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2020.02.13
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原作:アレクサンドル・デュマ・フィス、台本:フランチェスコ・マリア・ゼアーヴェ、作曲:ジュセッペ・ヴェルディ、 
 ヴィオレッタ:ミルト・パパタナシュ、アルフレード:ドミニク・チェネス、    ジェルモン:須藤慎吾、フローラ:小林由佳、ガストン子爵:小原啓楼、ドゥフォール男爵:成田博之、ドビニー侯爵:北川辰彦、医師グランヴェル:久保田真澄、アンニーナ:増田弥生、ジュセッペ:中川誠宏、使者:佐藤勝司

 オペラづいている宿主は12月5日、又もや初台のオペラパレスにいた。今日はVerdiの人気オペラ、常にオペラ上演ランキングの上位にいるLa Traviataである。このオペラ、日本では椿姫という題で知られている。欧米諸国では、La Traviataと言う題名はこのオペラの固有名詞の様に使われていつ。厳密には翻訳しにくい言葉らしい。The Fallen Woman, 堕落させられた女、と言うような意味のようである。

 何故、日本では椿姫としてしまったのか。外国作品を翻訳する際、客の好みそうな、あるいは日本人の西欧文化へのあこがれを利用しようという魂胆から、原題とは全くニュアンスの異る題名が付けられることが屡々である。そして、それが固定化されてしまうことが少なくない。それによって、日本語の題名に馴染んだ客は、作品に誤ったの先入観を持ってしまう。オペラ椿姫も、日本の市井の人々から、そういう誤解を持たれ続けた作品の一つなのであろう。

 このオペラの元ネタはデュマAlexandra Dumas filsの小説とシナリオ、その原題はLa Dame aux camelias, or The Lady of the Camelias,である。実家に椿の園がある娼婦になった若い女の話であった。その上演を観て触発されたヴェルディが書き上げたのが、主人公の名前をヴィオレッタにしたオペラであった。当初は主人公の名前をもちいてヴィオレッタという題で上演されたが、あたらず、内容を修正して改題して上演したところ大当たり。それがLa Traviata。だから、邦題をLa Traviataとは別に付けたかったなら、椿姫ではなく菫嬢とでもすれば良かったのかも知れない。菫姫も許容内か?

 いろいろなグループがオペラ上演の統計を取っている。なかには、2018-2019、世界で一番上演されたオペラがこのLa Traviataだとしているものもあった。何れの統計でも、La Traviataは5本の指には入る。

 今回、宣伝では、ヴィオレッタ役のミルト・バパタナシュとアルフレード役のドミニク・チェネスのヨーロッパオペラ界の現在注目を浴びている若手ホープ二人を呼び上演、と言うような触れ込みになっていた。しかし、たぶん開幕数分後には、舞台がヴィオレッタを演ずるミルト・パパタナシュの圧倒的なパーフォマンスに席巻されていた。
 カーテンコールで垣間見える歌手・関係者間の人間関係、上限関係などから、ミルトが圧倒的な才能と実力を兼ね備えた若いトップスターで、皆から尊敬と人気を勝ち得ながら、フランクで謙遜な人であることが充分に窺えた。海外からの招待演者の中でも正にセンター位置であった。ミルトは、ヴィオレッタ役でデビューし、そのヴィオレッタ役が当たり役となって、今はヴィオレッタ役の第一人者になっているという。

 ヴィオレッタは、貧しさ故、ある年令になれば娼婦となって糧を得ていくという生き方が自然であるような環境にいた。そして、恵まれた美貌と才知で、瞬く間に高級娼婦として社交界の花となっていった。富と高級娼婦としてのそれなりに確固たる名声に恵まれる状態になっても,ヴィオレッタは娼婦であるという引け目と普通の家庭生活への憧れを抱きつつ、良き人であり続けていた。そんなヴィオレッタへの求婚に成功したのは良家の一見好男子風アルフレードである。ヴィオレッタは生活力のないアルフレードと、蓄財を取り崩しながらパリ郊外での家庭生活委を始める。

 財産も家も奪われ、住んだ田舎屋で、兼ねたから兆候のあった結核が悪化してきたヴィオレッタは急速に衰え、死の床にいる。誤解を知った父はアルフレードを伴ってヴィオレッタの方に向かう、アルフレードとその父の訪問・再会と和解。それは現実なのか、死の床でヴィオレッタがみた幻影なのか。息も絶え絶えのヴィオレッタの死の床のアリアが終わり、それまで青基調だった舞台の色が急に赤紫の光り基調に代わり、ヴィオレッタが白衣ですっと立ち、希望に満ちた表情で「いつの間にか痛み新しい未来が感じられる。サア生きよう。」と、素の台詞で舞台中央前面から客席に語りかける。
 このLa Traviataの結末解釈、キリスト教的な人間観あるいは死生観とミルト・パパタナシュの人となり、それに演出家の独創、この三者がモザイク的に融合した見事な舞台であった。



 蛇足ながら音楽的なお勉強感想:オラトリオやカンタータでヴォーカルが器楽と相まって多重な音の流れを創出する、交響曲の更なる多層化が実現。これがモーツァルトに依って18世紀に到達されたオペラ構成の頂点の一つ。一方、20世紀には舞台芸術としてはミュージカルが発展し、また映画という新しい世界が出てきた。器楽演奏・効果音などは、舞台展開を進めるコーディネータ・指揮者であり、映画・映像の場合は、全てがプリセットされて観客に提供されるようになる。
 ヴェルディは19世紀のオペラの典型なのだろうか。アリアを軸に舞台が数個の大きなブロック〔幕〕で構成される。そのアリアとそれを結ぶのがソプラノテナーの掛け合い、アンサンブルなど。それ等の進行を支える基調をつくっているのがオーケストラ、という役割分担のスタイルが明確に出ている。

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最終更新日  2020.02.13 00:52:45
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