大手外食チェーンで低価格メニュー拡大の動きが目立つようになってきたそうで、一時は牛損戦争とまで言われていた牛丼業界では、吉野家が先月に豚丼を再投入したほか、バーガーキングも今月から 490 円の低価格セットメニューの販売を開始したそうなのだ。他業態でも同様の動きがみられており、背景には景気の先行き不透明感に伴う消費者の節約志向があるとされてはいるが、見方を変えれば大手外食チェーンの手詰まり感も色濃くにじんでくるというのだ。もはや低価格化や値下げ以外に有効な打開策がなく、外食産業全体が先の見えない状況であるかのように感じられ、しかも外食産業においてかつて威勢を誇っていたチェーン店がことごとく劣勢に転じているといわれている。
日本フードサービス協会によれば外食業界の客数は昨年度年で前年比 3.1 %減となり、過去 20 年で初めて 3 年連続の減少となったそうなのだ。業界紙の読者を対象に実施した消費者調査でも、チェーン店を「よく使う」と回答した人はわずか 7 %で、「使わない」と回答した消費者のチェーン離れの要因は何なのだろうか。消費者の「大手外食チェーン離れ」はなぜ起こっているのだろうかということなのだが、「不満買取りセンター」に寄せられる声に耳を傾けると消費者が何に失望しているのかが見えてくるという。消費者の生の声を紹介することで不満の背景に迫ったところ、外食専業のチェーン店の多い「居酒屋」・「ファミリーレストラン」・「ファーストフード」の 3 業態に関して次のことがわかったという。
消費者が感じている不満をその種類ごとに分類居酒屋は「店内環境に関する不満」が多く、ファーストフードやファミリーレストランは「商品に関する不満」が 1 位となっている。業態によって大きな差があるわけなのだが、居酒屋は「、衛生面に関する不満」に「席に関する不満」だけでなく「子供連れの客」に関する不満が総じて多かったという。払ったお金に見合った居心地の良さを提供できていないことに対してのマイナス評価が目立ち、「価格の割に料理の内容が悪い」とか「飲み放題にするとドリンク提供時間がかかる」といったメニューに関するクレームも少なくなかった。そのなかでも「どんどん値段が上がって、量は少なくなっていっている」といった安さをアピールする割に安価でないという不満が多いという。
商品に関する不満の一例では「 飲み放題の居酒屋でカクテルを注文したら、出てくるまでに 20 分もかかったから不満で、 2 時間の飲み放題なのにドリンクを 20 分待たされて、たいして飲めなかった」というのだ。私も体験したことがあるが単品だとドリンクが早く来るのに、飲み放題にしたら遅くなる大手チェーンの対応には不満が多いという事のようだ。消費者に訴求できるポイントが価格しかなくなりつつある一方で原材料費や人件費などのコストは上昇基調で、収益体質は悪化の一途をたどっているといわれている。 3 年前のアベノミクスによる「脱デフレ」の流れに乗って居酒屋でも「ちょい高メニュー」がブームになってのそうなのだが、その反動で客離れが加速しメニューやサービスなどで新たな価値観を提供できなくなっているというのだ。
安い価格で手早く食事ができるファーストフードでは、コンビニエンスストアの弁当やスーパーの惣菜などとの競争が激しくなったせいか、メニュー内容や味だけでなく品揃えに関する不満が多かったそうなのだ。マニュアルに沿った紋切り型の接客を嫌がる人が多いそうだし、ファミリーレストランは「ファミリー」と名のつくとおり幅広い年齢層の顧客を対象にしているはずだが、意外にも「子供の対応に関する不満」が 1 位となったそうなのだ。ドリンクバーやメニューの割高感など商品内容に関する不満も目立っており、 不満の一例では「 セントラルキッチンで作った料理を温めて出しているなら家で冷凍食品を食べているのと何ら変わりない」という意見が多かったそうなのだ。
日本フードサービス協会によると外食業界の客数は昨年度は前年比で 3.1 %減で、過去 20 年で初めて 3 年連続の減少となっているそうなのだ。店舗数の拡大で成長してきた大手チェーンがかつてのような勢いを失っているという。人手を簡単に確保できる時代ではなく消費者のチェーン離れも顕在化しており、想定した売り上げが見込めず出店費用を回収するまでの期間が以前よりも長くなったことも背景にあるというのだ。価格に見合う価値を提供できておらず若干見劣りしているのではないかという危機感があって低価格戦略への回帰がなされているそうなのだ。外食産業の低価格戦略は吉と出るかもしれないが、弱った体をさらに傷つけてしまう可能性もあるというのだ。
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