河川法改正から 20 年を経て河川法大改正で法律の目的に「環境」が位置付けられ、多自然川づくりの基本方針の作成から約 10 年がたったのだが、河川行政の在り方が大きく変わりったというのだ。昨年から始まった 「河川法改正 20 年多自然川づくり推進委員会」では多くの点が議論されてきたというのだが、この「河川法改正 20 年多自然川づくり推進委員会」 の初めの会合では多自然川づくりの実施前後の事例がたくさん紹介されたそうで、コンクリートの三面張りの姿から緑があり川が蛇行しているような姿へと変化を遂げてきた良い事例がたくさんあったという。ただしたった 1 例か 2 例かで魚が増えたという結果が紹介された以外は他の事例は写真だけで景観を評価されていたというのだ。
国土交通省が設立した「河川法改正 20 年 多自然川づくり推進委員会」が今年 5 月に提言案を出しているが、この 10 年間で多自然川づくりを実践し国民に「これだけ良くなりました」というのを写真だけで説明しなければならないというのはお粗末だというのだ。 多自然型川づくり開始時から実施されている「河川水辺の国勢調査」では生物の評価は無理なのかということなのだが、 河川水辺の国勢調査は 5 年ごとに決まった場所でどれだけの種類の魚や鳥がいたのかをある意味無目的に調査するものだといわれている。この調査自体は意味があるのだが時間を経てどういう理由でそうなったのかという原因を突き止める調査フレームになっておらず、多自然川づくりの内容や川の流速などの情報もなかったというのだ。
川づくりのおかげで良くなったということを証明するならば違う形の調査フレームを持ち込まないとなかなかうまくいかないというが、そのための調査はものすごく労力がかかるしお金もかかるという問題があるという。今回の 「河川法改正 20 年多自然川づくり推進委員会」 は別にもう少しきちんと時間を費やして、評価手法を考えようという話になったという。具体的には日本全国を俯瞰できるような評価地図やその評価手法を作り出すなどして、河川水辺の調査を改変し直すのもありかもしれないというのだ。また国土交通省に生物に詳しい技術職員はい二位という問題では、この件については以前から言われい続けてきたのだが、採用は期限付き雇用のみで正規雇用は未だにないというのだ。
「多自然川づくり」という名前から河川の環境に関する提言と思いがちなのだが、環境以外の分野にも大きな影響がありそうでだとされ、これに限らず最近は防災や街づくりなどの面でも河川事業を巡る動きがにわかに盛んになってきたという。例えば多自然川づくりに関する環境調査の手法や河川整備計画を実施に移すための事業の進め方などについて、より実効性の高いものに変えていくことを求めており、これまでは見栄え重視で単に他の計画のコピーだった事業が目に付いた反省から改めて原点に帰ろうという考え方だという。また生物の生息環境や河床形態などを平面図に落とし込んだ「河川環境情報図」を、調査から維持管理に至る各段階でさらに活用するよう促しているというのだ。
これは土木工事を担う建設会社にとっては施工の際に生物への配慮がこれまで以上に求められることになる内容なのだが、やはり河川の目的は台風や豪雨による水災害の頻発を受け防災面での取り組みも緊急性を増しているというのだ。昨年の北海道・東北豪雨では岩手県岩泉町を流れる二級河川の小本川が氾濫し、高齢者グループホームの入所者 9 人が犠牲になったのだが、都道府県が管理する中小河川の中には水位観測や河川測量さえも十分にできず災害への備えが遅れているところが少なくないというのだ。そこで国土交通省は今年 1 月こうした中小河川で水位観測体制を整えるための「仕掛け」を実施して、 「クラウド型・メンテナンスフリー水位計」と呼ぶ比較的安価で観測できる水位計の開発を行うというのだ。
そ技術を持つ企業を集めたピッチイベントの中では、水位の計測機器を開発する建設コンサルタント会社やメーカーと、情報処理・通信の技術を持つソフトウエアや情報技術関連のベンダーが一堂に会し、新たな技術を生み出そうという試みで最終的に 21 者が 12 のチームを組んで開発に着手しました。全体を俯瞰しながら事業を進めるというわけなのだが、河川とは無縁だった建設分野以外の企業も社会の変化を捉え、河川に熱い視線を注いでいることが分かるというのだ。20年前の河川法改正以前は「河川=治水・利水」だったのだが今の「河川=環境」ではなく、社会のニーズが変われば事業の進め方も変わるのでこれまで縁遠かったプレーヤーにも新たな仕事のチャンスが生まれているというのだ。
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