Mr. Cats' Gardenのブログ あるいはニャンスケの生活と意見

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2019.02.01
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2018/12/9 第56回赤坂をどり 長唄 春の節会・うたげ、 新邦楽 欄夫人(ランフーレン)、奏風楽・小唄・端唄 赤坂芸妓師走賑 TBS赤坂ACTシアター 主催:東京赤坂会赤坂をどり/TBS/TBSラジオ 後援:港区

 運動神経が鈍い宿主にとって、踊りという行為は、実は、天敵に近い。自ら行うのではなく、見る立場だけなのである。それに対して、宿主の相方はだいぶ違う。何せ、自分は歌が上手くて可愛くて人の目を引く立ち居振る舞いが出来ていると信じて疑わない相当始末の悪い輩である。都合が悪くなると、「私はチビで体力がないから、ずっこける事もある、」と逃げる。
 「赤坂をどり、見に行こう」と切り出したのは相方である。相方は文学を専門としていると称している。そして、一応、極めて多品種に、いろいろやっている。しかし、どうも認識や行動が怪し気である。何故赤坂をどりを見たいのか?日本の伝統芸、日本舞踊をよく知りたいから。そして、日本の女性史、文化史に重要な吉原に代表される遊郭などでの芸妓の文化を知りたいから。
 しかし、話している内に、宿主の相方は遊妓と芸妓の区別が出来てないようなのだ。一緒にしている。まるで昔のポンコツ爺みたいな認識だ。従って、芸者という職業への認識は芸者の皆さんから怒りを買うこと間違いなし。こういう芸者という生業への酷い認識をただすためにも、赤坂をどりなるものを見に行く価値はあるのかも知れない。

ところがである、12月9日の朝になって宿主の相方は突然宣わった。「明日から私はイタリアに行く。準備があるから今日のをどりは見に行けない。切符が無駄になるからおまえだけ行ってこい。」というわけで、宿主は、自分の意思だったら絶対に行かないであろう芸者をどりを見に、赤坂はTBSに向かうのであった。言うまでも無く、寄生しているMr. Cats’ Gardenと私ことニャンスケも同行である。
赤坂の料亭・座敷は国の方向を決めるような政官財界の意思決定が,時に利権絡みで阿吽の呼吸で動く場所であった。そして、宿主が昔、多分1980年代中頃、ほんの少し接した情景・会話をMr. Cats’ Gardenとニャンスケが再構成してみるに、浮かんでくること、それは、一流の芸妓さん舞妓さんはお座敷用白塗り正装の時は勿論、馴染みにはスッピン平服でお座敷に行く場合も、正装時平服時を問わず、お座敷関係のお付き合いでは、口も貞操も極めて堅い。これが緩んだら一流から外され、漸次花柳界から消えざるを得なくなる。

TBSの階段を上がってロビーに入ると、客筋が何時もの観劇時と一寸違う。現代劇より歌舞伎座の客に近い。和装の年配女性客が目立ち、男性客は2割程度。比較的若いあるいは年齢不明の女性客も、日本舞踊を嗜んでいる雰囲気が漂う。そして一流どころの女優さんの名前で花が沢山出ている。そして、お土産品の菓子や簪その他小物がいろいろ売られている。



