南スーダンの国連平和維持活動に派遣されている陸上自衛隊部隊の日報をめぐり、防衛省が昨年12月の情報公開請求に対し「廃棄した」として不開示の決定を出した問題で、不開示決定後に陸自内に日報のデータが保存されていたという。「廃棄した」とされた日報は防衛省統合幕僚監部で保存されているのが見つかり問題化したが、そのほかの部署にも保管されていたことになったというのだ。防衛省関係者によると日報のデータは、陸上自衛隊部隊の調査研究部門の研究本部が管理する内部サイトに保存されており、日報は派遣部隊が現地の日々の状況や課題を報告する資料として専用のネットワークで日本に送られ、関係部署が閲覧できる状態で保管されていたというのだ。
防衛省は南スーダンの首都ジュバで昨年7月に大規模な戦闘があった時期の日報を、情報公開としてジャーナリストが求めたのに対し「廃棄した」として不開示を決めた。しかし自民党の河野太郎衆院議員らに求められて再調査した結果、統合幕僚監部のコンピューターにデータがあることがわかり請求があった分の一部を公開している。その後の衆院予算委員会では共産党議員が「日報が研究本部のデータベース内にあったのではないか」と質問すると、防衛省は報道陣に「日報は当該データベースには保管されていない」と説明していた。不開示決定の後に日報が研究本部のデータベースから削除された可能性があることから、稲田朋美防衛相は防衛省内の日報管理の経緯を改めて調査する意向を示していたのだ。
日報をめぐっては今年の1月中旬に陸自司令部の複数のコンピューターに「廃棄」と説明してきた日報が保管されていることがわかり、これまでの説明と矛盾するため2月に電子データを消去するよう指示が出されたとされていた。防衛省によると日報は防衛省統合幕僚監部内の二つの部署のコンピューター端末で複数のフォルダーに分けられて保管されており、統幕トップの統合幕僚長に報告する際の基礎資料として使うためだったという。武田博史報道官は同日の定例記者会見で「日報すべてが一括して管理された形で保存されていたということではなく探索しきれなかった。大臣からさらに探索するよう指示があって、再度日報にアクセス可能な部局に広げて探索した」と説明している。
それとは別に森友学園をめぐる一連の問題で、国会での虚偽答弁を否定し続けている稲田朋美防衛相の答弁に、さらにほころびが出ているという。籠池氏について「実際に裁判を行ったことはない」という発言を撤回・謝罪したのに続いて、参院予算委員会では夫と立ち上げた弁護士事務所の「代表となったことはない」とする答弁に矛盾があることが指摘されたという。これに加えて「ここ 10 年来疎遠にしている」はずの籠池氏の妻の発言を紹介され、稲田氏は「奥様らしいなぁと思いますが」と反応してしまい、野党から「よく知ってるんじゃないか」と突っ込まれる有様だったとうのだが、野党は大臣辞任に値すると強く批判し国会での虚偽答弁だとして田朋美防衛相の辞任を求めて続けている。
民進党の升田世喜男議員は衆院本会議で「言うまでもなく、国会で虚偽答弁を続けるような人物が閣僚の座に留まっていてはいけない。稲田大臣には即刻辞任を求めます」と激しく糾弾すると、稲田大臣は「訂正し、お詫びいたします」と訂正とお詫びに追われていたという。ただ稲田大臣はこの件で辞任する考えはないと強調しているし、菅官房長官も職務続行について「まったく問題ないと思っています」と擁護している。野党は「 PKO など今までの答弁の信ぴょう性も問われる」として辞任要求も含め徹底追及していく方針だという。今回の問題について評論家は「誤認と虚偽は別」と指摘する一方で、コラムニストは「誤認だったとしても、それを平気で垂れ流してしまう」と厳しく批判している。
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