地で困窮している人に同情するのはわかるが、その優しい心を家族にも向けて欲しい。 3月いっぱいで仕事を打ち切られる人間に、被災地の人たちを心配する余裕がないのは、人間ができていないからだろうか。器が大きければ余裕が持てるのだろうか。器の大きな人間は、そもそも余裕がなくなることがないように思う。たとえば、立花道雪とか。 オレのような小物は、困った人に手助けする余裕なく、見て見ぬふりをする。他人のことより自分の明日の方が気に掛かって気に掛かって仕方がないのだ。それを責められるのは、辛い。 悟ってしまえば、余裕を持てるのだろうか。貧乏人がお互いに貧しさの中から助け合うような美しい話を信じていられるくらい、心に余裕を持ちたいのだが、…無理。
2012/01/04
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この事件をユーザ管理の点での問題は、共有フォルダやパソコンに匿名でアクセスできることだろう。官公庁の管理は甘いと聞いていたが、ここまで甘いユーザ管理はそれこそ想定外だったろうと思われる。何だろう、公務員の倫理観を信用していたのだろうか。その倫理観によって、流出したと言えないこともない。 先年の北朝鮮と海上保安庁の銃撃事件などが有名だが、海保は必ずビデオ撮影を行っている。今までも、撮影はした物の、我々一般人の目に触れなかった映像は山ほどあるに違いない。そういった映像は、教育のために保安大学校のサーバにコピーしておいて、海保やらその他関係者が自由に閲覧できたと想像できる。この件のファイルも同様の扱いを受けていたんじゃないかなぁ。それを、今更「機密情報」と言ってもなぁ。その他のビデオを全部機密用法扱いなら、一貫性はあると思うが、どうかな。 それはそうとして、任意同行された海上保安官を起訴するつもりのようだが、自白と状況証拠以外の物証は見つからないのではないだろうか。自宅のPCに入っていそうにないが、入っていても決定的な物証とは言えない。なぜならPCにあることと流出に強い因果関係はないから。編集の痕跡が見られたら、関係はやや強まる。 移動に利用した(と言っている)usbメモリが見つからない。破壊して捨てていたら、見つかっても復旧は困難だ。 流出元のネットカフェに証拠となる映像やらユーザ情報やらが残っていないようだ。似ているぼやけた画像では、本人特定は無理なんじゃないだろうか。 …、といったことで、流出実行人が彼の保安官である特定すらできないかもしれない。 流れ出た映像が、なぜ政治的に秘密扱いされたのか、なぜあれを表に出さないことが中国との関係に重要なのかを、国会で追及してもらいたいモノだが、してないような。
2010/11/14
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