しかるにである、幕が開いた途端、すとっと半分ぐらい腑に落ちた。上手袖が御簾になっており、その前に和楽器地方4人が袖に添って一寸斜めに並ぶ。記憶に間違えがなければ、奥から琴、鉦、篳篥、そして一番客席寄りに鼓。一方下手袖前には地唄担当らしき前四人1列と、三味線4竿が後列。全員女性。要するに、能・狂言・歌舞伎など伝統男舞台の女版という感じである。をどりは、そういう意味の舞なのだ。
最初の出し物は長唄、うん!判った。でも唄が始まり音を聞いていると、あの和楽器4人では出せない音が入ってくる。御簾内に笛太鼓が居るのだ。楽隊、いわゆる地方、は充実してる。そして、舞台への登場人物は何と二人だけ。詳しい筋は全く記憶に残ってない。恋の道行き恋物語?これは宝塚歌劇団の国内ルーツなのだ。宝塚は日本の伝統文化に根付いていること、改めて認識。多分20分ぐらいで長唄が終わると、10分休憩と来た。このペースで1時間半持って行くのか?
次の幕が開いて、驚いた。題目がカタカナ「ランフーレン」括弧内に(蘭夫人)。何だろと思っていたら、地方は舞台表面から消え、舞台全体が黄色っぽい。そして出てきた立ち方は、また二人。いわゆる和装ではなく今度は中国風。長唄でも都々逸でもない、演題の前に「新邦楽」というト書きあり。聞こえてくるは一寸中国風にも聞こえる旋律。中国で伝えられているという蘭の精との恋物語。要するに羽衣伝説、鶴の恩返し、はたまた竜宮城のお話などの仲間の話。宝塚歌劇団の祖先が芸妓をどりとすれば、舶来ものに心惹かれるも尤もなり。また一寸腑に落ちる。
 ビヤンビヤンと太三味線の音がしたかどうか記憶曖昧なれども、めでたく中国風「をどり」が幕となり、アナウンス。「次の休憩は25分となります。お食事ご予約の方、準備できておりますのでお早めに食事会場にお越し下さい。一階の売店に千うん百円とお手軽なお弁当も用意してございます。ご利用下さい。」これで完全に腑に落ちた。正に歌舞伎と同じだった。食事時の前に開演して第一幕第二幕、食事時に長めの休憩食事時間、そして第三幕は主舞台のはずだが、時には意外に短い舞踏ものだったりする。千うん百円の弁当とは、閉店間際で半額割引になった100円おにぎりを好物にしている宿主にとって気絶もの。
 客席を見ると、結構な割合が席でじっとしている。その割合は、有権者の中で実際に自民党に投票する有権者の割合ぐらいか。しかるに、座った席がばらばらで纏まらない。さてはこれは旧民主党系の割合というべきか?食事を予約したと思われる人数も似たようなものと想像されるが、こちらは纏まって食べているらしいので、さてはそっちが自民党系か。
 馬鹿なことを考えている内に、第3幕が始まった。ズラリ12人の白塗り正装芸者が横に並んで舞う。これが、事前に想定していた赤坂おどり、あるいは芸者おどり。良いです。壮観です。美しいです。

 終わると、ほぼ開園後2時間が経っていた。一般的な舞台の公演時間に合わせている。2階席から、人の流れに乗って1階出口に向かうと、少し前を、先ほどまで舞台にいた芸妓集団が表に向かっている。そして、出口階段上で並んでお客様のお見送りとなった。この辺は手作りアングラ系劇団のやり方と同じ。良いですね!と一瞬思ったが、チョット拙いことも直ぐに気づいてしまった。芸妓は高齢化しているのである。目一杯躍った後である。白塗りと皮膚の間に隙間も生じよう。ひび割れた白塗りから、茶色い皺肌が垣間見えてしまう。一寸無残なり。
 若い女性客たちが、一緒に記念撮影して下さい、と芸妓たちに声を掛け、彼方此方で撮影会が始まった。良いです、素晴らしいです。でも、そう思いながら、宿主は余り振り返らず地下鉄の駅に急ぐのであった白塗りの隙間からのぞく茶色の皺肌。芸者さんの前に出れば、そのイメージに支配されていることが表情に出てしまう。そういう事態は避けるべし。
ニャンスケ輩、Mr. Cats’ Garden共々、この宿主の行動には、もう一寸、心に隙間をつくったら、と言いたくなるのだが、寄生している身の上故、宿主共々、階段を下っていったのであった。

 芸妓の世界、ニャンスケも詳しいわけでは勿論無いが、その歴史や経緯を全く知らないで日本文化を語るのは問題ありと感じている次第。入門編の例はこんなもんでしょうかと掲げてみたのが以下の数例。



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最終更新日  2019.02.16 11:28:34
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